お や お や

1月

むらさき○年目

 
 第一子の長男が小さい頃、よく「いいなぁ、うちの子と違って良い子やね」と言われました。でも、年令の割に“言いなり”な場面が多いように思えていた私は、これでいいのかともやもやした気持ちを抱えていました。その頃プレイルームを知り、先生にお会いしてすぐに入会を決めました。初めて私の”もやもや”を理解してもらえたと感じたからです。それがむらさき生活の始まりでした。
 プレイルームで「私が思う“嫌なはずのこと”が必ずしも長男にとっての“嫌なこと”と同じとは限らない」と知りました。おもちゃをとられても「ま、いっか」という程度でイヤとは思っていない様子の長男。欲求を表現できないのではなく、まだ強い欲求を感じていないだけ。言いなりなのではなく、素直にそれでいいと思っているだけ。子どもは全身で要求をぶつけてくるものだと思っていた私は、一人一人違うということを予想しなかった形で経験しました。
 その長男が入園し、平和的マイペースの彼にも「イヤだ」と感じることが増え、ストレスを抱えるようになりました。自分の気持ちを相手に表現すれば状況が変わると実感できるまで長くかかりました。頑張っている長男自身と、心の中で「言ってみな!ほら!」と念を送り続ける私は、どちらも涙することの多い心の不安定な時期を過ごしました。しかし、自分で感じ、自分で勇気を持ち、自分で結果を見届けた彼の成長は計り知れないもので、貸したい手を引っ込めて見守り続ける意味を深く感じた出来事となりました。
 そして長男の卒園と同時に長女が入園しました。周りをよく見過ぎて動けなくなる子でした。誕生会やカフェテリアで欲しいものを欲しいと言えず空腹のまま帰ってきました。先生やボランティアさんが「お皿にいれとこか?」と声をかけてくれても、黙って首を振り続けていました。そんな彼女も年長の頃には大声で笑い、遊具を全制覇し、園庭の果実を自らもいで食べるようになっていました。彼女が自ら心のバリケードから出てくるのを、無理強いせず待っていてもらえたからだと思います。
 そして、長女と入れ替えに次男のKが今年度入園しました。スムーズに園生活が始まったと思いきや、顔をひきつらせて居場所を探すようになり、お弁当ボイコットが始まりました。運動会ボイコットもしました。三人目のKは打たれ強いだろうし、長男や長女の時よりも楽に集団生活が始まると思ったのは甘かったようです。先生に不安や主張を受け入れてもらいながら毎日を過ごし、今は気持ちを言葉にして譲歩できるようになりつつあります。Kの様子をよく見て接し続けてくださる先生方に感謝しています。
 私がむらさき幼稚園にお世話になって何年たったのでしょう(笑)。今も先生方の保育姿勢や子供の反応から学ぶことばかりです。本当に一人一人違いますね。長男や長女との経験をいかしつつ、経験で思い込まないようにKと接していきたいです。



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