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4.夢のアルプス大滑降
T.ゴルナーグラートからフーリー A
昨日も上部は雲の上でアルプスにいる事を実感させてくれた。人の少ない
高速バーンを堪能し、これこそがこの上ない幸せかと思っていた。
が、今日のこの感動はどうだ! このアルプスの山並みに囲まれた
天上の空間を僕ら2人が独占してるのだ! ここゴルナーグラートへ登って
くる登山電車の始発電車の到着時間は8時。つまりそれより早い時間に
この空間を支配できるのは、クルムホテル・ゴルナーグラートの宿泊者だけ
に与えられた特権なのだ。他の数組の宿泊者は未だ朝食の真っ最中
だろう。ちゃまは高山病の僕に急かされてとんだ迷惑を蒙ったが、
代わりにこんな雄大な独り占めを味わえたのだからむしろラッキーだった
だろう☆
「わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぁぁぁぁぁぁぁっ」
思わず大声で叫んでしまった。こだまするかな。。。。ウッ、気持ちわるぅ・・・
そうだ、高山病だったのだ。叫んでる場合じゃないぞ!
昨日コースの感じはつかんでるし、誰も滑ってないのも大きい。
日本じゃ考えられないスピードでビュンビュン飛ばす。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 風を切り雪を舞い上げながら
アルプスの峰に突っ込んでいく! この快感、今までにない高揚感、
その時は病気などぶっ飛んでいた。滑る最中、いつでもマッターホルンが
見えている。こんな近くにあったなんて・・・昨日は何も見えなかったのに。
途中で始発登山電車とすれ違った。
「皆さん、お先に失礼〜〜〜」 気持ちよすぎる。
こんな快感あっていいのだろうか!
滑り始めてわずか7分、あっという間にリッフェルベルグへ。ちゃまも
涼しい顔してついてきてる。昨日は2人してあんなにヒーヒー言いながら
下りてきたのに、やはり視界がいいと違う。ここまで滑走距離がどれくらい
あるのかはわからないが、標高差は500メートル。これも全くコブのない
高速バーンの恩恵だ。
ちなみにこのコースは 2,800メートル地点くらいからリッフェルベルグまで
高速リフトが架かってるので、繰り返しかっ飛びたい人には最高だ。
(鉄道駅のすぐそばにリフト乗り場がある)
昨日間違えて入っていった駅近くのガード発見。うーん、コースは
分かれてるとはいうものの、完全に傍ルートだ。濃霧の中だとあんなとこ
入っていってしまうんだな。。。改めて悪天候の恐ろしさを実感。
昨日迷い込んだところがどんなコースになってるのか見たい気もしたが、
ほんとに子供専用ロープトゥしかなくてまた歩いて登るのが嫌だったので
素通りした。
昨日カフェだかホテルだかわからなかった建物は『リッフェルベルグ』という
三ツ星ホテルだった。写真右側に写ってるのがそれだ。写真の通り、
ここもマッターホルンを望むのに絶好のロケーションを誇ってる。
クルムホテル・ゴルナーグラートのようなブライトホルンやモンテローザ等の
頂上を間近に眺められるアルプスの迫り来る壮大さはないものの、
標高2,585メートルなら高度障害のリスクはほとんどあるまい。
安心してマッターホルンを満喫出来るロケーションとしてはお薦めだが、
実際に建物に入った訳ではないから施設の感じなどはわかりません。
リッフェルベルグを越えると右に登山電車、左に大きな谷があり、この谷を
まわりこむように高速コースが整備されている。この谷の向こうに
マッターホルンが聳え立ってて、遮るものが何もないだけに最高の展望を
楽しめる。
最初は狭い雪崩よけのトンネルを行くが、出ると急にコース幅が広くなり、
ますますぶっ飛ばせるのが快感だ。
ゴルナーグラートエリアに登山電車でスキーに行く人は、リッフェルベルグ
の高速リフトを使って繰り返し楽しむか、ロープウェイなどを乗り継いで
ストックホルン・ロートホルンエリアで楽しむ人がほとんどだから、
こんな朝早い時間にこんなとこ滑ってる人はいない。ますます調子に乗って
かっ飛べちゃうのだ。いつの間にか木々が目立つようになってきた。
昨日はぐちゃぐちゃだったこの辺からの雪質も、朝ということもあって快適。
全てにおいて昨日とは雲泥の差だ。但しだいぶ下部の方になると、
カーブも増え幅も不規則になり、高速でびゅんびゅん飛ばすというわけには
いかなくなる。
リッフェルベルグから10分するかしないかで、フーリーへの雪無し地点に
着いてしまった。ゴルナーグラートから20分ちょっととは・・・間違いなく
8キロ前後の滑走距離はある筈だが^^
昨日と同じく板を担いでフーリー駅まで歩く。吐き気はほとんどおさまって
るが、軽い頭痛が続く。歩きながら不安がつのってくる。
ほんとに国境越え行けるのだろうか。。。国境越えとなると、
標高3,800メートル超まで上がらなければならないのだ。
ゴルナグラートの3,100メートルどころではない。あの高度障害に再び
見舞われたら、ちゃまと2人なら今みたいにひたすら滑り下りれば
いいだけだけど・・・いや、あの苦痛の波が常にマックス状態なら、
滑ることも不可能だ。
思ったより全然早くフーリーに着いてしまった為、ガイドさんとの待ち合わせまで1時間近くある。ロープウェイ乗り場前の
ベンチに座り込んで自問自答を繰り返した。これくらいの頭痛ならいけるかもしれない・・・強気になったり弱きになったり
してるところに いきなり声をかけられた。
「ちゃまさんですね?」
第三章 4.夢のマッターホルン大滑降 U.フーリーからクライン・マッターホルン につづく
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