お や お や

7月

親の安心、子の安心

 
 新学期、ピッカピカのレモン色名札を、嬉しそうに私達に見せてくれたY。楽しかったしろはと組に思いをひきずるかと思いきや、れもんの組でひとつお兄ちゃんになったのが嬉しかったのでしょう、れもん組にすがすがしい気持ちで通い始めました。
 しろはとさんになったばかりの4月、マニュアル通りのように自転車で送っていた私と離れるのを嫌がりました。「お母さんが園まで来られる徒歩通園は、バス通園より慣れるのに時間がかかるんですよ」と先生に言われ、バス通園にしておけば良かったかななんて思いながら、日々送っていたのを覚えています。そうこうしながらも無事1学期を終えた時、Yが「バスで行きたい」と言いました。どうやら、しろバスで帰っていく皆が羨ましかったようです。私は簡単に徒歩にしたりバスにしたりできないのだと口を酸っぱくしながら伝えましたが、意志は固く2学期からバス通園に変えました。9月1日からウキウキしながらバスに乗り込み、毎日楽しそうに通いました。しかし、2学期の半ばすぎ、ある日突然バスにのらなくなりました。しかも朝の登園時だけ。帰りは楽しそうにバスで帰ってきます。理由は今となってはあれだなと分かるのですが、その当時は全く分からず困りました。山口先生に相談すると、「とにかく朝バスに乗りたくないことを親は受け止めて、それでいいよ、とお母さんも普通に送ってきて下さい、そしたら、安心して、いつかす~っと、バスに乗る日が来ます」と言って下さいました。添乗員のお二人にも、「こんな風に本人の気持ちに合わせて行かせてあげられるのも幼稚園のうちだけだから、いいんじゃないかな~」と言って下さり、親の私も気持ちが楽になりました。「無理にでもバスに乗せて下さい」と言われていたら、私自身も毎朝緊張と「こうあらねばならない」のプレッシャーでイライラしていたかもしれません。親と子のそのまんまを受け止めて下さるむらさきに本当にありがたいな~と感じました。
 そしてYはついに3学期の最後の日までと、新年度の最初の二日間は自転車で登園しました。でも実は私は、「Yちゃん来たよ~!加藤先生あっちだよ~」などと、しろはとの皆の声をかけてくれる姿が可愛くて、朝送るのが楽しかったのです。
 雨の多い4月でしたが、入園式を翌日に控えた日、暖かな日差しと穏やかな風の吹く中を登園中、自転車の後ろに座るYに、「な~、明日から新しいしろさんも来はるし、月曜から朝バスに乗ったら~?」と何げに言った私に、「じゃ~バスでいこっか~♪」と明るい声で答えたY。新しいしろさんと共に朝のバス通園を再開したのでした。親の安心安定が、子の安心安定に繋がると言われていますが、私自身も朝の自転車登園を楽しみながら行った事、山口先生の言われた通り、Yのそのまんまを受け止めて普通に送っていたことがよかったのかなと今では思えます。
 バスの件に限らず、Yの色んな姿をむらさきは全て一歩一歩の成長として受け止めて下さり、私自身、子どものありのままを受け止める大切さをはじめ、沢山の気づきを得て子どもと共に成長中です。



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