よくあるご質問―退職金の相談室―

適格年金とは?

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Q 適格年金とは?

A 「税制適格退職年金制度」が、正式名称です。
  これは、税制に適格な条件を満たしているという意味です。
  厚生年金基金制度のような、退職金制度と呼べるような中身は、ありません。
  適格年金は、退職金制度の、資金調達のための外部積立手段でしかありません。
  なお、所轄官庁は、他の退職金制度とは違い、国税庁です。


Q 適格年金の問題点は?

A 退職金制度の外部積立手段なのに、その役目を果たしていないことです。
  その問題点は、主に3つあります。

  1. 積立不足 
    バブル破綻後の、予定利率の低下により、深刻な積立不足になっています。
    保険料の値上げで、不足分を穴埋めしていますが、これは破綻を先送りしているだけです。
  2. 個別管理がされていない 
    適格年金は、従業員ひとりひとりの個別管理がされていません。
    受給権の保護という面で、これは大変問題です。
    つまり、ひとつの企業のひとつの財布で、資産管理と資産運用がされています。
    適格年金の解約時に、各自の分配額が確定することになります。
  3. 先取り方式
    ひとつの財布から、退職金の支給がされるので、適格年金の資産は減っていきます。
    つまり、今の支給はできても、これから退職する人の支給には不足する恐れがあります。
    そして、これが現在時点では、はっきりと見えないことが、問題を深刻化させています。

Q 適格年金を廃止しないで、平成24年3月末を迎えた場合は?

A 税制上の優遇措置がなくなり、拠出金の損金処理ができなくなり、課税されます。
  また、中退共への適格年金の資産移管ができなくなります。
  資産移管ができなくなると、解約する他はなくなるでしょう。

Q 適格年金を解約した場合の影響は?

A 解約金は、従業員の口座に直接振り込まれます。
  企業の口座に振り込むことは、できません。
  従業員に対しては、退職金所得ではなく、一時所得として、課税されます。
  社会保険・労働保険の保険料が上がります。
  所得が上がることで、それ以外の、影響が出る可能性があります。
  退職金制度を変更したわけではないので、退職給付債務の残額は、そのまま残っています。

社会保険労務士 橋事務所 sr.office takahashi