大多喜ウロウロ


【ボーソー鉄道館】

駅前の観光案内所で地図を見たら、『房総中央鉄道館』というとこがある。
え? 鉄道館!?
そんなものがあるとは全然知らなかった。いちおうネットで観光スポットはチェックしたつもりだったが。大多喜といえば竹とお城ぐらいなもんかと思ってた。
行こう行こう早く早くー
「あれじゃない?」と指さす先には、新しっぽい木造住宅。の前に踏切があった。あった、つうか置いてあった。あーあれに間違いないよー!
思わず駆け寄ったが、もう閉館しているようだ。がいーん。
中を見たらNゲージのレイアウトとか駅名板とかが見えて、思いのほか広い。わーん入りたかったよー!
あきらめ切れずに引き戸を開け「す、み、ま、せーん。やってますかあ」と声をかけたら、メガネの男性が現れて「あはーい、いいですよ」と言う。わーい。200円払って入館。
うわあコレハコレハ……

ざっく〜り のびの〜びした展示


模型レイアウトのほかは、サボと駅名板がいっぱいあった。


レール各種と灰皿

これは売り物のサボ


私は総武線のダイヤグラムや絵葉書を買った。売り物は謎の部品が多くて、館長さんに「これは何に使うんですか?」と聞いたら、「なんだろうねえ。電車から持ってくんだろうね!」とアバウトな返事だ。
館内奥に入って行ったら、エイリアンの手がずらーと並んでて、え?? と不思議になった。
以下、館長さんの話をまとめてみました。

エイリアンとかフィギュアは東南アジアで作らしてんだ、アキバで売るの。ここ塾なの、学習塾。ここにあんのは自分で集めたモンの一部。まだ家にいっぱいありますよ。みんな持ってくんの、集めてんでしょって。
あ、このシート?(註:クロスシート座席がここにもあった)こんなのも家にいくらでもあるよ。ジャンボジェットの輪切りもあるよ。家に。家はまあ400坪ぐらい。
いすみ鉄道も買おうかって話も出てんだけど、うちは蘭もやってっからね。蘭。温室で。あと塾とフィギュア。だから忙しい。
ここはあんまりお客も来ないしさー、もう土日だけしか開けないかもしんない。仲間同士で庭園鉄道やろうかつってんの。家に鉄道敷いちゃうの。
こういうオモチャなんか面白いんじゃない? あーこのコーラはね、昭和39年に日本で初めて売り出したコーラ。ヤフオクで24万で買った。コーラはマニアがいるからねー、高くなっちゃうんだよ。こういうのは中味飲んじゃダメなんだ。開けちゃダメ。今はこの怪獣の台にしてんだけどね。怪獣倒れちゃうから。

って全然まとまらなかったが、「館長さんの家には何でもある」ということがわかった。

東南アジアで作らせてるフィギュアの数々

コーラの発売が昭和39年とは、コーラについて何の知識もない私ですら(そんな最近?)と思うが、Google脳味噌もないし、コーラとかどうでもいいのでとりあえず「よければ私と結婚しませんか!?」と求婚してみた
でも館長さんはもう結婚されてるそうだ。残念だ。
あと夕刊フジブログによれば、館長さんは「毒ヘビランド」を作ろうと「毒ヘビ音頭」や「毒ヘビ体操」を考案されたこともあるそうだ。もしか今度、館長さんにお会いしたら、ぜひとも毒ヘビ体操を教えていただきたい。

【素敵すぎる大屋旅館】

暴走、じゃなくて房総中央鉄道館を出た我々は、なんかこう、グッタリしていた。「……すごい疲れちゃった」「話がデカすぎて目眩が……」「狐につままれた」「あの館長さん、狐かなあ」「狐かも」等々しゃべっていたら、香香ちゃんが「うあーー」と叫んだ。「うあーーまた鉄がーー」と言った先には、『夢空間』というお店があった。廃車になるらしいですね、バブル寝台・夢空間。


DOKIDOKI夢空間…

明日はロドリゴ駅伝だ


夢空間の隣りに、すてき酒屋『尾高屋』があったので、夜の部の酒をあつらえに入った。尾高屋は、中もすごーく可愛かった。

木製什器に缶詰めオンリーのぜいたくディスプレイ


「大多喜城」が地酒らしいのだが、「筍ワイン1365円」というのを見つけた。筍でワインとか、まったく出来る感じがしないのに、いったいどんな味だろう? 興味しんしんで購入。お金を払う時、おばちゃんに「これ、おいしいの?」と聞いたら「いやー筍だからねぇ…」と言われた。え。
狐につままれたせいか、道を間違えたりした。とちゅうで、「ロドリゴ駅伝」の立て看板を見て、いっそう狐につままれた気持ちになった。

必要以上に遠回りをした挙げ句、ようやく旅館に着いた。でも大屋旅館は、思った以上に素敵旅館で、よもや狐は出るまい。という安らかな気持ちになった。
では素敵旅館の写真をごらん下さい。


しっくい看板が美しい

「リアリズムの宿」に登場した帳場

玄関側の棟は江戸時代のまま

庭の池には鶴の置物が



鏡台も可愛いけどカバーも完璧

部屋前の回り廊下でひなたぼっこ

あこがれの電話室!

繊細で美しい意匠の障子


予想外だったのが洗面所や食事室だ。
「江戸時代の旅人宿の趣」と紹介されてんので、江戸! 純和風! と想像してたら、洗面所付近は大正時代に改装されていた。

静謐なたたずまいにただうっとり……


女将さんが電話で言ってた「コブロ」の件も、むしろ小風呂でいいです!というぐらい可愛い、漆喰とタイルのお風呂だった。


タイル模様の可愛いこと

漆喰のコブロの天井にはアカンサス模様


漆喰のお風呂はカビっぽかったりするものだが、ここんちは真っ白で清潔! 私は、古くて清潔で大事に使われてる建物が大っ好きなので、鼻血ブーだった。

筍は無理
アメニティがどれぐらい揃ってるのかわからず、一通り持ってったが、歯ブラシセットやシャンプー石鹸、浴衣たんぜんなど、ほぼ用意されていた。
また食事も、夕食は魚の唐揚げにいのしし鍋にお造りと小鉢、きのこ飯。朝食はアジの干物に納豆に目玉焼き(ソースも出してくれた!)と、お菜がいっぱい。もーどーしましょー、オホホ。我ながら完璧なセレクトだったわ!自分、マジでデート屋(デートコースを考える)やろうかなー。
だがそんな天狗の鼻は、筍ワインにボッキリと折られた。筍ワインは、ワインに筍の煮汁を混ぜたような、メンマをつまみにワイン飲んでるような、旨みがあるようなないような微っ妙ーーな味で、簡単に言えば、まずかった。
全員が一口飲んで「オエー!」と叫んだ。こんなにまずい酒を飲んだのは生まれて初めてで、驚いた。とミクシーの日記に書いたら、マイミクのまーさんが「筍ワインは失敗作だった」て言われてますよと教えてくれた。
がーん
1365円もしたのに!ギザバカス!
だが今思い出したけど、これは香香ちゃんがお金を払った気もする。だから私はバカじゃない。あーよかった。
まずい筍ワインはお便所に捨て、台所に行ってビールや「大多喜城」を貰って来た。大多喜城はとてもおいしかった。

翌朝、館内の写真をあちこち撮ってたら、女将さんが宴会場とかを見学させてくれた。特に便所には、スリッパ型の陶製足置きがあって、ギザカワユス!

このプレート欲しい

タイルの模様部分はガラス



便器がこんなに可愛いとは…


江戸棟の2階では、よく映画やドラマのロケが行われるそうだ。
「前に、古谷一行と佐久間良子がなんかあのー、探偵の。ロケに来たのよ」と言うので「え?金田一?」と訊ねたら「そうそう金田一!金田一で」だって。検索してみたら、黒い羽根の呪いという金田一のようだった。
「佐久間良子が女将やってるから、アタシは隠れてたのよ!」という女将さんは、ハツラツと知的な感じの方で、みんなで「学校の先生だったのかも」と噂しあった。一緒に記念写真を、とお願いしたら「だめだめ!アタシ出すぎだから。あのー、渡瀬恒彦のドラマ(たぶん“時代屋の女房”)ん時なんて、お風呂掃除の人やっちゃったの!アハハ」とハツラツだった。
それにしてもこんだけの広さの宿を、女将さんと娘さん(かな?)の女性2人だけで切り盛りしてるなんて、すごいなー。
また絶対来たい! と思った。
お邪魔しましたーと帰る時、娘さんに「西部田はこっちですよ!」と教えてもらったが、けっきょく西部田には行かず、お城へ行くことにした。そしたら、ロドリゴ駅伝の謎が解明された。

 お城へ→

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