運送屋さんのホワイト経営認証制度 |
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自動車運送事業の「ホワイト経営認証制度」の背景 運送屋さんのドライバー不足が深刻です。 なんでドライバーが集まらないのかと言えば、労働人口が減少している状況下で、あえて労働条件や業界イメージが悪い運送業 で働こうという気持ちにならないということなのでしょう。 |
労働条件とは、賃金であり、労働時間であり、休日数であり、福利厚生であり、その他もろもろの労働環境ということです。
ライフラインの要である運送業は、国民生活や経済活動に欠かせない業種ですので、業務を停滞させるわけにはいきません。
このようなドライバー不足が続くということは、現在働いている方たちの負担が増えることを意味しますので、このままではさらなる労働条件の悪化を招く
ことになります。
このような現状で「働き方改革」を進めるためには、効率化により生産性を上げることや発注者の荷主やエンドユーザーである消費者の理解が不可欠です。
自動運転やフルトレーラーによる大量輸送、倉庫の自動化・ロボット化とAIの導入等が話題になっており、その進化スピードは驚くばかりですが、千差万
別の積荷や車両、それに伴う積込み・積み降ろし、安全走行、走行経路の判断、運転テクニック等、人間の役割はまだまだ大きいものがあります。
働き方改革により、長時間労働を削減し、休日を増やし、年次有給休暇の消化や割増率の引き上げに対応し、その他の労働条件を改善するためには、人的にも
資金的にも企業としての体力が必要です。
そのためには、国を挙げての取り組みである働き方改革を利用して企業の体質改善に取り組みを事業発展の取り組みへと繋げていくことが大切です。
「ホワイト経営認証制度」とは、正式名称を「運転者職場環境良好度認証制度」といい、Gマーク(貨物自動車運送事業者安全評価事業)が安全性への
評価・認証に対し、ドライバーの労働条件や労働環境を評価・認証して、労働条件の改善に積極駅に取り組んでいる企業を「見える化」してドライバー職へ
の就職を促進する狙いがあります。
働き方改革やコンプライアンスに則った経営が重視される中、図らずもブラックな労働条件を看過している事業者と「ホワイト経営」に認証された事業者と、
どちらを求職ドライバーが選ぶかは明らかです。
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本認証制度は、主に運転者の労働条件や労働環境に関して評価・認証し、主に求職者への情報提供を行うための制度として設計 され、認証項目の達成状況に応じて「一つ星」・「二つ星」・「三ツ星」の3段階で認証するものとされています。 |

事業者単位とする。但し、複数の都道府県に事業所を有する事業者は、選択により都道府県単位での申請も可能とする。

一定期間以上の法令順守等の状況も踏まえて認証を行うことが適当と考えられるため、「運送事業の事業許可取得後3年以上経過していること」等の申請条件
を設ける。

ドライバーの労働条件や労働環境に関する以下の分野の必須項目と加点項目に分類されています。
A法令遵守等 B労働時間・休日 C心身の健康 D安心・安定 E多様な人材の確保・育成 F自主制・先進性等


@必須項目の全てを満たすこと A加点項目の合計点数が基準点を満たすこと


認証後、一定の事由に該当することとなった場合は、認証事業者はその旨を認証実施団体に報告することとし、認証については取り消すこととする。認証を
取り消された事業者は、3年間認証を受けることができない。
また、特に悪質な場合は、その旨を公表するものとする。
※R1/6/25 自動車運送業のホワイト経営の「見える化」検討会報告書より
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先に述べましたように、「ホワイト経営認証」は、第三者である認証実施団体が中立的・客観的に認証することにより、 ドライバーの労働条件や労働環境を見える化して、求職者が安心して求職できるようにすることによって、双方のミスマッチ を防ぎ、就職を促進することを想定しているようです。 今 までもコンプライアンスに則った経営をされていた数少ない事業者を別にすれば、ホワイト経営の「認証項目」を現時点で 忠実にクリアできる運送屋さんがどのくらいの数になるのかは不透明です。 |
ただ、認証された運送屋さんにとっては、自社の労働環境が評価されたことにより求職者増だけでなく、荷主からの信頼アップと受注アップが期待されます。
認証企業に対するインセンティブ措置として、「認証マークの掲示」や「求人票への記載」が検討されているようですが、認証運送屋さんがさらに荷主へ
アピールできる措置を実施することが、認証取得のモチベーションに繋がると思われます。
社労士の役割 |
認証項目については、労働条件、労働環境に関する内容ですので、殆どの項目について社労士が係れる内容であるといえます。
もちろん、チェックするだけなら社労士はいりません。現在、条件を満たしていない運送屋さんや項目については、今後どのようにクリアするのかという「How to」の問題を運送屋さんと一緒に解決するパートナーとしての役割を果たせる社労士が必要です。
監督実施トラック事業所のうち労基法違反事業所が8割以上の割合を占め、その中の半分近くが労働時間に関する違法行為となっています。
「認証取得」をするためには、会社の仕組みや環境も含めて検討しなければならない可能性もありますが、残りの2割に満たないに入るコンプライアンス企業
を目指して取り組みましょう。
A:法令順守等 |
当然ですが、法令を守れず罰則を受けた運送屋さんでは、「ホワイト認証」は取れません。労基法の内容も就業規則や36協定、労働条件通知書はごくごく
基本的な内容で、これがないと労働条件の中身すらわからないということになりますので必須は当然となります。
道路運送法や貨物自動車運送事業法等による行政処分20点以下も必須要件となっておりますが、20点超で運輸局のHPに事業者名が公表されることを考えます
と基準としては当然でしょう。
加点項目ですが過去3年間のドライバー離職率30%未満には注意が必要な運送屋さんもあるでしょう。
B:労働時間・休日 |
運送屋さんとっては、最も頭が痛く、対応に苦慮する問題を抱える項目でしょう、
労基法はもちろん、働き方改革や改善基準告示に沿った基準を満たす必要があります。ただ、最初の一つ星(☆)では加点項目が殆どですので、まずは、法定内
で会社の限度時間を定め、就業規則等に規定して制度として確定しましょう。
もちろん、制度として規定するためには実態がクリアできる体制を一緒に制度化する必要があります。
C:心身の健厚 |
安全衛生法関連項目となります。ハラスメント問題が急増しておりメンタルヘルスの管理が労災問題対応としても重要です。
D:安心・安定 |
福利厚生関連の社会保険の未加入や最低賃金違反、損害賠償の予定、歩合給の保障給の有無や割増賃金の支払い、さらには定年後もが安心して働ける環境づく
りがされているかが問われています。
E:多様な人材の確保・育成 |
ドライバー不足に対応して、女性、高齢者、主婦、アルバイト、子育て世代、週3日労働等、いろいろな働き方や制度、効率化が求められ、それに対応する為
の原資獲得も求められております。
F:自主性・先進性等 |
従業員の軽労働化や快適化の為の機器の導入、モチベーションアップの施策行っているか。将来を見据えた業務の効率化や人事制度、安全衛生を行っているか
どうかが問われていますが、殆どが加点項目です。
前述しましたように、運送業にあっては監督実施事業所のうち労基法違反事業所が8割を超えるような状況にありますので、「認証取得」を先んじることが
御社のアピールとなり、業務の発展に繋がることが期待されます。
働き方改革とホワイト認証を魅力ある企業づくりの礎にしましょう!
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