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運送屋さんの安全運行と適正化事業

ライフラインの要であり、公共インフラを使用して業務を行う運送事業は、極めて公共性の高い事業であり、事故等が発生

した場合には、一般市民を巻き込む可能性が高い業種です。


その為、安全運行の提供は運送事業者にとって、第一義の社会的使命です。

平成2年に施行された「貨物自動車運送事業法」により「貨物自動車運送適正化事業」が開始され、全日本トラック協会が

全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(全国実施機関)に、また、都道府県トラック協会が地方貨物自動車運送適正化事

業実施機関(地方実施機関)に指名され、トラック運送事業の健全な発展を図るため、適正化事業に取組んでいます。

地方実施機関では、適正化事業指導員が運送事業者に対して巡回指導を行い、指導、広報活動、苦情処理、関係行政機関への協力依頼等の活動を行っていま

すが、ここでは、労働関係の指導項目について確認してみましょう。

適正化事業巡回指導項目(一部労働関係のみ記載)
運行管理等
 
事業計画に基づき必要な員数の運転者を確保しているか
過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠の為の時間が適正に管理されているか
<最重点指導項目>
乗務員に対する輸送の安全確保必要な指導監督を行っているか
<最重点指導項目>
労基法等
就業規則が作成され、届出されているか。<重点指導項目>
36協定が締結され、届出されているか
労働時間、休日労働について違法性はないか(運転時間を除く)
所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正にされているか。
<重点指導項目>
法定福利
労災保険・雇用保険に加入しているか。<重点指導項目>
 
健康保険・厚生年金保険に加入しているか。<重点指導項目>

運行管理等

ドライバーの業務は、精神的、肉体的負荷が高い業務です。交通安全、積荷の安全、時間厳守を守りながら長時間労働に耐えて業務を遂行しています。

しかも、けっして高賃金とは言えない環境のなかでです。

このような環境の早急な改善が、安全運行の確保には必要不可欠のものとなっており、企業内のリスク管理上も非常に重要になっています。


事業主と労働者は、労働契約上お互いの義務を誠実に履行する義務(労働契約法第3条第4項)があるとともに、事業主は労働者がその生命、身体等の安全

を確保しつつ労働することができるよう配慮する義務(安全配慮義務:労働契約法第5条)があります。

この安全配慮義務に抵触していると判断されますと、損害賠償の対象になる可能性があり、無理な運行計画による事故等はその可能性が高いと考えられます。

さらに、過労運転により行政処分を課せられる他、事業社名が公表される場合があります。


労働基準法等

運送事業者は、陸運事務所(国土交通省)から許可を受けて業務を行うことから、陸運事務所の方ばかり向いて仕事をしている事業者を見かけますが、過労

運転の元凶となる長時間労働の抑止は労働基準監督署(厚生労働省)の目指すところでもあります。


平成20年4月より国土交通省と厚生労働省は、合同監査・監督を実施しており、脱法行為が発覚しますと行政指導、行政処分を両省から受けることになり、

場合によっては事業の継続に赤信号が灯る事になってしまいます。


就業規則の作成と届出義務 労働基準法第89条

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。

10人以上とは、正社員だけでなく、パート、アルバイト等の臨時的労働者も含めて10人以上であれば当該義務が発生します。


36協定の作成届出 労働基準法第36条第1項

法定労働時間は、1日8時間、週40時間と決められており、災害等による臨時の場合を除いて、36協定(時間外及び休日労働に関する労使協定)を締結し、

かつこれを所轄労働基準監督署に届け出た場合にのみ、労働者に時間外・休日労働をさせることができます。


運送事業者は、「改善基準告示」に示されているように、現実的には時間外労働なくしては業務が成り立ちませんので、36協定の締結・届出は、業務を

行う上では必須の条件となります。


健康診断の実施と記録の保存  労働安全衛生法第66条第1項

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。

健康診断の実施
雇入れ時の健康診断
・常時使用する労働者を雇入れるとき

・パートタイム労働者
1週間の所定内労働時間が中将の労働者の4分
の3以上の者
(4分の3以上〜2分の1以上の者は検診を行
うことが望ましいとされています)
・雇入れ時
他の検診後3ヶ月以内省略可(証明書要)
・1年以内毎に1回

1年以内に他の検診を受けた者は、受けた検診の項目を省略できる
定期健康診断
特定業務従事者の 

健康診断
坑内、暑熱、有害放射線、異常気圧下、寒
冷、振動、騒音等の場所における業務、深夜
業を含む業務他
・左記業務に配置替えの際
・6ヶ月以内ごとに1回
労働安全衛生規則第51条

事業者は、法定の健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなければならない。

事業規模の大小に拘らず、全ての法定健康診断について記録の保存義務あります。


【医師による面接指導制度】

脳・心臓疾患の発症を予防する為、長時間にわたる労働により疲労の蓄積し労働者に対し、事業者は医師による面接指導を実施することを義務付けられて

います。

健康診断の実施
時間外・休日労働が80時間超/月
申出をした労働者に対し、医師による面接指導を確実に実施するものとする
申し出がない場合であっても、面接指導を実施するよう努めるものとする
面接指導実施後の措置等
面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な
措置について医師の意見聴取するものとする。

また、必要があるときは、適切な事後措置を講ずるものとする。
<必要な事後措置>
・就業場所の変更
・作用の転換
・労働時間の短縮
・深夜業の回数減少等








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