能力のない社員を解雇したいのだが・・・

従業員の能力不足で悩む経営者は多いと思われますが、現在の労働法制の下では能力のない従業員をすぐに解雇するのは、
非常に難しいと思われます。能力不足は普通解雇の解雇理由となり得ますが、第一に、就業規則の解雇事由に該当するか否か、
第二に、その解雇理由の合理性、第三に、解雇の社会的相当性を解雇権濫用法理の下で総合的に判断されます。
 

Point
 能力不足という評価の妥当性
能力不足の内容・程度が問題となります。単にその者の能力が他の社員と比較して、低いというだけでは就業規則上の解雇事由
には該当しないと考えられ、解雇回避努力として、社員への指導・教育による能力向上の努力が求められます。この過程なくし
て、社員を能力不足と評価して解雇すると、その解雇は無効とされるでしょう。
ただし、高度の能力を有するとして幹部社員を中途採用したものの、期待された能力を発揮できずに解雇となる等のケースでは、
使用者の解雇回避努力の程度が軽減され、一般の労働者よりも解雇が認められやすい傾向にあります。
 



傷病により業務が遂行できない社員を解雇したいのだが・・・

業務上の傷病による場合は、労働基準法19条1項の解雇制限が適用され解雇できません。ただし、療養の開始後3年を
経過
しても傷病が、治らない場合で、労働者が労災保険の傷病補償年金を受けている場合、又は会社が打切補償を支
払った場合
は、解雇制限の規程は解除され、その労働者を解雇しても労働基準法の19条には抵触しません。

傷病が治癒して職場に復帰する段階で、従前の業務に耐えられない場合の解雇ですが、この場合は第一に労働者の職務
遂行能力が、他の軽易な業務に変更されても不可能なまでに低下していたかが問題になります。会社が雇用継続の為の
努力を怠り解雇すると解雇権の濫用になる可能性があります。

Point  雇用継続のための努力
業務内容変更による雇用継続の努力と、その他の雇用維持の可能性の検討努力が必要です。

私傷病の場合は、一般的に就業規則において「傷病休職期間」を設けていて、この期間中に回復せず期間満了となった場合
は、退職又は解雇とする旨定めている場合が多いようですが、このような退職事由又は解雇事由の規定があったとしても、
休職期間の満了のみを理由として即座に解雇することはできないと考えられます。
休職期間とは、一般的には解雇の猶予期間と解されておりますが、、労働契約は、継続的雇用契約であり、長期間の労務
提供が前提となっております。この前提が、休職期間満了までに労働者の傷病が治癒せず崩れた場合は、労務提供不能
により契約解除(解雇)することが可能と考えられますが、解雇の場合は、休職期間満了による解雇も”解雇”ですので、通常
の解雇と同様に解雇予告の手続及び解雇濫用法理が適用され、社会的相当性が要求されます。

自然退職の場合は、休職期間中に傷病が治癒せず,復職の見込みがなければ、
自動退職となります。ただし、自動退職にも
解雇権濫用法理を適用すべきとの考え方もあり、退職を正当化する
相当性と、雇用維持の為の一定の配慮は必要でしょう。
尚、復職の要件である
”治癒”に関して、「解雇」の場合も「退職」の場合も争いになるケースが見受けられます。治癒とは、
従前の職務を支障なく行いうる状態」を指し、この状態まで回復していない場合は、原則として復職は認められません。
ただし、休職期間満了時に”治癒”していなくとも、相当期間内に治癒することが可能で、かつ他に遂行しうる軽い業務が存在
する場合には、使用者は復職を拒めないと考えられます。


Point  休職期間満了時の客観的回復状況により判断
1. 解雇には解雇ルールを適用
2. 退職にも相当性を考慮
2. 治癒の状況を客観的に判断(医師の診断書等)
3. 雇用継続の努力と配慮


                          





会社の金を使い込んだ社員を解雇したい・・・

会社のお金を使い込んだ、又は製品を横領した等の社員については、金額の多寡を問わず
解雇できます。ただし、就業規則
懲戒事由懲戒処分の種類・内容が明記されていることが必要です。また、その事実の証拠(帳簿、書類等)により、
その行為を十分に明らかにする必要があります。単に疑いがあるという程度では、不十分です。また、公平さを保つために

労働者に弁明の機会
を与えることも大切です。

懲戒解雇においても、普通解雇と同様にその解雇が適当かどうかは、
解雇権濫用法理に則って判断されます。つまり、
客観的合理性を欠き、社会的通念上相当と認められない場合は、解雇権濫用として無効となります。尚、即時解雇する場合は、
労働基準監督署に
解雇予告の除外認定を事前に受けておくか、30日分の解雇予告手当を支払う必要があります。

懲戒解雇の場合、退職金の支払をどうするかという問題が同時に発生します。使用者にしてみれば一銭も支払いたくないという
気持ちも理解できますが、この場合も就業規則の退職金規程等に
退職金を不支給とする旨の定めが必要です。規程がなけ
れば退職金不支給の処分は、無効となると考えられます。ただし、これは前提条件であり、規定があればどんな懲戒解雇でも
退職金を不支給にして良いという訳ではありません。懲戒解雇と退職金の不支給はイコールではないのです。労働者のこれまで
実績・評価と懲戒解雇理由の程度によって判断されます。それが全額不支給なのか、一部不支給なのかは、個別のケース
によって判断するしかありません。又、退職金を一部損害金に充当するという方法も考えられますが、これには労働者の合意が
必要と考えられますので、慎重な対応が必要です。


Point  就業規則の定めが必要

1. 就業規則の定めに則って行う
2. 解雇権濫用法理が適用される
3. 退職金は社員の評価と行為の程度によって判断





                          





経営不振のための整理解雇として解雇通告を受けました法的に問題はないのでしょうか?

整理解雇とは、経営不振等の
経営上の理由から労働者を解雇することをいい、労働者側に責任がなく、使用者側の事情による
解雇
であることから、解雇権濫用法理の下で4つの観点から判断されることになります。

@ 人員整理の必要性
整理解雇は、企業経営上の
十分な必要性に基づいて行わなければなりませんが、必要性については、「企業が高度の経営
危機下
にあること」という判断があります。しかし、この「高度の経営危機」の程度は、「倒産必至」といった状況までを要求している
訳ではなく、最近では、
経営上の合理的理由があれば認められるケースが多く見うけられます。ただし、必要性の程度が少ない
場合には、解雇回避努力の要請が強くなるという判例もあります。

A 解雇回避努力
使用者は、信義則上、解雇回避の義務があるとされています。人員整理を実施する前に、役員報酬カット新規採用の中止
残業の停止配置転換出向一時帰休希望退職者の募集等の解雇回避努力を尽くしたかどうかが問われます。解雇回
避努力を欠いたままの整理解雇は無効になると考えられます。要は安易に人員整理を行うのではなく、使用者が真摯に合理的努力
をしたかが問われるのです。

B 解雇対象者選定の合理性 
整理解雇がやむを得ない場合でも、整理解雇の対象労働者の選定にあたっては客観的で合理的な基準を設定し、公正に適用
することが求められます。この基準としては、勤務成績(遅刻回数、欠勤日数、規律違反等の勤務状態不良の者)、企業貢献度
(勤続年数等)、家計のへ打撃の低い者(一定の年齢以下の者、独身者等)が挙げられます。この基準を設けないで、又は運用
しないで、若しくは使用者が恣意的に解雇対象者を選定した整理解雇は無効となるでしょう。

C 手続の妥当性
使用者は、労働組合又は従業員に対して整理解雇の必要性時期、規模、方法(解雇者の選定基準、解雇・退職条件等)に
ついて十分な説明と協議をする信義則上の義務を負うとされいます。この過程を経ないで、抜き打ち的に解雇を行うと無効と
なるでしょう。


Point  整理解雇には4要件が必要
これまでの判例によると、整理解雇の場合、上記4要件を満たすことが条件になるという判断が優勢ですが、直近の判例ではこれら
要件を緩和して判断する例もあり、この4要件を土台にしながらも各事案ごとに慎重に対処する必要があります。


                          




残業代が定額払いなのですが、これでいいの?・・・

一定額の手当を割増賃金として支払うことや、別の計算方法を用いて支払うこと自体は法律上は問題はありません。ただし、労働
基準法上の計算方法で計算した割増賃金を下回ってはいけません。その為には、割増賃金分が何時間分含まれているのか
は明記
しておかなければならず、実際の時間外労働時間が定額払い分の時間外労働時間を超えた場合は、超えた時間分の
割増賃金
は支払わなければなりません。

ex.
定額払い分に含まれる割増賃金分の時間外労働時間   30時間
実際の時間外労働時間                       45時間
差額                                 15時間(15時間分の割増賃金が発生
又、この精算は、1賃金支払期毎に行わなければならず、前月と今月を相殺するようなことはできません。

最近、割増賃金を定額払いとする傾向が散見されますが、定額払いにするとそれ以上の割増賃金は支払わなくてもよいと勘違
している事業主の方がまだおられるようなので、注意が必要です。


Point  割増賃金は払わないのではなく、減らすことを考えましょう


管理職になったら、残業が増えて残業代が無くなってしまったけど、これでいいの?・・・

日本の企業では、大企業を含めて、課長職に昇進すると管理職として時間外割増賃金がつかなくなることが多いようです。これは、
労働基準法第41条による「労働時間に関する規定の適用除外」のなかの”管理監督者”という規定が発端のように思われます。
要は、”管理監督者”には労働基準法上の労働時間、休憩、休日の規程は適用されないということです。ですから、管理監督者と
呼ばれる人たちには時間外労働割増及び休日労働割増は支払わらなくても構いません。

しかし、いわゆる”管理職”と労働基準法上の”管理監督者”とはイコールではありません。労働基準法上の”管理監督者”とは、
部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」という規程が通達により
明らですし、肩書き、名称ではなく実態によって判断されることになっています。

実態による判断基準
1. 経営方針の決定に参画又は労務管理上の指揮権限を有すること
2. 労働時間管理を受けず自由裁量を有する
3. 職務の重要性に見合う十分な待遇

上記の条件に合わない”管理職”は、”管理監督者”とは認められず、時間外・休日労働の割増賃金の支払を求められる事に
なります。時間外労働等により労働基準監督署の指導・勧告を受けるようなことがありますと、上記以外の”管理職”の割増賃金
が不払い残業として扱われる可能性があり、”管理職”の割増賃金の基礎賃金は一般的に高いため、企業の存続に重大な影響
を及ぼす事にもなりかねません。

 
Point  残業代カットの目的での管理職昇進はご法度


                            





いきなり、賃金2割カットとは、そんなのアリ?・・・

企業にとって経営環境、経営上の問題により、経費削減、賃金カット等の必要に迫られることは、常に想定されることですが、事前
に従業員に対して説明、協議、同意を得ずに、いきなり賃金カットを断行するような行為は認められません
労働条件の変更は、当事者間の合意が基本であり、その合意条件が法令、就業規則、労働協約に反しない限り有効です。また、
就業規則、労働協約による労働条件の変更については、一定の条件の下で、労働者の個別の同意を得ることなく労働条件を変更
することが認められています。

その為の一定の条件とは、
(就業規則)
1. 労働者が被る不利益の程度(代償措置等による労働条件の改善含)
2. 変更の
必要性と内容・程度
3. 就業規則の変更内容の
相当性
4. 労働組合等との
交渉経緯や従業員への対応
5. 変更内容の
社会的相当性(同業他社との労働条件の比較等)
6. 変更の必要性と労働者が被る不利益の比較
7. 法令や労働協約に違反していない

(労働協約)
労働条件の変更内容及び締結手続に著しい不合理性がある場合は、労働協約による不利益変更の効力が否定されます。

合理性の判断は、上記の要素を総合的に考慮して判断されますが、賃金、退職金等、労働者にとって基本的かつ重要な労働条件
の変更に関しては、より高度な合理性が要求されると考えられます。
以上のように、労働者の合意によらない不利益変更の場合は、一定の制限がありますので慎重な対応が求められます。
いずれにしても、このような手順を踏んで従業員の理解を得る努力が必要であり、これが将来の紛争の防止と合理性の判断に
役立ちます。


Point  不利益変更は手順を踏んで慎重に




                              




求人の際に「勤務地は横浜」との記載で就職したのに、突然の地方転勤で・・・

企業活動が多様化する中で、能力開発、組織の活性化、又は雇用調整のための配置転換が頻繁に行われるようになっています。
このような配置転換も企業内では一定の役割を果たしつつ、労働者に与える負担は少なくありません。

まず、表題の件に関しては、求人の際に勤務地を指定していたとしても、
第一に労働契約締結の際に勤務地限定の契約を結んだかどうか
第二に就業規則上に配置転換の規定があるかどうか
第三に就業規則の規程による配置転換が実際に頻繁に行われていたかどうか
以上の三点をまず確認する必要があります。

勤務地が指定されていただけでは、「勤務地限定契約」が締結されていたとは考えられず、第二、第三の条件が満たされていたと
仮定すれば、企業の配置転換命令権が成立していると考えられ、この「転勤」命令に対しては、特段の事情がない限り拒否
できない
と考えられます。このような場合には、配置転換命令が権利の濫用にあたらないかどうかを確認していくことになります。

現実問題として配置転換命令権の行使によって労働者に大きな不利益が生じ、紛争に発展するケースが近年増加傾向にあります。
紛争に発展した場合の配置転換命令の有効性の判断は、配置転換により従業員が被る不利益の程度により判断されること
になりますが、判例によると、「家庭生活の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のもの」として権利濫用には当たらない
とされており、労働者の被る不利益として考慮されるのは、家族の援助・介護や、子供の養育等の社会的意義を有するもの
に限られています。、このようなケースの
場合では、「通常受忍すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものだとして、権利の濫用に当たり無効とする」という
判例があります。


Point  労働契約締結の際に確認・周知させましょう







                    





工場の現場から、営業への配転命令が・・・

採用時の労働契約、又は就業規則、労働協約により職種限定の合意があれば、職種変更を伴う配置転換には労働者の同意
が必要となります。又、採用時に職種が限定されていなかったとしても、医師、弁護士、看護士等の特殊な技術・技能・資格を
有する者については、職種の限定があると見るのが通常です。
職種限定の合意は、単に同一の仕事に長年従事していただけでは認められないと考えるのが基本です。しかし、採用時に
職種限定の合意や、特殊な技能・資格がなくても長年の勤務中に一定の技能・資格・熟練等を修得し、長期間当該業務に従事
してきた場合は、その職種に限定されるという判例もありますので、表題の件に関しては、工場内での勤務内容によっては、技術、
熟練度が考慮される余地があるかもしれません。
結論としては、職種の限定がなく、就業規則、労働協約により配置転換命令の根拠が明らかであり、労働慣行により実際にこの
ような職種変更が行われている場合には、労働者は職種変更を伴う配置転換命令に従わなければなりません

次にこの職種変更を伴う配置転換命令が、権利濫用に当たるか否かをチェックしなくてはなりません。
配置転換命令が認められる場合でも、
@ 業務上必要のない場合
A 業務上の必要がある場合でも、当該命令が不当な動機・目的を持ってなされたとき
B 通常受忍すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
以上に該当する場合は、権利の濫用として無効となります。


Point 1.職種限定の確認
     2.配転命令権の根拠の確認(就業規則、労働協約)
     3.配転命令権行使の適法性の確認











                                




関連会社への出向(在籍)を命じられました。同意もしてないのに・・・

日本の企業、特に大企業においては従来より関連子会社等への指導、雇用調整、ポスト対策として出向及び転籍が行われて
おり、一定の役割を担ってきたと考えられます。しかし、出向に伴う労働者の負担は、配置転換とは基本的に違うとものとして取扱
われており、出向命令権の根拠に関しても、より具体的な定めが必要とされいます。
出向命令権が有効とされるためには、労働者の同意が必要とされていますが、必ずしも労働者の個別の同意は必要ないとされ、
就業規則又は労働協約に在籍出向の具体的定めがあり、労働者に周知されている場合には、事前に包括的同意があったもの
として、出向命令権は有効とされます。ただし、具体的定めとは、「出向を命じ得る」といった規程だけでは不十分であり、このような
抽象的な規程では、規範性は認められないとされています。

就業規則等での具体的な定め
@ 出向義務の明確な定め
A 出向先での基本的労働条件が明確になっていること
B 出向先の範囲
C 出向期間
更に、実際の出向の実情と出向に関する採用時の説明及び就業規則の周知等により、出向が労働契約の内容となっている事が
必要かと考えられます。

次に出向命令権の適法性のチェックが必要です
@ 業務上の必要性がない
A 出向者の選定に合理性がない
B 通常受忍すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき
以上を総合的に判断し、権利の濫用に該当する場合は無効となります。
更に、出向者の負担を考慮して、出向先での労働条件、出向期間、復帰後の待遇等についての配慮が必要かと考えられます。

表題に関しては、まず、出向命令権の根拠となる、同意が労働契約締結時に成されたのかどうか、又は就業規則等の周知による
包括的同意が成されているかどうかを確認します。出向命令権の根拠が有効となった場合には、次に権利濫用に当たらないか
どうかをチェックします。いずれにしろ、個別の同意にしても、包括的同意にしても、同意の有無に関しては紛争が多く見られます
ので、慎重な対応が必要でです。


Point  出向命令権の根拠確認と権利濫用をチェック


                              




在籍出向のまま、転籍を命じられました。断ったら解雇?・・・

転籍出向は、現在の会社との雇用関係を終了し、新たに転籍先との雇用関係を結ぶことをいい、これは使用者の権利の譲渡
に該当すると考えられ、民法625条により労働者の個別の同意が必要になりますので、事前の包括的同意では原則として認め
られません。
また、同意拒否による懲戒解雇も無効ですし、雇用調整目的の転籍拒否による解雇には、整理解雇の要件を満たす
必要があります。

事前の包括的同意が認められる余地があるものとしては、事前に転籍先や労働条件等が明らかになっている系列グループ企業
に限られていますが、この場合にも、権利濫用法理は適用され、下記の要件を総合的に判断し、権利の濫用に該当する場合は
無効となります。
@ 業務上の必要性がない
A 出向者の選定に合理性がない
B 通常受忍すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき



Point  転籍には労働者の個別の同意が必要
















                              




3年間も契約更新し、社員と同じ仕事をしてるのに更新拒否とは・・・

期間の定めのある雇用契約は、期間満了により終了します。しかし、その雇用契約が反復更新され、その手続も形式的であり、
使用者にも雇用継続を期待させるような言動があったような場合は、解雇権濫用法理が適用され、これに反する場合は
契約更新を拒否することはできません。

また、更新拒否をするためには、一定の合理的な理由を必要とするとの判断も定着しており、たとえ一回目の契約更新で
あっても、更新拒否をするためには合理的理由を必要とするとの判例からも、更新拒否が成立するか否かの判断の最大の
ポイントは、更新の回数ではなく、長期雇用の期待を抱かせるような言動を使用者がしていたか否かにあると考えられます。

平成15年の労働基準法改正により、有期労働契約の締結及び契約満了にかかわる通知(契約更新・雇止め)に関する基準を
設ける根拠規定
を設け、この基準に関して行政官庁が使用者に対して必要な助言及び指導を行うことができることとしました。
これを受けて、厚生労働省は、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」を設け
@ 契約締結時の契約更新の有無を明示
A 契約更新又はしない場合の判断基準の明示
B 契約期間満了日の30日前までの雇止めの予告
C 雇止めの理由の明示
D 契約期間についての配慮
以上のことを要請しています。



Point  労働者が期待を抱くような言動は慎むこと



                 


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