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運送屋さんの是正勧告!

運送業は、流通の要であります。スーパーに並ぶ食糧品や雑貨、衣服、お酒等々、国民生活に密着したすべての商品や製品は

運送屋さんなくして我々の手元に届くことはけっしてありません。

しかし、その要の事業である運送業にとって厳しい経営環境と労働環境が続いております。

労務管理の盲点を突かれる心配はありませんか?不払い残業、36協定の未届、就業規則等の整備の問題は大丈夫ですか? 

安全運行、貨物運送適正化事業への対応はいかがですか?

行政処分等の基準についても運送業を取り巻くコンプライアンスへの包囲網は、厳しくなることはあって、緩和されることはあり得ません。

労務管理と安全運行が切っても切り離せないように、「自動車運転者の労働条件改善の為の相互通報制度」により運輸局と監督署の連携も切り離すことはでき

ません。


【運輸局】

●安全確保義務違反

@20人以上の軽傷者を生じる「重大事故」を起こした場合

A過積載、スピード違反を起こし、会社が命令又は容認していた場合

B過労運転、酒酔い運転、酒気帯び運転、薬物等使用運転、無免許運転、大型自動車無資


格運転、救護義務違反を起こした場合

C乗務時間告示(国土交通省告示代1365号)の未遵守31件以上

D点検整備未実施

最低賃金違反

●従業員への指導・監督及び記録の作成保存義務違反

●労災・雇用保険の未加入、健保・厚生年金保険の未加入


【監督署】

●労働時間

過重労働、改善基準告示違反(厚労省)、36協定違反(時間外・休日労働の違法性)、不払い残業、

●安全衛生

法定の健康診断の実施、記録の保存

●就業規則等の整備

●労働条件

労働条件通知書等の不備又は未発行


適切な労働環境の確保は、安全運行の確保に繋がりますので、これを怠ると運輸支局等による監査や車両の使用停止等の行政処分が行われることになります

し、不払い残業等では監督署による行政指導が行われることになり、事業主にとっては、完全に包囲された八方ふさがりの状況が出来上がってしまいます。


さらに、これが事故等に端を発していた場合は、使用者責任や損害賠償がからんで、会社の存続も危うくなる可能性を秘めています。



運輸局の行政処分 -傾向と対策-

運輸局の「行政処分の基準」の改正強化もあり、行政処分の件数も処分内容によって前後するも、全体としては増加傾向にあるよう

です。

また、行政処分の前段としての監査の選定理由の3割強を「適正化実施機関の巡回指導の結果を踏まえたもの」と「労働局からの通報」

が占めており、これは重大事故等の結果による行政処分ではないことから、ルーチンワークとしての業務内容の不徹底や帳簿書類等の

不備、さらに道路運送法や貨物自動車運送事業法、労働法を含むコンプライアンス精神の欠如から発生した行政処分であり、さらなる

重大事故の潜在的可能性を感じさせる内容と言えます。
違反事項としては事業計画認可事項違反、社会保険未加入、事業計画届出事項違反、指導監督違反、点呼違反、過労防止措置義務違反等の件数が多く、社外

の人間から見ると一般的な届出事項や記録、常識的な業務の管理上の手続きと思われる事項も含まれており、これで事故等を誘発した場合には、一般的な市

民の判断としては、社会的に糾弾されても言い訳できない内容と思われるかもしれません。


では、運送会社としてはどうしたらよいのでしょうか?

法律をすべて守って、余裕ある労働時間と人員によって安全運行を行い、時間外労働がある場合にもデジタルタコグラフと労働時間管理ソフトによって労働時

間を全て把握・管理し、運転手の休憩時間も労働時間として大目に見ながら残業手当を支払い、記録を完璧に残すために長時間労働を厭わず、メンタルヘルス

にかかりながらも業務をこなせばよいのでしょうか。

イエ、イエそんな会社では、よっぽどの能天気な荷主でもない限り、すぐさま先が見えてしまいます。


「貨物自動車運送事業の行政処分の概要」を見ましても、監査実施件数自体は減少傾向にあるものの、監査実施件数の5割以上が何らかの処分を受ける傾向は

変わらず、「特別監査」は悪質な事故等を起こした場合として当然としても、通報等による「臨店監査」でも9割以上の事業所が何らかの行政処分を受ける

傾向に変化は見られません。

すなわち監査を受けた時点で、行政処分の覚悟が必要ということになってしまいますが、適正化実施機関による巡回指導等による改善項目を真摯に受け止め、

監査を受けない業務体制が必要ということになります。

ただし、監査を受けたからといって、開き直って腹をくくっているだけでは良いことはありませんので、処分の軽減努力と今後の改善努力を惜しんではいけま

せん。

監査 → 違反行為の確認書 → 改善指示書 → 報告書 → 弁明書 → 行政処分

このように見てまいりますと、大事なものは大きく3点

●安全運行への取り組み

●適正化事業への取り組み

●運送・労働各法遵守


そんなことはお前なんかに言われなくても百も承知だし、運送会社各社は必死に取り組んでいると言われると思いますが、まず第一にお金がかからず、仕事を

キッチリ行えば解決できることから片付けてみましょう。

会社の存亡の危機が訪れる前に覚悟を決めて取り組むことが必要です!


@事業計画認可事項違反

営業所の位置や事業用自動車の種別、車庫の位置や収容能力違反等は、変更事項が発生する際に事前にチャンと届出て認可をもらえば済むことです。

もっとも、明らかな収容能力オーバー等を誤魔化してはいけません。


A事業計画届出事項違反

@同様に事前に届出しましよう。法定労働時間内に済む話ですから、一銭もかかりません。


B指導・監督違反

社内の指導者であれば、費用は殆どかかりませんが、たまには外部機関の活用も望まれます。ただ、大事なのは継続的・計画的に実施することですから、頭を

悩ますような費用はかかりません。


C点呼の記録違反

点呼をキッチリ行い誠実に記録をすれば済む話です。出発時間がバラバラとか、運転手が知らない間に出発してしまった等の言い訳は、運輸局には通用しま

せん。またまた、一銭もかかりません。

簡単そうに書いて恐縮ですが、当然のことながら、以上のような業務を間違いなく処理できるように根付かせるには、会社の体制を含めそれなりの努力が必要

なのは言うまでもありません。


社会保険の未加入問題は、これは費用が掛かります。というよりは、もともと費用が既に掛かるものを先延ばししていただけと言うことになります。コストと

割り切り、運賃と経費を検討し直してみましょう。

ただし、時間管理を含む過労運転の問題は、そう簡単には解決できません。人員の問題、配車の問題、荷主との問題、手待ち時間の問題、等々、解決しなけれ

ばならない問題がテンコ盛りです。費用をかければきりがありませんので、中小の運送屋さんにとっては頭の痛い問題です。


運送業の社長さんの今までの努力やノウハウを否定するつもりは毛頭ありませんが、今一度、事務方を含めた体制と制度の検討をしてみませんか。


監督署の行政処分 -傾向と対策-

運送屋さんに限らず、監督署の事業所調査や臨検の際に主に確認さ
れる項目は決まっています。

●労働時間関係
36協定の届出又は未提出、労働時間・時間外労働時間の確認、過重労働
●賃金
不払い残業の確認、残業単価の確認
●就業規則

従業員数による作成義務の確認、就業規則等の届出と周知、就業規則の変更の有無

●安全衛生

定期健康診断の実施、安全衛生法の遵守(法定管理者等の選任、委員会の設置等)、労災事故(運送業は交通労働災害)

●労働条件

労働契約書の作成、労働条件の明示


以上のような項目になりますが、過重労働の削減や定期検診の実施は安全運行には欠かせませんし、運送業の労災事故とは、主に交通労働災害ということに

なりますので、従業員だけではなく一般市民を巻き込む重大事故も予想されます。

このように、安全運行を実行するためには、ハード面の”車両管理”とソフト面の”人”の管理が欠かせませんが、”人”の管理とはすなわち労務管理

ということになりますので、事業所外で業務を行う運送業にとっては特に労務管理は重要ということになります。


【是正勧告対応】

指導票

臨検の際に、法令違反とまでは認められないものの、通達やガイドラインから見ると改善が望まれる場合に交付されます。「指導票」だけ交付される場合も

あり、内容によって「勧告書」と両方交付される場合もあります。


是正勧告書

臨検の際に、労働関係法令違反が認められた場合に、その状態を解消するために、違反事項と是正期日を記して交付されます。事業主等は受領年月日と受領者

氏名を記入・押印して受け取ります。


是正報告書(報告書)

指導・勧告された内容の是正・改善状況を報告するための報告書です。是正内容と是正完了日を記載し、必要に応じて証拠書類を添付します。

尚、是正勧告書には違反事項と是正期日が記載されていますので、原則としてその期日までに是正しなければなりません。期日までに完了しない等の場合に

は、監督官にその理由と完了期日を率直に伝えましょう。


書面の不備や協定の未締結・未届け等は、書類の作成や締結により改善しますが、その後の運用や労働時間削減対策等は、制度の作成・運用が絡んできます

ので、監督官との相談・打合せが重要です。

不明な点は、よく確認・相談し、具体的な是正方法を確認しつつ、迅速に進めなければなりません。ただし、鵜呑みにするのではなく、法令の許す限り自社の

事情や意見も発言してしかるべきでしょう。


運輸局の行政処分と同様大切なのは、監査や臨検がいつやってきても動じない体制作りが重要ですが、万が一行政処分を受けた場合には、迅速に対応すること

に集中しましょう。









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