お や お や

10月

成長すること、変わること

 
 Cは私が気づいたときから一人遊びが上手で聞き分けがいい子でした。ずっと手のかからない子だと思っていたのです、私が彼女の隠れた気持ちに気づくまでは…。
 一見手のかからないCですが実は自分の気持ちを表に出すのが苦手で人に甘えるのが苦手な子、お友達と遊びたいのにそれを表現することが出来ない子。そのことに気づいてから私のCへの視線が変わっていきました。絶えずそれは本心か?我慢していないか?本当は一緒に遊びたいのに入れないのではないか?と考えながらCを見るようになりました。すると手のかからない子だと思っていたCが実は私の手助けを必要としている子なのではないか?と思えるようになりました。
 ただ、私には迷いがありました。彼女が本当に私の手助けを必要としているのかそれとも余計なお世話なのかわからなかったのです。一人遊びが悪いわけでもないし人の中に入らなければいけないわけでもない。ならばそのままのCを見守る方がよいのではないか?とも思えました。
 第3子が生まれた直後、Cは2歳半でした。その頃はよく主人がお兄ちゃんとCの面倒を見てくれていました。でも、お友達が大好きで複数の人と遊ぶのが好きなお兄ちゃんは主人と遊んでいて妹のCは離れたところで一人遊んでいるということが多かったです。最初は私も一人遊びが好きなのだと思っていました。でもよく見ていると、お兄ちゃんたちの遊びが盛り上がってくると、一人遊びの手が止まっている。顔はそちらを見ていないのですが、明らかに耳はお兄ちゃんたちの遊びを気にしていました。
 そのことに気づいてから私のCへの対応が迷いながらも少しずつ変わっていきました。Cの姿が寂しそうに思えてきたのです。「C、一緒に遊びたかったら仲間に入れてって言えばいいんだよ」と声をかけたりかけなかったり、くつろいでいる主人のおなかの上にCを置いて「遊んで~」と私が言ってみたり放っておいたり、主人に遊びに誘うようお願いした時もありました。その時のCの様子と私の気持ちで干渉したりしなかったり。私の迷いがそのまま表に出た一貫しない対応でした。けれども、どんな時も子供たちのことをしっかり見ていようとは強く思うようになりました。
 そして、そうこうしているうちにCが少しずつ変わっていきました。最初は私が何を言っても「Cは今これをやっているの!」と私の干渉を拒絶し仲間に入ろうとしなかったCが、私が干渉したときや主人に誘われたときはまれに仲間に入るようになり、どうしても仲間に入りたいときはさりげなく近くに寄っていくようになっていきました。
 そんな人とのかかわりを少し求め始めたころCは幼稚園に入園することになったのです。幼稚園に入園するとき私は心配でたまりませんでした。先生とはなじめるのか?お友達と素直に遊べるのか?自分の居場所を見つけられるのか?入園直後の個人懇談でも、Cが人に甘えるのが苦手なこと、一人遊びをよくしているが決してお友達と遊ぶのが嫌いなわけではなく自分からお友達の中に入るのが苦手なこと、最近はだいぶ素直に行動できることも増えてきたけれどもそれでもまだスムーズに人の輪には入れないこと、人に興味がなさそうだけれど本当はとっても優しい子なのだということを先生にお話ししました。
 けれども、そんな私の心配をよそに最初は先生に触ることもできなかったCが、先生と寄り添うようになり手をつなぎ始め少しずつ甘えることが出来るようになっていきました。そしてお友達を自力でつくり数人で遊ぶ姿も最近では見かけます。もちろんその間、入園後に眠れない日が2~3週間続いたり夜泣きをしたり熱を出したり、お友達が数日お休みしたら日に日に元気がなくなって幼稚園休むと言い出したりといろいろなことがありましたが、私のあの心配は何だったんだろう?と思うほど幼稚園が大好きでお友達と遊ぶのが大好きになりました。
 あの時私が干渉したことが彼女にとって良かったことなのか今でもわかりません。自分で模索した方が自分に合った方法を探し出せたのかもしれない。放っておいても成長とともに変わっていったのかもしれない。けれども私がCのことを思って迷い考えた時間は無駄にはなっていないと根拠もなく思っています。そしてこれからもずっと迷い考えながら子育てをしていくのだろうと思っています。



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