2003年 車掌の旅
2003.9.6





【旅の恥はかき捨て】

車掌の旅に行ってきた。
待ち合わせは午前10時、JR市川駅のロッカー前。本日、私は添乗員をするわけだが、ロケハンに参加していないため、コースは地図で確認したのみ。また、あらかじめ送られてきたタイムテーブルには「資料配布・説明札掲揚」と書いてあるが、それが何を意味するのか知らない
だから「17ポイントも記念スポットを回るのはキツイなあ」とか「距離が長いな」など、漠然とした不安をおぼえながらも、掲示板で意匠堂主人さんを誘ってしまった。事前にスタッフの前嶋かおるちゃんに電話して不安を訴えると、「お客さんに気を使い始めるとツライからあまり気にしないほうがいいです」とアドバイスをされた。
確かにそうだ。意匠堂さんには悪いけど、誰にも気を使わないようにしよう。
でも待ち合わせ場所に意匠堂さんの姿を見つけた瞬間、早くも「今日はすいません」と謝ってしまった。

集まったのは、スタッフ8名、読者12名の20名。たぶんそのぐらい。
参加費1500円を払い、だいたい全員集まったなーと思ったら、ロッカーの陰でおもむろに塔島営業本部長がスポット1・14号銀26、27Pで浜田が隠れたロッカーの説明を始めた。
ここで「14号銀」だの「浜田」だの書いても何のことだかわからないだろうが、私にもわからないので説明できない。要するに、車掌の「14号銀」(この号は金と銀があったらしい)に登場した「浜田」という人ゆかりの地なのだろう。でもそんなことは私に関係ないから聞き流した。この書き込みは、そのまま営業日誌にするつもりなのでいちおう書いとくだけだ。以降も、スポットについての説明は省く。
説明が終わると全員で記念撮影をし、次のスポットがある駅ビル「市川シャポー」へ移動。

市川シャポーの住所は「市川市市川1-1」で、ぱっと見ると何かの記号にしか見えない。でも駅ビルだから立派だ。そんなところに大人数でゾロゾロ入ったので、周囲の注目を浴びる。
ここにはスポット2・14号金23P、14号銀23P、標的が入ったパン屋「サンジェルマン」スポット3・当時はサンジェルマンと合体していた和菓子屋「島村」がある。
むろん、サンジェルマンも島村も車掌に掲載されていたことなど知らないため、店員さんたちは店の前でいきなり説明をしたり、記念撮影をしている我々に驚き、おびえていた。ていうか参加者もおびえているように思える。

【住宅街をどんどん行く】

警備員がこないうちにサンジェルマンで昼食を買い、素早くシャポー市川を出て、バス停へ。
10時40分発のバスに20人で乗り込む。今日の会計係は宮野さんのようだ。宮野さんはスタッフの鈴木ミワさんが好きだから、いいトコ見せようと今日もはりきっている。と思ったら、本日ミワさんは欠席だそうだ。宮野さんの努力はいつも空回りで気の毒だ。
ほぼ貸切状態のバスに乗り、車窓からスポット4・2号表紙の撮影場所「宝蔵院」を眺める。スタッフでビデオ撮影係の坂野さんは、童顔だけど3児の父。本日は腕に「バイキンマン」のタトゥーを貼っていた。それは「てれびくん」とかのオマケで坂野家全員が貼っているそうだ。「やっぱアンパンマンや食パンマンは人気が高くて、バイキンマンがあまったから貼っている」そうだ。「食パンマンは絵的にラクし過ぎ」「食パンマンはカッコつけててヤダ」などと、みんなで食パンマン批判をした。
「奥戸3丁目」バス停で下車し、スポット5・13号74Pプレゼントコーナーの写真の場所へ歩く。と言われても左の写真のとおり本当にただの住宅街でしかなく、何の場所だかまったく記憶に残らない。でも資料係の角田さんと宮野さん(会計係と兼任)は資料を配布し、説明札係のかおるちゃんは札を掲示し、塔島さんはちゃんと全部説明し、参加者もマジメにうなずいている。
このあたりまで来て、私はようやく「あー今は車掌ツアーをやってるのか」と自覚した。ずっと自分が何をやってるのかわからないまま、タイムテーブルに従って誘導係を務めており、意匠堂さんのことも忘れている。

それから奥戸街道へ向かう。歩きながら、今は京都に住んでいるスタッフの舟久保さんと、元スタッフでやっぱり京都在住、スラリとカッコいい三浦さつきさんと少しおしゃべり。舟久保さんは陶芸家で“あなるちゃん”というパフォーマーでもある。「京都って住みやすいですか?」と舟久保さんに聞いたら、「あなるちゃん活動を自然な感じで受け入れてもらえます」と言っていた。いいなー京都。
奥戸街道からタクシーに分乗しスポット6・12号42P、54P鈴木旅行終焉の地「天祖神社」へ。タクシーの中で、舟久保さんとだめ連のデート部について話す。舟久保さんはすでにデート部から離脱し、独自に実験デートをしていたらしい。「人語禁止のデートは人によって盛り上がる」のだそうだ。私はひそかにデート屋(デートカウンセラー)という活動を考えており、実験デートの話はとても参考になった。
天祖神社で木に鈴をつける(←鈴木旅行だから)。それから記念撮影。記念撮影は、すべてのスポットで、全員で行う。今日は、もう6回目の記念撮影だ。でも参加者から「えーまたやんのー」などという声は出ない。心の声は出ているかもしれない、などと考えると旅が続けられなくなるから、考えないようにする。

【憧れの三本さん】

神社から堀切菖蒲園駅へ。途中、道路に布団を敷いて寝ている人がたくさんいた。時計を見ると12時20分。予定より10分遅れただけで、非常にスムーズだ。ようやく楽しいような気分になり、電車の待ち時間に意匠堂さん始め、掲示板に遊びに来てくれる眞鈴さんや、大好きな漫画家の三本美治さんたちとおしゃべりができた。
三本さんはまえ、ウッチャンナンチャンの「ホントコトキワ荘」に出演したことがある。アレは「デビュー前の漫画家」が出る番組だったけど、三本さんはもうデビューしてた。
「まあ視聴者から指摘されたらそれでもいいやと思って出たんですけど、すでに漫画家だって誰も気付かなかったみたいで、何の苦情もこなくて、ちょっとショックでした」
と当時を振り返っていました。

三本さんはすんごい天才の漫画家で、前に田端宏章さんの「萬」の廃墟特集でコワモテな撮影モデルもやってたけど、私などにもとてもていねいに接してくれて良い人だ。田端さんも三本さん同様、天才なのに気さくでハンサムな好青年だ。私もちょっとは田端さんのことを知ってると自慢しようと思い、「こないだ田端さんが出した銭湯の本も2万円ぐらいするのに売れてるみたいですね」と言った。三本さんは「へえーアレはそんなに高いんだ!」と驚いてくれたが、今調べたら7千円で親しくないことがバレバレだった。三本さんから「田端さん編集で柳原良平のイラスト集が出てますよ」と聞き、誰かが「田端宏章全仕事」とかまとめてくんないかなーと思う。   八広へ→


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