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労働時間のコンプライアンス

企業活動において、社会的公正や環境等への配慮により、消費者、従業員、株主、
地域社会等の
ステークホルダーの期待に応えることが問われています。
労働分野でのステークホルダーに対するコンプライアンス(期待に応える)への
取組みは、
従業員の企業に対する満足度を高め、ステークホルダーから高い評価
を受ける傾向にあります。


企業が守るべきコンプライアンスは、法律のみならず営業活動の公正さ、消費者
等への情報公開、職場環境の改善
(過労死、パワハラ、セクハラ)など多方面に
わたり
高い企業倫理が求められるようになっています。


従業員に元気がなくて、顧客に満足を与える仕事ができるでしょうか? 従業員が元気になる労働環境
を作ることが業績アップの近道です。さらに、リスク管理上のコンプライアンスへの取組みだけでなく、

業が社会から信頼されるような取組みが必要です。


消費者は、「安全で良質な商品を安く」提供してもらいたいし、従業員は、「明るく充実した職場環境」を
期待しています。また、株主は「企業価値が上がり、株価が上がること」を期待してます。この期待に応え
ることが、
企業本来のコンプライアンスといえます。

不払い残業

労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を言います。

休憩時間を除いた8時間/日、40時間/週が法定時間で、原則として法定労働時間を越えて労働させることはできません。法定労働時間を越えて労働させるためには、「時間外及び休日労働に関する労使協定(36協定)」の締結と届出が必要ですし、就業規則等に「時間・休日労働の定め」、更に割増賃金の支払が必要となります。

この割増賃金を支払わないのが不払い残業です。不払い残業が発覚しした場合、監督署の「是正勧告」に及ぶこともあり、悪質な場合には最大で2年間遡って支払うことになる可能性もあります。
このような場合、企業の存続に重大な影響を及ぼすことも考えられます。不払い残業の場合、単に管理不足、知識不足というケースも見うけられますので、法令に則った事業主の管理が大切です。


時間管理システムの構築 @各企業にあった時間利手法のマニュアル化
A客観的記録情報システム
B業務体制、業務支持系統の見直し
C労働時間チェック体制の整備
時間が労働の抑制 @残業指示の徹底(残業を従業員の判断に任せていませんか?
A残業命令書等の記録作成
B始業・終業時間管理の徹底(始業は出社時間ではありません。
  終業は会社を出る時間ではありません。)

Cノー残業デーの設定
労働時間制度の見直し @変形労働時間制の導入
A事業場外のみなし労働時間制
B裁量労働制の導入


【是正勧告】
是正勧告とは、労働基準監督署による行政指導で指導自体には強制力はありませんが、労働基準法には罰則規定がありますので、法令違反が明白で改善の意志が見られない場合には、送検されることも想定されます。
是正勧告を受けた場合には、速やかに改善の姿勢を示すことが大切ですが、実際の状況と指導内容に差異がある場合には、監督署に対しても主張することは可能です。


過重労働


労働基準法は、第32条において1日8時間、週40時間を超える労働を禁止しています。
ただし、労基法第36条において過半数労働組合(又は労働者の過半数代表者)と労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、上記労働時間を越えて、又は、休日に労働させることができるとされています。



これが、36協定と言われるものですが、では36協定を結べば青天井に労働時間を延長できるかというと、そういうわけではありません。
36協定には、延長できる時間及び労働させることができる休日を定めなければなりませんし、延長できる限度時間も決まっています。

また、労基法の改正を含む「働き方改革法を推進するための関係法律の整備に関する法律」の成立により、H31.4.1より時間外労働の上限規制が大企業に導入され、中小企業にもH32.4.1より導入されることになります。

働き方改革による改正労基法
現行労基法
改正労基法
時間外労働の上限規制
1ヶ月=45H
年間=360H
1ヶ月=45H
年間=360H
臨時的特別な事情がある場合
の上限の例外

(特別条項付の場合)
延長に上限なし
(年間6ヶ月まで)
年間=720H
単月=100H未満(休日労働含)
複数月=平均80H(休日労働含)
年間6ヶ月まで
適用猶予・除外の事業・業務
・自動車運転の業務
・建設事業
・新技術・新商品等の研究開発
 業務
・自動車運転の業務=5年間猶予後 
上限960H

・建設事業=5年間猶予後一般則を 
適用(災害時の例外規定あり)

・医師=5年間猶予後適用
(上限時間未決定)

残業削減対策】
1年中従業員が残業をしなければ、業務が回らないと言うのは、やはり業務のどこかに無理、あるいは無駄が生じていると考えられます。仕事量と従業員数が合っていないのか、仕事の効率が悪いのか、制度が悪いのか、現在の体制を見直すことが重要です。

無駄な残業をしない
仕事の優先順位を決めて、今日やる仕事かどうかを判断する。また、残業の判断は従業員に委ねず、上司の判断により行い、残業後に仕事内容と残業時間の整合性を確認し承認する。

仕事の効率化
工場であれば、作業内容及び作業動作、ライン等に無駄がないかをチェックする。事務職であれば、無駄な時間消化(長電話、喫煙タイム、私語等)がないかチェックする。また、全社的に人員配置に無駄がないか検討し、業務量により再配置を検討する。

労働時間制の見直し
業務内容によって、労働時間制を検討する。フレックス、事業場外のみなし労働時間制、裁量労働制、変形労働時間制を検討する。

振替休日の利用
法定休日に出勤する場合、休日と勤務日を振替えることで、休日は勤務日となるため休日労働に対する割増賃金の支払義務は生じません。(休日手当不要)
ただし、その日に8時間を越えて残業させたり、振替えたことにより、その週の労働時間が法定40時間を越えるときには、割増賃金の支払義務が生じます。

残業時間を決めて定額払いとする
残業が常時ある事業所では、一定時間の残業代を定額払いとし、それ以上の残業は許可制とする。例えば、1ヶ月の残業の上限を30時間とし、20時間分を定額払いとし、10時間を許可制とする。


シフト制の導入
業務によっては、30分〜1時間程度のシフト制の導入を検討する。

以上のように業種、事業所規模等により、労働時間削減策も考えられますので、まずは事業所の実態を把握することから始めてみましょう。

管理監督者


平成20年に問題となりました、いわゆる「名ばかり管理職」ですが、一時に比べると騒がれなくなっておりますが、問題が解決したのかと言うとそうでもないようです。
「名ばかり管理職」とは労働基準法第41条で労働時間関連規定の適用を受けない3つの基準のうちの一つである、「管理監督者」の範囲を拡大解釈して、本来の管理監督者ではない人達を「管理監督者」とみなして、時間管理の適用を除外された人達のことをを指します。

「管理監督者」には、残業手当(深夜手当を除く)を支払う必要もなく、36協定の締結範囲の中にも含まれません。と言うことは、「名ばかり管理職」には本来支払わなければならない、「残業手当」が支払われないと言うことになります。

この原因としては、労基法及び施行規則、さらに通達にしても、「管理監督者」の定義が曖昧で分かりづらいのが一因でありました。事業主としましては、企業内の「管理職」イコール「管理監督者」と疑いなく信じていた節がありますが、ただその曖昧さに目をつけた一部の経営者がいたことも否定できません。

管理監督者の正確な範囲の適用は不払い残業と相まって、今後の対応によっては、また表面化する可能性があり、コンプライアンスに沿った社内整備が急務です。

【管理監督者の範囲】
経営者と一体的な立場
労働時間等の規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していて、経営者から重要な責任と権限を委ねられている必要があります。
自らの裁量で行使できる権限が少なく、上司の決済を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するに過ぎないような者は、管理監督者とは言えません。

出退社について厳格な制限を受けない
管理監督者は、時を選ばず経営上の判断や対応が要請され、出退勤時間は厳密に決めることはできません。その為出退勤時間も自らの裁量に任されていることが必要です。遅刻や早退をしたら、給料や賞与が減らされるような場合は管理監督者とは言えません。

その地位にふさわしい待遇
その職務の重要性から、地位、給料その他の待遇について一般社員と比較して相応の待遇がなされていることは当然です。

スタッフ職の取扱い
人事・総務・企画・財務部門において経営者と一体となって判断を行うような専門職については、他の部門の管理監督者と同等の地位、給与等の待遇がなされていることが必要です。

【対 策】
実態調査
・管理職の範囲の確認
・管理職の時間外労働は何時間か(直近の部下との比較)
・管理職の年収はいくらか(直近の部下との比較)
・時間外労働に対する割増賃金と役職手当の比較
・管理職の権限の確認 課長の権限は? 部長の権限は?
・管理職が出席する会議は、経営と一体と言える内容か?
・単なる情報伝達の会議になっていないか
・中間管理職の不満の受け皿はあるか?
・中間管理職が申告に走らないような全社的なフォローが必要

管理職の範囲の明確化
管理職の権限及び勤務態様の明確化
法的な「管理監督者」以外の”管理職”に役職手当を支払う場合は、就業規則等に「時 間外労働分を明記」する。

労働時間対策
「名ばかり管理職」と言われる管理職の年代層は、最も残業が多いことが想定されますので、対応策として残業削減の取組みが必要となります。これには管理職だけでなく、全社的対応として取組むことが重要です。

賃金体系の見直し
残業代への切り替えに伴う賃金体系の見直しがい必要)不利益変更に注意 
残業管理改革
残業に対する承認権限の再検討、作業工程の見直し、意識改革を行う
労働時間制の見直し
変形労働時間制ないし裁量労働時間制の検討