― 有終の美を成す―
15日(月)より令和二年度、有終の美を飾る「生活発表会」が始まりました。この年度はコロナ感染拡大防止の工夫をこらした1年で子ども達にも不自由な生活の毎日を平常と思えるようにさせてしまう程です。
幼児教育・保育では「豊かな感情を育む」・・・とか、「主体性を育む」・・・「好奇心豊かな子」・・・と抽象的だったのですが平成30年4月1日より施行された幼稚園教育要領では5領域の1「健康」健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活を作り出す力を養う。2「人間関係」他の人々と親しみ、支え合って生活するために自立心を育て、人と関わる力を養う。3「環境」周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わりそれらを生活に取り入れていこうとする力を養う。4「言葉」経験したことや考えた事などを自分なりの言葉で表現する力を養う。5「表現」感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して豊かな感性や表現する力を養い創造性を豊かにする。と一般社会人が読めばわかるように(可視化)したもので基本は明治の日本国新政府が誕生した頃の幼児教育と内容は何も変わっていないのです。
江戸時代の農村の子ども達は農繁期ともなると田植えや稲刈りなど手伝えるのが12,3歳でもっと下の子は赤子・幼児の面倒を見たり農閑期には寺で読み書きそろばんを住職が教える、いわゆる寺子屋に通っていました。合間を見つけては預けられた弟や妹の面倒を見て母親の役も学んだりと体験学習は弟や妹から頼られたり家族の絆なども学べるのですから豊かな心を育む場は家庭生活にありました。2月18日(木)午前中、だいだいの組の生活発表会があって今見聞きした年長組の姿を紹介してみます。
担任の荒木先生より渡された打ち合わせ資料(シナリオ)に基づき<ねらい>自分の思いを表現し、遊びをひろげるとあり<保護者に伝えたいこと>
●相談する様子を通して子ども達それぞれの出し方で自分の思いを表現していることを伝えたい。●今の子ども達のかかわりの様子や好きな遊びを楽しんでいる姿。担任から渡されたシナリオには10時30分遊戯室に集まる。とあり、年中の子ども達やしろ、だいだいの当人達が入ったり通り過ぎたりしていてその中でもだいだいの子どもが圧倒的になった頃、担任に連れられて数人の子どもと登場。集団に入れない2、3人以外、全員集まったところで「今日は何をするか!」の投げかけに「おばけやしきしたい人、手を挙げて!」(4)「おうちごっこしたい人、手を挙げて」(4)「青鬼ごっこしたい人・・・」(7)「ねんどしたい人・・・」(7)「ふくあそび」(4)「人間ごっこ鬼」(4)・・・。自分がしたいものを数人で何回も聞くものですから呼びかけ人は自分の手をおろして挙がっている手の勘定する人が何人もいてカッコ内4の数は何回しても正確に勘定できず誰が言うともなく4、4、4・・・の連呼。7は私が一瞬で数えたもの。ねんどの7は8だったかな!相談が始まって(10時38分)疲れたのか、数人の仲間が輪になりしゃがんで下向きの頭を突き合わせ決定したのが「人間ごっこ鬼」。輪に入れずシクシク泣く女児に「何がしたいか?」と聞いてやって「人間ごっこ鬼」に決定したらしいのです(11時15分)。37分もかけて遊ぶ種目の一番目が決まりました。鬼「隠れてくださーい」、人間「見ないでくださーい」鬼・人間・・・この単純な掛け合いが延々十分も続き高揚の頂点だったのでしょう、17、8人の子ども達が右往左往・目掛けた人間を追う鬼の前に飛び出した他の人間には目もくれませんので右往左往としか表現できません。3分もかからずに鬼に人間は全員食べられ鬼に変身させられました。休む間もなくもう一回しようとの事で「隠れてくださーい」「いいですよ」・・・今回は1分強で人間全員見つかり食べられて全員大満足。時に11時38分、シナリオの予定時間11時40分、この間担任は目立った指導や声掛けはなく、17,8人の子どもが一時間遊びを決めるという拘束されて知恵を出す相談に費やしたのが8割、後の2割が発散の逃げ回ったり、追いかけたり・・・のクライマックスです。
プラスは2割ほどしかない発散の喜びを得るために8割もの労力を惜しむことなくかえって喜々として受け入れられるのは打算の無い幼児だからこそではないでしょうか・・・。
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