検定の方法

 検定を受けるとき、発火具は自分のものを持参しなければならない。ただし道具の素材はキリモミ式の場合では天然の植物素材だけを用いるものとする。また、ヒモギリ式・ユミギリ式の道具の場合は植物素材の他に動物の毛皮・革・貝殻・石などの天然素材の使用も許される。また発火作業で石油類・火薬類・薬品類を用いることは禁止する。さらに発火しやすい元素も禁止する(例えば燐・イオウ等)。
 また検定を受験するにあたっては、あらかじめ用いる発火法の種類と受験等級を申し出なければならない。検定はその基準にしたがって行なわれるが、最初に失敗したとき再度の挑戦ができる。ただし2度目のときは受験等級を1ランク下げて受験することが認められる。しかしどうしても最初の受験等級で再挑戦したいときは、2回連続合格しなければならない。(以下は新追加規定)@同一人が同日に1回目と同じ内容の検定申込書を再度申請して受験した場合、合格と認定するには最初の2回に連続合格しなければならない。A同日に最初と同じ内容の検定申込書を3回目申請受験した場合、合格認定されるには最初の3回に連続合格しなければならない。なお、4回目以降も同じ考え方とする。(2025.7.1、以上の追加規定を定めた理由はこのページの最後に記する。)゜
 検定開始の際は発火具を床に置いた状態で「はじめ」の合図とともに発火具を手にとり摩擦を開始し、まず火種ができ、ついでそれをホノオ(炎)にする。その瞬間に審査員はストップ・ウォッチを押しタイムを計る。秒単位まで測り、それ 以下は切り捨てる。そのタイムによって合否が決まる。タイムは発火法の種類によって異なる。 以下、各発火法ごとに説明したい。



検定の対象となる発火法の種類


キリモミ式
指の太さほどの丸棒(ヒキリギネまたはヒキリ棒)を木の板(ヒキリ板)の上に立て、両手のひらでキリモミして発火させる方法で先史時代すでに世界中に広まっていた古典的な方法だが、技能検定基準は1級〜5級まであり、一人でやる場合は45秒以内で炎ができれば1級合格とする。以下1分以内なら2級、2分以内なら3級、3分以内で4級、5級は5分以内合格とする。
二人で協力してやる場合は30秒以内が1級、以下45秒以内なら2級、1分以内が3級、2分以内が4級、3分以内で5級となる。また、公式の言い方は「二人キリモミ式で…級」という。合格すると交付される認定証書にもそのように表記される。
 また3人で協力してやる場合は30秒以内が2級、以下45秒以内なら3級、1分以内が4級、2分以内が5級となる。また、公式の言い方は「3人キリモミ式で…級」という。合格すると交付される認定証書にもそのように表記される。(この「3人キリモミ式」は小学生を対象として2017.1/28に新設された基準である。)

ヒモギリ式
キミモミ式のヒキリ棒をより太くより短くして棒にヒモを2〜3回ほど巻き付けヒモの両端を持って交互に引き、棒を回転させる発火法で、この場合ヒキリ棒の頭をハンドピースという一種の軸受けでおさえる。
ふつうは2人で行うが3人以上でやる方式もある。人数が多くなれば力は増すが動作の統制がとりにくくなる。そこで当協会ではヒモギリ式に限っては5人以下なら何人でもよいこととし制限時間はすべて同じとしている。ヒモギリ式では1級合格のためには30秒以内で炎にできなければならない。2級が45秒以内。3級は1分以内で合格。4級は2分以内。5級は3分以内合格とする。


ユミギリ式
ユミギリ式ではヒモギリ式のヒキリ棒・ハンドピース・ヒキリ板などは,そっくり同じものを用いることもでき、ヒモの代わりに弓の弦を巻き付けて弓を前後に往復させることで棒を回転させる方法で1人で行う。ユミギリ式の技能検定基準は操作を一人だけで行う以外はヒモギリ式と全く同じである。 北極圏に住む民族から伝わったようで日本列島では北海道地域など北方地域に伝わったとみられる。例えば古代アイヌ民族など。





それ以外の古代発火法にヒミゾ式・ノコギリ式・火打ち石式などがあるが本検定協会では検定の対象とはしていない。なおマイギリ式(伊勢神宮など)については古代日本列島では行われていなかったという見方が有力なのでこの発火法も検定対象からは省かれている。(関連文献参照)

{2025.7.1.に追加規定を設けた理由。従来の規定には同日に同じ内容の申請で複数回の検定受験が可能かどうかについては何の規定もなかった。そうした行為は想定外だったからである。しかし第71回検定時にタイム認定テストが同じ会場で行なわれるようになってから事情が変化してきたと思われる。タイム認定テストは原理的に同日に何回でも同じ内容での受験が可能である。それにつられて通常の検定でも同じ内容での複数回受験が行なわれるようになった可能性がある。すなわち次の第72回検定のとき初めて同じ内容での検定2回目受験者があらわれた。しかしこのときはその一人だけであった。ところが次の第73回検定では同一内容での複数回受験者が数名に増加し、その次の第74回検定でもその傾向は継続した。しかし、よく考えてみると本来認定書なるものは或るレベルの発火技能が安定的に身に付いたとき与えられるべきもので、同日に何度も繰り返しているうちにやっと発火に成功したという程度の技能にはふさわしくない。本検定協会では1回の申請書で事実上は2回の受験が可能なのだから、それで不合格となった場合は日を置いて練習を繰り返し、技能を磨いた上で後日あらためて検定受験することが望ましい。同日に何度も受験することは技能向上には無意味だということを再確認して欲しいため追加規定を定めた。}