お や お や

12月

緊張(ドキドキ)の壁

 
 Rがむらさき幼稚園に入園して1年8ヶ月が経ちました。
 幼稚園はRが長い人生を歩んでいく為の土台作りの場所。幼稚園選びも、躾や勉強を取るか、自由保育を取るか迷いましたが、子どもらしく伸び伸び育ってほしいと思い、むらさき幼稚園を選びました。
 むらさき幼稚園は子育てする上で、「子育てはこうでなければならないのでは?」と考えがちだった固い思考を柔らかくでき、たくさんの気づきを得られる場所で、私にとってむらさき幼稚園との出会いはとても大きなものでした。今ではRにとっても大きかったのではないかなぁと。
 入園前、あまり積極的に行動するタイプではないRに対して、「積極的に行動する方がいいのでは?」と思っていた私は、サークル活動に参加しRをその場に慣れさせようとしていました。その時のRの表情は緊張し、笑顔も少なく時間だけが過ぎていく…。そんなRをみて「これから大丈夫?」と。そんな感情を抱えながら、幼稚園生活がスタートしました。
 「泣くかな?大丈夫かな?」と心配していたバスでの登園初日。先生とベテラン添乗員さんにササーッと誘導され泣かずに登園!その時の表情はカチカチでしたが、泣かずに乗った事に私は一人満足。でもその時のRの心境を思えば、かなり、かなり頑張っていたんだと思います。それからも泣く事なく登園を続け、入園前に不安に思っていた事も「大丈夫そうだな」と思っていた頃、担任の加藤先生から、入園から1ヶ月間の様子が書かれているお手紙を頂きました。私は手紙の内容に驚き、そして感動して、キッチンで少し動けなくなった…という状況を今でも鮮明に覚えています。
 入園してからの様子が細かく書かれた手紙には、泣かずに登園しているものの、幼稚園ではほぼ笑顔ゼロの緊張顔で加藤先生にどこまでもついていく。そこには想像していた以上に頑張って過ごしているRの姿が書かれていました。そして、それを見守り優しく声かけしてくださる先生の気持ちがたっぷり込められていました。
 入園前から思っていた「積極的に行動するのがいい」とか、「泣かないから大丈夫」と思い込んでいた私の思考がその手紙で吹っ飛んでいったように感じます。泣くということをマイナスに捉えていた私に、不安いっぱいでも泣かないRに対して「泣いても大丈夫だよ」と言う感情が芽生えた瞬間でもありました。
 そこからまだまだ年少のRには緊張の日々、ドキドキが続きます。お誕生日会などクラスメイトがキュッと集まる時は、その場から取り敢えず離れる。身体測定は着衣のまま。それでもそんなRを注意するのではなく、別の言葉で優しく丁寧に対応してくださる先生方にRも私も心から安心でき、年少時を過ごす事ができました。
 どんな時でも「幼稚園に行きたくない!」とならないのは、緊張するけれど幼稚園にはそれ以上に楽しい事や興味のある事がたくさんあるんだろうなぁ。と感じながら年中を迎えました。
 始業式から帰宅してきたRの一言は「今日かられもんさんになったんだけど、トイレは誰と行ったらいいんかな?」でした。年少の時、加藤先生とずっとトイレに行っていたので、それはRにとって大問題です。「明日からは正野先生と行ったらいいよ~。」と伝えました。新しい教室にクラスメイト、新しい担任の先生のトリプルドキドキ。年少時を思い出すかのようなカチカチな表情で過ごしていましたが、今は安心できる正野先生の背中やお友達ができ笑顔で登園しています。
 最近では、緊張する気持ちをコソッと先生に打ち明ける事もできるようになりました。大人でも正直な気持ちを伝えるのは難しい事です!そんな気持ちを素直に話せるようになったのも、普段言葉に出さないけれどRの表情や行動をしっかり見守っていてくださる先生の存在がとても大きいと感じています。
 そんな日々の小さな(たまに大きな)ドキドキをRのペースでゆっくり乗り越え、それを乗り越えた時の喜びや頑張りが自信に繋がっていってくれたらいいなぁと願っています。



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