遊撃インターネット狂人雑記78
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2011

21日(火)新居の契約にいく

 新居の契約にいってきました。ちょちょいと書類にハンコを押せば終わると思ったら大違いです。なにやらいろいろ説明され、二時間以上かかってしまった。まぁ、年単位で考えれば百万円以上のカネが動く契約だからね。当然ですか。
 春のキャンペーンとやらをやっていて、家賃の最初の一ヶ月分を無料にしてくれるんだそうです。頼んだわけでもないのに得したなあ。その無料期間を利用して、できるだけ自力で引っ越しをしてしまおうと計画しています。特に本は、自分で分類しながら本棚に入れたいんだよね。活字の本だけでも膨大な量があるので、そうしないと後でなにがなんだか分からなくなってしまう。

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22-3日(水-木)『ミミア姫』(田中ユタカ)全三巻を読む

 127日の雑記で書いた『もと子先生の恋人』が、非常に面白かったので、同じ作者の『ミミア姫』全三巻を読みました。アフタヌーンに七年にわたって連載していた作品で、特に三巻は五百ページを超える大作です。
 舞台は、どうやら天国らしい。まあ、天国のような楽園の異世界という設定なのかもしれないけど、どうもよく分からん。そこの住人は、『光の羽根』を持っていて、自由に空を飛びテレパシーでお互いを理解しあえるという理想郷です。主人公の『ミミア姫』は、大神官
?王家?(王家が祭司をつかさどっているのかもしれないが…)に生まれた十一歳の少女です。しかし、このミミア姫には、生まれつき『光の羽根』がありません。そのうえテレパシーも使えない『神の姿』で生まれてきたのでした…。この設定は、白痴を神の使いとして保護してきた日本やロシアの風習を連想させます。
 現実世界だったらカタワとして差別されるところだろうけど、なんといっても舞台は天国的な理想郷です。登場人物はみんないい人ばかり。一・二巻では、愛情と友情に包まれて成長するミミア姫を描いています。ところが三巻になると、突然ワケのわからない化け物(実は人間
?)が攻めてきて戦争になり、天国が戦乱の地獄になります。そのせいで愛情あふれる天国住民にも憎悪が生じ、『光の羽根』が消えてしまうといった不都合が生じます。それをなんとかするために『神の姿』を持つミミア姫は、皆の記憶から消え一人で旅に出なければならない。

 

 なんだか難しいマンガだなあ…。よくわかんねーや。この終わりかたは、マンガ版『風の谷のナウシカ』のラストのあたりにあった、「違う! 生命は闇にまたたく光だ!」とかいうワケのわからない論争を想起させました。作者の田中ユタカは、マンガで神話か叙事詩でも描きたかったのかなあ。
 おそらく作者が最も力を入れたであろう三巻よりも、病弱なミミア姫が両親の愛情に守られて成長するさまを描いた一・二巻のほうが面白かったよ。あまり壮大なお話しを描かれてもオレなんかは、ついていけず困惑してしまう。『もと子先生の恋人』のような日常マンガのほうが面白いと思うなあ。
 なんだかケチをつけてしまいましたが、近年まれにみる力作だと思います。真剣に描かれ力の入ったマンガを読みたい人におすすめしますね。そんなむずかしいことをいわなくても、『もと子先生の恋人』が気に入った人なら、ミミア姫が可愛いので満足できると思います。上↑の絵をみてピンときた人は、買って損はないでしょう。

    

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24日(金)世界大会優勝者のチョコレートケーキを食う / 幼稚園と保育園

 ここのところずっと週末は細君の実家に頼りっぱなしです。せめてものお礼にと、菓子の世界大会で優勝しフランスの三つ星ホテルで働いていたというパテシエの店で、チョコレートケーキを買っていきました。カマボコを倍くらい大きくしたチョコレートが二千八百円もします。贈りものとかでなければ、まず買わないよね〜。
 お礼として持っていったのに、さあ食べましょうと自分も食うのだから世話ありません。味は、さすが三つ星ホテル出身です。たしかにうまい。百円の板チョコやコンビニお菓子とは水準が違います。次回は、バナナを食うみたいに一本丸かじりしたいですね。

 引っ越した後にムスメを幼稚園に通わすか保育園にするか、細君と討論になりました。ちなみにオレは、幼稚園中退です。遊具から落っこちて怪我をしてから幼稚園にいかなくなってしまった。
 五歳にもなると保育園に空きができます。保育園だったら、ほぼ無料ですからねえ。保育園のほうがいいんじゃないかと提起したのですが、細君にいわせると幼稚園のほうがよいらしい。保育園は、子供をあずかるだけの文字通りの保育施設だけど幼稚園は、教育をしてくれるんだそうな。
 しかし、保育園だったら五時まで子供をあずかってくれるけど、幼稚園だと二時に戻ってきてしまう。それに幼稚園は、入学金が十万円くらいに制服代もかかる。二万円くらい月謝も払うことになる。保育園だったら、ほぼ無料です。年にすれば、三十万円以上違ってくる。オレみたいに中退しちゃったら丸損だしなあ。幼稚園は、年に三十万円も支払う価値のある教育を本当にしてくれるのだろうか。幼稚園については細君のママ友から情報が入ってくるので、今度時間をつくって保育園のほうを視察しにいこうと思っています。

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25-6日(土-日)ひたすら同人誌の整理 / 米澤嘉博氏のこと

 オレ以外誰もいないので、ひたすら本置き部屋にこもって同人誌を整理しました。なんでこんな本を買ったんだろうというような本もけっこうありますねえ。
 ようやく一冊ものの同人誌を集めてそれなりの傾向ごとにまとめダンボール箱に納めました。あとは毎回買っていたサークルごとにそろえている本です。かなり目途がついてきました。
 オレをすごい同人誌マニアだと思っている人がいるかもしれませんが、そうでもありません。世の中にはもっとすごい人がいくらでもいます。
 オレは、同人誌を買うよりも自分でつくった本を売ることに熱中していた時期がありました。そんなころに青春十八キップを使って大阪まで同人誌を売りにいったことがあります。大阪の即売会とはどんなものだろうと思いましたが、東京とそんなに変わりませんでしたねえ。
 その大阪の会場で、数日前に東京の即売会でみかけた人が、同人誌の購入に歩き回っていました。不思議なので思わず声をかけてしまいました。なんでも飛行機に乗って日本中の同人誌即売会をめぐっているのだそうです。売りにいくというのなら、カネになるのだから話はわかります。でも、本を買うために日本中…というのは、わかんねーなあ。あの人は今どうしているだろうか。
 日本で一番同人誌を持っている人は、おそらく亡くなったコミケ代表の米澤嘉博氏だと思います。遊撃隊
/冥土出版も、毎回新刊を米澤氏に寄贈していました。今度、明治大学に米澤記念図書館ができるらしい。そうなったら絶版にした遊撃隊/冥土出版の本を図書館で読むことができるぞ。本は場所をとるから、どうしても絶版が出てしまう。
 あれだけの資料を集め、戦後マンガ史や風俗史にものすごい知識のある人が、これから仕事の総まとめという時期に亡くなってしまったのだから、本当に無念だったろうと思います。米澤氏は、昭和三十年ごろに『奇譚クラブ』という雑誌に小説を書いていたオレの父親のことを、なんとまあ、知っていました。あんないつの間にか消えたような場末小説家のことまで頭に入っているとは、恐ろしいほどの知識です。
 米澤氏が亡くなったときいたときは、大袈裟ではなく日本の損失だと感じました。米澤氏を失ったことで、文化としてまとめるべき知識がどれほど消えてしまったことだろう。本当に惜しい。

 

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27日(月)『カオスアニメ大全』(久保内信行他)を読む

 題名と表紙でずいぶん損をしているように思える『カオスアニメ大全』を読みました。ちょっと妙なアニメを集めてイラストや写真だらけで紹介した手抜き本を想像していました。ところが、その真逆の本です。二四の問題作アニメを紹介し真面目に評論しています。わざとふざけた文体で書いていますが、文芸評論のようなスタンスです。
 著者は、相当な知能と知識のある人物とみました。文体が『電波男』の本田透に似ています。本田透が書いたんじゃないかと思ったほどです。「な、なんだってー
!」とか、お得意のフレーズがでてくるしね。こんな文体がはやっているんですかねえ。単なるマネかな。
『マクロス
F』の評論から引用します。

 しかし、庵野監督におけるカバラやグノーシス思想は、河森監督にとってのニューエイジや密教ほどの切実性はない。そのため、『新世紀エヴアンゲリオン』 では、これらの思想に対する知識は「あればトリビア的に楽しいが、なくても作品の本質とは関係ない」ため作品を理解するのに必須なものとは言えない。また、カバラなどの知識を手に入れたからといって、作品の意図の理解がより深くなりうるかという点も疑問が残る。
 これらの
SFに別のバラダイムの思想の言葉を取り入れ、豪華絢爛な印象を与える諸作品と『マクロスF』は、根本的に違うものだ。

 引用したのは、『マクロスF』の河森監督がニューエイジ思想や原始ヒンズー教にかぶれ、密教思想をアニメにおきかえて説いているのが『マクロスF』であると主張している部分です。

つまり、マクロス世界に現れたランカ・リーは如来さまだったんだよ! ストーリーが理解できなくても無間題! 頭で考えるのじゃなく地上に顕現されたランカちゃんにデカルチャーしたら、それが答えだ! 「ランカちゃん、ランカちゃん……」と般若心経のように唱えれば、救われる!

 表のストーリーは顕教。真の設定は密教。つまり『マクロスF』は、「仏教」そのものなんだよ!
「山口百恵は菩薩である」と言ったのは平岡正明だが、「ランカ・リーは如来である」と言ったのは筆者である。覚えておくように。

 仏教には、密教を認めない宗派も多いんだけどね。まあ、それは置いといて、変なアニメを紹介する本に、『顕教』やら『密教』やら『平岡正明』やらが登場するとは思わなかった。ちなみに平岡正明とは、七十年代にもてはやされた極左三バカとよばれた評論家です。『犯罪者同盟』をつくってみたり『窮民革命』を唱えてみたり…。残りの二人は、アラブに飛んで日本赤軍の重信房子に取材してその半生記を週刊誌に連載するなどの活躍をしたルポライターの竹中労と、過激なアイヌ革命を提唱し爆弾教の教祖とよばれた太田竜ですね。
 極左っぽいところを引用してみましょう。皆殺し鬱アニメとして有名な『機動戦士
Vガンダム』を紹介した部分です。

 戦場は地上から宇宙に移動し、ウッソたちは敵の中心地である宇宙コロニーへと侵入することになる。そこを出迎えてくれたのが、どんな洗脳を受けたのかすっかりマリア主義者になったカテジナさんだ。決め台詞は「ギロチンは、あなたたちのような人を黙らせる必要悪だということもわからずに!
 あまりのことに闇討ちにあったような気分になるが、カテジナさんはこの後も悪魔的な活躍を続け、第二の主人公とも言うべき地位を得ていくことになるのであった。

 この狂ったヒロインの「ギロチンは、あなたたちのような人を黙らせる必要悪〜!というセリフは、あきらかに極左のものだよな。極端に言えば、民衆を賃金奴隷にして搾取し、自分らはよい暮らしをしようというのが保守で、その手先が右翼でしょ。それに対して、奴隷主と奴隷使いをみんなぶっ殺して地上天国をつくろうと観念しているのが極左です。だからギロチンは、左翼に必携だよな。右翼の場合は、奴隷を皆殺しにしたら搾取する相手がいなくなって自分が働かなければならなくなってしまう。左翼には、そんな心配はありません。奴隷主とその手先が敵で、こいつらは存在しないほうが世界がよくなると信じているのだから、最初からそいつらを絶滅することに躊躇はありません。『敵の手先』なんていくらでもでっちあげられるよね。権力を握った左翼が右翼の百倍ぐらい虐殺をするのは、こんなところに理由がありそうです。
 そんなことを考えながら、この『カオスアニメ大全』を読んでしまいました。著者の久保内信行氏は、韜晦した文章を書いているけど、時代が時代だったら極左雑誌でふざけた評論を書いていただろうと思わせるところがあります。『ならずもの暴力宣言』みたいなのをモノしていたんじゃないかなあ。ちょっとアマゾンで調べてみたけど、パソコンのマニュアル本などに名前があるくらいで、残念ながら他にまとまった著作はないようです。この人の文は、もっと読んでみたいな…。
 もちろんこの本は、変なアニメの紹介誌としてもちゃんと機能しています。何点か面白そうな作品を知ることができました。兄妹のガチ近親相姦アニメ『恋風』や、ヤンデレアニメの『
Gifteternal rainbow〜』あたりが面白そうです。他にも『エイリアン9』は、本物のロリがつくったペドアニメとされています。この本では、完全にビョーキあつかいでしたね。これもみてみよう。仏教の教えに則って描かれたらしい『マクロスF』も、今度みてみるつもりです。
 軽く読み飛ばすつもりが、思いがけず重量級の良質な本に当たりました。本田透の評論が好きな人や、哲学や宗教の視点からちょっとひねったアニメ評論を読みたい人におすすめします。

 

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28-9日(火-水)車検 / 裏本をスキャン

 自動車を車検に出しました。車検が近くなると販売店から連絡があり、一時間以上かけてとりにきてくれるんだよね。代車も置いていってくれる。その手間賃も代金に含まれているんだろうけど、せっかくそこまでやってくれるので毎回お願いしています。
 八日の朝に自動車をとりにきて、九日の夕方に戻ってきました。早いな…。バッテリーとブレーキ関係の部品の交換が中心とのことでした。代金は、前回は税金も含めて十六万円を超えましたが、今回は十四万に届かない程度でした。なんでも民主党政権になって自動車関係の税金が安くなったおかげだそうです。自動車屋のお兄さんは、民主党は自動車関係に優しいとかいっていました。高速道路も安くなって義父母宅に子供たちを預けに行きやすくなったし、子ども手当をくれるし、オレにとっては民主党政権になって良いことばかりなんだがなあ。なーんでネットではあんなに評判悪いんだろうね。子供や車を持ってないやつが多いのかな
?

 捨ててしまうのも惜しいので、二十年くらい前に買った裏本をスキャンしました。本棚の最奥にしまってあって、自分が裏本なる非合法書籍を持っていることすら忘れ果てていましたよ。さすがにこれは、スキャン代行業者に依頼しても断られるような気がします。五十ページ程度の本だし、自分でやってしまおう。ドライヤーで本の背を熱すると、古い本のせいか意外に簡単に分解できました。あとはスキャンするだけです。
 とりわけロリ裏本は貴重品ですなあ。下↓の本が出たときは、十六歳の女の子がモデルだということでかなり評判になりました。オレも、わざわざ歌舞伎町まで買いにいったっけ。いわゆる悪所が大好きで、このころは街娼や麻薬売りが大勢立っている新大久保あたりをウロウロしたものです。

 

 今でもはっきりとおぼえています。オールカラー五十二ページで五千円でした。そんな程度の金額で、こんな女の子がマソコを丸出しにしてチソチソを入れちゃったりなめちゃったりしてるところがばっちり写っている写真集を買えるのだから、いい時代になったもんだと思いましたねえ。
 オレみたいやつは多かったようです。この本は、よく売れたらしい。裏本屋は、最後の一冊だとかいってたっけ。こんなに若いモデルが、ここまであからさまにセックルしている本は、他には最盛期のヨーロッパ製チャイルドポルノくらいしか思いつきません。まあ、貴重品ですよね。捨てるのは、ちょっと惜しいな。
 エロ雑誌(たしか白夜書房が出していた『
Clash』か『ビデオ・ザ・ワールド』だったと思う)の裏本評論コーナーでは、下↓の写真が話題になっていました。騎乗位でチソチソがマソに入っている様子がバッチリの写真なんだけど、お巡りさんに怒られてしまうので画像の一部のみを載せます。

 

 この表情は十六歳のものではない、という説も根強いものでした。この写真をみた友人も同じことをいってたなあ。オレなんかは、十六歳が見世物ファック中にこういう表情をするところが、退廃的で腐敗していてコーフンできて面白いと思いましたがね〜。

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210日(木)『この世界の片隅に』(こうの史代)下巻を読む

 庶民が主人公の戦争モノは、たいてい鬱作品になるんだけど、『この世界の片隅に』には、そのような暗さを突き抜けた明るさというか優しさ・あたたかさがあります。傑作というよりは、良作とか佳作。いや、名作といってもよい作品でした。
 戦時中の広島と呉が舞台なのだから、三巻になって『はだしのゲン』化しないか心配でした。主人公のすずさんの明るさが大いに救いになっています。これは戦争の悲惨さをこれでもかこれでもかと描いた作品ではありません。その対極で、戦争中にも普通の人の普通の生活があり、それを描きつづけることで、普通の人の日常が戦争に浸食され歪んでいくさまをみごとに描ききっています。並大抵の力量で描ける作品ではないですねえ。
 まったくトーンを使わない作画も素晴らしい。同人誌ではたまにみるけどね。商業誌では、ありそうであまりみない画風です。あたたかくてみていて心地よい絵柄ですね。特にキャラクターの顔がよい。それに人妻なのにこんなに可愛いキャラクターは、なかなかいないよね。すずさん萌え〜、とか言ってしまいそうだ。

 

 ネトウヨに受けが悪そうな敗戦シーン↓。すずさんが朝鮮人に輪姦されたりしたら激鬱だったけど、そんな場面はありまへん。

 

 多くの賞をとっただけあって、実によい作品です。このマンガの描きかたは、オーソドックスなようでいて、新しい表現の仕方に切り込んでいる気がします。マンガ好きを自称する人なら読まねばならない本だと思う。

 Wikipediaより
 第
13回(2009年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品。「THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!」(フリースタイル)第1位。「ダカーポ特別編集 最高の本! 2010」(マガジンハウスムック)マンガ部門第1位。

 

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211日(金)『降魔伝 手天童子』(永井豪 / 夏元雅人)全七巻を読む

 朝から雪が降っています。寒うううう。以前だったら子供をつれて雪の中を散歩しただろうけど、鬱でそんな気にもなりません。子供は庭で遊ばせて部屋にとじこもっていました。

 永井豪の名作『手天童子』がリメイクされたときき、さっそくネット古本屋から全巻取り寄せました。送料込みで一冊百五十円くらいですね。けっこう期待して読んだのですが、つまんねえよ〜。
 永井豪版の『手天童子』は、こんな話しです。
 結婚を決めたカップルが墓参りに行きます。そこに二匹の巨大な鬼が、空間を破り突然現れて激闘を繰り広げます。いっぽうの鬼の口には、赤ちゃんがくわえられている
! どうやら赤ちゃんをまもって戦っているらしい。赤ちゃんをまもっていたほうの巨大鬼が勝利し、カップルに赤ちゃんを差し出し十五年後に迎えにくるといいのこし、消えてしまう。カップルは、その赤ちゃんを手天童 子郎と名づけ育てることにしたのでした。自分らと名字を変えたのは、あずかった子供だからです。
 そして十五年後、手天童子郎は美形高校生に成長します。しかし、いつもひとりぼっちで誰ともつきあおうとしません。子供時代から命を狙われているとしか思えない異常な事故に何度も遭遇し、他人を巻きこむことを恐れているのです。そんな手天童子郎に恋するヒロインが登場。さらに手天童子郎の命を狙う暗黒邪神教の教師が赴任してきます。
 暗黒邪神教というのは、大暗黒死夜邪来を祀る暗黒宗教で(ちなみに脇侍は魔凶菩薩…、逆神外道如来なんてのもいる。よくこんな名前を思いつくよな)、どうやら鬼の子孫らしい。その暗黒邪神教の教義をしるした鬼獄曼荼羅に忽然と手天童子の絵があらわれ光を放つという現象がおき、いくら消してもすぐに手天童子になってしまうので、いっそ現世に出現した手天童子郎を殺しちまおうとするわけなのでした。
 暗黒邪神教の幹部は、鬼の超能力を持っています。手天童子郎に恋するヒロインをさらって裸にむき、ながーい舌でベロベロなめ回し(サービスシーンだね)、
DNAでも取りこんだのかヒロインに化けて接近してきたりする。
 味方も何人かあらわれます。面白がって寄ってきた連中かと思ったら、さにあらず。手天童子を守護することを家訓にした家の人たちです。そのうちの一人のヤクザのせがれが暗黒邪神教に殺されたときは、手天童子郎に対面した父親の組長が「そうですか、せがれはお役に立ちましたか…。わしは手天童子様のお役に立つのは自分だと思い、悪事を重ねながら今まで生きてまいりました。そのお役目をせがれにとられてしもうた」とかいって泣いたりする。味方のマッチョ女は、ロリ妹とお風呂に入りながら(サービスシーンだにゃ)「童子様はそれはきれいでお優しいのよ」。「童子さまはしらないけど、父も母も童子さまをたすけるために死んでいるのよ。こんどはあたしががんばる番だわ…。もしもあたしがたおされたら、あなたがあの方をまもるのよ…」なんて言いきかせたりする。

 

 いくら刺客を送りこんでも返り討ちにあうので暗黒邪神教は、ヒロインと手天童子郎の母親(若くて美人。子郎を溺愛している)をさらい、返してほしくば暗黒寺まで来いという挙に出ます。手天童子と仲間たち+父親は、暗黒寺に乗りこみ超能力戦を繰り広げる。ここらへんが前半の山場ですね。
 敵とものすごい死闘を繰りひろげたあげく、ようやく子郎は母親と再会。ところがすぐに鬼獄界に旅立たなければならないと、味方をしてくれた巨大鬼につかまえられて超空間へと連れていかれてしまう。子郎を目の当たりにしながら引き裂かれた母親は、その場で発狂してしまう。お母さんの発狂ぶりは、ど迫力ですよ〜。

 

 

 

 ……こうなってしまってはどうしょうもありません。お母さんは精神病院に入れられ、病室の壁一面に鬼同士が殺し合う地獄絵図を描くのでした…。アウトサイダーアートかな?

 

 

「はははは くるしめ くるしめ〜〜」がいいねえ。子郎ママは、ヤンデレだったのか! ここらへんのキチガイ表現は、神がかっているよね〜。今じゃ青年誌でも描けないんじゃないかな。それにしても、オレは本当にキチガイが好きだな。
 ちょっとあらすじを書くつもりが、ずいぶん長くなってしまいました。だって少し読み返したら、面白くって止めることができなくなってしまったんだもん。
 これにくらべてリメイクの『降魔伝
手天童子』のほうはねえ…。オリジナルが100だとしたら、5くらいかな…。巻きこまれ型の主人公が、鬼に襲われて超能力を出して…、というお話し。ゲストにえん魔くんとハニーが登場するのがご愛敬です。決してつまらないマンガではないんだけど、よくあるフツーの超能力戦闘マンガですねえ。これだったら変なオリジナリティーを出さずに、コマ割りからセリフまですべてオリジナルをなぞって描いたほうがずっとよかったと思うよ。
 オリジナルにくらべてよいとか悪いとかいう以前に、根本的に作者の才能に差がありすぎる。『才能』なんていう言葉は、あまり使いたくないんですけどね。比較の相手があの神作品『デビルマン』を描いた永井豪ですからね。普通の漫画家と、一番脂がのっていた時期の天才漫画家とでは差が大きすぎます。
 永井豪といえば『デビルマン』だけでなく、メディアミックスの先駆けともいえる『マジンガー
Z』などのアニメで全世界に名が知られた作家です。『黒の獅子』なんて、大ヒットしたハリウッド映画『ターミネーター』の元ネタだぜ。外国での知名度だったら、手塚治虫や石森章太郎より上じゃないかなぁ。権威を笑いエロい作品が多いからだろうが、永井豪の日本での評価は不当に低いとオレは思うな。よく読んでみるとこの人は、本当は極めて上質なヒューマニストだよね。

 

 でもさ、永井豪が後の漫画やアニメの世界に与えた影響は非常に大きいんだけど、全盛期の作品でちゃんと完結しているものって意外に少ない。『マジンガーZ』や『キューティーハニー』も尻切れトンボで終わっている。『凄ノ王』もラストがなぁ…。アニメが忙しくて投げちゃったのかなあ。『手天童子』は、納得できる終わりかたをしているという点でも貴重な作品だと思いますよ。
『降魔伝
手天童子』は、お色気というかエロが売りもののチャンピオンREDの連載でした。しかし、エロでも三五年前の少年漫画に負けている。みよ! このエロスを↓

 

 永井豪は『手天童子』で鬼の絵ばかり描いていたら怪現象が頻発し、とうとうタタリがあって体調を崩したらしい。それで、お祓いをしてもらい『手天童子』を描いたとか。タタリというのはアレなんだけど、心身のバランスを崩すほど気合いを入れて描いたということだろう。そんな作品と比較しても気の毒だよなあ。
 結論としては、リメイクの『降魔伝
手天童子』を読むんだったら、オリジナルの『手天童子』を読んだほうがいい、ということです。『デビルマン』ほど知られていないけど、名作です。文句なく面白い。

   

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212-14日(土-月)『大人になる呪文』(パニックアタック)一・二巻を読む / 雪の高速道路

 ど変態で一部で有名らしい『大人になる呪文』を読みました。成人マークがなく、ひどくエロい絵が入っているわけではないんだけど、内容が変態です。リョーシキのある人がみたら、ペドとか異常者とか怒りだしそうなマンガでした。
 小学生の妹と二人暮らしの兄が、チャンスをうかがっては実の妹に性的なイタズラをするというだけの作品なんですが…。作品にこもった情念が変態。なんというか、こりゃホンモノだぁ
!という感じですね。変態兄になぜか好意を持っている妹が、イタズラされている意味もわからず、いつもニコニコしているところが痛々しいなあ。魔法少女がどうだとか、とってつけたような設定があるけど、これはホンモノの人が読むための、ロリ願望を印刷したペドマンガとしてとらえたい。よく知らないけど最近の規制騒動は、こういうマンガを取り締まろうとしているんじゃないかな。
 オレは、こういうキチガイマンガは大好きですよ
? それに規制には反対です。でも、こーゆーマンガが成人マークなしに販売されて誰でも買えるという状態を問題視する人たちは、当然あらわれるだろうなとも思う。近親にロリコンで、実妹にイタズラですからねえ。ホンモノの変態だよな。狂っていて面白いけど、オレにはコーフンできまへん。

 最近の週末は、細君と子供たちを実家に帰しています。月曜にむかえにいったのだけど、雪の高速道路を走るはめになってしまった。五〇キロ規制なのに、皆さんチェーンも無しに七〇キロ以上だしているのな。雪が飛んできて前がよくみえず、そのうち頭が痛くなってきた。
 細君実家に着いたら雪がつもる前にとすぐに出発です。五時間以上連続して自動車で雪の中を走り、クタクタになってしまった。ぜんぜん骨休みにならない…。あまりにくたびれたので雑記の更新も滞ってしまいました。

 

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215日(火)『俺にもくれ』(柳沢きみお)全二巻を読む

 題名がいいよね。『俺にもくれ』。常にオレが思っていることだ…。
 四〇歳になったのをきっかけに、十年自由にさせてくれと全財産を妻子に残し二千万円だけ持って蒸発した男のお話です。新宿に流れつき、いろいろあって『愚痴聞き屋』のような妙な商売をはじめます。そこで都会の奇妙な話しや、柳沢きみお先生の人生観みたいなものをきかされるという寸法です。バブルのころの作品なので、日本はおかしくなってしまったとさかんに嘆いています。
 ひょんなことからヤクザ組織に関わってしまった主人公。なぜかヤクザ界でとんとん拍子に出世します。十年後に気がついてみれば、愛人に子供ができ、でかい暴力団の次期組長候補になったりしています。そして、これからどうしようか…、というところで終了。
 柳沢きみおらしい読者を飽きさせない作品です。尻切れトンボな終わりかただけど、まあ、いつものことですね。
 安いネット古本屋をみつけ、ちょっと古い前から気になっていたマンガを送料込みで一冊百円くらいで購入し、読み終わったら
PDF化するということをやっています。置く場所がなくなり、やむなく売ったマンガなんかも買い戻してPDF化です。場所をつくるためにPDF化するという最初の趣旨から外れてきました。七万円近くしたけっこういいモニターを使っているおかげで、いい感じに保存できてしまう。PDF化がクセになってきました。

 

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