遊撃インターネット雑記45
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2008

817日(日)コミケにいく

 ながいこと更新が滞って申し訳ありませんでした。暑くなってくると、とたんに気力がすべて失われます。ようやく身体が暑さになれてきたので雑記を再開します。

 年に二度のイベント『コミケ』に参加しました。今さらコミケっていう年齢でもないんだけど、ここでしか会えない顔なじみもいるしね。今回は共産趣味者同志の葉寺覚明さんが病気で不参加なのが残念。
 五時起きで自宅を六時半に出発。オレは夜型で早起きは苦手だし、夏バテ気味なのできつかったですね。オレがだいたい売り子をやっていて友人の
S木さんが買い出しをするという分担です。十年以上昔に発行した『ケーキの作り方』の二..四巻を二十部ずつ印刷して持っていったのでした。
 夏コミは座っているだけでクタクタです。ほとんど買い出しはしませんでした。
S木さんが買ってきてくれた超変態なイラスト同人誌が素晴らしかった。巨根フタナリの女がちんちんから子供を産んでいる絵とか、ちんちんに刃物を取りつけた女たちが闘技場で斬りあっている絵とか…。狂っとるのう…。サークル名は『オタクの用心棒』、作者・山浦章。S木さんの友人の友人らしい。これからもチェックしなければ。

 

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818日(月)『アルジェリア独立革命史』を読む

 図書館で借りてきた『アルジェリア独立革命史 サハラの砂、オーレスの石』を読みました。六二四ページの大著で七千五百円! 買えないよな〜。
 フランスに対するアルジェリア民族解放戦線(
FLN)の独立戦争というだけでなく、フランス第四共和制の崩壊とドゴールによる第五共和制の成立、極右OAS(秘密軍事組織)の暗躍などが描かれています。有名な『ジャッカルの日』のバックグラウンドといえば分かりやすいでしょうか。
 
FLNも正義の民族解放戦線というわけではなく、フランス人に対するよりむしろ穏健派のアルジェリア人にテロをかけて恐怖支配をひく極端派として描かれているのが興味深いですね。
 政府に不満を持つ将軍が地下に潜って秘密軍事組織をつくり内戦をしかけたりするからフランスって面白い。労働運動の本場はドイツだけど地下組織の本場はフランスなんだよね。カンボジアのポルポト派もフランス留学生が中心だったし、中国共産党も周恩来やケ小平など中心はフランス留学生。そいつらが土着派の毛沢東と組んでソ連留学組を追い出したっていう感じです。
 サヨク好きにはフランス地下組織の歴史はとても重要で興味深いと思うけど、日本にはまとまった資料がありません
(オレが知らないだけかもしれないが…)。そこでフランスとの独立戦争をえがいた『アルジェリア独立革命史』なんて本を手にとってみたわけです。面白いですよ。

  

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819日(火)オリンピックの女子サッカーをみる

 『アルジェリア独立革命史』を読みつつテレビでオリンピックの女子サッカーをみました。日本対アメリカです。女子サッカーは、つばを吐き散らしたりしないしマナーがいいよね。
 最初はなんとなく日本を応援していたけど、よくみたらアメリカの女の子のほうがかわいい。日本人だろうがアメリカ人だろうがオレにとって赤の他人であることは同じです。かわいいほうを応援することにしました。一番かわいいアメリカ娘が途中で引っこんでしまい代わりにイレズミねえちゃんが出てきたのでちょっとガッカリ。
 オレが応援しはじめたとたんアメリカが逆転して日本をコテンパンにやっつけたのでした。…悪いことしちゃったかな
?
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820日(水)カゴメさん、ごめんなさい

 カゴメから『桃しぼり』というジュースが500本も送られてきました。すごく美味なジュースなので去年『旬の会』というのに入って500本注文したのですが、それが毎年継続されるらしい。
 まだ去年の分が残っているしダンボール箱を六つも置く場所がない。おそるおそるカゴメに電話したところキャンセルさせてもらえました。『旬の会』が毎年継続されるということを知らなかった自分のミスなので返送料くらいはこちらが負担するといったのに、不要とのこと。宅急便を派遣してその日のうちに回収してくれた。かえって恐縮してしまったよ。
 カゴメってサービスがいいなあ。それにしても申し訳ないことをしてしまった。今後ジュースを買う時はカゴメを選ぶことを誓います。
『アルジェリア独立革命史』を読了。

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821日(木)雷が落ちる

 最近流行のゲリラ豪雨とかいうのがあり、子どもをつれて高台で雷を見物しました。雷が落ちると子どもは「スゴイネー」なんて言って喜ぶんだけど、雷鳴は怖いらしくゴロゴロ鳴ると足にしがみついてきます。こうやって頼れるお父さんを演出するオレ…。
 花火みたいで威勢がいいなー、と思いながら二十分ばかり見物していると、目の前に雷が落ちてきた。フラッシュの数十倍の光で周囲が真っ白になると同時にバリバリバリバリとものすごい音が。腰が抜けそうになりましたよ。光と音が同時だったからね。数十メートル以内に落ちたんだろうな。
 ニュースをみたら雷にあたって死人が出たらしい。あぶねー。

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822日(金)『ポル・ポト ある悪夢の歴史』を読む

 BBCの記者によるカンボジア大虐殺の下手人ポル・ポトの伝記です。まだ読みはじめたばかりなんだけどね。決定版ともいえる大著ですし面白いですよ。
 スターリンや毛沢東による農民の大量虐殺は、おおむねオレが生まれる前の出来事です。それに対してカンボジア大虐殺は、ちょうどピンクレディーが流行していた時期のことなんですよ。八百万程度の人口のカンボジアで百万から二百万人を虐殺したというスターリン以上に致死率の高い政権が二十世紀の後半にあったというのは驚きだよね。
 しかも左翼による正義の戦いのように思われていたベトナム戦争と分かちがたく結びついているわけで、そういう視点からも興味深いですね。ポル・ポト派を擁護し、虐殺は無かったなんて平気でウソをつく自称進歩派の醜い姿は今も忘れがたいものがあります。専制国家すぎない北朝鮮を「共和国」とかぬかして持ち上げる連中と通ずるものがありますな。実際に同じ奴らだったりして。

 

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823日(土)変なパソコン・DNRH-001を買おうか悩む

 以前から気になっていた『DNRH-001 (ファンレス小型デスクトップ) 〓中級者以上向け〓』というパソコンが19999円から14800円に値下りしているのを発見。中古扱いだけど未開封の新古品です。在宅介護がどうとかいう会社が大量につくらせたのに事業がポシャって未開封のまま市場に流れてきたらしい。
 
WindowsXP搭載でこの値段は安い。というか安すぎる。XPだけでも一万円以上するんじゃないかなぁ。メモリが256MBなので1Gに変えるとしても総額で19000円くらいだ。CPUの能力もセレロン1Gにも届かないくらいみたいだけど、昔のノートはそんなもんだったよね。特に不自由はなかったよな〜。ネット、メール、ワープロ、エロノベルゲームに使うなら必要十分だろう。しかし、ネットで確認したところUPS機能内蔵なのに中の電池がダメになっているとかで、設定の変更やら電池の交換やらでちょっと面倒も多そうだぞ。
 今はリビングをソファーで区切りパソコン仕事をしています。子どもがウロウロしているので仕事はともかくゆっくりエロ動画をみることができない。そこで本を積みあげている部屋を仕事部屋と称してパソコンを移動しようかと思っています。そうするとリビングパソコンがなくなり、寝っ転がりながらネットができなくなってしまう。そういうわけでパソコンがもう一台ほしいところだったのです。あらためて高いパソコンを購入せんでもこいつで十分じゃないかなぁ。ダメパソだったとしてもオモチャとして遊べそうだし…。購入する方向で検討しています。

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824日(日)『トラビアン』のアカウントを停止される

 友人の紹介で『トラビアン』という時間のかかる都市育てネットゲームを始めました。素晴らしく面白い!というわけでもないんだけど、そこそこ面白く。こつこつ城壁を建てたりキコリを増やしたりしていました。
 しかし、ちょっと用事があって帰ってきたらアカウントが停止されています。意味わかんね〜。問い合わせたところ、なかなか都市が育たなくて困っているオレに友人が大量の援助をしてくれたのが複数アカウントだとされてしまったらしい。誤解だということが分かってアカウントは復活したけどね。ちょっと盛り下がってしまったよ。

 トラビアン http://www.travian.jp/index.php

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825-26日『ポル・ポト ある悪夢の歴史』読了

『ポル・ポト』を読み終わりました。ソ連派左翼の宣伝ではポルポト派は、反革命と見なした者をみさかいなく殺しまくったというイメージがあります。この本によるとどうやらそうではないらしい。
 実務経験の全くないおそろしく無能な連中が、アメリカのベトナム撤退による権力の空白に乗じ支援国であった中国との結びつきを利用して権力の座についた。最大のスポンサーであった中国が文化大革命の最中でもあり、彼らの脳内は極左の観念論でいっぱいで、それを現実政治に機械的に適応した結果一〇〇万人近い死者を出すこととなった。実際処刑という形で殺されたのは一〇万人にも満たないと…。この著者は、意志的・計画的に虐殺を行なったヒトラーやスターリンとポルポトを明確に区別しています。
 ポルポトは、フランスに留学中に共産党に加入するような結構なインテリです。そのポルポトによる知識人に対する弾圧は、外国語をしゃべれるだけで処刑するなど極端なものでヒトラー・スターリン・毛沢東を超え、人類の歴史上最悪のものであったように思えます。この極左特有の反知性主義に特に興味をひかれました。また、旧ソ連の官僚的なマルクス主義の地盤にはドストエフスキーに描かれたようなロシアの権威主義的で無責任な官僚制があったように、ポルポトマルクス主義は個の存在を極めて軽視する虚無的ともいえる上座部仏教
(小乗仏教)があったという指摘にも興味をひかれました。たしかに小乗仏教には、人間を輪廻をくり返し変転してゆく単なる物質のようにみる傾向があるように思います。オウム真理教が典型でしょう。
 共産主義というのは、社会主義の過激な分派というイメージがあります。その最大の違いは社会革命を目指すかどうかではないか思います。。社会党左派が政権をとったところで企業の国営化や社会主義的な政治制度の創設など目指すところは経済革命や政治革命まででしょう。ところが共産党を名のるポルポト派は、都市の廃止・貨幣の廃止、ついには国民のほとんどを強制収容所的に集団化して家族制度を破壊するというところまで行ってしまいました。目指すところは社会や人間のありようを上から暴力をもって強制的に根底から変える社会革命だったように思えます。当然のことながらそんなことは不可能です。大失敗し多数の死者をだして崩壊したのでした。
 ベトナムとの戦争で崩壊したポルポト派のその後も興味深いものでした。自主的に共産党を解散。ベトナムに抵抗する人民戦線をつくろうと妄想していたらしい。一〇〇万人近い死者を出したのにぜんぜん反省していない。主人公のポルポトの最後は、内ゲバ粛清騒動で終身刑。政府軍が迫ってきた時に心臓疾患で死亡したとされています。タイミングがよすぎるように思えるから、たぶん首を絞められたか布団むしかで殺されたんだろう。死体は、古タイヤやゴミといっしょに焼かれた後にうめられた。

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827日(水)『自壊する帝国』(佐藤優)を読む

「国策捜査」という言葉を有名にした『国家の罠』の著者・佐藤優の『自壊する帝国』を読みました。モスクワの日本大使館で情報分析官として勤めていた著者によるソ連崩壊の記録です。
「ボクはこんなに有名な人と知りあいだったんだぞ〜」といった類のくだらない自慢本かと思ったらさにあらず。文体・内容ともに非常に明晰です。立花隆に近いものを感じました。ひと言でいえば「知性的」なんだな。面白いよ。
 ゴルバチョフ時代の末期とはいえソ連の反体制派に近づいて資金援助するなど、日本の大使館員って思ったよりもヤバイことをやってるんだなあと意外に感じました。それにロシアの知識人は、特有の、なんていうか衒学的な
(?ちょっと言いすぎだけど…)雰囲気があるじゃない。それと著者の波長が妙に合っているんだな。

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828日(木)スターリン・ワインを飲む

『自壊する帝国』で紹介されていたスターリンが愛飲したというワインを注文しました。すぐに届き、さっそく飲んでみました。
 スターリンの生国グルジアの赤ワインです。スターリンは、グルジアの少数民族オセチア系だという説もあります。

 ジュガシビリという姓は、生粋のグルジア人のものではない。オセチア人からグルジアに帰化した場合によく見られる姓だ。スターリンはゴリ市の生まれであるが、ここにはオセチア人が多く住んでいた。スターリンの父親は靴職人である。グルジアの靴職人の多くはオセチア人である。こういった要素を総合的に考えるならば、スターリンはオセチア系とみていいだろう。もっともスターリンの自己意識はグルジア人である(佐藤優の地球を斬る) http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200808130003o.nwc

 最近オセチアの帰属をめぐってロシアとグルジアが戦争になってしまった。…今が飲みごろだよね。

 

 左がスターリンご推薦のキンズマラウリ(KINDZMARAULI)、右は同じく有名なグルジアワインのムクザニ(MUKUZANI)。両方ともなんとなくスターリンっぽい名称だね〜。お値段は2980円と2880円。思ったほど高価くないぞ! 
 キンズマラウリは、ヤルタ会談でチャーチル首相にふるまわれ「
このワインを私は生涯に渡り買い占めたい・・」と絶賛されたんだそうな。ほめただけでなくチャーチルさんは、この酒をイギリスに貨車二台分も持ち帰ったらしい。もともとグルジアワインは、チャーチルどころではない歴史があり、クレオパトラにも愛飲されていたとか。さっそくあけてみました。

 

 赤黒いというか黒赤いって感じですね。スターリンの腹の中のようだ。しかし、甘い香りがします。
 味のほうは、…甘口です。非常に甘い。ポートワインみたいだ。こんな甘いワインがあるんだと驚くほどです。オレは、ワインについてはほとんどわかんないんだけど、甘くてとろけるような舌ざわりと喉ごしで、舌に若干の渋みが残るという感じでしょうか。オーク樽で1年以上熟成させたというだけあって、熟成酒特有のコクがあります。
 甘口なのにいくらでも飲めてしまうところがすごい。気がついたら半分あけていました。こりゃあクセになるな〜。そう。飲みだすと止まらないピーナッツみたいな酒です。これは美味いですよ。

 スターリンとグルジアワインについて。ウィキペディア「ヨシフ・スターリン」項より 粛清した政敵の写真を見て悦に入りながら故郷のグルジアワインを愛飲していたという

「一番幸せな時は?」と質問されたときの言葉 策略を十分に練って、敵を完膚なきまでに倒したその晩に、上質のグルジアワインを飲む時だな

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829日(金)『私のマルクス』『インテリジェンス人間論』(佐藤優)を読む

 先日の『自壊する帝国』が非常に面白かったので、同じ著者の『私のマルクス』と『インテリジェンス人間論』をよみました。『私のマルクス』は、行動と思想の自伝のような内容です。行動は、高校時代の東ヨーロッパ一人旅と同志社大学神学部時代の学生運動。思想は、旧社会主義国圏におけるキリスト教神学が中心です。
 オレは、共産趣味者なので同志社大学の学生運動記が特に面白かった。神学部の自治会は黒旗に古代教会のシンボルだった魚の絵を描いてサヨクをやっていたらしいぞ。一九八〇年といえば連合赤軍事件と内ゲバ戦争で新左翼は自滅しつつあった時代です。首都圏では活動家の内部運動ならばまだしも新左翼の大衆運動はむずかしかったんじゃないかなあ。そんな八〇年代にも大阪あたりでは校門に常時公安が張りついていたり、学生大会でスト決議をするような大学が残っていたんですね〜。
 それなりの知識人や影響力を持つ人物の履歴パターンとして、若いころ学生運動のリーダーとして鳴らして、それから官庁なり企業なり学会なりに入って頭角をあらわすというのが典型だったんだよね。大正時代から全共闘くらいまでかな。
 学生運動の観念論で頭を鍛えられ、マンガみたいな秘密活動で行動力を鍛えられ、討論でディベート力を鍛えられ、アジ演説の大衆操作や、対弾圧で度胸も鍛えられるよね。いっぱしの人物になるためのよい訓練だったんでしょう。たまたまなんだろうけど学生運動に加わったのは著者にとって非常に役に立っていると思えますよ。この人、旧ソ連で半分スパイのような情報活動をやってるし。
 こんなところが面白かったですね。民青って実名入りのビラが好きだよな。オレの昔の知りあいにもまかれたのがいたなあ。

 数名が私たちに加勢した。大きな騒動になり、学生課の職員が十数名でてきて仲裁に入った。結局、民青の連中は「いまに見ていろ!」と捨て台詞を吐いて、今出川キャンパスから出て行った。私と滝田君は顔に痣ができ、また、トレーナーも半分破れてしまったが、妙な爽快感があった。自然発生的に、明徳館の前に赤ヘルメットを被った学友会系の学生数十名とヘルメットを被っていない神学生十数名が集まって、総括集会を行った。神学生はアザーワールドから黒旗をもってきた。学友会の赤旗と神学部自治会の魚の絵を描いた黒旗が並ぶという奇妙な光景が生じた。アジ演説は私が行い、「われわれは自己批判しなくてはならない。いままでスターリニスト、すなわち日共=民青の自治破壊力をわれわれは軽視していた。今日から自己批判を行動に表し、われわれも日共=民青の放逐という課題を学友会の諸君と担っていく」と結んだ。
 事実、それから約半年、神学部自治会と民青同盟の間で激しい闘いが始まった。私と滝田君が目の敵にされて、
"トロツキスト暴力神学生、偽クリスチャン佐藤優を同志社から放逐せよ!"という実名入りのビラが神学館の中で何度もまかれた。
 私たちはより陰険な手法をとった。

 三里塚闘争の分裂で血迷った中核派が自治会の学生にテロをかける部分。個人テロの内ゲバがいかに新左翼運動をダメにしたのかよく分かります。暴力で人間を変えることができると信じているヤツは当然のようにこういうことをするんだよね。

 神学館二階の図書室に入ると、図書館司書から声をかけられた。「学友会中央常任委員会の書記長から、佐藤さんを見かけたら、すぐに電話をしてほしいという伝言がありました」ということだ。学友会関係者は大学職員に借りをつくることを極力避けようとする。アザーワールドは不法占拠部屋なので電話がない。緊急連絡があるときは、連絡員が訪ねてくるのだが、それもできないような事情があるのだろうか。私は心配になって、学友会中央常任委員全室に電話をした。書記長ではなく、斎藤君が電話に出て、「直接会って相談したいことがある。すぐに来てくれないか」と言われた。私は駆け足で学生会館に向かった。中央常任委員全室に入ると、書記長の左頼に切り傷があり、血が流れているのに気づいた。
「いったいどうしたんだ」と私が声をかけた。
「俺はたいしたことない。ただ、三共闘の……」
 三里塚共闘会議で中心となっている活動家は二人しかいない。二人とも大成寮に住んでいる二部(夜間部)学生だ。働きながら学生運動を続けている。一人は大柄で太っている。もう一人は中背だが痩せている。大柄の活動家がテロにあったということだ。
 書記長は続けた。
「手引きをした一人だけが顔見知りだったが、あとは初めて見る連中だ。内ゲバのプロだ。数人で大柄の両腕両脚を押さえ、右と左の腿にバールを振り下ろして、骨折させた。大柄は泣き叫んでいたけれど、情け容赦なしだった」
「救急車を呼んだのか」
「救急車を呼ぶと警察に通報がいくので、知っている病院に運んだ。単純骨折なので、しばらく松葉杖生活になるが、後遺症は残らないだろうということだ」
 そこで青い顔をしている斎藤君が、「奴らにすれば、今回は警告としての
"教育的措置"なので、配慮したということだろう。しかし、次回はこの程度じゃ済まない」と言った。                             

 学生運動以外の部分では、旧社会主義圏での『異論派』の実態なども神学研究者を中心に描かれており興味深かった。組織をつくって反体制運動をすることはできないが思想的には反体制派であり権力に目こぼしされているという人たち。他にもブッシュの支持基盤だったアメリカのファンダメンタリストを、神学の立場からみるべきものは全くないとばっさり切り捨てたり、とにかく面白い本でした。

『インテリジェンス人間論』は、『私のマルクス』にくらべると数段落ちました。それでも面白いけどね。外務省の有力官僚として著者が接した権力者の人物評とでもいうもの。とりあげられた主な人物です。

 福田康夫 安倍晋三 小泉純一郎 森喜朗 小渕恵三 橋本龍太郎 鈴木宗男 田中眞紀子  エリツィン プーチン  ゾルゲ マタハリ ラスプーチン 後醍醐天皇 大川周明 蓑田胸喜 星飛雄馬 金日成 スターリン イエス・キリスト その他。

 蓑田胸喜の項は、ちょっと立花隆の『天皇と東大』のパクリ臭いぞ。

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830日(土)『決定版日本の労働歌ベスト がんばろう』が届く

『決定版日本の労働歌ベスト がんばろう』が届きました。明治時代から七十年代までの左翼ソングを集めたCDです。明治41年に平民新聞に載せられた『革命歌』やベトナム反戦歌 We shall overcomeの英語版なんて収録されているんだからビックリだよ。
『革命歌』にはちょっと思い出があります。たしか岩波新書の『社会主義運動半生記』に歌詞が紹介されていて、『嗚呼玉杯に花うけて』と同じメロディーなのかと感心し、盛んに歌ったものでした。

1.嗚呼革命は近づけり 嗚呼革命は近づけり
  起てよ白屋襤褸(らんる)の児 醒めよ市井の貧窮児
  見よ我自由の楽園を 蹂躙したるは何者ぞ

2.見よ我正義の公道を 壊廃したるは何奴ぞ
  圧制横暴迫害に 我等は何時まで屈せんや
  我脈々の熱血は 飽迄自由を要求す

3.我等に自由なからずば むしろ墳墓を選ばんと
  我が同胞は露国にて 絶叫しつつあらざるか
  春爛漫の花さえも 権門勢家の為に咲き

4.秋玲瓏の月さえも瑤台朱閣の為に照る
  我が子は曾(か)つて戦場に 彼等の為に殺されき
  老いたる父もいたましく 彼等の為に餓死したり

5.ああ積年の此の恨み 委か争(いか)で報いで止むべきや
  我等は寒く飢えたれど なお団結の力あり
  ああ起て、君よ、革命は 我等の前に近づきぬ

6.農夫は鋤鍬とって起て 樵夫は斧をとって起て
  坑夫はつるはしとって起て 工女は梭(おさ)をとりて起て
  森も林も武装せよ 石は何故飛ばざるか

7.我等の眥血(しけつ)下っては やがて染めたる赤色旗
  高く掲げて惨虐に 反逆すべく絶叫せよ
  ああ革命は近づけり ああ革命は近づけり

 長くてむずかしい歌詞だったけど全部覚えて宴会芸にしたなあ。
『決定版日本の労働歌ベスト
がんばろう』には20曲も収録されているので、ずいぶんお得感があったよ。

 収録曲
1. 富の鎖(社会主義の歌) 2. 革命歌 3. 赤旗の歌(ドイツ民謡) 4. 聞け万国の労働者(メーデー歌) 5. インターナショナル 6. くるめくわだち(ドイツ民謡) 7. ワルシャワ労働者の歌-ワルシャビャンカ-(ロシア革命歌) 8. コンミュニストのマルセーズ 9. 小さい同志 10. 鐘が鳴れば(ソビエト同盟赤衛軍軍歌) 11. 晴れた五月 12. 町から村から工場から 13. 世界をつなげ花の輪に 14. 若者よ 15. 民族独立行動隊の歌 16. 祖国の山河に 17. 原爆を許すまじ 18. しあわせの歌 19. がんばろう 20. 心はいつも夜明けだ

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831日(日)激安パソコン・DNRH-001が届く

 とうとう我慢できず激安パソコンDNRH-001を買ってしまいました。パソコン本体と電源ケーブルだけがついてきて14800円。マウスもキーボードもないけど昔のパソコンのが残っているから不要なんだよね。こいつで一日遊んでしまったよ。

 

 

 USB端子が四つになぜかLAN端子が二つ。PCIスロットなどはないので、ビデオメモリの増設はむずかしい。画像をあつかうのは苦しそうだ。いくらXPでもメモリが256Mじゃあ使えないので1Gのメモリに換装。このパソコンは無音というのが売りなんだけど、ネットで調べたところかなり熱くなるらしい。冷却ファンも取りつけました。ネジが外に飛び出すのがいやなので瞬間接着剤でベッタリ貼りつけるという荒業だ。
 起動するたびにウザイ表示が出てくるし特に使いたくもないので
UPS機能を切ることにしました。スタートから「ファイル名を指定して実行」でmsconfigといれ、スタートアップのなかにあるUPSがどうとかいうソフトのチェックを外せばOK
 どこにも書かれていないけど、気になったのがコンセントです。三本口になっています。たまたま昔のパソコンについていた二本口に変換するアダプター
?があったから良かったけど、普通だったらこれだけで使えないじゃないか。OAタップに三本口が入るのがあるみたいだけど秋葉まで買いにいくのが面倒くさいぞ。

 

 いろいろ遊んでみましたが、ネットとちょっとしたゲームくらいだったら十分に使えそうです。五年くらい前に買って今も細君が使っているペンティアム700MHzのノートパソコンよりも快適な感じでした。場所をとらないから普段はそこらへんにころがしといて、メインのパソコンが故障した際のバックアップ用にするつもりなり。
 ちなみにかかった金額は、本体
14800円、1Gのメモリ3980円、ケース用ファン送料込1685円、合計20465円。外した256Mのメモリはヤフオクで売っぱらう予定で、500円くらいにはなるだろから、ちょうど20000円というところか。いい買い物をしたと思いますよ。こういうあやしげな商品、好きなんだよね。

 DNRH-001についてくわしくは『清水 隆夫の「Good Job !」』を参照のこと。参考にさせてもらいました。
 
http://tshimizu.cocolog-nifty.com/good_job/2008/04/dnrh001.html

 

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91日(月)『仏尊の辞典』を読む

 関根俊一という短大の助教授が監修した『仏尊の辞典 壮大なる仏教宇宙の仏たち』を読みました。ひろさちやなど一部の例外をのぞき宗教関係の本は、ワケがわからずつまらない。たぶん哲学をやっている人が書いていることが多いからだろう。先日読んだ佐藤優の神学論は分かりやすくて面白かった。つぎは仏教だ、というわけで読むことにしました。
 写真や絵などのビジュアルが多くて分かりやすいのが特長です。どうしても見て面白いものが中心になるためか密教系が多いですね。なぜか阿弥陀如来にまで真言が書いてある。編者は密教の研究者なのかな。
 学研からでているエソテリカシリーズは、読みやすくてオレくらいのレベルの者にはぴったりです。見てわかるようになっているのが良いよね。他にも『日本の神々の事典』『霊場の事典』『死と来世の本』などがでているので今度読んでみようと思う。

 

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92日(火)水槽にプラナリアが大発生する

 エビ水槽の水かえをしたところ何に驚いたのか底土の中から大量のプラナリアが出現しました。写真じゃわかりにくいかもしれないけど千匹以上いるんじゃないかな〜。

 

 ぎゃ〜、なんだこりゃ〜。無数のヒルみたいな長虫がガラス面をはいまわっている光景は、まさにグロ。あまりの気色悪さに鳥肌が立ちました。食われるらしく魚がいる水槽にはプラナリアはでないんだけどな〜。エビ水槽に魚を入れると子エビが食われてしまう。自分で退治するほかありません。
 栄養ドリンク用の小ビンと台所用のゴミ網を利用してプラナリア・ホイホイを自作しました。エサは冷凍庫にあった鶏皮です。ビンに鶏皮を入れ網でフタをして二時間くらい沈めておいたら、ビンが真っ黒になるくらいプラナリアが入っていました。再び鳥肌が立ってしまったよ。

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93日(水)『外こもりのススメ』(安田誠)を読む

 きゅうくつな日本から逃げだして安価にだらだらとタイのバンコクで暮らす様子を書いた『外こもり』のブログで人気があった日本人が殺されてしまいました。どうやら物盗りのしわざで犯人は日本人らしい。殺される直前に被害者が出版した本を読みました。
 著者は、ネットを利用した株やファンドで小金を稼いでおり、そのあがりで暮らしていたようです。月収は七万円程度だったらしいけど、タイでなら日本の二五万くらいの暮しができるとか。
『外こもりのススメ』は、タイで安く楽に面白おかしく暮らす方法が具体的にくわしく書かれており非常に良心的な内容です。こういう生きかたもあるのか、という意味でも面白い。観光ビザの延長方法など実用書としても具体的で役に立つうえに読み物としても面白いという、とても良い本でした。中のマンガも唐沢なをきっぽくて面白かった。
 …せっかく楽していい暮らしをして本まで出版したのに殺されてしまうとは気の毒だ。住所が特定されるような情報やカネを持っているようなことをブログに書いたのが命とりになったようです。
 ろくでもない日本人もふきだまっていそうだからなあ。奪われた金額は十二万円程度らしい。十万円やそこらのために人殺しするヤツがいるんだよなあ。
 オレには、南の国でなんの責任もおわずにぐうたら暮らしたいという願望が常にあります。著者に対してうらやましいと思うと同時に、殺されてしまったのが人ごとではないような気がしますねえ。

livedoor ニュース - タイで失踪の日本人は人気ブロガー 遺体をDNA鑑定』より
 
http://news.livedoor.com/article/detail/3776371/
 
82日、棚橋さんからふくちゃん氏に、刷り上ったばかりの『外こもりのススメ』が届いたという。そして85日、ブログの更新が止まるとともに、棚橋さんが行方不明になった。

 著者のブログ『タイのバンコクで為替FX&株&ファンド(外こもり中)』
 
http://blog.goo.ne.jp/yasuda5000

 

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94日(木)1テラバイトのハードディスクが壊れる

 先日購入したバッファローの1テラバイトハードディスクが故障しました。二台購入して二台とも数ヶ月で故障したことになります…。なんだかなー。
 今回故障したのはバックアップ用に使用していたハードディスクです。同期ソフトを入れていてマイドキュメントやメールなどが変更されると自動的に保存するように設定していました。常に二重化するようにしているので貴重なデータが消えるというような損害は特にありませんでした。しかし、それにしても…。
 突然ハードディスクを認識しなくなって別のパソコンにつないでもやはり認識せず、何回も
USB端子を抜き差ししたら、認識はするんだけど『不明なデバイス』になってしまう。パソコンを再起動したり、ドライバを入れ直してみたり、USBケーブルを変えてみたり…。結局これは故障だと結論しメーカーの修理係に送ることにしました。
 一番困ったのは、まれに正常に動作することです。ところが念のためパソコンを再起動したらまた認識しない。壊れるなら完全に壊れてくれないとえらく時間をとられてかえって困る。四時間くらいつぶれましたよ。
 最近はネットから修理予約をするようになっています。それから宅急便をよんで送ったのでした。

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96日(金)『よつばと!』八巻と『うさぎドロップ』四巻を読む

 コドモマンガの傑作『よつばと!』八巻と『うさぎドロップ』四巻を読みました。両方とも面白いですな〜。
 特に『よつばと
!』は、今一番面白いマンガじゃないかな。八巻までいってもちっともマンネリ化しない。人間やなにげない日常のさまざまなの面白いところをよく観察して描いている。この作品は、観察力の賜物だといえそうです。子供のころの感性を思い出させてくれる、考えてみればすごい作品です。それにしてもコミケでセーラームーンのパロディ同人誌を売っていたあずまきよひこが、こんなに大物になるとは思わなかったなあ。
 主人公のの子どもらしい面白い様子を描いているのが『よつばと
!』なら『うさぎドロップ』は、保護者を描いている作品に思えます。親って大変だにゃ〜、と思わせる作品ですね。りんちゃんはかわいいけど主人公はダイキチだよなあ。

  

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96日(土)ADSLの自動修理

 我が家はいまだにADSLです。特にたいした理由があるわけではなく、ADSLでなんの不便もないし光に変える手続きをするのが面倒くさいというだけのこと。
 しかし、昨日からモデムが頻繁にカチカチいってネットにつながらなくなってしまう。モデムの電源を抜いて再起動してもダメです。どうも最近パソコン関係の調子が悪いなあ…。
 サポートに電話したところ録音テープの自動受付でした。番号を押して障害受付にいったら発信者番号から機械が勝手に回線の調査をして「お使いの
ADSLが不安定だと判定しました。これから調整します…」とかなんとか録音がながれ、すぐにADSLが使えるようになったのでした。むーん。
 
ADSLがつながらなくなったのは、たぶん雷のせいだと思うんだけどね。最近じゃ修理するのに人間と話しをする必要すらないんだな〜。未来的だよなあ。

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97日(日)液晶モニターが届く

 アマゾンでアメリカ製の22インチ液晶モニターを購入しました。最後の一台だったらしく注文してしばらくして見直したら売り切れになっていた。早朝というか深夜のの三時に注文してその日の夕方六時には届くのだから迅速です。本をしまいこんでいる部屋を仕事場にするにはどうしてももう一台モニターが必要なんだよね。
 二万三千円の安物だから画質はたかがしれています。そこらへんは割り切っていたつもりなんだけど、やっぱり今まで使っていた
CRTディスプレイにくらべるとどうしても違和感がある。オレは、寝っ転がったり座りこんだりしてモニターに向かうので視野角の上下によって色合いが違ってくるのが特に気になってしまう。それに安い液晶特有のねむいようなモヤッとした感じが気にいらね〜。これも慣れなのかなぁ。画面が広くなったのはいいんだけどねえ。
 ああでもないこうでもないと設定をいじり回し、夕方から深夜までつぶしてしまった。アニメ的な絵は、液晶のほうがきれいに見えるくらいなんだけど、文字や写真はどこをどういじってもだめでした。
 毎日何時間も使うものだから、ケチらずもっといいもの買えばよかったとちょっと後悔しています。ひとクラス上の五万円くらいのモニターを買えばよかったかなあ。テレビとしてはまあまあ使えそうだから、いざとなったらこいつはHD録画機直結のテレビにして、もっと良いのに買いなおそう。

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98日(月)再びADSLが壊れる

 ネットが突然切断されました。再びADSLの故障です。今度は重症でADSL電話すらつながらない。やむなく携帯電話でサポートに連絡しました。ちょっと待たされてつながると電話代がかかるからと向こうからかけ直してくれた。親切なサポートです。
 検査の結果は、完全にリンクが切れているとのこと。モデム交換になりました。一番急ぎで明後日の到着。早いほうなんだろうけど二日もネットにつなげられないのは困ってしまう。
 サポート連絡後も未練がましくいろいろいじくりました。その結果、モジュラージャックとモデムのあいだの電話線を交換したらネットができるようになったのでした。なおったのかな
?
 再びサポートに電話をして事情を説明しモデム交換は不要だと伝えたのですが、モデムが故障している可能性もあるということで、やはり送ってくれることになったのでした。親切なサポートです。

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99日(火)『金谷上人行状記 ある奇僧の半生』を読む

 東洋文庫の『金谷上人行状記 ある奇僧の半生』を読みました。東洋文庫といえば岩波文庫と並んで良書がそろっていることで定評があります。しかし、オレにはちょいと敷居が高い。例外的にこの本は、オレでも面白がって読めそうでした。
 江戸時代、田沼の頃の型破りな坊さんがふざけ散らして書いた自伝の現代語訳です。有名な一休さんを小型で無邪気にした感じでしょうか。両方とも女が好きなのはいっしょです。
 金谷
(きんこく)上人も、やはり無類の女好き。九歳から寺に修行に入れられ十一歳になるともう女に手を出し破門されたり家出(寺出?)したり。夜這いに入った家で泥棒と勘違いされ追いかけられて柿の木に登ってやりすごし、「これを金谷上人カキの樹の御難と申しあげる」とかふざけたことを書いています。
 尻の座らない坊さんで文字通り日本中を旅しています。これが当時の日本の風俗を知る良い手がかりになるようで評価が高いらしい。
 天草に向かった際の一節。貧しい土地柄らしく男はみな出稼ぎに出ていて土地では女衆が船乗りをしています。そんな女ばかり十二人の船に乗りあわせてしまった金谷上人。

 女ども
「和尚さまよ! さァ寝ましょう」
 と挑みかかった。
 中でも鉄策
(お歯ぐろ)をつけた、かの二十娘が、いきなり「上人の懐に入らんとす」るや、そうはさせぬ、わしも寝る寝ると、二、三人同様に上人へ抱きついた。
 それを見ては外の者も黙ってはいず、我先きに上人に取っついて、まるでミミズにたかったアリの群さながらだった。
 上人は、これまで諸国諸地方を往来して、さまざまの悪党にも出逢い、いろいろな難儀の目も見て来たが、今夜のような言語道断の騒動は経験したことがなく、さてもこの世にはおもいがけぬことも起こるものかなと、あきれにあきれた。が、これはまだいわば序の口で、そのうち上人のコロモの前を押しひろげ、てんでんに摩羅をつまむやら睾丸を撫ぜるやら握るやら、乱暴狼籍到らざるなく、音に聞く夜叉羅刹の国に漂流した光景を現前した。
 さすが豪傑の上人も最早や手のくだしようなく、ただただ御崎の観世音菩薩を念じ、助けたまえ助けたまえとばかりいのるうち、どうやら遠くニワトリの声が響き、短夜の、白白と明け初めた。
 と、
「ああ、着いたぞ!」
「着いた、着いた!」
 女夜叉どもはたちまち水夫に戻り、それぞれの部署に着いて、何の苦もなく天草島富岡
(熊本県天草郡富岡町)という岸に船をつないだ。
 - 略 -
世間伝えて、金谷上人天草の御難というのは、すなわちこの一夜である。

 やはりふざけています。エロい話しばかりではありません。他にも富士山に登ってみたり、にわか山伏になって皇族にしたがって山岳信仰の霊場・吉野大峰に入ったり。こんなの本当に「上人」なのかよと思ったけど、宮さまから紫衣や法印を受けてるから、やっぱりエライ僧侶みたいだ。でも肩ひじ張らずに読めて面白かったですよ。

 遊撃インターネット雑記46

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