お や お や

1月

むらさき幼稚園に出会って

 
 長男はもともと違う幼稚園に通っていました。設定保育の隙間に遊び時間があるような、バリバリの管理保育といった感じの園で自分で好きなように時間を過ごしたい長男には合っておらず、ひきつった表情で登園する毎日でした。
 そして、引っ越しを機に転園することに。自由に遊べる方がいいねとホームページを見てむらさき幼稚園を見学することになりました。門を入ると「何しに来たんー?」と元気な声がしました。顔を向けるとジャングルジムの上に女の子がいたので「幼稚園を見に来たの」と答えたのですが、女の子の目があまりにも輝いていてとっさに「合成?」と驚き二度見してしまいました。それはもう10年程も前ですが鮮烈に覚えています。
 春には毎年、陽光のなか飛び交う蝶がまさに生を謳歌しているようでキラキラ美しいと見とれてしまうのですが、むらさき幼稚園のなかで夢中で遊び回っている子ども達も見ているこちらが嬉しくなるほど「生きている」感じがします。
 入園させていただくと、「こんなんしていて大丈夫なん?」と心配になる程、長男は大暴れしていました。でも先生も他のお母さん方もとてもおおらかに受け入れてくださりました。その頃、私は自分に自信がなく良いように思われたいと気を張っていて新しい園でうまくやっていけるか心配でした。いつも思うのですが、むらさき幼稚園で出会ったお母さん方はとても個性的で楽しく、それでいてお互いに受け入れ合っている雰囲気があります。うまく話せなくても何か失敗しても子どもが暴れん坊でもニコニコ仲良くしてくれる人たちのなかで、自分は思い描く理想の自分ではないけれど、こんな私でも悪くはないんだな、こんなもんでもいいんだな、と思えるようになりました。周りの人が受け入れてくれることで自分の事を受け入れることができるようになったのだと思います。
 すると、不思議なもので子どもに対しても「このままでいいんだ。見ているだけで可愛いし面白い?」とそのままを好きになる事ができるようになっていきました。それまでは、子どものすることに一喜一憂して、しっかり育てなければ、早く出来るようにしてあげなければと思う心も強かったのですが「これでいいんだ。」と思うとふっと力が抜けて熱のこもった目で子どもを見ずに済むようになりました。見て感じて考えてやってみるという事を毎日丁寧に体験してじっくり育っていっているのだと思うと、信じて待つことが怖くなくなりました。
 認めて信じてもらうと自分を好きになれるし、自信を持つと挑戦する気持ちも湧いてくると思います。できれば私も、子ども達がそう感じられるような安心感をあげられるようになりたいです。
 入園してしばらく経っていつものように暴れたくる長男を見ながら園長先生が「水が合ったようで」と微笑みかけてくださり「この子も私もここに来てよかった。」と思ったことをよく覚えています。
 子どもの事はいつまでも心配でハラハラして自信を失いそうになる時もあります。でも、きっと大丈夫、色々な経験をしている途中なのだから信じていよう、と思えるようになったのはむらさき幼稚園で過ごした日々のおかげです。
 もうすぐ卒園となり園長先生やお世話になった先生方、お母さん方に会う機会が少なくなるのはとても寂しいです。たくさんの優しく素敵な人たちに出会えて本当によかったです。
 これからも等身大の自分で子ども達と一緒に育っていきたいなと思います。
 たくさんの育ちをありがとう。




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