園 長 と 語 ろ う

平成29年1月

―三学期の保育方針―

 みんなが子どもの杵(きね)でついたお餅を成道会に供え子どもの音楽法要を営みました。灯・香・花を献じる代表の5歳児8人の中にT君とJ君がいます。T君は二回目の代表なので少し驕りがあったのかお数珠を忘れてくるものですから「お母さんに購入してもらって・・・」とか園長の話しをそわそわしてて聞けないと思ったので「Tは遊びに行っても良い」と言うと一目散に園庭に飛び出します。頭の回転も早く、一回目の代表もすんなり務め、言葉巧みで仲間に遊びを命令します。特に参加しない友の態度には言葉も荒立ちます。

 そんなTの命令口調に渋々でも動き回る二人の仲間が命令どおり手足の様に体験した人が成長しました。この頃から二人は自分の思いを口や実力行使で表現するようになったとの事でした。ここ二回ほどこの二人がTの練習を応援に来てくれていました。「明日忘れたら代表にならなくても良い」と昨日担任が約束したのでTの代表を下ろすと言うので「明日は必ず持ってくるから・・・」と信じ一日待ってもらいました。遊びに熱中する余り次々と頭の中で遊びのイメージが湧き忘れる事が必然だったと思われます。ところがその二人が応援してくれた事が彼の心に響いたのでしょう

 花と音楽をこよなく愛し、紙とパスやカラーペンがあれば植木鉢の花を摘んでは周囲に飾り鼻歌交じりで大胆で独創的な絵が何枚も描かれます。そんなJ君の姿を見守っていた担任が大きく成長できるチャンスと思い、花ケコの代表に推します。J君の花ケコのみ園庭の白小菊一枝を初めから盛ってくれてます。練習日に休んだりする事もあったり、ケコを持って並んで順番を待つ時、順を無視して自分のつもりで出ていったり途中でやめてしまったりもします。担任はそんな姿を母親に観せたくないので最高の姿を・・・と木目にそって直進するとか、曲がるときは直角に・・・と担任はこだわるのですが、形に執われない本人の耳は受け入れてくれません。「本人のイメージでだいひょうをしてくれれば良い・・・」と私のアドバイスで当日を迎えたのですが代表児の衣装に着替えたり、ケコには盛花の束が盛られ、何本ものローソクに明かりが点き、コーラスのお母さんが大好きな「ほうねんさまありがとう」を歌ってくれてます。いよいよ出番が来ると後の女児は自分のケコを左手で持ち右手でそっと「J君行くよー」と肩を押してくれます。対面の代表児も手振り身振りを加え小声で行く事を促してくれます。T君も優しい声で「J行くよ・・・」と言ってくれています。

 お母さんの歌声と共に参加の園児そして代表では唯一J君も口ずさんでいます。大好きな受け手の先生に渡すとき歌に関係なく「ありがとう!」と言って渡しました。たまらずコーラスのお母さん幾人もの目に涙が流れました。

 最も自然を失っていない幼児の力はすごいですね。大人の目に涙を浮かべさす程感動させ、仲間を思いやる優しい声掛けや手を差し伸べるそんな自然な姿に私達大人は指導や指示が無用だと改めて確認したのです。
 三学期はこの思いやりの仲間(社会)づくりを深めていくことでしょう・・・。


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