園 長 と 語 ろ う

平成30年4月

― 一学期の保育方針 ―集団生活の始まり―

幼稚園は満三歳になったら幼稚園生活が始まりますが、この子ども達は翌年の四月より、年少三歳児クラスに入園します。むらさきでは満三歳児の入園児が今まで五人が最も多いのですがそれほど少なく、加えて年度途中に入園してくるので二歳児学級としてのクラス分けは出来ず一歳上の年少三歳児学級に編入します。翌年の四月には一歳上の先輩クラスメートは年中組(四歳児)に進級しますので満三歳児で入った子ども達は三歳児学級に入園してくる新入園児と同じクラスで入園式という人生初めての経験に挑みます。入園後、数日はいままでのクラスメートが進級したので戸惑う事もありますが、たとえ数ヶ月でも新入園児にとっては先輩にあたりますので「私それ知ってる」とか「わかるー」といった言動には一番真似したくなる程の魅力を感じるものですから三歳児特有の周りが見えない自己中心の特性をすぐ発揮できます。
三歳児のしろはとのくみも、しろうさぎのくみも園舎が直角に曲がっているコーナーに位置しそのコーナーの内側に砂場を手足洗い場とがセットになりパワーポイントの場となっているので年長から三歳児に至るまで全園児が使用し、三歳児の新入園児にとっては自分達の部屋を出たすぐ目の前で自分達以外の園児が全員魅力あふれる遊びを繰り広げるものですから三歳児特有の周囲が全く目に入らず自己中心という自分本位の本能的行動が「“ヨセテ”と言うのよ…貸して…代わって…」とお願いのセレモニーは一切ふっとんでしまうほど新鮮で活き活きした子ども達(先輩)の生活姿に魅了されてしまうのです。
プラスチックのスコップを何のセレモニーもなく取り上げてしまい、取られた先輩がその子を突き飛ばして泥まみれ…挙句の果てに大泣きさせてしまった事に二人とも号泣です。
入園式の翌日から大号泣の洗礼、これからどうなるのでしょう。この続きは下記―育む愛(幼児編@)―をご覧ください。

―育む愛(幼児編@)―
 三才児は周囲が目に入らず自己中心と申しました。加えて「自我のめばえ」とも言われております。これは自己チューをうんと発揮してあっちでもこっちでも自己中心と自己中心がぶつかり互いに号泣する。そんな経験を一杯して欲しいのです。その為に自己中心という特徴を自然は社会生活を営む「人(ヒト)」に与えてくれたのです。
 入園して毎朝のセレモニーを担任の先生やフリーの先生、加えてボランティアのお母さん方に教えてもらうのですがお母さんと離れることで泣けてくる子にはお母さんに代わって抱っこしてもらったり…側に寄り添ってもらったり…と親身に付き合ってもらったので少しずつではありますがおばちゃんや先生の膝の上から周囲の子ども達の遊びを興味深く見るようになりました。
 入園してから今日に至るまでの間に朝のセレモニーを何人もの大人(担任やフリーの先生、ボランティアのお母さんなど)に教わりました。上靴、下靴の履き替え…。下駄箱に貼ってあるシールを○ちゃんはぞうさんだよ…。△ちゃんは赤いチューリップなどと…。部屋に入ると先に入室しているクラスメートに「オハヨー」「オハヨー」と朝の挨拶をしてリュックやカバンを自分のロッカーに仕舞います。「ぞうさんはどこかなー」「チューリップ…わ」…と。カバンからバインダーを出して、お母さんからの手紙があるかを確かめたり…これだけでも集団生活では一杯のルールを憶えねばなりません私達はこれを概念化と申しますが自分で興味を持ってくれたおかげでその人を真似て…と自分で覚えてくれるのが一番なのですが大人とマンツーマンで教えてもらうことで早速、今日の帰りから自分でやらねばならない事なのですから…。一ヶ月もするとボランティアのお母さん方は一人も居なくなる事もあるし、先生よりも馴染みになったボランティアさんの膝に座ってやっと安定して周りの子ども達の遊びに興味を持ち始めているかもしれません。
 集団生活が子どもの育ちにとっては社会生活を営む人間に育つ為にどうしても必要なものです。但し、一つの集落に同じ年齢の子どもが十人以上も集まるという事は余り無く立ち歩きができる幼児はお母さんに連れられて二・三才から七・八才ぐらいまでの十人前後の子ども集団が近所で遊び回っていてその側でお母さんに連れられた二・三人の小グループの子ども達が遊んでる姿に惹かれてお母さんの膝から抜け出しダンゴ虫を見よう見まねで捕まえたら手の中でまん丸のダンゴを掴んでいて、「アレ〜?」と思っている間に怪獣に変身、あまりのビックリに飛んでお母さんの膝に滑り込み、お母さんに「ダンゴ虫が伸びて歩いたの…怖かったねー。お母さんが守っててあげるから大丈夫だよ…」と少しの時間膝の上で母にしがみついていたら、又お兄ちゃん達の遊びを見にいく…とお母さんはこの子が誕れて今日に至るまで大切に大切に育てて来たので年中組のおにいちゃんが時々胸焼けするのがわかっていて、添い寝した下の子がスヤスヤ眠るとお兄ちゃんと二人の世界に浸るのです。妹を大切に大切にしているそんなお母さんをみてお兄ちゃんも妹と二人で遊んでいる時には妹を立派に守ってくれてりりしささえ感じていました。
 このようにはじめての集団生活でも安定すると近くで遊んでいる人が居ると気になって仕方ありません。全身びしょ濡れになりながら砂場を掘ってはバケツに汲んだ水を零しながら掘られた穴に運んでます。溢れた泥水が流れ出すのを楽しんでいるのでしょう。それを見つけた子が青い樹脂製のスコップを手に取るのが早いか泥水の流れを変えているのです。バケツ満杯の水をとっかえして来た子は何の躊躇もなく珍入者にバケツの一杯の水を頭から掛けてしまいました。
 突然のことでビックリのあまりに号泣です。その声に跳んできた先生が「うわー、大変や○ちゃんがびしょ濡れや。着替えよ、着替えよ…」と部屋に連れ帰ります。水を掛けてしまった子も何がなんだかわからないまま大泣きして着替えさせている先生の背に抱きつきました。自己チューの発揮はまだまだ続きます。

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