【斜にかまえた吉原】

吉原はソープ街だ。ソープになる前はトルコ街だったけど、今「トルコ街」と聞いたらトルコ人の街みたいなので、ソープ街のほうが正しい。

上の画像は江戸時代の吉原、右のは今の吉原=千束4丁目の地図だ。わかりやすいように赤線を引いてみました。東っかわの土手通りから伸びる花園通りとかが「おはぐろドブ」というやつだ。
吉原大門の道が「く」の字になってるのは、女郎が逃げないようにだと。くの字になっただけで逃げられないの? 昔の城とかが食い違い、クランクになってるのは、馬がまっすぐ突っ込めないように。くの字じゃー、猪が直進できない程度だ。女郎は猪に乗って逃げるのかもしれない。

さて、こうして見ると吉原はナナメってる。となりの千束2丁目はまっすぐなのに。中華街かよ? 中華街は風水でナナメってるが、吉原は北枕を避けるためにナナメってるそうだ。だから中華街は吉原だ。だいたい建物は、道路に沿ってまっすぐ建てるもので、ナナメってるということは道路がナナメってる。そして新しい道路は、あまりナナメに作らないから、ナナメ道路は古い道だ。なので、パッと地図を見てナナメってる地域があったら、そこは古い町だということがわかる。

えーとそんで吉原ソープ街は、ひとくちで言うととても静かな街だ。ここ何? と思うほど静まり返っている。ホントにみんな中でセックスしてるのか?? 私が知ってる風俗街といえば歌舞伎町だが、あすこはすげーうるさい。なぜなら、みんな酔っ払ってるからです。ベロベロです。

でも吉原に飲み屋はほとんどない。ヘルスもたぶんない。メシ屋もないしコンビニもないし、とにかくずらーっとソープソープソープ。ちょこっと旅荘つうかホテルがあるけど、ソープソープソープソープソープソープ。
店の前には呼び込みというか、黒服のお兄さんたちしかいない。金曜日の夜だぜ。昔は、座敷で飲めや歌えの大騒ぎをしたり、張り店に花魁が並んだりしてたんだろうに。
と、昔のことなんか知らない私も寂しい気持ちになってきた。
どの店も建物はボロく、街全体に廃墟感が漂っている。
道幅が広いことが寂れムードに拍車をかける。
さすが吉原は格が違う。廃線中の廃線だ。
こんな廃線でイチモツをおったてることができるお人は、やはり相当な遊び人である。「飲み食いしたって結局ヤルのが目的」という結局を追求した結果なわけだし、性の達人、廃線マニアが集う街なのだろう。

しかし、ソープ以外は何もない吉原でポツポツ見かけるのがこの「情報喫茶」という店だ。「情報無料! コーヒー500円」などと書いてある。たぶん中にソープ嬢のファイルとか割引クーポンなんかがある、歌舞伎町のクラブMANZOKUみたいなものだろう。
ちょっと中を覗いてみると、お客がけっこういて情報を提供されている。ふーん。とすると、ソープ店がヒマそうなのは、今は情報タイムだからなのかな。そして得た情報で、よりよい店に行くのか。
と思っていたら、どう見ても遣り手ババァな御婦人が情報喫茶に入って行った。あんなバー様がソープの情報を必要とするわけないので、情報を伝達しに来たに違いない。情報喫茶はヤフーのような人力検索エンジンなのだ。
だがもしかすると情報喫茶は、ソープがすっかり左前になった吉原で生き残るため、ありとあらゆる情報を提供しているのかもしれない。○○スーパーのタマゴが10円安いとか(特売情報)、明日から小手指で現場作業員募集とか(アルバイト情報)、三社祭りのサンバパレード詳細とか(イベント情報)、そういう地元密着型の情報。まさに街のホットステーションてなわけだ。

だけど本当は、情報喫茶で女の子情報を得たら店に電話すると、店の人がお迎えに来てくれたりとかそういうとこだそうだ。ソープ店も、新しい女の子が入ると情報喫茶に挨拶に来たりするんだと。そうなのかあ〜。どうせ喫茶店をやるなら、情報喫茶がいいなあ。
そう思って吉原に別れを告げ、鶯谷の加賀屋でホッピーを飲んだ。うまかった。鶯谷は、タチンボがいっぱいいた。白人ゾーン、三国人ゾーンなどに分かれていた。

あと廿世紀浴場に入ったりしたのだが、もう眠いから寝ます。遊郭散歩はものすごーくおもしろかった、また行きたい。
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