ひさピン in 根岸
〜 ひさ&キヨ ツーマンライブ 「故郷を少しだけ離れて」〜

2015年9月26日(SAT)
根岸 Bear Cafe



アンバサダー・キヨというシンガーがいる。
高校時代の1年先輩であり、フォークソング部では僕の一代前の部長だったお方で、実は今でも僕がギターを弾く時に使うフラットピックスリーフィンガー奏法は、この人に伝授していただいたという因縁を持つ。

青春時代に音楽にハマり、日々の生活の中でいつしか楽器を手にしなくなってしまう人が沢山いるが、キヨさんもそんな一人だった。
あれは7年前の正月、フォークソング部OBの新年会に僕が持って行ったギターをキヨさんが手にした事が、今思えばキヨさん大復活のプロローグだったような気がする。
それまでは、同じ横浜に住みながら年賀状交換する程度のお付き合いだったが、その月にベアカフェで行われた岸壁ユニットのライブに駆けつけてくれ、その場の勢いで半年後に行われる「さぷらいず」のライブにゲスト出演していただく事が決まる。
半ば強引だった気もするが。(笑)

そして、2008年7月26日、さぷらいずのライブに、30年前のギターを引っさげて約束通りゲストとして登場してくれた「アンバサダー・キヨ」。
この大復活が僕らにとってどれだけ感慨深いものであったか・・・到底言葉では言い表す事ができない。(その時の模様はこちら
その後のキヨさんのご活躍は皆さんご存知の通りである。

思わず枕が長くなってしまったが、このライブレポートを書くにあたり、どうしても必要な情報なのでご容赦願いたい。
 
さて、そんな二人も、その後はお互い自分の音楽シーンをそれぞれのペースで歩み続け、次第にまた疎遠になっていったのだが、今年7月に行われたベアカフェ10周年記念JAMの時に共演者として再会。
その時にbearさんからライブのオファーを受けたキヨさんが、その共演者として、何と!この僕に声をかけてくれたのだ。
キヨさん自身もいろんな想いの中で行う久々のベアカフェでのライブ・・・「共演はヒサしかいない!」という有難いお誘いに、暫くライブを控えようと思っていた僕だが、一も二もなく快諾させていただいた。

そして迎えたライブ当日、正直、お客様の入りが一番の懸念事項だったのだが、有難い事に音楽仲間たちが多数駆けつけてくれて何とか一安心。
この日の為に金鶏堂さんが書いてくれた題書が花を添えてくれた。

キヨさんがこのライブにつけたタイトルは、「故郷を少しだけ離れて」。
沼津産の田舎者二人が、35年の時空を超えて横浜の片隅で初めて行うツーマンライブのタイトルとしてピッタリだ。
ライブはそれぞれ30分ずつ交代で、それぞれ2回のステージ。
一人計1時間の枠だが、1時間続けてやれるほど若くない・・・という、キヨさん曰く「オジサンの体に優しいライブ」構成になった。(笑)

そんなこんなで定刻の午後7時、まずは私ひさの演奏で第一部スタート。

第一部は、キヨさんと初めて共作した「遠い雨に濡れながら」で始め、僕が誰かに歌ってもらう為に作った曲を並べてみた。
ちいさんに歌ってもらう為に作った「この想い永遠に・・・」は、JULYバージョンとキーを変えて、少しアレンジもいじったひさバージョンで、
そして、台湾のかずさんに差し上げた「セピア色のフォトグラフ」に続き、最近僕の事を「兄貴」と呼んでくれるsueちゃんの為に作った出来立てホヤホヤの新曲「オリオンの願い」を初披露。
第一部最後は、殆ど唄ったことのないキヨさんとの共作「届かぬ想い」で締める。

第二部のキヨさんに続く、ひさの第三部は、高校時代にキヨさん達に影響されて聴き始めた「ふきのとう」のナンバーから「思い出通り雨」をチョイスしてスタートし、故郷をテーマにした曲を集めてみた。
ずっと封印していたので、恐らく横浜では初公開となる、高校2年生の時に初めて作ったオリジナル「帰郷」、
まさにキヨさんと共に過ごした高校時代を唄った「三枚橋の天守閣」、
そして故郷の母を想って作った曲「海と山と母と」と続ける。
最後は賑やかに締めようという事で、故郷とは全く関係ないが、11月に行われるM♂EXPRESSのライブ宣伝も兼ねて、角松敏生の「WAになっておどろう」で締め括った。


第二部と第四部に登場したキヨさんも、このライブにかける想いは全く同じだったと思う。
決して打合せをしていた訳ではないが、活動再開した頃に唄っていた曲や、故郷をテーマにした曲をちりばめてくれたので、期せずしてライブ全体に一つの大きなテーマが流れ、客席の皆さんはともかく、唄っている演者にとっては、ノスタルジー感いっぱいで、とても幸せな気分にさせてくれるひと時となった。

キヨさんの第四部の後にアンコールタイム。
店主bearさんの計らいで、まずは私ひさが指名される。
第三部を終わってアルコールを摂取しながらリラックスしていたので、突然の指名で慌てたが、リクエストしていただいた「『いちご白書』をもう一度をもう一度」を唄うと、続くキヨさんのアンコールは、bearさんと金鶏堂を交えて「KOMADAI UNIT」が復活!
何だかグッとくる流れの中、とっても素敵な雰囲気でライブのクライマックスを迎える。


最後の最後にキヨさんが唄ったオリジナル「唄うんだよ」が、このライブの全てを象徴していた気がする。
勝手ながらその歌詞をここにご紹介させていただこう。

唄うんだよ(ベアカフェ・バージョン)

大きな声で歌うんだよ
小さな声でも歌うんだよ
楽しい唄を歌うんだよ
悲しい唄も歌うんだよ
故郷の唄も歌うんだよ
都会の唄も歌うんだよ

出会いの唄を歌うんだよ
別れの唄を歌うんだよ
恋人の唄を歌うんだよ
友達の唄を歌うんだよ
家族の唄を歌うんだよ
ちょっと照れながら歌うんだよ

根岸のベアカフェでも歌うんだよ
ヒサと一緒に歌うんだよ
ベアさんと一緒に歌うんだよ
金鶏堂さんと一緒に歌うんだよ
とにかく僕は歌うんだよ
なぜなら僕は唄が好きだから


自分の道を真っすぐ歩いていたら、いつしか少しずつ離れてしまい、お互い何となくよそよそしくなってしまった友・・・。
そんな心の隙間を一瞬にして埋めてくれる音楽という魔法。
そして最後はこのショット!
僕のライブ履歴の中でも最上級の一幕になった事は確かだ。
先輩の方から手を差し伸べてくれたキヨさんには感謝の一言に尽きる。

最後に、ライブのオファーをくれたbearさん、
書を届けてくれた金鶏堂さん、
そして、応援に駆けつけてくれた音楽仲間の皆さんに心からお礼が言いたい。
皆さんありがとう!
お陰様でこのライブ、半年に一度続けていくことになりました。
次回もヨロシクです!




■演奏曲目

<第一部>

遠い雨に濡れながら

この想い永遠に・・・

セピア色のフォトグラフ

オリオンの願い

届かぬ想い

<第三部>

思い出通り雨 (ふきのとう)

帰郷

三枚橋の天守閣

海と山と母と

WAになっておどろう (角松敏生)

<第四部 ENCORE>

「『いちご白書』をもう一度」をもう一度


■競演

 アンバサダー・キヨ


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