SKI
2004−2005シーズンを振り返って 前編
スキースクールの特色と選び方
12月中旬になっても全く雪が降らず、クリスマスですら本州のスキー場は壊滅状態の幕開けだった2004-2005シーズン。
師走を迎えてようやく冬将軍の到来となったが、それがまさか記録に残るすさまじい豪雪シーズンの序章とは
誰もが予想できなかったに違いない。
これほどスキーに出かけた年は初めてだが、ここで改めてスクール・検定について振り返ってみたい。
☆教え方の違いについて
今、スキーショップで売られてる板はカービングになってしまい、マニアックな店でなければ
昔ながらのストレートな長板は見かけなくなってしまいました。
このカービング板登場は、多様なスキー技術を生み出しました。
もちろん従来の長板の滑りが消えたわけではありません。が、板の特性にあった、
より爽快な滑りというものが別の技術で登場しました。
今シーズン様々なスクールに入り、その教え方の違いや矛盾に悩み苦しみました。
上手くなりたいからこそ高いお金出してスクールに入ってるのに、進歩がないどころか
逆に下手になってしまったりぐちゃぐちゃになったり。
あるスクールではダメ出しの連続だった滑りが別のスクールでは称賛の対象だったりと、
???の連続の挙句迷宮入りという事態が何度あったことか。
同じSAJ(日本スキー連盟)のスクールに入ってるのに一体どうしたことなんだ〜
金と時間返せ〜と叫びたくなったこともしばしばです。
というこの一年からの、以下は僕なりの結論なのですが。
従来型の滑りは、とにかく前足に加重し、前傾姿勢を保って腰を捻ってターンしていく
というものでした。
ところがカービング特性というのは、スキーに圧力を加えたわませるだけでスキーの湾曲により
簡単にターンができる。つまりいかにスキーをたわませるかというのが何よりも重視される
技術となったのです。
では、どこに重心をおいて圧力を加えればより効果的にスキーがたわむかといえば、
これはかかとであることに間違いはありません。
というところで、おそらくどのスクールにおいても終局的(1級レベルにおいて)には
このかかと荷重を求められるのでしょうが・・・その過程がスクールによってバラバラなのです。
人間の足関節は、前にはいくらでも折り曲げることで加重できるようになってますが、
かかとへの加重が可能な体勢はわずかです。後ろに身体が行き過ぎると、加重どころか
ひっくり返ってしまいますね。
この加重をスキーで行うとどうなるか。上級者で自在に板をコントロールできる人は別にして、
一般にはスピードに身体がついていけず、後ろに身体が流されお尻が下がり(これが後傾と言われる姿勢)、
結果板への制御が不能になって暴走という事態を招きます。
急斜面になればなるほどこの傾向になるのはスキーヤーなら誰もが経験することですね。
身体を前に、常に前傾を意識して滑ってる時ですら後傾になってしまうのですから、重心をかかとに
のせるという方法はなおさら後傾になりがちです。
というところから各スクールの教え方にばらつきがでます。
@最初からカービング特性の教え方(かかと荷重)でレッスンを進めるのか
A板の真ん中にのることを意識させ、角付けを重視してカービングの滑りに移行させるレッスンにするのか
Bあるいは従来型のようにまずは前傾を染み込ませ、スピードに身体がついてこれるようになってから
ステップアップを図るのか。
結局のところ、どの過程を辿ったところで最終的に目指すところは同じです。が、こうした概要を
知らないで違うタイプのレッスンを受けたら、混乱するばかりかおかしくなってしまうのは当然です。
荷重をどこにするかというのは、ある意味スキーの根本から違うとこなのですから。
そして厄介なことは、そのスクールがどのタイプの教え方をするのか事前にわからないというとこです。
かぐらスキースクールでのパニックに懲りて、その後いくつかのスクールにどのタイプでレッスンしてるのか
電話で聞いてみたところ、
「みなさん各自の滑りで教え方は違いますし、レベルによってもまた雪の状況でも変わりますから」
どこも杓子定規的にこんな返事が返ってきます。
そりゃ深雪滑るなら前荷重だと板が潜り込んでしまうからかかと荷重にするとか、そういうことは
あるでしょう。前傾・後傾のひどい人は矯正する、それも理の当然なんだけど、聞きたいことは
そんなことじゃないんだぁぁぁぁぁ・・・ 結果 入ってみて後悔という事態が生じてしまうのです。アーメン・・・
ということで、賢明な皆様はこのサイトで勉強していって下さいね。
@とA、AとBなら人間何とか対応できますが、@とBはパニックになるだけです。お金の無駄ですね^^
同じタイプのスクールでレッスンを積まれるのが上達の元ですよ。同じスクールが一番良いのは
言うまでもありません。
(但し、他のスクールで習うことでパッと開眼することもあるので一概には言えませんがねぇ)
T.黒姫スキースクール【Bタイプ】
従来通り、前傾姿勢という基本を重視します。検定もそうですが、後傾に対する評価は厳しいです。
U.GALAスキースクール【不明】
何たってほとんど教えてくれなかったからなぁ。高速で滑っててターンのときに曲がりたい方向に
身体を倒しなさいというだけ。Aに近い気がするけど・・・
V.中里スキー学校【Aタイプ】
身体の中心で荷重というのが基本線だけど、あまりやかましいことはいいません。
それよりもとにかくエッジをたてて角付けし、切り裂くような滑りを繰り返しレッスンさせます。
僕はBのタイプでのスキーが染み付いてますが、わかりやすく楽しめました。
出来てなくてもレーサーの滑りに近づいてるような錯覚を覚えます^^
カービングへの移行の仕方としては、無理なくいつのまにか・・・というレッスンスタイルかな。
来年は鈴木校長のエレガントレッスンという合宿(中里スキー学校で企画してる)に参加したいな
と希望してる管理人でした。
W.かぐらスキースクール【@タイプ】
「かぐらパニック」を呼んだ、僕らにとっては最悪のスクールです。もちろん僕らがBタイプで
レッスンを受けてきたからそうなったのであって、ここの指導が一般的に悪いわけではないですよ。
合う合わないの問題です。
土日連続2日間のテーマ別(小回りなど)レッスンが充実してます。
X.札幌国際スキースクール【ABタイプ】
初心者&初級者にはBタイプで、中級者からはAタイプ。1級受験クラスになったらどうかな。
中里同様かかとを意識させず、いつのまにかカービング達成させるというスタイルをとってるような
気がします。何たってここはパウダー天国の北海道。悪雪対応の滑り方(主にかかと荷重)なんて
必要ないですし^^
Y.八方尾根スキースクール【@タイプ】
とにかくかかと荷重! 何が何でもかかと荷重! ということで、僕の滑りは悪雪状態も相まって
2時間後(レッスン時間)にはめっちゃくちゃのすってんてん、姿勢は中途半端で暴走しまくりの
最悪状態に陥ってました。
それでもなおここの検定を受け続けたいと思うのは何故? これはつまり、どんな習い方であれ
最終的に求めるところは同じという確信に似た思い込みがあるわけで、例え今がこのスクールに
あってない滑りであっても上達するにつれ近づいていくであろう=その評価のポイントがどう変化
していくか、このスクールにとって異端児をどう評価していくのか挑戦&通信簿をみるが如き
気持ちですね〜^^
☆スクールの効果について
ではスクールの効果はどうだったかというと、黒姫ー中里ー札幌という@路線(からせいぜいA路線)で
レッスンしてきた初心者のちゃまの場合。
たった1シーズン(実質10日)で初級を一気に通り越えて中級レベルまで駆け上がり、
今や中級者コースを気持ちよくクルージングできるようになりました。
札幌国際で30度の上級者コースやコブまで経験したことは来年への財産となるでしょう。
僕にとっても、両スキーを肩幅にまで広げて角付けでターンしていくという滑りは
革命的教えでした。おかげで高速で滑ってるときに、たまに決まる切れ上がるようなターンは
かつてない爽快感に包まれました。
☆初心者にお薦めなのは?
僕らの場合は場合として、初心者にどちらのタイプがお薦めかというと、とっても難しい問題です。
@の場合は、よほどセンスがある人ならあっという間にカービング技術を身につけ、1年にして
完全な小回りターンや悪雪深雪対応能力を身につけられるかもしれません。
が、ほとんどの人は後傾による制御不能に悩まされるか、あるいは自分では普通に荷重してるつもりで
実は後傾が身についてしまう危険性があります。
Bの場合は目に見えての上達が感じられると思います。が、パラレルターン小回りや悪雪深雪による
対処で大きな壁が立ちはだかるかもしれません。
両足を同調させてスキーを廻しこむという1級レベルには絶対必要な小回り必携の技術は、
かかと荷重でなければなかなか身につきません(僕もできない)し、先に記したように深雪悪雪で
つま先荷重してるとスキーの先端が雪中に埋もりこんでしまい、ターン不能に陥りますから。
結局はどちらのタイプをとっても、どこかで壁に突き当たるのです。
それでもどちら?と聞かれたら、Bタイプをお薦めします。まずはスキーをコントロール出来るように
なれないと、スキーはつまらないと敬遠されちゃうかもしれない。初心者は最初の印象が大切ですから!
☆合宿 or 集中レッスンに行こう!
最後に、どうせレッスン受けるなら、半日単位の常設レッスンではなく2日間以上同じ講師同じ仲間と
習う集中レッスン(合宿orキャンプという呼称もある)を選んで下さい。
半日ではパニックになったらそれでお終いです。教える側も半日で出来るだけ多くのことを伝えようと
しますから、身につかないうちに頭の中だけがごちゃごちゃして、結果何も覚えられなかったということも多々起きます。
☆講師選ぶ一つの目安
言うまでもないですが、テクのある人(すごく上手い人)=教え方が上手い とは限りません。
レッスンで治すべき点は人により千差万別ですが、教え方のバリエーションは経験に勝るものはないです。
若い先生ほど今風のかっこいい巧い滑りを見せてくれますが、習ってて何言ってるかわからないことも
多かったです。
欠点は指摘される、が、それを治すためにはどういう滑り(身体の使い方)を練習すればいいのか、
そここそが僕らの聞きたいところであり、そんな引き出しの差は歴然としてます。
〜習うなら中年から上の先生が良い〜 も、この1年の教訓でした。
後編『SAJバッヂテスト(スキー検定)場所の選び方』につづく