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   マッターホルン・スキーパラダイス(ツェルマット)

第一章 ツェルマットスキー概観
 
スキーリゾートとしてあまりにも有名なツェルマット。イタリア・スイス・フランスの国境間にそびえるアルプス山脈、その中でもひときわ有名な
名峰マッターホルンの麓を含め周辺に展開するのがこのツェルマット一帯のスキーエリアだ。
日本のスキーリゾートには必ず○○スキー場と名前があるように、ツェルマットスキー場というのがあるのかと思ったが、どうもスキーエリア
全体を呼称する名前があるわけではないらしい。
ちなみにスキーマップには『マッターホルン・スキーパラダイス』と表示されていた。確かにスキーコースのほとんどからマッターホルンが
間近に見えるので、この名称は相応しい。
ツェルマットというのはスイス側の谷合いに開けたリゾートタウンのこと。上から覗けばほんの低地にありそうに見えるツェルマットも
1,800mの標高があるというから驚きだ。ツェルマットをベースに左右中央と山を登ってく各種交通機関がある。
日本ならゴンドラとかロープウェイと言えば足りるのだが、ここでは他にもケーブルカーや登山電車なども存在するのだからびっくりだ。
各章では該当するエリアの拡大図を載せます。ここでは見づらいですが全体図を。
スキーエリアの山々に向かって左側がスネガパラダイスからロートホルンパラダイスと呼ばれるエリア、中央がリッフェルアルプ・リッフェルベルグ・
ゴルナーグラートと続くエリア、右側がシュヴァルツゼーパラダイスからマッターホルングレーシャーパラダイス、そしてマッターホルングレーシャー
パラダイス最トップからは一気にイタリアへの国境越えを果たすことが出来る。
イタリア側のマッターホルンに近いエリアはチェルビニア、谷を越えて遠いエリアはヴァルトルナンシェというエリア。このスイス3エリア・イタリア
2エリア、標高3,899〜1,524mにわたって『マッターホルンパラダイス』は形成されてるのだ。国境を越えて一つのスキーエリアが形成される
なんて、何ともスケールの大きな話ではないか。もちろんスキーパスは共通化されている。
各エリアはそれぞれに独特の個性(持ち味)があって、全体としてあらゆるニーズに応えてくれる。懐の深さ、それが日本では
考えられないこのスキーリゾートの魅力でもある。それぞれの特徴や拡大地図については各章で紹介してるのでご覧頂きたい。

雲海の上のマッターホルン。標高3千メートルからのショット!スイス内の各エリアからはツェルマットまで一気の滑降が可能なのだが、
さすがに僕らが行った4月上旬は最下部は雪がくさってたので、途中から
交通機関を利用したりした。ヨーロッパの人々の多くは、トップシーズンでも
スキーは気持ちの良い上部で楽しんで、ツェルマットに下りる時は
各種交通機関で下りてるようだ。滑れるならとことん滑って下りようとする、
あるいはコースがある場合にリフト・ゴンドラ類の下り乗車を認めていない
日本とは随分事情が違っている。
 
僕らが4月上旬の旅行を決めた一番の理由は、4月の方が天候が
安定するのではないかという推測からだった。
3千メートル超にも多くのコースが展開してると聞いてたので、4月でも雪は
充分あるだろうという安心感があった。
では実際のところどうかというと・・・これは現地在住のガイドさんの話だが、
ここでは1年のうち300日晴れるというくらい天気は安定してるのだそうだ。
日本のスキー場の場合、トップシーズンには吹雪いたりドカ雪となったりと、
またそれによってリフト運休やゲレンデクローズと天候に振り回されがちだが、
自分はそんな日本が嫌でこっちに来たと話していた。とにかくドカ雪というのは
数えるくらいしかないそうで、たまにぽんと降った雪が快晴の中でも標高の
おかげで最高の雪質を保ったままスキーヤーに提供してくれる、それがアルプス
なんだそうな。ということは僕らもわざわざ4月にするまでもなかったらしい。
むしろ日本で荒れがちな1月とかにこちらに来るという選択肢もありですね。
気候と言えばもう一つ。よく天気予報などで春先でも富士山頂は
マイナス20度とか報道されてる。アルプスでは富士山より高い3,800mもの
ところでも滑ったりするのだ。「200 snow reports」でも凍傷になったとか
書いてあったしと、用心を重ねてかなりの防寒態勢で臨んだが、実際には
日本の春スキー並みの軽装で充分だった。
滞在中を通じて3,000m超のエリアがマイナス2度前後と安定していた。
日本の超高地と異なって気温が激しくないということもこちらの特徴らしい。
スネガのカフェもちろんアルプスだって牙をむく時はあるのだが、とかく日本と比較して
神経過敏に考える必要はなさそうだ。
 
ある種誤解と言えばもう一つ。様々なガイドブックなどで、ヨーロッパでの
スキーはリゾートやカフェを楽しみながらのんびり楽しむものであって
ガツガツ滑る人には不向きと紹介されてるが、これは大きな誤解だ。
リフトやゴンドラも多く架かっていていくらでもガツガツ滑れるのだ。
ただ、至る所にあるカフェで景色を愛でアルコールを楽しみながら
のんびり寛いでる人が多いというだけの話だ。
後述するが、こちらの滑り方は日本のスクールで習うものとは相当違う。
みんなが上体を振りながらのんびり滑ってるので、これまた高速カービングで
削るように突っ走ってくガツガツ派の滑りが全く似合わない(というか不釣合い)
なだけだ。移動の手段としてロープウェイが多いのも事実だが、
板を外して乗り込むのは日本のゴンドラとて同じだし、駅を降りるとすぐに
滑り始められるのも日本と同じなのだ。
 
リフト券だが、こちらは全山全乗り物共通のスキーパスを利用することになる。日本に比べると信じがたく高い。
僕も日本で調べてる段階では唖然としたものだ。だが実際に現地で使ってみたら高いという気持ちは吹っ飛んでしまった。
無支柱で数々の険しい谷を越えるロープウェイ、マッターホルンの目前まで迫るゴンドラ、3千メートルを越えて登ってく登山電車、
それらを実際に体験してほしい。よくもまぁこんなとこに架けたもんだと驚嘆するしかない。ロープウェイが架けられてなければ
とても見ることが出来ない神域のような大パノラマ、これが一日乗り放題で7千円なら格安だと必ず思えてくる筈だ。
このロープウェイ・ゴンドラ・鉄道の類は少なくとも僕らが体験した範囲では上り下りとも乗車が可能だった。ということは
スキーをしない人でも、あのものすごいアルプスの景色を楽しむことが出来るということだ。またツェルマット内を走る電気バスも乗り放題。
という意味では、スキーをしない人にも絶対お薦めしたい!


第二章 ツェルマットへの足 につづく

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