遊撃インターネット狂人雑記70
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2010

101日(金)DVD『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最後の日々』をみる

 ナチスに対する抵抗運動をえがいた『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最後の日々』をみました。白バラ抵抗運動といえば、非常に有名です。『白バラ抵抗運動の記録』などの専門書もありますし、ナチスに対する抵抗運動を記録した本にはかならず載っています。
 白バラ抵抗運動がなぜそれほどまでに注目されているかというと、まずヒューマニズムに立脚した運動で、非共産主義系統であることがあげられるでしょう。共産主義系の反ナチ運動は、しょせんスターリンの手先ですので、ナチス全体主義からボルシェビキ全体主義への交代を目指したにすぎないともいえます。また、まだ二〇歳代の学生が自主的にナチス発祥の地であるミュンヘンでおこなった運動であるという点も大きい。
 ゲーテやヘーゲル、ベートーベンを生み、文化的に非常に高い水準にあったドイツが、人種差別を党是とし侵略を賛美するナチズムに支配されるにいたりました。それは、物理的な支配というだけでなく、知性の退化とでもいうべき現象です。
 白バラ抵抗運動は、物理的にはたいしたことをしたわけではありません。六種類のビラを作成して数千枚を無差別に郵送し、壁に反ナチのスローガンを落書きした程度です。しかし、その六種類のビラは、生き残ったドイツの知性がナチスをきびしく指弾するというものでした。ある意味では、ドイツの知性や良心は、白バラ抵抗運動によって救われたともいえます。
 映画『ワルキューレ』でえがかれたヒトラー打倒のクーデターは、軍事力によってナチスを倒そうというものでした。たとえ失敗したとしても軍部や支配階層にも命がけでナチスに抵抗した運動があったということを示すことができ、それはとても意味のあることです。
 白バラ抵抗運動は、一般学生が宣伝や説得で大衆にナチスに対する抵抗を呼びかけました。彼らが配布したビラの内容が極めて良質であったこともあり、歴史に残ることになりました。しかし、白バラの具体的な『罪』といえば、反ナチスローガンの落書きと数千枚のビラを配布した程度のことです。戦時中の日本だったら、拷問死させられる可能性はありますが何年か刑務所に収監された程度だったでしょう。ところが白バラ抵抗運動は、七人もの刑死者を出しています。ナチスがいかに彼らを恐れたか、またその反動による凶暴さがいかすさまじいものであったか知ることができます。

 この映画をみるまえは、ドキュメンタリータッチで白バラ抵抗運動をえがき、最後に全員が逮捕されてしまい死刑になってデットエンドという内容を予想していました。しかし、ぜんぜん違いましたね。
 映画は、白バラ抵抗運動の主要メンバーであったショル兄妹が、逮捕されるところからはじまります。ゲシュタポに連行された妹のゾフィーは、ゲシュタポの取調官と対決します。現実に戦争でナチスドイツの敗色が濃厚であるだけに、ゲシュタポ取調官のいう国家がどうだとか忠誠心がどうだとか国民の義務がなんだとかいう理屈はむなしいだけです。ナチスの残虐行為を糾弾し戦争の無意味さを主張するゾフィーのほうが、どうみても正しいわけです。ゾフィーは、若くて美人で態度も堂々としているので、冷血なゲシュタポ取調官も多少同情したようです。兄の手伝いをしただけだという調書をつくってやると持ちかけますが、ゾフィーは自分の意志でおこなったことだときっぱりと拒否します。
 つぎにナチスの御用裁判の場面になります。ソビエトの見世物裁判をモデルにつくられたらしい。実物はこんなのです↓ 嫌な裁判だな。

 

 裁判長は、被告を怒鳴り散らすだけ、弁護士は終始無言でやる気なし、傍聴人は全てナチスの党員。判決は最初から決まっていて、死刑でした。こんな裁判だったら誰にでもできそうです。

 余談だけど、革命騒ぎや戦争が起こると行政官は、能力や知識ではなく権力に対する忠誠心やコネから選ばれるようになります。その結果、行政官の能力は低下し、社会の効率は悪くなります。特に官僚組織が劣化します。
 ネトウヨのイデオローグ
(?)がちょっと前に書いた「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」という論文が、話題になりました。彼の狙いもここらへんにあるのでしょう。「ひっぱたきたい」と名指しされた丸山眞男という人物は、戦前に共産党系の集会に参加したため逮捕歴があり、おそらくそのため東京帝国大学助教授でありながら陸軍二等兵として招集され、ろくに中学も出ていない上官にさんざんに殴られたという経歴をもちます。戦後はリベラル派の教授として東大に復職しました。後の東大紛争の際には、大学の研究室を占拠して貴重なマイクロフィルムを破壊した全共闘の学生らを「ファシストでもやらなかったこと」と非難するなど、時流におもねない硬骨の人物でした。
 暴動でも起こして世直ししたいというのならまだ骨があるが、権力者が起こした戦争に便乗して成り上がり丸山眞男のような人物を殴りたいなどといってのける。このいかにもネトウヨらしい卑しさに、開いた口がふさがらなかった。このような考えを持つ人間を一定数生み出した小泉・竹中の格差政策は、日本人の一部の層を没落させただけでなく、モラルをも非常に劣化させたと思いましたね。

 余談はこのくらいにします。
 ゾフィーら白バラ抵抗運動のメンバーは、即決処刑されてしまいます。絞首刑かと思ったら、なんとギロチンです。フランス革命で有名なギロチンと違い、重力ではなくバネでも使うらしく意外に小型の機械でした。ギロチン台に馬乗りにさせられて首を落とされます。そのギロチンの刃が迫ってくるところで、映画は終わります。ナチスに抵抗して処刑されてしまう少女の面影を残した
21才の女の子というのが、人々の琴線に触れるよね。実話だし。
 しかし、ナチスに対する抵抗運動についてある程度の知識があれば理解できますが、これでは、一般の人には白バラ抵抗運動とはなんであったのか、どのような意味があったのか、なにをしたのか、なぜ即決処刑されたのかわからないと思います。白バラ抵抗運動は、実際的な抵抗運動というより、人種差別と極端な侵略主義というナチズムの全体主義体制に対する道徳的な抵抗なのです。尺をあと二〇分とって、具体的な抵抗運動の場面がほしかったですね。しかし、非常に興味深くみることができました。 

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102日(土)『ゼーガペイン』最終回をみる

 数ヶ月前から毎回録画していたゼーガペインの最終回を見終わりました。ぜんぜん知名度のないアニメだけど、かなり面白かった。作画が良くて崩れがあまりなかったし、デジタル処理の利用がうまい。予約限定版でblu-ray版が販売されましたが、たしかにblu-ray画質でみたくなるような独特の処理をしています。blu-rayは、限定版なのでヤフオクなどではかなり値上がりしているようです。買っておけばよかったな。
 ストーリーはこんな感じです。現実世界の人類は、すでに滅ぼされていて、サーバー内にデータとして保存され生活しています。ところが、そのサーバーまで破壊しようと敵が攻撃してくる。サーバー内のデータ人間は、実体化する方法を開発して現実世界でサーバーを破壊しようとする敵と戦う。キャラクターは、戦闘でダメージを負うたびにデータが破損して、記憶が消えたりデータとしても消滅してしまったりする。
 現実世界の人間が仮想世界で戦うというテレビゲームを逆にした世界です。こんな程度でもオレにとってはハード
SFなんだよね。だから意味がよくわからないところがある。だいたい、『敵』って何者でなにが目的なのかわからない〜。大ヒット作のエヴァンゲリオンもそうだよね。そういうのが流行ってるのかな。意味がわからないところがあるけど、かなり楽しめる作品でした。
 主人公は、ロボットアニメによくある直情径行型。ヒロインは二人で、可愛い幼なじみとクールな上級生です。両方ともなかなか良いヒロインでしたよ。

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103日(日)『とらドラ!』最終回をみる

 ネットレンタルDVD屋で借りて、よーやく『とらドラ!』の最終回をみました。前に借りていたやつがなかなか返却しないので、ずいぶん間があいてしまった。ヒロインが『ゼロの使い魔』と同じ釘宮理恵でキャラの性格も似たようなものです。でも、こっちのほうがはるかに面白かったな。作画もいいし、堀江結衣をはじめ他の声優も良い演技をしている。ストーリーにも誇張はあるが破綻はない。丁寧につくられた良作だと思います。
 高校が舞台の恋愛ものです。上玉の女の子三人に好意を持たれている男が主人公。好意を持たれて当然の非常にいいやつです。そいでもって上玉の女の子三人は、主人公を好きなことを隠している。これって都合がいいよな。三人とも本心を隠しているから、誰かひとりを選んでも残った二人と今後も友だち付き合いできる。で、まあ、いろいろあるというお話しです。
 しかし、ホレたハレたでこんなに大騒ぎできるもんかねー。オレは恋愛には斜に構えたところがあるのですが、そんなオレみたいなのとは異なり登場キャラの性格がみんなまっすぐなので、ちょっとしたすれ違いで大騒動が起こります。
 上玉三人娘は、ツンデレの大河、奇人で元気娘のみのりん、性格キツ目で美人の亜美ちゃんです。亜美ちゃんは、性格がアレなので除外するとして、大河とみのりんの二者択一だったら、オレならみのりんを選ぶな。大河って生活力無いじゃん。いっしよに生活するのは、大変そうだよ。オレなんかは、好きな気持ちよりも、だれとつきあうと一番得かとか考えちゃいますからねー。この作品は、まっすぐな青春ものなので、『好き』を追求する主人公たちの姿勢がまぶしくも感じられました。
 
97日の雑記で下の書きこみを紹介しました。

 こんにちは、もう三十路超えたオッサンなんですがすっかり「とらドラ」というアニメにはまってしまいました。
 最終回を見てからすごい喪失感に襲われてしまい俺はいい年こいて頭おかしくなったんじゃないかと本気で心配になってきました・・・。

 たしかに良作でしたがオレは、これほどまでにはのめりこめなかったなー。三人全員とやっちまったら面白いぞ、なーんて汚れたことを考えていたからかもしれない。

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104日(月)蔵書のPDF

 同人誌を加えれば万を超える本が二部屋も占拠しています。いいかげんにもう家賃を払いきれないので、泣く泣く処分することにしました。しかし、完全に無くなってしまうと悲しい。業者に頼んで主にマンガの類をPDF化して保存しようと思います。『書籍 PDF化』でググったら、何カ所か出てきました。だいたい一冊百円でやってもらえるようです。けっこうはやっているみたいで、数ヶ月待ちなんていう業者もあります。
 マンガは、巻数が多いものを中心に『ドラゴンヘッド』『ヨコハマ買い出し紀行』『空手バカ一代』『
TO-Y』『めぞん一刻』『ゴーストスイーパー美神』『GunSmith Cats』『エースを狙え』『忍者武芸帖』などを送りました。あとは、まだまだ大量にあるエロマンガですね〜。
 一般書籍は、『大系 日本の歴史』全六巻、『資料・ベ平連運動』全三巻、あと『トロツキー選集』から何冊か間引きました。さすがにトロ選の『一九〇五年』や『革命はいかに武装されたか』『偽造するスターリン学派』なんていう貴重本は、廃棄できない。もう二度と読むことはないと思うし、データ化したものを持っていれば同じことなんだけどねえ。これは物神崇拝なのだろうか
? 
 厚さのある本を中心に、百冊以上は整理しました。それでも部屋の様子があんまり変わったようにみえない…。まだまだ本が多すぎるのだ。場所をとるエロゲーとかも始末しなければなるまい。あと、フィギュアは…、フィギュアはどうしよう
? 箱から出せばそんなに場所をとらないんだけど、出したくないなー。
 ビデオも端から
blu-ray化しています。三倍モードで六時間録画したビデオが、blu-rayディスク一枚に収まるので大変に便利だ。ダビング中は、テレビをつけっぱなしにしているので、思わず見入ってしまうのが困りものです。九〇年ごろにNHKの回顧番組で放送した『内ゲバ』なんてのがでてきて、面白くて仕方がありません。
 そういうわけで最近ちょっと忙しくなってきました。

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105日(火)『その時日本は 水俣』『アンネ・フランクの思い出』をみる

 ビデオの整理してblu-ray化しながら96323日に放送された『その時日本は 水俣』と、96211日に放送されたエミー賞受賞作『アンネ・フランクの思い出』をみました。この両作品とも、ながら見をできるような内容ではなかった。また見入ってしまいました。
『その時日本は
水俣』は、水俣病の原因企業であった新日本窒素(後のチッソ)の工場長や附属病院長、それに厚生省の元担当役人など、加害者側にインタビューをおこなうという作品です。
 水俣病について
Wikipediaから引きます。

 既に1942年頃から、水俣病らしき症例が見られたとされる。1952年頃には水俣湾周辺の漁村地区を中心に、猫・カラスなどの不審死が多数発生し、同時に特異な神経症状を呈して死亡する住民がみられるようになった(このころは「猫踊り病」と呼ばれていた)。

 1952年には、水俣工場附属病院では猫に工場排水を飲ませて水俣病を発症させる実験に成功していました。水俣病の原因が工場排水にあることは誰の目にも明らかなのだけども、工場長が院長に命令してこの事実を隠蔽します。隠蔽を指示した工場長が悪であるのは間違いないのだが、そんな命令に従った院長は、苦しんでいる水俣病患者を毎日診ているくせに医者の矜恃がないのだろうか。
 この工場長と院長もインタビューに登場します。猫実験について問われると、その間にも水俣病で死人が出ていたというのに「原因が不明なので、明らかになるまで発表をのばした」とかなんとか言いのがれをします。結局マスコミにバレるまで発表しなかったのだから、見えすいた嘘をついている。他にも当時の厚生省の役人や県庁の役人などが登場しますが、その発言は、猫実験と大同小異の「しかたなかった」というたぐいの責任逃れに終始したものでした。
 水俣病による死者は、一五〇〇人を超えています。大量殺人といってよいでしょう。生涯にわたり障害を負わされた人や胎児性水俣病も加えれば被害者は数万人にのぼるはずです。ところがこいつらは、そのことに責任をおうどころか反省の言葉さえない。与えられた仕事をしただけだ、仕方なかったんだという態度です。非人道的な『仕事』に対するこのような姿勢は、アウシュビッツにユダヤ人を輸送する責任者で二〇〇万人以上のユダヤ人を収容所に送りこみ、逃亡先のアルゼンチンでイスラエルに拉致され裁判にかけられたアイヒマンを連想させました。裁判でアイヒマンは、命令に従って事務上の仕事をしただけだと主張しました。十五年前にはまだ生きていた水俣病に責任がある者たちは、アイヒマン的なヘドが出るようなやつらでした。
 もうひとつこの録画をみて強く感じたのは、弱者に対する人間の酷薄さです。水俣は、チッソの企業城下町なので、直接の被害者以外は全て企業側の味方です。国が調査に乗り出すと、漁協以外の水俣の全ての業界団体が、工場の平常操業を求める申し入れをしています。ほんの数キロ先で多くの人間が水銀中毒で死に続けているというのに、なんという卑しい態度だろうか。
 さらに水俣病患者に対する差別や嫌がらせ。科学的根拠もなく企業側に有利な説を発表する複数の御用学者の登場
(水俣病の原因は、海底で腐った貝が出した毒なのだそうだ)。御用学者に反論した学者は、万年助手として飼い殺しにされ大学で出世できなくされてしまった。過激派や爆弾事件にこじつけて公害反対運動に対する警察の嫌がらせも広くおこなわれています。
 なにがそのような衝動を起こさせるのかわからないのですが、社会悪と闘う人たちに対して激しい敵意と憎悪を示す者は、かなり多い。反公害運動のおかげで自分も公害被害にあわずにすんでいるくせに、奇妙な現象です。どういうわけかこういうタイプの人間は、恵まれない階層の人に多い気がします。こんなところが理由だろうか。毎日新聞の書評より。

 政治の世界で最も有名な格言の一つが「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」。
 エリック・ホッファーは、これを転回させた。
 抑圧される側の弱者も腐敗する。弱者たちが自分より弱い者を餌食にするときの酷薄さを決して侮ってはならない、と。
「きみたちの逆恨みの源泉は、不正への憤りでなく、自分が無力・無能だという意識だ」

 反公害運動に対する弾圧にくらべると、公害の原因企業に対して国家権力のみならず社会全体が優しいことは、驚くほどです。一五〇〇人以上も人を殺しておいて、チッソの幹部は刑事罰を受けていない。Wikipediaによると、2007年になってもチッソの会長は、それまで未認定だった水俣病患者に対する新救済策を拒否しています。それに対して『水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の救済措置の方針』を政府が閣議決定したのは、実に政権交代後の2010年のことです。
 水俣病の最大の責任者は、雅子妃の祖父でチッソの社長を歴任した江頭豊でしょう。よくもまあ数万人もの日本人を地獄に落とした男の孫娘を皇太子妃にしたもんだと思う。天皇が見物するという天覧試合によって野球がまともなスポーツとして認知されたように、チッソの社長の孫娘が皇太子の嫁になったことで、チッソによる水俣病の罪悪は、社会的に容認されゆるされたとみるべきだろう。会津出身の松平節子が秩父宮妃になったことで、会津が朝敵の汚名をそそいだのと同じ理屈です。
 
70年代に密教の坊さんたちが『怨』と大書したのぼりを掲げて、チッソの経営陣に呪いをかける祈祷をおこないました。『親の因果は子に報い』じゃないけれど、その呪いの効果で雅子妃は、鬱病になってしまったのかもしれない。

 続けてみたエミー賞受賞作『アンネ・フランクの思い出』は、さすがという感じでした。96年の放送だから制作は95年でしょう。十五年前には、まだアンネ・フランク一家の隠れ家生活を援助したオランダ人女性や、アンネといっしょに収容所に送られて生き残った人がけっこう生存していました。
 有名な『アンネの日記』を書いたアンネ・フランクと面識のある人が、インタビュー応じるという内容です。アンネの人柄や周囲の人間関係が浮き彫りになります。アンネは、とても十五才の少女とは思えない知性の持ち主ですが、その知性とまだ子供っぽい性格のアンバランスさが、いかにも少女らしい危うさをもたらしています。
 インタビューされた人の中では、アンネ・フランク一家の隠れ家生活を援助したオランダ人女性が実に大変な人物でした。ナチスに逮捕される危険をおかして食糧を運ぶなど協力を惜しまず、密告によってアンネ・フランク一家が捕まってしまうと、釈放を嘆願しにゲシュタポ本部にまで出かけて行き、つまみ出されています。『アンネの日記』を拾い集めて保存していたのもこの人でした。幸いオランダ人のゲシュタポは、本家ゲシュタポにくらべるとまだマシで、このオランダ人女性は、逮捕されず見逃されています。しかし、それにしてもすごい度胸と良心です。見かけは普通のおばさんだったのになあ。アイヒマンや水俣病の責任者と比較すると、人間とはなんなのか考えさせられてしまいます。まあ、オランダおばさんのような例外はあるにしても、人間とは嫌なものだとオレは思う。

 こんなビデオばかりみているので、まだ秋の新作アニメをみることができません。オタクの流行におくれてしまう。困ったものです。

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106日(水)IRA 抗争の30年の歴史』1-4をみる

 例によってためこんでいたビデオをblu-ray化しました。98年にBBCが放送したIRA(アイルランド共和軍)の武装闘争の歴史です。
 アイルランドは、
1922年にイギリスから独立しました。しかし、北アイルランド六州は、イギリスに残されてしまいます。というのは、後に入植したプロテスタント住民が人口の六割を占めていたからです。それを不満とするIRAが、武装闘争を開始しました。きっかけは六〇年代の公民権運動です。プロテスタント系住民から差別されていたカトリック系住民が平等の権利を求めて運動しますが、北アイルランド当局は、それを徹底的に弾圧します。さらにイギリス軍が投入されるにおよんで、IRAは本格的な武装闘争に踏みきります。左翼ゲリラというより、民族解放運動の色彩が強い組織です。
 アメリカやリビアから仕入れた銃器で武装していましたが、
IRAの主な戦術は爆弾闘争でした。当初は北アイルランドに限定した戦術でしたが、後に戦場をイギリス本土にまで広げロンドンのシティーにまで爆破攻撃を敢行します。
 世界金融の中心地を数十キロの爆弾で吹き飛ばすというすさまじい爆弾闘争だと当時は感じましたが、9.11テロや無警告で数十トンの爆弾を使いビルを倒壊させるようなアルカイダのテロに比べると、まだまだこのころは平和だったんだと思います。
IRAは前もって爆破予告を出し人的被害を最小限に抑え、また、政治部門のシン・フェイン党を設立し話し合いの余地も残していました。シン・フェイン党の得票率から換算すると、北アイルランドのカトリック系住民の20パーセント程度が積極的な支持者とみられています。
 特に印象に残った場面をいくつか紹介します。
IRA兵士の逮捕者は、監獄で捕虜としての待遇を求めました。イギリス政府がそれを拒否すると、ハンガーストライキに突入します。囚人服を脱ぎ捨てて裸でブランケットにくるまり汚物まみれになるというすさまじいもので、あくまでも政治犯としての処遇を拒否するイギリス政府に抗議して十人が餓死しました。
 さらにイギリス政府は、特殊部隊
SASをつかいIRA兵士の殺害攻撃を開始します。SAS基地に爆弾攻撃に出たIRA兵士を待ち伏せして八人全員を射殺したのをはじめ、爆弾闘争の準備中だった非武装のIRA兵士三人を事実上即決処刑しています。さらに令状なしの逮捕も盛んにおこなわれました。
 大抗議運動が起こり、
IRA支持者による葬儀がおこなわれます。そこに銃と手榴弾で武装したプロテスタント過激派が単身殴りこみをかけてきます。銃を乱射し手榴弾を投げつけてくる相手に対して丸腰のIRA支持者が逃げないで向かっていく映像がすごい。死者三人と六十人の負傷者をだし、プロテスタント過激派はとっつかまって終身刑になりました。
 再び抗議運動をかねた葬儀がおこなわれ、今度はイギリス軍兵士二人が、おそらくは面白半分に
IRA支持者の葬列に自動車を突っこませてきます。怒りを爆発させたIRA支持者は、蟻の群れのように自動車に飛びかかってよってたかってガラスをたたき割り二人を引きずり出し、袋だたきにします。すごい迫力の映像でした。さらに引きずり出したイギリス軍兵士二人をIRAに引き渡すと、二人を乗せた車はどこかの原っぱに向かい、二人を処刑してしまう。処刑後に引き上げるIRA兵士の様子をヘリコプターが録画しているんだよね。
 最後は、三〇年もの闘争の末にイギリスも
IRAも勝利の展望がないということを悟ります。IRAが武装闘争を放棄する代わりに政治部門のシン・フェイン党が自治政府に参加するというかたちで闘争は収束しました。反発する一部が『真のIRAReal IRA)』という組織をつくって分裂しましたが、闘争は尻つぼみになったようです。現在シン・フェイン党は、北アイルランドのカトリック系政党としては第一党になり自治政府に大臣を出しています。
 随所にあらわれる爆弾テロによる爆発シーンなどは、本物のみが持つ迫力です。あんまり面白いので四時間も見入ってしまいました。やはり映像の力はすごい。

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107日(木)『とめはねっ!(河合克敏)7巻/『レッツ☆ラグーン』(岡崎武士)を読む

 世にもめずらしい書道マンガ『とめはねっ!』の7巻を読みました。こういう『教養マンガ』は、面白いうえに役に立つから大好きです。
『とめはねっ
!』の7巻は、『かな』編です。一千五百年も昔に書かれたものでも漢字だったら読めるし、なんとなく文章の意味もとれます。しかし『かな』は読めない。古書の古今和歌集とかをみても、ナメクジがクネクネとはいまわっているようにしかみえないよ。これ、本当に文字なの?
 中国の漢字は読めるのに、日本の仮名が読めないのは情けない。この作品では、『かな』についてくわしく説明しており興味深い。絵もうまいしね。これだけで昔の仮名文が読めるようになるわけはないけど、なにかの手がかりになるかもしれない。マンガ自体もすごく面白いというわけではないんだけど、構成が上手で読みやすい。それに役に立ちそうだ。

 続いて岡崎武士の『レッツ☆ラグーン』を読みました。岡崎武士がマンガの新刊を出すのは十年ぶりくらいかな。この人は『桃太郎電鉄』で有名なゲーム作家のさくまあきらがやっていた『マンガハウス』で描いていたよね。そのころも女の子の可愛さが売りだったよな。もう三十年近く昔のことだなあ。それにしても三十年も描いていて代表作らしい代表作がないというのは、ダメだろう。
 当たり前だけど、ずいぶん絵柄が変わりました。いわれないと気がつかないくらいです。内容は、主人公が女の子と無人島に流されてそれにタイムスリップがからんでというもの。ずいぶん長く描いていて絵柄が変わっても枯れないのはすごいなあ。まだ一巻だから評価はできないけど、続きも読もうと思います。

 

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108日(金)まんだらけにマンガを売りにいく

 大量のマンガ本を整理したので、まんだらけに売りにいってきました。買ってくれそうなのを選んでダンボール一箱分持っていきましたが、売れたのは半分くらいでしたね。それでも8600円になりました。売れ残ったマンガは、よさげなネット古本屋に宅急便で送って処分してしまおう。
 まんだらけの買い取り価格はデータ化しており、買い取り係は番号を打ち込んでコンピューターの指示通りの値段をいうだけです。昔はけっこう自由に値つけしていて、人よって値段が違ったものだけどね。つまんない仕事になったね。

 帰りにちょっとまわり寄り道をして、オレの父親宅に寄ってきました。なにを思ったか彼は、最近テレビを買いました。松下の三七インチ液晶です。細君は、ウチのシャープの液晶よりこっちのほうがキレイだといいます。
 松下の液晶テレビは、色味やコントラストが強くてくっきりしている。そこらへんがキレイにみえるんだろう。しかしオレは、どうも色をつけてつくった感じがして好みじゃない。シャープの液晶テレビのほうが自然な感じでいいと思うけどな。ぱっと見は松下のほうがキレイにみえるんだけどね。
 ちょっと前までは三〇万円くらいした品が、今では八万円以下で買えるのだから安くなったものです。エコポイントを申請するのが面倒くさいというので、書類をもらってきました。かわりに図書カードを二万円分もらう予定です。

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109日(土) アニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』をみる

 毎日大量のビデオをダビングしているので、秋の新作アニメをみる時間がありません。ようやく一番の期待作『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』をみることができました。たしか以前ライトノベルを読んで感想を書いたよね。やたら評判がいいので一巻を読んでみましたが、まあ、こんなもんかという感じでしたね。そうはいっても読んだことのある小説が、どのようにアニメ化されるのか興味があります。で、まあ、時間をつくってみてみました。
 意外なくらい面白かったですね。「原作と同じセリフだ〜」とか、変な楽しみかたができました。『涼宮ハルヒ』や『ストライクウイッチーズ』など、ライトノベル原作のアニメは多いけど、オレはオタクのくせにほとんど原作小説を読んだことがありません。同じ小説を読むなら、ドストエフスキーや太宰や漱石を読んだほうがいいもんね。しかし、ライトノベル原作のアニメをみている皆さんは、こういう楽しみかたをしていたんだな〜。
 作画も声優もいいし、なによりライトノベルの表紙の絵が動いているのが楽しい。生意気な妹にいいように使われている兄貴の人柄がいいですな。オレだったら、夜中にたたき起こされてエロゲーをプレイしろとかいわれたら、ぶっちぎれて殴っちゃうよ。モデルのバイトをしている美人中学生妹なのに、妹モノのエロゲーマニアという奇妙な設定も、深夜アニメむきです。無料でこれだけ楽しめれば文句ありません。

 ビデオを整理していたら『ハルハ河の戦い』という、ソ連側からノモンハン事件をとらえた記録映画が出てきました。ずいぶん古い映画みたいだけど、どこで入手したのかさっぱり思い出せない。問題なさそうだったら今度DVD化して頒布しようと思います。

 

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1010日(日)『マンガで読む名作 罪と罰』(日本文芸社)/THAT IS IT(サークル蛸壷屋)を読む

 雨後の竹の子のごとく『マンガで読む名作』のたぐいのシリーズが出ています。いろんな出版社から発行されていますが、必ず『罪と罰』が入っている。名作中の名作だからね。それに、マンガにしやすい作品だとも思います。『罪と罰』マニアのオレとしては、大変に喜ばしい。みかけたら必ず購入しています。
 今回購入した日本文芸社版のマンガ『罪と罰』は、イマイチの出来でした。というか、これを描いたマンガ家は、原作を読んでないだろ。ブロンドで青い眼のソーニャが、黒髪黒眼に描かれている。ところが亜麻色の髪で黒い瞳のはずのドーニャは、金髪青目になっています。逆じゃねえか…。
 原作も読んでいないやつが作画しているのだから、内容は推して知るべしです。だいたいさあ、姿勢の問題だよね。『罪と罰』のマンガ版を描こうというのに、原作も読んでないようじゃあどうしょうもない。そういう人が描いたにふさわしい粗雑なマンガでした。『罪と罰』のマンガ版で一番の傑作は、
57年も昔にドキワ荘で手塚治虫が描いた作品ですねえ。57年たっても天才を越えることはできないのだろうか。

 続けてサークル蛸壷屋の発行した『けいおん!』のエロ同人誌『THAT IS IT』を読みました。「ありゃー…、唯とうとう死んじゃったのか…」という律のセリフで有名になったシリーズの第三弾です。

 

 ほとんどあずにゃん本ですね。このシリーズは、回を重ねるごとにエロが薄くなっている気がする。この本のエロシーンは、あずにゃんと憂のレズと、あずにゃんがワルいファンに輪姦されちゃうところです。
 オレとしては、唯がだんだんおかしくなっていって最後にクスリに溺れて死んでいくという第四作を読んでみたい。しかし、後書きによると残念ながら蛸壷屋の『けいおん
!』エロ同人誌は、これで最後のようです。
 天才と凡人のザセツというテーマは、作者の
TK氏の実体験が元になっている気がします。息の長いサークルなので、これからもがんばってもらいたいなあ。同じサークルのストライクウイッチーズ本『魔女たちのノーパンツ』も、芳佳が「天皇陛下ばんざーい!」とか叫びつつ特攻したりしておすすめです。

 http://www.takotuboya.jp/index.html サークル蛸壷屋

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1011日(月)アニメ『それでも町は廻っている』/映画『上海陸戦隊』をみる

 HD録画機が自動録画してくれている『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の二話をみました。…面白いですな。原作を読んだことがある点を差し引いても、普通に面白い。妹はツンツンでワガママなのに、主人公は大変に妹おもいの兄貴です。アッシー体質なのかな? これは毎週みようと思います。
 つづけてアニメ『それでも町は廻っている』をみました。これはあんまり感心しなかった。制作は、『化物語』のシャフトか…。原作マンガの『それでも町は廻っている』は、大変好きな作品で、雑記でも何度か紹介したことがあります。しかし、アニメのほうは、シャフトっぽくて演出過多じゃないかな
? 絵柄も、もう少しマンガっぽい丸い絵にしてほしかったなー。もっとマッタリした作品だと思うんだが。アニメだとキンキンしすぎている。

 1939年に公開された戦意高揚映画『上海陸戦隊』をみました。海軍省後援で、白黒89分の作品です。ナチスドイツの戦争ニュース映画なら何作もみていますが、戦前日本の戦意高揚映画をみるのは初めてです。
 第二次上海事変が舞台で、中国国民政府軍が上海の日本人租界に攻めてくるのを海軍陸戦隊が迎え撃って奮闘するという内容です。侵略軍がよくもまあ正義ヅラしたもんだというような感想はともかく、ナチスドイツの戦争ニュース映画に比べるとずいぶんウエットに感じました。
 中国軍に殺された将校の葬式から始まり、弔辞でカタキを討つとかなんとか…。戦闘場面でも右腕を負傷して入院していた兵隊が病院を抜け出し「左腕で撃ちます」とかいって再び戦場に行こうとする。圧倒的な兵器の機械力とよく訓練された兵士で敵を蹴散らす様子を描いたドイツ映画にくらべると、しめっぽくて人情臭くて根性主義なんだよなあ。それに日本軍は貧乏くさいぞ。精鋭といわれる海軍陸戦隊が、第二次世界大戦の直前に単発式の小銃なんかを使ってるんだぜ。連射できる自動小銃がないのか…。武器の進歩が日露戦争の水準でとまってしまっている。たぶん歴史上初の総力戦であった第一次世界大戦に日本陸軍が参戦しなかったからだろう。こんな装備では、中国軍には通用しても米軍には無理だろうなあ。
 この映画とドイツの戦争ニュース映画をみくらべたら、装備の水準に圧倒的な差があり、世界大戦に参戦したらヤバイということぐらいわかりそうなものだが…。

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1012日(火)『まんがで読破 堕落論 白痴』/『まんがで読破 斜陽』を読む

 今ではほとんどききませんが『アプレゲール』という言葉があります。太平洋戦争に敗北し国家に裏切られた当時の青年の虚無的な心理状態をあらわした言葉です。
 特攻までやらされ、財産は丸焼け、ろくに食物もなく、貯金は預金封鎖で国に没収され、タンス預金は新円切り換えで紙くずになる…。敗戦で国民は全てを失いました。
 特に心理面では、今まで『鬼畜米英』とか叫んでいたのが、戦争に負けたとたん『民主主義バンザイ』に早変わりです。多数の餓死者を出すほどの民衆の貧窮を尻目に、ある程度の地位にあった者は、敗戦のどさくさで軍の物資を横領して大儲けした例も多数あります。余談だけど、その類の隠匿物資からでたカネが、現在の自民党につらなる保守政党の資金源になりました。
 これを国家による国民に対する裏切りといわずして何といえばよいのでしょう。特に当時の純真な軍国青少年には、深くトラウマになりました。またまた余談だけど、ここまで徹底的に国家や権威にだまされて踏みつけにされた日本人に、「愛国心」やら「権威に従え」とか吹く右翼評論家は、よほど日本人をバカだと思っているのだろうか。
 この世代としてはかなり若いのですが、オレの父親も典型的な『アプレゲール』です。成長期にロクに食事も与えられずに勤労奉仕という名の強制労働をさせられ、
B-29の爆撃で目の前に爆弾の破片が飛んできて殺されかかり、本心は嫌でたまらないのに陸軍幼年学校に入学させられ…。日本が戦争に負けてくれたときは、悲しいどころではなく「たすかった」と思ったそうです。
 スーパーエリートだった陸軍幼年学校生から新宿の闇屋の店番に転落した父でしたが、無法地帯の闇市をけっこう楽しんだようです。どうやら息苦しい軍国主義の社会よりも、混沌としたバザール経済の社会のほうがまだ自由でよいらしい。闇市でアメリカ兵に殴られるというダウンな経験をした手塚治虫も、同じようなことを自伝に書いています。
 思春期に権力・権威・国家・大人・教育などという『社会(ゲゼルシャフト・人為的な共同体)』全体に徹底的に裏切られた父が、アプレゲール化するのは当然といえるでしょう。父の国家や権力・権威に対する嘲笑的な姿勢は、『社会』にとって反権力に凝り固まった左翼よりもたちが悪いだろうと思う。国はもちろんのこと革新政党や組合まで人間によるあらゆる共同体を、反抗ですらない嘲笑の対象にするのだから。

 戦時中の人間性の崩壊と、それに対する戦後の人間の本能の解放を可とした坂口安吾の『白痴』や『堕落論』は、戦後焼け跡派とでもいうべき父のアプレゲール感覚に多くの点で共振するように思います。そういうわけで前から気になっていました。
 そんなアプレ父も、最近モウロクしてきて、もうじき死んでしまいそうです。死んじまう前に、とりあえず白痴 堕落論』のマンガ版を読んでみることにしました。特にマンガ版の『白痴』は、押し入れにかくまっている白痴女をつれて空襲下を逃げまわるという、けっこうな怪作でした。

 

 

 このマンガ家さんは、『まんがで読破』シリーズに他にも何本か描いています。独特の感覚が好きなのに、名前が表記されていないんだよなぁ。著作権込みの原稿売り切りなのかなあ? ちょっともったいない。

 太宰治の『斜陽』は、有名ですね。敗戦で没落した華族のお嬢さんをえがいた小説です。せっかく命拾いして復員してきたのに麻薬中毒やら酒浸りになるダメ弟や、同じく自堕落なダメ小説家が登場してくるところがいかにも太宰治らしい。滅びの美学ですかね。こっちのマンガ版も水準以上いっていると思う。
 たまには名作小説を読もうか…。

  

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1013日(水)ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)のベレー帽を購入

 ヤフオクでファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)のベレー帽を落札・購入しました。エルサルバドルのゲリラ組織で、1992年に合法政党になり2009年の大統領選挙で勝利し政権を獲得しています。
 出品者の説明によるとエルサルバドルで購入したとのこと。平和になったので、こんな物も土産屋で売られているんだろう。

 

 エルサルバドルの内戦では、オリバー・ストーン監督が『サルバドル』という映画をつくっています。政府軍が憎らしくてさあ、むかっ腹の立つ映画でしたね。
 ヤフオクには、他にもパレスチナのガザ地区を支配しているイスラム原理主義組織ハマスの鉢巻きやら、ソ連秘密警察の創設者ジェルジンスキーの胸像やら、めずらしい反体制グッズがよく出品されます。目を離せません。

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1014日(木)『まんがで読破』シリーズ/美少女のその後

 なぜか気に入ってしまい『まんがで読破』のシリーズを続けて読んでいます。夏目漱石『こころ』、正岡子規『病床六尺』、ヒトラー『わが闘争』、『カーマスートラ』を読みました。やはり普通のマンガを読むより時間がかかります。
 漱石は、『こころ』『猫』『坊ちゃん』しか読んだことがありません。たしか文明開化で急速に欧化した日本人が、内面を日本文化と西欧文明に引き裂かれてアイデンティティがどうこうしちゃうというのが、漱石のテーマなんだよな。
 マンガ版の『こころ』を読みましたが、なんか原作と違う〜。進行役の主人公が違うし、先生も違うし、親友の
Kなんてつくりすぎだろう。勝手に脚色を加えてオリジナリティを出すなよな。…けっこう面白かったけどね。
『病床六尺』は、正岡子規の伝記になっています。『わが闘争』もヒトラーの伝記とナチスドイツの歴史物語になってしまっている。これは、水木しげるの『ヒットラー』の出来の悪いパクリですね。ヒトラーの著作である『わが闘争』とは、ほとんど関係ない内容になってしまっている。バラモン教のセックス指南書『カーマスートラ』も、インドの女の子が美人先生に性についていろいろ教えてもらうという内容で、なんか違うぞ〜い。でも、ちょっとエロいところがよい。
『まんがで読破』の類の本は、出来不出来の差が激しいですね。中味を本屋で確認してから購入したほうがいいよ。

 ネットをうろつきまわって下の画像を手に入れました。美少女のその後です。
 こんなにかわいい女の子が、成長するとこんなふうになっちゃうのか…。オレがロリだからそう感じるわけじゃないよな。諸行無常。時の流れは残酷だな。

 

 

   

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1015日(金)アニメ『神のみぞ知るセカイ』をみる/まんがで読破『ブッダのことば』をよむ

 二週間遅れで秋の新作アニメ『神のみぞ知るセカイ』をみました。山のようにたまったビデオをダビングするのに忙しく、アニメをみる時間がない。
 十年くらい前にまんだらけから買ってきたエロアニメ
LDBlu-rayにダビングしなければならない。順番にダビングしようと思って部屋のすみに置いといたら女房が怒りやがった。コドモがみたら悪い影響を与えるそうな。ガキにみつからないようにすみっこに置いといただろ。忙しいのに、うるさいなああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 二十年も前に放送された『赤い帝国 庶民が語るロシア革命』なんていう番組で、大粛清がどうだとか農業強制集団化がこうだとか五時間も連続でみた後に、『神のみぞ知るセカイ』をみると落差でアタマがクラクラします。
 最近のアニメは、本当に作画がいいですね。学生時代にアニメなんかよりマンガが好きだっのは、マンガのほうが作画も話しもよいからだったんだけど、最近はそうとばかりも言えないようです。才能をすり減らしたようなやつが生活のために書いているようなダメ脚本は、いまだに多いけどね。原作がよいおかげか『神のみぞ知るセカイ』は、お話しもなかなかでした。
 先日みた『それでも町は廻っている』は、がっかりしたけど『神のみぞ知るセカイ』は、充分に及第点をあげられる出来でした。作画と動きがよくて、主人公の声が合っている。あえて難をいえばエルシイの羽衣は、ピンク色じゃなくて白じゃないかなあ。それにエルシイは、もうちょっと幼声というか妹声がよかったなあ。でも、気に入ったのでこの番組は、毎週みようと思います。
 あと期待作は、『とある魔術の禁書目録2』ですね。第一話は、自動録画してあります。なかなかみる時間がないんだけど、早くみなければなるまい〜。

 あいた時間に、まんがで読破『ブッダのことば』をよみました。原始仏典の『スッタニパータ』と釈尊の生涯をマンガ化した作品です。『梅原猛の授業 仏教』あたりが元ネタなんだろうけど、これが意外に高度な内容でした。

 

 ちょっと見は、新興宗教の布教マンガみたいだけどね。ひろさちやの仏教本と同レベルの内容が含まれているように思えます。オレは、原始仏教と浄土系仏教、それにどうしてインドで仏教が滅んだのかに関心があります。たいてい知っていることが描いてありましたが、改めて読むといい勉強になりました。まんがで読破シリーズの中では、かなり良質の本だと思います。

 

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