園 長 と 語 ろ う

令和3年5月

― 安心起(あんじんき)行(ぎょう)の保育 パート2 むらさきが大切にしていること―

 お母んの家事に勤しむ姿を園児に見せてやってほしいのです。「学び」の語源は「真似(まね)び・(真似ごと)」→「学び・(ままごと)」。お母さんが家事に勤しまれる姿が子どもにとっては最も素敵な姿で真似をしたがります。その姿はいつも自分に目が向いているのですから・・・。サンマを七輪で焼くお母さんが「焼いたサンマを食べると元気な子になれるのよ!」や、洗濯たらいで洗濯板をつかって泥遊びで泥んこになった我が子のズボンやシャツを石?をつけてゴシゴシ洗う母親が「ドロドロのズボン、これで真白になってサッパリするよ」・・・などと自分ばっかり見てくれているお母さんの姿が素敵と思えるから。ままごと遊びのグッズも釜にカマドや七輪に、洗濯たらいや洗濯板のミニチェアで、まねごと遊びが当時のむらさきでも園の砂場の横にある手洗いの所で洗濯ごっこが始まります。(四、五十年前の話ですが)固形石けんがなくなる程に使うものですから泥染めのシャボンが飛び交いそうです。

その頃の父親は親の仕事を継いだ人以外は会社勤務で、土曜日も出勤日。(幼稚園など学校は半ドンでした)”猛烈社員”という言葉が、お父さんの日常生活(働き)振りを表していました。

保育室で一人の男児が膝枕でゴロ寝しているのを「〇〇くん何してるの?」と聞いてみると、「お父さん日曜日で野球見てるねん」・・・と唯一テレビ観戦でカンビールでも飲んでリラックスしている父を演じるのはそんな姿しか見られなく、朝早くから出勤し帰宅は家族みんなが寝静まっている頃なのでしょう。こんな時世に家族の重労働から解放しよう・・・と電化が急速に進歩し、家事に勤しむ母の姿は見る事が出来ません。チャッカマンひとつ、スイッチひとつでおやつが出来ますし、学校から帰宅した子どもが「おかあさん、おやつー」「チンして食べー」の会話で親子には通じ合っているのですから。

この次世代に女児が真似る母親像はドレスアップしてハンドバッグを片手に数人のマダムが東京弁で話し合い買い物に行く様です。数年しか経っていないその次の世代は母に連れてもらって犬や猫に到るまでのペットになるのが子どもの夢でした。連れるお母さん役になってくれる友達を見つけるの大変ですが・・・。

現在は二年も続くコロナ禍で子ども達が真似たくなる母親の姿はありません。あまりにも家族の健康を思い、悩み労力を費やす母の姿は真似し難いのでしょう。

コロナ禍は食生活の面でもご家庭では変化がおこっています。私の家でも夕食はデリバリーなどにお願いする事が少し増えました。

こんな時代だからこそ手仕事や手作業でされるお母さんの姿を見せてやってほしいのです。本来なら園に来て頂き、ボランティア活動をとして保育室に入り手仕事して頂くのですが、園に入って頂くことができませんので普段お母さんがされている家事のひとつをお子さんといっしょにしてみてください。食事の支度を一緒にしたりおやつを作ったり、洗濯物をたたんだり・・・と。ほかのお父さんやお母さんの得意なものがあればいっしょに作ったりやってみたりしてください。・・・といっても教えようとは思わないで、お子さんが真似をしたいと言えばレベルアップをしてみてください。こんな時代だからこそ親子共々”ほっとする”時を作ってはいかかですか。




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