監督のこと

2007年、ドキュメンタリー映画「心理学者 原口鶴子の青春」で、
100年前のコロンビア大学留学生、29歳で夭折した日本初の女性心理学者原口鶴子をスクリーンに蘇らせ、
山路ふみ子映画賞福祉賞を受賞した泉悦子監督の最新作。


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 2~3ケ月のエビいたずら盛り      野良出身クロとサクラはいつも仲良し    クレタ島から保護されたマリア

製作にあたって  監督 泉悦子


娘が子猫をひろってくる前に、オス犬を飼っていました。
娘が友人の家の庭で生まれた子犬をもらってきたのです。
15才8ケ月で私の腕の中で旅たちましたが、ちょうど3人の子どもをひとりで育てるので夢中で、犬にまで手が回らず、
去勢することも知らず、庭にほうりっぱなし。
死んでから「トト、ごめんね、いい飼い主じゃなくて」と写真をみては、柄にもなく泣いたりしていました。
それで、子猫がきたときは、家の中で大切に育てようと決めました。

子猫のエビが来て5年目、庭で餌をあさっていたシマを保護。
生粋の野良の姉さんで、回虫、瓜実条虫とあらゆる虫を外へ排出しました。
野良猫の食生活のすさまじさ、生き抜くためにどれだけ戦ってきたのかと、感心したものです。

さらに4匹目に保護したオス猫、クロがエイズ、白血病のキャリアだったのも衝撃でした。
母子感染でなく飼い主のいない猫になってから、喧嘩か交尾で感染したのだろうと獣医が教えてくれました。
去勢手術をしていれば、喧嘩も交尾もなくキャリアにならなかったかもしれません。
野良猫の基礎知識を映画にして皆に知らせなくてはと思いました。

同時に、猫を助けようと365日、昼夜奮闘しているボランティア、獣医、行政の人たちの様子もドキュメントしよう、
日本だけでなく、日本と同じ行政が犬猫を殺処分しているアメリカと、
行政が殺処分を禁じている国、ドイツの取材もしようと、構想がどんどんひろがっていきました。

映画を観終わったとき、猫の未来に絶望的になるのでなく、猫たちのためになにかできる、やってみよう
という気持ちにさせてくれる映画。
あれもこれも欲張りですが、保護猫と暮らす自分だからこそ自然に描けるのでないか…。

ニャンニャンとして猫は幼児の頃から親しまれています。
でも成猫になると、擬人化した可愛いペットか、汚い迷惑猫のように扱われます。
あのニャンニャンとしていとしく思う気持ちはどこへ行ったのでしょう。
なぜそうなったか、なぜ増えるのか、本当に汚いのか、どんな動物なのかなど、
その一歩先の知識はあまり知られていません。
元気でまだ生きられるのも含め、年に18万匹の犬猫が行政の手で二酸化炭素のガス室で命を絶たれることも
あまり知られていません。
町の野良猫を見たときに、この映画を思い出していただければ嬉しいです。

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泉 悦子 略歴

  • 早稲田大学第1文学部演劇卒。記録映画社の演出助手を経て独立し官公庁や企業PR・教育
    映画など、これまで100本以上の脚本・演出を手がける。
  • 87年 女性たちでグループを立ち上げ、映画誌“シネマジャーナル”を創刊、現在91号発売中。
  • 92年 テス企画を設立、女性の自立や医療をテーマに多数の映像ソフト製作。
  • 98年 企業財団の映画基金でニューヨーク大学映画学科に短期留学、16mm短編映画を作成。
  • 06年 ドキュメンタリー映画「ニューヨークで暮らしています 彼女たちがここにいる理由」完成。
  • 07年 ドキュメンタリー映画「心理学者 原口鶴子の青春 100年前のコロンビア大留学生が伝えたかったこと」を完成し、東京国際女性映画祭、あいち国際女性映画祭、高崎映画祭、カメルーン国際女性映画祭など正式招待を受ける。
  • 09年 本作品で山路ふみ子映画賞福祉賞を受賞。
  • 11年 長編劇映画「エクレールお菓子放浪記」で脚本執筆。
  • 14年 ドキュメンタリー映画「みんな生きている 飼い主のいない猫と暮らして」完成
  • 15年 PR映画「夢は世界をかけめぐる 海外技術開発のパイオニア」のアニメ・ドキュメンタリー総監督で土木映画コンクール最優秀賞受賞