お や お や

9月

まぁ、いっか。

 
   Rはへんやなぁ、と思います。へんなところがめちゃくちゃ可愛いなぁ、と今は思います。  小さな頃から、思い通りにいかなかったら、予想外のことがおこったら、癇癪をおこし、そんな事があった日には全員起床する夜泣き…。数日続くこともありました。
 愛情不足?この子変わってる?私が悪い?たくさん悩みました。妹の誕生により拍車がかかったまま入園。
 どうなることやら…の心配は空振り。私と離れるのは平気なようで、すんなり入園しました。勝手なもので、それはそれで少し寂しかったけれど、一安心しました。が、集団行動は苦手。お楽しみ会、運動会、完全無視。展示されてる写真の中でも、違う事をしてる姿。うーん…。「みんな楽しそうにしてはるよ、行っておいで」は、拒否を助長するだけでした。
 切り替えるのが下手で、自分と違う意見は受け入れない頑固者。そんなRが、年中になってしばらくした頃「まぁいっか。」と言いました。めちゃくちゃ驚きました。まだまだ、違う、嫌や、間違ってる!とプリプリしてはる事の方が多いですが、許せるキャパを持てるようになったんだなぁとしみじみ。納得するまでの時間も劇的に短くなりました。例えば自分でしたかった事をうっかり手伝ってしまった時、今までなら大の字になって大暴れして泣きながら怒ってたのに、「もぉ~、ちゃーちゃん(私)ったらぁー」って叱ったあとに「こんどはRがやるしな!」って言ってくれます。次がある事に気がついたようです。
 同時に夜驚もなくなり、言葉が進み、気持ちを教えてくれるようになったことで、私も、きっと本人も、すごく楽になりました。
 あぁ、あの時はこういうことを言いたかったんか…と、迷宮入りしていた問題も、今になっていくつか解けました。
 2年前の夏、初めて見学に来た時、最初に見たのは園児と一緒にカブトムシを触ってる園長先生。そして自由に遊びを楽しむ子どもたち。砂場で水遊び!?職員室通り抜けていいの!?極め付けに鳥になんか葉っぱ食べさせてるぅ~!鳥類苦手な私、沈黙…。だけど、ワイワイガヤガヤなんだかみんなとても楽しそう!Rも楽しそう!こりゃ、帰る時、泣くやろうなぁ…。予想的中、大号泣。園庭でひっくり返って大騒ぎしているR。でた、とゲンナリする私。そんな時、素直に自分が出せていいですね!と声を掛けてもらいました。目から鱗でした。お母さん大変やけど、いいことですよ、と。いいことなの???そんな風に言われたのは初めてで、心が少し軽くなりました。あー、ここならマイペースで気難しい彼も楽しく過ごせるかもしれない。小学校に入ったら、否応無しに始まる時間割。それまでは、好きなことを好きなだけすればいい。そう思ってむらさき幼稚園を選びました。
 つっぱねた時でも叱られなくて、気をそらせるでもなく、寄り添ってくれる場所は居心地が良くて、大好きみたいです。嬉しいや楽しいを表現するのはあまり得意ではないようで、楽しそうな彼をこっそり確認していた日でも、「幼稚園どやったー?」「ぜーんぜんおもしろくなかった。」
 え、むっちゃ笑ってたやん…楽しそうやったやん…とつっこみたくなりますが(思わず言ってしまってる日もあります)幼稚園に行かないと言ったことはほとんどありません。年中になってから、園での出来事を教えてくれたり、楽しかったー!と言ってくれることも増えました。
 泣いて笑って喧嘩して、怒ったり怒られたり、ぶっつけ本番、超実践で人間関係を築いていく姿に逞しさを感じます。毎日ドロドロで、全力で生きてるなぁ。
 私も、意味不明なこだわりを炸裂させている彼を、わからへん、困った、悲しい、どうすればいいの、が多かった今までから、へんなのー、なにそれ、おもしろ、なるほど!と楽しめるまで成長しました。
 最近はRの目線での話を聞くことができて、会話するのがとても楽しいです。予想外の回答の連続で、毎日色んな発見があります。破天荒な妹に滅茶苦茶にされても優しいお兄ちゃん。どんどん優しくなるしかなくて、気の毒なような気もしますが、頼りにしてます。
 今年の行事はどんなかなぁ。来年の今頃はどうしてるかなぁ。大きくなるにつれ、また壁にぶつかることもあるけど、たくさん悩んでたくさん笑って、「まぁいっか。」で切り替えよう。一緒に成長していこう。
 この先どんな変化を見せてくれるのか、何を教わるのか、楽しみがいっぱいです。



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