退職金とは?

よくあるご質問―退職金の相談室―

Q 退職金とは?

A いろいろな説があります。
  事業主からの恩恵、仕事の業績への功労報奨、退職後の生活保障、それから、賃金の後払い等です。
  これは、そのうちのどれが正しいかということではなく、そのすべてを合わせた物が、退職金であるといえます。
  ただし、法的には、確定拠出年金法の施行(平成13年)・確定給付企業年金法の施行(平成14年)により、退職金は、賃金の後払いであることになります。
  これらの法律では、退職金は賃金の後払いであり、賃金と同等の労働債権として扱われています。
  つまり、退職金をめぐる裁判になった場合、退職金は労働債権(労働債務)として、争われるということです。


Q 退職金は必ず払わなければならないの?

A 退職金制度の無い企業も多数あります。
  退職金を払わなければならない企業は、退職金規程があり、退職金を給付している企業です。
  なお、慣習的に退職金を払っている企業も、退職金制度があるとみなされます。
  

Q 退職金は、成果主義にするべき?

A はい。退職金は、成果主義にするべきだと思います。
  賃金について、成果主義が言われていますが、賃金には、生計費に見合う生活保障と、労働又は労働力の対価という性格が強いので、成果主義はあまり向いていないと考えています。
  この意見については、異論がある方も多いことと思います。
  一方で、退職金は、勤続年数や賃金を算定基礎とした計算により、長く勤めた人は、就業期間中にあまり成果が無かったとしても、退職金が高額になることが、わりと普通に受け入れられています。
  定年退職時には、その人の職業生活が総決算されて、企業への貢献度がはっきりするはずなのですから、これはとても奇妙なことだと思います。
  退職金制度が、労働意欲を喚起するための人事労務制度であるならば、そういう退職金制度は、役目を果たしていないと、いえるでしょう。
  

Q 退職金は、賃金制度と別にする?

A はい。
  給与連動型退職金制度が、退職金金額の高騰の最大の原因でした。
  また、企業に対して功労のあまり無い人に対しても、高額の退職金を支払わなければならない原因でした。
  ポイント制度の賃金制度を実施している企業が、それと連動した退職金制度を検討する場合がありますが、これはやはり給与連動型退職金制度になることを、充分考慮していただきたいと思います。
  つまり、一度与えたポイントは、減点することはできないのですから、ポイントは溜まる一方になります。


Q 成果主義の賃金と退職金の違いを、どう考える?

A プロ野球の選手の年俸制について、考えてみましょう。
  今季不調で、勝率の悪いピッチャーA選手は、球団との交渉で1億円の減俸を示され、それを飲まざるを得ない状況です。
  この賃金の減額は、年俸制なのですから労働基準法に照らしても、違法ではありません。
  ただし、球団が、A選手があんまり働かなかったんだから、今季分の年俸3億円から、1億円返してくれと言ったら、どうでしょうか。
  こんな、ばかなことは、起こりません。
  賃金は、すでに終了した労働の対価ですから、すでに払った賃金から返してもらうことはできません。
  プロ野球の選手の年俸制は、成果主義ですが、成果によって決まるのは、来季の年俸です。
  将来貰う給与の額について、ここで契約をしていると考えれば、いいでしょう。
  これは、年俸制のサラリーマンがいるとしたら、同様です。
  それでは、退職金は、どうでしょうか。
  退職金も、退職のその時点までの、すでに終了した労働の対価です。
  したがって、退職時にすでに確定した金額を、成果主義で、減額することはできません。
  何しろ、退職してしまうのですから、賃金のように将来の退職金などというものも、ありえません。
  退職金制度に、成果主義を反映する難しさが、ここにあります。
  

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