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ハラスメント相談室     -ハラスメントのいろいろ-


最近はハラスメントの前に○○・ハラスメントと名称を付ければ、あらゆる環境や行為がハラスメントになってしまうことに

途惑いを感じることもありますが、元サラリーマンとしては、今だったら訴えてやりたいと思う元上司がいるのも事実です、

もっとも昔むかしの話ですが。

ハラスメントとは、弱い立場の相手に対する「嫌がらせ、いじめ」をする行為とされていますが、故意に行なう行為はもちろん

ですが、本人が意図せずに加害者になってしまったり、後からハラスメントだったことに気づかされるされることも少なくない

ようです。
職場におけるハラスメントは、従業員の人格を不当に傷つける等人権に係る行為とさており、個人の能力発揮の妨げとなるばかりでなく、企業の業績にも影響を

及ぼすことになりかねません。

厚労省の「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によりますと、民事上の個別労働紛争相談件数のうち「いじめ・嫌がらせ」の件数が8年連続最多と

なっておりますが、2020年6月に施行されました「パワハラ防止法」(大企業・中小企業は2022年4月)により、大企業の当該紛争数は「いじめ・嫌がらせ」

に計上されていないにも拘わらず、ダントツのトップとなっています。


従業員も職場の上司や同僚の行為や言動がハラスメントだったことに気付き始め、対策を講じるために相談数が増えているのではないでしょうか。結果、その先

には加害者個人はもちろん企業の責任が問われる状況が待ち構えていることになります。


労働契約法第5条(労働者の安全への配慮) 安全配慮義務

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


男女雇用機会均等法第11条 (職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)  セクハラ対応

事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により

当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じな

ければならない。


労働施策総合推進法(パワハラ防止法)第30条の2(雇用管理上の措置等) パワハラ対応

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害され

ることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。


ということで、安全配慮義務とともに、セクハラ及びパワハラに対する雇用管理上の措置義務が事業主に課せられたことになり、労働者に対しても事業主の措置に協力する義務が課せられました。


ハラスメントはセクハラ、パワハラの他にもモラハラ、マタハラ、最近ではセカンドハラスメントやジェンダーハラスメントといった、まだ耳新しいハラスメント

も増えていますが、それぞれの定義を理解した措置を講じる必要がありますし、それに加えて従業員の知識を定着させて、いろいろなハラスメントに一元的に対応

できる制度を構築して運用していく必要があります。


制度には入口対策としての予防と出口対策としての解決制度が必要です。一緒に取り組みましょう。




セクハラ  -雇用管理上の措置義務-
職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置【均等法 第11条】

事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を

受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応

する為に必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

現在、日本ではセクハラを直接的に禁止する法律はありません。改正均等法では上記条文により、事業主に対する措置義務が定め

られましたが、これは行政指導や企業名公表、都道府県労働局長による援助及び紛争調整委員会による調停の根拠条文とはなり得

るものの、私法上の損害賠償を求める為の効力を持つものではありません。

刑法に該当する以外に、加害者や事業主に損害賠償を求める為には、民法上の責任を問うことになります。
事業主がセクハラ防止に関して雇用管理上講ずべき措置指針 平成18年厚生労働省告示第615号

事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

@セクハラの内容及びセクハラがあってはならない旨の事業主の方針を明確化し管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

Aセクハラ行為者に対し厳正に対処する旨の方針及びその内容を就業規則その他の職場における服務規律を定めた文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・

 啓発すること。


相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

B相談への対応のための窓口(相談窓口)をあらかじめ定めること

C相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じて適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、職場におけるセクハラが現実に生じ

 ている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、セクハラに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。


職場におけるセクハラに係わる事後の迅速かつ適切な対応

D事後に係わる事実関係を迅速かつ正確に確認すること。


E職場におけるセクハラが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置及び被害者に対する措置をそれぞれ適正に行うこと。

F改めて職場におけるセクハラに関する方針を周知・啓発する当の再発防止に向けた措置を講ずること。なお、セクハラの事実が確認できなかった場合においても

 同様の措置を講ずること。


1〜3の措置とあわせて講ずべき措置

G職場における相談者・行為者の情報はプライバシーに属するものであることから、相談及びセクハラに係わる事後の対応に当たっては、相談者・行為者等のプラ

 イバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知すること。

H労働者が職場におけるセクハラに関して相談したこと又は事実関係確認に協力したこと等理由として、不利益な取扱を行ってはならない旨を定め、労働者に周知

 ・啓発すること。

均等法では、上記条文及び指針により、事業主に雇用管理上必要な措置を義務づけており、事業主がこの措置を講じない場合には、行政指導の対象【第29条】

なり、指導にも応じない場合には、企業名を公表【第30条】される可能性もあります。


一般消費者を相手にするような名の通った大企業にとっては、社会的イメージダウンの損は計り知れないものがありますし、なにより従業員のモラール低下に繋が

ります。

さらに、行政指導による報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合には、過料(20万円)【第30条】が課せられます。


人材の豊富な大企業にとっても、この指針に正確に対応するのは、なかなか大変なことと思われますし、中小零細企業にとってはかなり厳しいものがあると思われ

ますが、いままで、事業所において放置され続けてきた現状を考えますと、最低レベルとも考えられます。


また、労働者と事業主の間で、セクハラだけでなく、性別による差別的取扱いや婚姻を理由とする不利益取扱等に関する紛争が生じた場合には、均等法に基づく

都道府県労働局長に紛争解決の援助【第17条】及び紛争調整委員会の調停【第18条】を受けることができます。

労働条件等の個別労働紛争は、労働局に「あっせん申請」を行いますが、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する個別紛争につい

ては、労働局雇用均等室に「調停」の申立てを行うことになります。


職場において、改善の提案や措置義務の履行をお願いしても進展するどころか、自分の立場が危うくなるような場合も考えられますので、明らかな措置義務違反

場合には、援助を求めることも一考ですし、トラブルに発展してしまった場合でも、今後も働き続ける気持ちがあるのなら、裁判を起す前に調停によって解決を図る

ことも検討すべきです。



パワハラ   -雇用管理上の措置義務-

労働施策総合推進法(パワハラ防止法)第30条の2(雇用管理上の措置等) パワハラ対応

事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用


する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の


雇用管理上必要な措置を講じなければならない。


ということで、安全配慮義務とともに、セクハラ及びパワハラに対する雇用管理上の措置義務が事業主に課せられたことになり、


労働者に対しても事業主の措置に協力する義務が課せられました。
パワハラの定義

@優越的な関係を背景とした言動

当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの

※要は労働者が抵抗や拒絶できない”確率”が高い人に言われた言動ということのようです。


A業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの

※要は”一般常識”からみると仕事に関係ない内容と常識外の態度・言動ということでしょうか


B労働者の就業環境が害されるもの

・当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が

 就業する上で看過できない程度の支障が生じること

・この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度

 の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当

※要は一般の普通の人が受けた苦痛が、”そのままの状態が続くことに我慢ができない程度の苦痛”であったときにということでしょうか。

注)客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラには該当しません。


パワハラ防止措置義務
事業主の方針等の明確化及び周知・啓発

@事業主の方針の明確化と周知・啓発

A行為者に対する対処方針と対処内容を就業規則等に規定し周知・啓発する


相談対応への体制整備

@相談窓口を定め労働者に周知する

A相談窓口担当者が相談内容に応じ適切対応できるようにすること


職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応

@事実関係の確認

A被害者への配慮措置

B行為者に対する適正な措置

C再発防止措置


その他併せて講ずべき措置

@相談者、行為者の個人情報を含むプライバシーの保護措置と周知

A相談者への不利益取り扱いの禁止の定めと労働者への周知


以上の措置義務に加えて、努力義務として事業主と労働者の責務も明確化されています。



マタハラ   -雇用管理上の防止措置義務-

セクシャルハラスメントとは別に「妊娠・出産・育児介護休業等に関するハラスメント」についても防止措置義務が事業主に課せら

れています。

「マタハラ」とはマタニティー・ハラスメントの略で、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で上司・同僚からの言動(妊娠・

出産したこと、育児休業等の利用に関すること)により就業環境が害されることをいいます。

また、精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産を理由とした解雇や雇い止めで不利益取扱いをうけることも含まれます

が、客観的に見て業務上の必要性に基づく言動は含まれないとされています。

ただ、業務上の必要性とただの嫌がらせの境界線は微妙です。業務に名を借りた嫌がらせもあるでしょうし、いずれにしても注意が

必要でしょう。
男女雇用機会均等法 第11 条の3 (職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)措置義務

事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省

令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の

整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。


育児・介護休業法 第25条 (職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)措置義務

事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の

利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の

雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

2 事業主は、労働者が前項の相談を行なったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実 を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇

その他不利益な取扱いをしてはならない。


以上の措置義務に加えて、努力義務として事業主と労働者の責務も明確化されています。









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