横浜の社労士事務所 労務コンサルティング・残業対策・就業規則・労働相談


社会保険労務士小事務所人と企業を前向きに支援します                   Social Insurance And Labor Consulting Office



TEL:045-482-6047

mail:roumupal@icloud.com



PROFILE

顧問契約・アウトソーシング

労務コンサルティング


労働問題解決支援
無料労働相談受付中!


人事・労務レポート









   



神奈川県社労士会横浜北支部
みどり社労士会
全日本トラック協会
神奈川県トラック協会

運送屋さんのホワイト経営認証制度




自動車運送事業の「ホワイト経営認証制度」の背景


運送屋さんのドライバー不足が深刻です。
なんでドライバーが集まらないのかと言えば、労働人口が減少している状況下で、あ
えて労働条件や業界イメージが悪い運送業で働こうという気持ちにならないというこ
となのでしょう。


労働条件とは、賃金であり、労働時間であり、休日数であり、福利厚生であり、その他もろもろの労働環境
ということです。


ライフラインの要である運送業は、国民生活や経済活動に欠かせない業種ですので、業務を停滞させるわけ
にはいきません。

このようなドライバー不足が続くということは、現在働いている方たちの負担が増えることを意味しますの
で、このままではさらなる労働条件の悪化を招くことになります。


このような現状で「働き方改革」を進めるためには、効率化により生産性を上げることや発注者の荷主
エンドユーザーである消費者の理解が不可欠です。

自動運転やフルトレーラーによる大量輸送、倉庫の自動化・ロボット化とAIの導入等が話題になっており、
その進化スピードは驚くばかりですが、千差万別の積荷や車両、それに伴う積込み・積み降ろし、安全走
行、走行経路の判断、運転テクニック等、人間の役割はまだまだ大きいものがあります。


働き方改革により、長時間労働を削減し、休日を増やし、年次有給休暇の消化や割増率の引き上げに対応
し、その他の労働条件を改善するためには、人的にも資金的にも企業としての体力が必要です。

そのためには、国を挙げての取り組みである働き方改革を利用して企業の体質改善に取り組みを事業発展
の取り組みへと繋げていく
ことが大切です。

「ホワイト経営認証制度」とは、正式名称を「運転者職場環境良好度認証制度」といい、Gマーク(貨
物自動車運送事業者安全評価事業)が安全性への評価・認証に対し、ドライバーの労働条件や労働環境を評
価・認証して、労働条件の改善に積極駅に取り組んでいる企業を「見える化」してドライバー職への就職を
促進する狙いがあります。


働き方改革やコンプライアンスに則った経営が重視される中、図らずもブラックな労働条件を看過している
事業者と「ホワイト経営」に認証された事業者と、どちらを求職ドライバーが選ぶかは明らかです。


ホワイト認証制度の概要 

本認証制度は、主に運転者の労働条件や労働環境に関して評価・認証し、主に求職
者への情報提供を行うための制度として設計され、認証項目の達成状況に応じて
「一つ星」・「二つ星」・「三ツ星」の3段階で認証するものとされています。

認証単位
事業者単位とする。但し、複数の都道府県に事業所を有する事業者は、選択により
都道府県単位での申請も可能とする。


申請条件
一定期間以上の法令順守等の状況も踏まえて認証を行うことが適当と考えられるため、「運送事業の事業許
可取得後3年以上
経過していること」等の申請条件を設ける。

認証項目
ドライバーの労働条件や労働環境に関する以下の分野の必須項目と加点項目に分類されています。

A法令遵守等  B労働時間・休日  C心身の健康  D安心・安定  E多様な人材の確保・育成       
F
自主制・先進性等


審査方法  書面審査(一定の割合で対面審査を実施する)

認証基準 
@必須項目の全てを満たすこと  A加点項目の合計点数が基準点を満たすこと

認証の有効期間 当面の間2年間とする

認証の取消
認証後、一定の事由に該当することとなった場合は、認証事業者はその旨を認証実施団体に報告することと
し、認証については取り消すこととする。認証を取り消された事業者は、3年間認証を受けることができな
い。

また、特に悪質な場合は、その旨を公表するものとする。

※R1/6/25 自動車運送業のホワイト経営の「見える化」検討会報告書より 
運送業のホワイト経営と社労士の役割

先に述べましたように、「ホワイト経営認証」は、第三者である認証実施団体が中
立的・客観的に認証することにより、ドライバーの労働条件や労働環境を見える化
して、求職者が安心して求職できるようにすることによって、双方のミスマッチを
防ぎ、就職を促進することを想定しているようです。

今までもコンプライアンスに則った経営をされていた数少ない事業者を別にすれ
ば、ホワイト経営の「認証項目」を現時点で忠実にクリアできる運送屋さんがどの
くらいの数になるのかは不透明です。


ただ、認証された運送屋さんにとっては、自社の労働環境が評価されたことにより
求職者増だけでなく、荷主からの信頼アップと受注アップが期待されます。

認証企業に対するインセンティブ措置として、「認証マークの掲示」や「求人票への記載」が検討されてい
るようですが、認証運送屋さんがさらに荷主へアピールできる措置を実施することが、認証取得のモチベー
ションに繋がると思われます。



社労士の役割

認証項目については、労働条件、労働環境に関する内容ですので、殆どの項目について社労士が係れる内容
であるといえます。

もちろん、チェックするだけなら社労士はいりません。現在、条件を満たしていない運送屋さんや項目につ
いては、今後どのようにクリアするのかという「How to」の問題を運送屋さんと一緒に解決するパートナー
としての役割を果たせる社労士が必要です。


R1/8/8厚労省公表の監督実施トラック事業所のうち労基法違反事業所が、83.6%で、そのうち59.0%が
労働時間に関する違法行為となっています。

「認証取得」をするためには、会社の仕組みや環境も含めて検討しなければならない可能性もありますが、
残りの14.6%に入るコンプライアンス企業を目指して取り組みましょう。



A法令順守等

当然ですが、法令を守れず罰則を受けた運送屋さんでは、「ホワイト:認証」は取れません。労基法の内容と
しても、就業規則や36協定、労働条件通知書はごくごく基本的な内容で、これがないと労働条件の中身すら
わからないということになりますので必須は当然となります。

道路運送法や貨物自動車運送事業法等による行政処分20点以下も必須要件となっておりますが、20点超で
運輸局のHPに事業者名が公表されることを考えますと基準としては当然でしょう。

加点項目ですが過去3年間のドライバー離職率30%未満には注意が必要な運送屋さんもあるでしょう。


B労働時間・休日

運送屋さんとっては、最も頭が痛く、対応に苦慮する問題を抱える項目でしょう、
労基法はもちろん、働き方改革や改善基準告示に沿った基準を満たす必要があります。ただ、最初の一つ星
(☆)では加点項目が殆どですので、まずは、法定内で会社の限度時間を定め、就業規則等に規定して制度とし
て確定しましょう。

もちろん、制度として規定するためには実態がクリアできる体制を一緒に制度化する必要があります。


C心身の健康

安全衛生法関連項目となります。ハラスメント問題が急増しておりメンタルヘルスの管理が労災問題対応と
しても重要です。



D安心・安定

福利厚生関連の社会保険の未加入や最低賃金違反、損害賠償の予定、歩合給の保障給の有無や割増賃金の支
払い、さらには定年後もが安心して働ける環境づくりがされているかが問われています。


E多様な人材の確保・育成

ドライバー不足に対応して、女性、高齢者、主婦、アルバイト、子育て世代、週3日労働等、いろいろな働き
方や制度、効率化が求められ、それに対応する為の原資獲得も求められております。



F自主性・先進性等

従業員の軽労働化や快適化の為の機器の導入、モチベーションアップの施策行っているか。将来を見据えた
業務の効率化や人事制度、安全衛生を行っているかどうかが問われていますが、殆どが加点項目です。



前述しましたように、運送業にあっては監督実施事業所のうち労基法違反事業所が8割を超えるような状況に
ありますので、「認証取得」を先んじることが御社のアピールとなり、業務の発展に繋がることが期待され
ます。

働き方改革とホワイト認証を魅力ある企業づくりの礎にしましょう!