遊撃インターネット狂人雑記82
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2011

511日(水)『罪と罰』上中下巻(江川卓訳)読了

 相変わらず鬱の症状がロクでもなく、ずいぶん雑記に穴があいてしまいました。一番困るのは集中力が続かないところです。『罪と罰』なんて三月に奈良に行ったときにもっていって読みはじめたものです。文庫本を三冊読むのに一ヶ月半…。我ながらバカになったものだと思う。精神病というのは文字通り精神の病であると同時に知力を著しく減退させます。要するにバカになってしまう。自分がバカになりつつあるということを自覚しているのにどうしょうもないというのは、これはかなり恐ろしいことです。
 集中力が続かないとともに脱力感と倦怠感に襲われてなにも手がつきません。なにもできないのだから、当然なにも書くことはありません。なにもする気になれず書くという行為自体が困難なのに、ひたすら無為な生活を続けているので書くようなこと自体がおこらない。

 今回はキャラクターのセリフに注目して『罪と罰』を読みました。江川節ともいわれる独特の翻訳ですが、この「べらんめい」な口調がドストエフスキーに合っているような気がします。ロシアの文豪の小説といえば、ひたすら長いというのが定説です。特にドストエフスキーは、悪文の代表格です。それでも読まれているのは、長いだけに思える文が実は極めて深いことを語っているからなのでしょう。会話など何を話しているのか意味がわからないことすらあります。しかし何回か読むうちに、ただの無駄話に思えた部分に途方もなく深いことが書かれていたと気がつきギョッとしたりします。

 明治時代に内田魯庵が英訳本から重訳した『罪と罰』の日本初訳を手に入れました。これでオレの『罪と罰』コレクションはだいたい完成です。昭和四七年に発行された筑摩書房の『明治文学全集7 明治翻訳文学集』に収録されていました。ネット古本屋に注文して送料込み1875円でした。ネットってホント便利だなあ。
『明治翻訳文学集』は、なかなかの豪華版です。『罪と罰』以外にもデュマの『椿姫』やポーの『黒猫』などの明治時代翻訳版が収録されています。重訳とはいえ明治時代の文語文の『罪と罰』は、なかなか面白い。この『罪と罰』は、当時非常に話題になったらしく、白樺派に強い影響を与えたとのことです。人道主義の白樺派だったらトルストイだと思うんだけど、どういうわけだろう。

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512日(木)『3.11クライシス』(佐藤優)読了

 外務省のラスプーチン・佐藤優が三月十一日の震災から一ヶ月半で出版した本です。四月八日までに書いた原稿を集めたということなので、実質執筆期間は一ヶ月を切っています。
 佐藤優にいわせると三月十一日の震災によって、第二次世界大戦の敗戦と冷戦後という二つの『戦後』が日本において終わったんだそうです。
 かいつまんで書くと、合理主義、生命至上主義、個人主義によって形成される戦後日本の近代システムが終わったということらしい。『合理主義』というのは、つまり原発とは近代科学の合理主義のかたまりであった。その破綻が明らかになったということでしょう。生命至上主義の終焉というのはちょっと深刻で、第二次世界大戦の敗戦の深刻な反省から国家が個人に死を強制することがない(できない)国家を日本はつくってきました。しかし、原発事故の処理は、死を覚悟しなければできない作業です。その結果、生命至上主義は破綻し、公共のために死ぬことを国家が求めるようになったのだそうです。最後の個人主義の終焉というのは、新自由主義、つまりいきすぎた市場原理主義の破綻ということのようです。貧富の格差の固定化など、これについてはあまり多く語る必要はないでしょう。
 それで『国家翼賛体制の確立を』とか『大和魂で菅直人首相を支えよ』という類の刺激的な題名で、要するに『日本人は小異を捨て大同につき、団結してこの危機に立ち向かおう』ということが書かれています。同時期に同じテーマでいろいろな雑誌に書いた論文記事を集めた本なので、同じような内容のくり返しですね。正直、買って読むほどの本ではありません。本屋で五十ページも立ち読みすれば十分でしょう。

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 513日(金)観賞魚を三万円分買う

 ダラダラしていてもカネが減っていく一方なので、デイトレードをしました。…七万五千円も儲かったぞ。ここのところストレスがたまってしょうがないので、観賞魚やらエビを三万円分も買ってしまった。
 鬱病になってしまった旦那さんを描いて評判になったマンガ『ツレがうつになりまして。』でも、鬱旦那は寝てばかりいるのにたまに起き出してくるとヤマトヌマエビの養殖に熱中していました。鬱病とアクアリウムは親和性が高いのだろうか
?
 ちなみにヤマトヌマエビの養殖は、幼生期に汽水が必要となり塩分監理が異常にむずかしく、ほぼ不可能といわれています。でも、この鬱病の旦那さんは大量の養殖に成功しています。エビ養殖の名人ですね。これは精神病的なマメさがないと困難でしょう。ヤマトヌマエビは、ザル一杯が三百円とかいう低価格なので養殖しても意味はありません。もっと高価なエビを養殖してヤフオクなんかで売り出せば、たぶん生活費くらいは稼げると思うけどな〜。
 オレの場合は、でかい水槽を置く場所がないので、梅酒製造用の八リットルビンを何個か買ってきてそこに魚やらエビやらを入れています。水草やら底砂やらバクテリアやら投入魚やらを工夫して、エア入れや水替えをほとんどせず、エサすら与えないで窓際に置きっぱなしで光に当てるだけで世話をせず、それなのに見栄えのする水槽をつくるというのが目標です。アカヒレでそんなことをしても面白くもなんともありません。珍魚や珍エビでそういう体制をつくり、最終的には繁殖までもっていくのが目標です。…しかし、これも無意味な行為だなあ。

 

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514日(土)死体写真がない

 ひさしぶりに本屋に行ってきました。東日本大震災コーナーがあり、多数の震災写真集がおかれています。震災の直後に出た写真集は何冊か買いましたし、この震災コーナーにおいてある本も立ち読みして震災写真集はほとんど目を通したと思います。
 それで気かついたことがあります。死体写真がまったくといってよいほど無い。津波で二万五千人以上も死んだんでしょ。死体ゴロゴロのはずです。ところが各社申し合わせたように徹底として死体写真を載せていません。せいぜいブルーシートをかぶせられた死体とおぼしき物体から足が出ているという程度の写真がわずかにあるくらいです。じゃあどんな写真が収録されているのかといえば、津波で破壊された街です。倒壊した家とか屋根の上に乗った漁船とか…。似たような写真ばかりで、パターンが読めてしまうとなんの感銘も受けるところがない。日航機墜落事故で死体写真集と化した『フライデー』に期待していたんだけど、例の足ニョッキリとか棺桶が並んでいる体育館とかそんな程度でした。
 死体の身内に訴えられるのが恐いのだったら、顔が写っていない死体写真を載せればよい。日本人の死体に対する忌避感というのはもはやビョーキの域だと思いますねえ。要するに死ぬのが恐いから死体写真をみたくないんだろう。驚くと穴に頭をつっこんで隠れた気になるダチョウを連想しますね。
 震災写真集は、どれもガレキ写真集とでもいいたくなるような内容なので何冊も買う必要はありません。ここ一番の時に総合力を発揮する朝日新聞社の『報道写真全記録
2011.3.11-4.11 東日本大震災』と、地元の河北新報社の『311大震災巨大津波が襲った』の二冊が良いように感じました。

  

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515日(日)再びプリンターが壊れる

 最近しばしばよろけます。パンチドランカーみたいだ。たぶん抗鬱剤の副作用なのだろう。なにかの作業をしていて立ち上がった際によろけて、このあいだ買ったばかりのプリンターに手をついてしまった。紙を受け止めるトレーが、バキン!とイヤな音を立てて『く』の字型に曲がってしまった。折れてはいないようなのでベキン!と元に戻して、なおったと思いましたが…。
 プリントしようとしたら、『紙排出トレーが閉まっているので開けて下さい』というような表示が出て動きません。どうやら紙を受け止めるトレーを曲げてしまった際にセンサーみたいなのを壊してしまったようです。中古とはいえ四月十三日に購入してから数枚しか印刷していないんですが…。
 捨てようと思ってそこらに放りだしていた同型機を引っぱり出してきました。これはヘッドが寿命で出ない色があるんだよな。自然治癒しているかもしれないと考えて試してみましたが、この印刷品質ではとても仕事に使うのは無理です。うーん。
 そこでヒラメキました。二台のプリンターは同型機なのだから、当然ヘッドも同じはずです。さっき壊してしまったプリンターからヘッドを外して旧いほうにつけかえれば、なおるんじゃないだろうか。思いついたら即実行です。さっそくドライバーをもってきて紙トレーが壊れたプリンターを分解しようとしました。でも、中がどうなっているんだか全然わかんない…。
 こういうときこそネットです。『
ip4300 ヘッド交換』とかでググってみたら、簡単に出てきました。
 ……なんだ、ドライバーさえ不要なのか。レバーを倒すと簡単にヘッドが外れるようになっています。外したヘッドを旧プリンターに付け替えたところ、みごと正常に動くようになったのでした。印刷品質も問題なし。
 最近のプリンタは、ヘッドが摩耗したらどうにもなりません。
ip4300も同じだと思っていました。ところがこの機種は、ヘッドだけ交換することができるんですねえ。キャノンは、それでは儲からないと気がついたらしく、ヘッドの販売を中止してしまいました。だから最近のプリンタは、ヘッドが摩耗したら新品と同じくらいの金額をかけて修理に持ちこむほかありません。プリンタ屋は、どんどんアコギになっていくなあ。

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516-22日(月-日)観賞魚に熱中

 鬱が悪化し無気力状態に落ち込んでいました。友人の葉寺覚明さんが心配してメールをくれたりしたけど、ろくに返信もしていません。葉寺さん、ごめんなさい。
 観賞魚をポケラ〜とながめていると、癒されるというか落ち着きます。ちょっとカネがあったので梅酒の8リットルビンを五個も買ってきてフィルターを取りつけ、それぞれにサカナやエビを入れてながめています。なんだか異様な部屋になってしまった。もともと本だらけの部屋なのに、そんなところに水物を置くのはとても変な感じです。ひっくり返したらえらいことなので、スーパーの鮮魚コーナーから発泡スチロール製の箱をもらい、その中に入れることにしました。
 ベランダにもその発泡スチロール製の箱を利用したメダカ池を何個もつくり、得意満面です。細君は圧倒的にいやがっているけどね。

 昼間ヒマな時間は、株のデイトレードをしていました。ここ一週間で十五万くらい儲かったぞ。鬱で無気力状態のほうが妙な邪念が出なくて、株取引では良い結果が出るようです。でも、そのカネで一匹五百円もする小エビを三十匹も買ってきて梅酒のビンに入れて喜んでいるのだから、どうしょうもありません。

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523日(月)オオミジンコを購入

 なぜサカナが良いかというと、あのなにも考えずボ〜ッとしているところがなごむんですね。それに大きなサカナより小さいサカナがたくさんいる方が好きです。それぞれ勝手になにかをしているのをみるのが飽きないんだな。
 一時期クラゲが流行ったことがあったよね。クラゲオタクの女の子が主人公の『海月姫』なんていうマンガもありました。たしかアニメ化されたはず。
 このクラゲの流行も癒し効果からでしょう。クラゲの飼育は相当の上級者ではないとむずかしいので、オレはミジンコを飼育することにしました。ミジンコは、なにも考えていないという点ではクラゲ以上でしょう。無数のミジンコをビンに入れて、ブラウン運動のごとくそれぞれ勝手気ままに泳ぎ回るのをみたら楽しそうだ。
 ヤフオクで検索してみたら、けっこう売っているでやんの。ミジンコすらネットで通販される時代になったんだな…。便利だ〜。
 いくら小さいのが好きだといっても、目にみえないほど小さいのでは意味がありません。数ミリ程度の大きさになるというオオミジンコを購入することにしました。送料込みで八百円くらいだったかな。振り込みをした翌日にレターパック
500小包をうまく利用した方法でミジンコが届きました。
 ビニール袋に一千匹くらい入っている感じです。なにかの拍子に全滅したらつまらないので、三つに分けました。ひとつはペットボトルに入れて屋外に放置。もうひとつはフタつきのガラスビンに入れて部屋の中でながめまわします。最後のはメダカ池に入れました。オオミジンコは大きすぎてメダカが食べることができず、生まれてきた子ミジンコを食って元気になるらしい。うまくすればエサをやらなくてすむようになって便利だぞ。
 ところが屋内ビンのミジンコはほとんど全滅してしまった。屋外ペットボトルのミジンコも五分の一くらいに減ってしまいました。メダカ池に入れたミジンコは、いくら探しても見あたりません。…食われたのかな……
?
 わざわざエサにするために粉末ほうれん草まで買ってきたのに、ダメダメな結果に終わりそうです。

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524日(火)細君が放射能におびえる

 細君が、ここ数日のあいだ2ちゃんねるに熱中しています。なにをみているのかと思ったら、東京は放射能によって死の街になるから九州あたりに引っ越そうと真顔で言いはじめました。影響を受けちゃって…。バカが…。すぐに関東地方から逃げださないとみんな死ぬというような勢いで、九州の公団住宅の地図まで用意しています。
 
2ちゃんねるにヘンな書きこみをするヤツらなんて病的なウソつきで人格破綻者が多いんだから、そんなのを真に受けちゃダメだと、当然ながら説得しました。
 ……怒りだしやがんの。危ないと思ったら子供をつれて勝手に逃げるからね、だってさ。はいはい。好きにして下さいな。こんなことをいわれると、なんのために調子の狂ったアタマを酷使して女房やガキを養っているんだか、わけがわからなくなります。

 ネットをうろついていて奇っ怪な画像をみつけました。エロDVDのパッケージみたいです。こういうバカバカしいノリは大好きです。それにしても、こんな思いつきを本当に実行して売り出すやつがいるんだなあ。ちょっと調べたらアマゾンでも扱っています。どんな人が買うんだろう?

 

 

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