コメント
1998年、企業の映画基金をいただいてニューヨーク大学へ短期留学したことがきっかけで、ニューヨークにおける日本女性の活躍に大きな興味をもちました。縁あって、原口鶴子さんの存在を知り、鶴子さんが書かれた留学記『楽しき思い出』を読み、感銘を受け、資料を調べるうち、2年前に無謀にも自主製作に踏み切りました。
鶴子さんについては、あまり知られていませんが、20年以上前に書かれた伝記や調査資料は驚くほど正確で充実しており、感動的で興味をさらにかきたてるものばかりでした。パソコンも普及していない時でしたから調査は足とペンで、ボランティアのような形でコツコツ調べたものだと思われます。本当に体力と気力で鶴子さんの足跡を追ったものでした。彼女に関してほとんど調べられておりましたので、これら文字資料を映像に置き換えたらどうなるかと考えました。
鶴子さんの写真は、留学中と確定できるものは一枚もありません。それで鶴子さんが書かれた『楽しき思い出』をもとに、ニューヨークで調査取材を行い、内容が合致したものだけを撮影することにしまし。
それでも何かないかと調べましたらコロンビア大ティーチャーズカレッジのアーカイブに鶴子さんらしき人が映っている写真がありました。撮影時期といい、活動内容といい鶴子さんに合致していたのですが、誰も鶴子さんであると断定できず、大学へ写真の詳細を問合せましたがホームページにある情報以外はないとのこと。万事がこのような状態でした。
しかし、皆様のご協力で鶴子さんのご著書はすべて現物を撮影することができました。鶴子さん自筆の英文手紙など、この作品のために初公開してくださったものもあります。
映像製作の元となった研究書『原口鶴子 女性心理学者の先駆』を書かれた荻野いずみ様、ご自身がコロンビア大留学中に鶴子さんのレポートをまとめられた國枝マリ様、日本女子大学、コロンビア大学はじめ日米の教育機関、群馬県富岡市、NY州トロイ市、そしてなによりも熱心に製作を支えてくださいました倉西正武・早百合ご夫妻をはじめご親族の皆様に深く感謝申し上げます
|