お や お や

11月

娘の変化

 
 娘は生まれた頃からとてもおとなしい子でした。未就園児が集まる場所に行ったときも、他の子どもとの関係で困るなぁと思ったことはありませんでした。その代わり積極的に自分の思いを出すということは苦手のようで、いつも私のそばで遊んでいるという感じでした。
幼稚園には姉の卒園と入れ替りで入園しました。入園前から姉の園行事などでよく来ていたので幼稚園は慣れた場所でしたが、私も姉もいない幼稚園に馴染めるのか少し心配していました。
しかし登園初日から、さっさとバスに乗り込み、帰って来てからも「うさぎさんにキャベツあげた」、「すべり台すべった」と幼稚園での出来事を話してくれました。それからも先生やクラスメイトと一緒に楽しいことをいっぱい見つけて遊んでいるなぁという印象でした。    
 年中になった一学期は変わりなく過ごしていた娘でしたが、夏休みが明けて二学期が始まると、すぐ幼稚園に行きたくないと言い始めました。最初のうちは長い休みの後だからかなぁと気にしていませんでしたが、一か月たっても二か月たっても変わることはありませんでした。
「なんで行きたくないの?」と聞くと、「幼稚園で何して遊んでいいかわからへん」、「友達いいひんねん」という答えでした。先生からのお手紙や、私が幼稚園で見る娘はそんなことを思っている様には見えなかったので、それを聞いたときは正直ショックでした。行事のある日(何をするのか決まっている日)は比較的すっと行ってくれましたが、何もない日は前日から何度も行きたくないと訴えてきました。入園してからこれまで順調な園生活を送っているように見えていたのでどうしたらいいのかわからず、先生や保護者の方からもお話を聞いて考えました。再び幼稚園に行きたいと思えるようになるかはわからないけれど、幼稚園でのことは先生にお任せして、私としては娘が家にいる時にはできるだけ楽しく過ごせるようにし、いつでも娘の変化に気づけるよう様子を見ていくことにしました。家での娘はよく話しよく笑う子なので、これを幼稚園でも出せるようになったらいいのになぁと思っていました。
そして三学期になりましたが、依然として変化はなくこのまま年長に突入するのかと思った頃、娘から友達ができたと言ってきてくれました。友達というのは、“チーパッパ”のことでした。たまたま年中のお部屋に入ってきたチーパッパに関心を持った娘が、段ボールでお部屋を作ったり、新聞紙をちぎってお布団を作ったりしてお世話をするようになったことがきっかけだったようです。このチーパッパのお世話をしている姿がとてもいきいきしていたと先生から教えていただきました。安心できる居場所と友達をみつけることができたことは娘の転機になったようです。
この少し後に、幼稚園にぬいぐるみを持って行ってクラスメイトと遊びたいと言ってきました。これで幼稚園に行きたいと思ってくれるならとOKすると、娘は「早く幼稚園に行きたい」と言ってとても喜んでいました。この言葉を聞く日がくるとは…。
数日後には、ぬいぐるみの助けは必要なくなりましたが、この日を境に「幼稚園に行きたくない」とは言わなくなり今に至っています。
 年長になった幼稚園での娘は、驚くほどの変化をとげました。
しないだろうなぁと思っていた御忌会の代表さんに立候補したり、棒によじ登ってキッシーの高い方の吊り輪にチャレンジしたり、友達とキャーキャー言いながら走りまわって遊んでいたりと自らを思いっきり出して、いきいきと園生活を楽しんでいます。
娘がこの様な変化をとげられたのは、先生方がどんな状況のときにも変わりなく見守ってくださっているからです。ありがとうございます。
 私も、ここでの出会いや経験を通してたくさんのことを学ばせてもらっていますが、その中でも見守りの大切さと実践することの難しさについていつも考えています。いつの日か先生方のように子どもを見守れるそんなお母さんになれたらいいなぁと思っています。



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