遊撃インターネット狂人雑記74
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2010

121日(水)細君の妊婦検診につきそう / アキバにいく

 前回あれほど体調を崩したのに、再び細君の妊婦検診にクルマを出してつきそいました。我ながら無類のお人好しです。数日前から体調を整えていたので、前回よりは楽でした。
 もういつ生まれてもおかしくない状態なので、念のため入院に必要な物もクルマにつめこみました。ムスメの時は、予定日より早かったので、この時分にはもう生まれていました。
 検査は三十分ほどで終わりました。腹はパンパンなのに、まだ生まれないそうです。六日後に再び病院にいくことになりました。ちなみに検査費用は六千円です。自治体が四千円補助してくれたので、二千円ですみました。でも、健康保険がきかないから、たまに血液検査とかすると二万円くらいとられるんだよね。ろくに妊婦検診も受けず出産直前に駆け込んでくるという、いわゆる『野良妊婦』問題は、個人の心構えの問題などではなく、社会の貧困の問題だと痛感します。小泉改革以来、貧困層が激増し、毎月三万円程度の妊婦検診の診察料すら払えない人たちが現れたということだろう。

 ちょっと時間があったので、本当にひさしぶりに秋葉原をぶらつきました。Kブックスで、たかみち画集『Inclusionビジュアルブック』を発見。定価二千円のところ三千円でした。ばっ、ばかなっ! 安いじゃねえか! ネット通販だと五千円くらいします。本を減らしているところなのに、思わず購入してしまった。

  

 しばらくいかなかった間に大きな建物が増えて、アキバの土地勘を失いつつあります。知らないうちにできていたCOMIC ZINという同人誌ショップに入りました。まえにネットで紹介されていた『臓器本』なる同人誌を発見。購入しました。A4判でオールカラー二十四ページです。内容は、グロというよりアート系ですね。よい本だと思う。

  

 

 さらに後藤寿庵の新刊『童貞印』を発見。購入したのでした。この人は、昔はつまんねえギャグマンガを描いていたけどね。化けましたな。
 童貞の男の子とおねいさんというシチュエーションの単行本は、四冊目かな。同人誌も出してたしね。絵柄が好みということもあるけど、この人のエロは飽きがこないなー。でも、もう少し恥じらいとか淫靡さがほしい。この本もいつまでも手元に置けず、いつかバラバラにして
PDF化することになるんだろうな。とほほほ。

  

 なんでも都知事の石原珍太郎が近親相姦マンガを規制しようとたくらんでいるらしい。余計なお世話だよな。性行為は、禁忌であればあるほど面白いのだ。近親相姦が反社会的かどうかしらないが、後藤寿庵先生には、これからもそんな規制なんてふっとばしてがんばっていただきたいものです。
 他にも日本酒擬人化本『
MARU』なんていう同人誌もみつけました。最近は、なんでも萌え擬人化だよな。擬人化された日本酒は『神亀』や『大七』などです。作者は濃厚でクセの強い酒が好みのようだ。オレは、さっぱりしてフルーティーな吟醸酒が好きだけどな。この本をながめていたら日本酒を飲みたくなってしまった〜。医者にとめられているのに…。
 交通費や手間を考えれば、アキバに買い出しに行くのも自宅で通販を利用するのも価格的には大して違いがありません。でも、アキバにいくと平積みの様子とかでどんな本が流行っているかわかるし、専門書店に入ってまわりを一瞥しただけで、二時間ネットをうろついた以上の情報が入ります。もっと外に出ないとダメだなあ。

    

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122-3日(木-金)ネトウヨ運動と全共闘運動の違い

 遊撃インターネット掲示板に書きこみしてくださった方々、ありがとうございます。せっかく書きこみをしていただいているのに、ろくに返信もしないで申し訳ありません。オレは、ちょっとアタマがキチガイで対人恐怖症の気があるので、そのうち返事をしようと思って、ズルズルのばし、そのままになってしまうことが多いのです。本当に申し訳ありません。
 
1129日に伊藤氏に書きこみをしていただきました。でも、これはちょっと違うんじゃないかな〜、と思いましたので、反論させてください。せっかく書きこんでいただきましたので、人格攻撃をしようとか貶めてやろうとかいう考えは毛頭ありません。機会がありましたら、是非また書きこみをしてください。
 読んでいない人がいるかもしれないので、書きこみを転載させていただきます↓

 久しぶりに覗いたらやたら「ねとうよ」という単語を使ってい
るのう。しかしよく考えたらネトウヨも「シンサヨ」も大概では
ないか。仮想敵が日本国家から「チョン」に替わっただけ。所詮
は若者のストレス発散のお遊びですな。彼らもいづれ「就職が決
まって髪を切る」んです。しかも世間からしたら実害がないだけ
ネットで吠えるだけのネトウヨ諸君の方がましであろう。あなた
の文章をみていると、まるで過去の遺物のうわごとであって、畢
竟同族嫌悪に思えます。

 十九世紀以降、人間社会の最大の悪役といえば、『ナチス』と答えたいところですが、実は違います。他人の労働を盗み、搾取で肥え太るブタのような資本家が最大の悪役でした。マックス・ウエーバーを引くまでもなく、このイメージは誤っています。大地主はどうか知らないが資本家は、少なくとも労働者より勤勉に働いているよね。
 ネトウヨは指導部があるわけでもなく、あれでも大衆運動的なところがあるから、政治セクトの新左翼よりも六〇年代末から七〇年初頭にかけて流行した全共闘運動と対比するほうがより適切に思います。
 当時の大学進学率は、三割程度といわれています。苦学生もいただろうけど、社会の上流の三割が大学生になり全共闘運動を担ったわけです。彼らは、資本家とまではいかなくても、公務員や上場企業の社員の子弟が主な出身階層だったでしょう。それなりに豊かな階級の出身といえると思います。ここで上層中産階級とは、組合があるようなまともな会社の正社員や公務員、加えて医者や弁護士など専門職からなる階層をさすことにします。
 左翼運動とは、実は上流階級の出身者がおこなうものです。毎日重労働に従事している貧困層が自然に革命意識に目覚めるということは、なかなかないようです。ロシア革命を例にとると、レーニンは裕福な官僚地主の家の息子で弁護士になりました。秘密警察の創設者であったジェルジンスキーは、ポーランドの貴族出身です。赤軍の創設者トロツキーは、ユダヤ人の地主の息子で一流のジャーナリストです。他にもジノビエフやカーメネフなどロシアの革命家には、ユダヤ人の金持ち出身者が非常に多いのが特徴でした。ボルシェビキの指導部で下層階級出身者は、父親が元農奴だったスターリンくらいしか思いつきません。でも、こいつも革命運動に従事したため神学校を退学させられ、天文台の書記などというけっこうよさそうな職についています。中国革命では、毛沢東が裕福な地主の息子で北京大学図書館の司書でした。日本でいえば東大図書館の司書というところでしょうか。最初の妻は北京大学教授の娘です。紅軍を指導した朱徳も名門地主の出身で、一族の反対を押し切って軍人になりました。周恩来も官僚地主の家の出身。ベトナム革命のホー・チ・ミンは、学者の息子。キューバ革命のカストロは、裕福な農場主の息子で弁護士。悪名高いカンボジア「革命」のポル・ポトは、富裕な自作農の息子で王族と縁戚です。そのコネでフランスに留学をして極左思想にかぶれました。左翼運動の中核は、インテリや金持ちばかりなのです。
 日本も同じです。戦後の日本共産党を指導した宮本賢治は、長州出身で東大在学中に評論「『敗北』の文学」で小林秀雄を押さえて主席当選した実績があります。共産党に行かなければ一流の評論家になったでしょう。野坂参三も、同じく長州の商家の生まれで慶応大です。共産党には、現在でも東大出身者がゴロゴロいます。日本共産党は、意外に学歴重視で東大を出ていないとなかなか党内で出世できません。かつての社会党はさほどでもなく、労働組合の活動家になって組合幹部になり、組合の推薦で参院選に出馬して組織票で当選し、一丁上がりというコースもありました。
 近いところで、新左翼の指導者をあげてみましょう。革マル派の黒田寛一は、裕福な地主の家に生まれ父親は医者。旧制東京高等学校
(東大教養学部)を病気のため中退しました。左翼をやらなかったら、どこかの大学の哲学教授になっていたでしょう。中核派の本多延嘉は、父親が郵便局員。学生時代に早大新聞編集長をつとめ学生運動にはまって早稲田大学を中退しました。この人は、左翼にならなかったらたぶん新聞記者になっていましたね。赤軍派の塩見孝也は京都大学中退。解放派の狭間嘉明は九州大中退。戦旗派の荒岱介は早大中退。
 中退しなければ大した学歴です。左翼運動をやらず真面目に働いていれば、かなりの上流になれる人たちばかりでしょう。それでは、なぜおとなしく勉強でもして上流階級にならなかったのでしょう。彼らの感覚では、上流階級とはつまり、
他人の労働を盗み搾取で肥え太るブタのような資本家とその手先というところです。ここに強烈な自己嫌悪があるのですね。東大全共闘が『自己否定』をスローガンにしたことなどに典型的みることができます。左翼運動とは、上流インテリの自己嫌悪による自己改革運動という側面が強くあります。汚らしい資本家予備軍の自己を革命によって浄化するという論理です。転向した左翼が宗教がかったものに走ることが多い理由も、ここらへんにありそうです。自ら身体を鞭で痛めつけて神との合一をはかるという、キリスト教にもイスラム教にも仏教にもみられる鞭身派との相似を指摘したいとも思います。また戦前の日本左翼に多くみられた権力に強制されたかたちでの転向は、インテリ特有の脆さ・弱さに重なるように思います。国家権力の暴力によってインテリの観念論が屈服されられるというのが、特に日本左翼に多くみられる転向のパターンでした。
 暴力的といわれる戦後の過激派のゲバルトですが、角材程度の武器を持って銃を装備する機動隊の一番分厚いところに突っこんでいき、逮捕されるか半殺しにされるというのが実態でした。全共闘運動も、数十人程度で校舎を占拠して、数百人の機動隊に取り囲まれ全員逮捕の玉砕というのがくり返されたパターンです。そして、同志殺しの総括殺人やら内ゲバやらで自壊したというのが、全共闘運動の末路でした。全共闘運動の最後は、自殺・内ゲバ・爆弾闘争といった文字通りの自己崩壊です。
 左翼運動など金持ちぼっちゃんの道楽といってしまえばその通りなんだけど、先に例をあげたとおり、ロシアや中国でも、革命運動の初期はそういうものなのです。そんなものに大衆がついてくるはずがありません。左翼運動は、しばしば不毛なので活動家の多くは結局転向します。左翼の歴史は、転向の歴史でもありました。とりわけインテリ層に左翼の影響が強かった日本では、上流階級に左翼からの転向者が多いのには驚くほどです。読売新聞グループ会長の渡邉恒雄やセゾングループの堤清二などが典型でしょう。
 しかし、一部の者は転向せず革命運動を続けます。革命運動といっても、小人数のサークル同士の罵り合いのようなものでした。平時ならばそんなものにはほとんど影響力はありません。しかし、戦争に負けたり飢饉が起こったりして社会の矛盾が極度に高まると大衆が『革命家』の言葉に耳を傾けるるようになります。その時はじめて革命が近づくのです。

 さて、最近流行のネトウヨですが、彼らの多くはバブル以降の不況で下流に転落した層の出身とされています。。長く続く不景気と小泉改革によって大量に生み出された不正規労働者が主力でしょう。週刊誌SPAなどの特集記事によると、零細自営業者も多く、派遣やニートの若者も多いそうです。彼らが内部に抱えているのは、左翼のような自己嫌悪ではなく自己憐憫です。
 ここ十五年の不景気によって大量に生じたアルバイトや派遣
(といえば聞こえがいいが要するに日雇い)などからなる新下流層が、帰属先を求め国家やら権威やらにすがりつき、自分を強く立派にみせかけるために愛国心を叫び、職を奪い合って競合する韓国人や中国人に憎しみを向けています。これがネトウヨの実態です。しかし、彼らのルサンチマンは、実際の生活苦に根ざしているので、知的水準はお話にならないほど低いとはいえインテリの観念的な左翼思想よりもいっそう根が深いといえそうです。
 どうも左翼がパートや派遣労働者などに冷たいように思えるのは、彼らが左翼用語でいうところの『ルンペンプロレタリア』だからでしょう。これは、職が定まらず浮浪しているモラルの低いダメな階層とされています。左翼が働きかけをするのは、主に組織労働者です。

 仮想敵が日本国家から「チョン」に替わっただけ。所詮は若者のストレス発散のお遊びですな。

 それはどうでしょうか。ストレス発散のお遊び と片付けるのは、ネトウヨに対してちょっと気の毒な気がします。彼らにとって職の問題は、その生存に直結するひどく切実なことだと思われます。現実に時給700円の仕事を「チョン」と奪い合っており、しばしば負けているのですから。「チョン」を排斥することで自分の生活水準が向上すると信じているのでしょう。「そんなことだから下流に転落するんだ」といってしまいたくなるほどのバカですが、そういう人は世界中に存在します。しかし、ナチスドイツなど一部をのぞいて、そんなネトウヨ的主張が受け入れられることは、まずありません。主張以前に人間の水準が低すぎて話にならないからでしよう。

 彼らもいづれ「就職が決まって髪を切る」んです。

 ネトウヨは、ロクな就職ができず、その不満を民族差別や極右的な主張を叫ぶことで晴らしている人たちです。「就職が決まって髪を切る」ことができたら、バカバカしくてネトウヨなんかやってられないでしょう。しかし、就職氷河期にぶつかり正社員として就職できなかった三十歳代のネトウヨが、今後まともな会社に就職が決まるとはとても思えません。全共闘の左翼学生は、大学生に希少性があり当時は好景気だったおかげで社会に順化することができ、時間をかけて頭を冷やすことができました。しかし、現在の不況下でネトウヨの貯水池である新下流層が社会的に上昇できるとは思えません。ネトウヨは、朝鮮人やら中国人やらサヨやら民主党やらプロ市民やらに八つ当たり的なルサンチマンを抱えて、なにも変えることができず生涯すごすことになるでしょう。ネトウヨの絶望的なところは、左翼と違って『転向』できないところにあります。彼らの社会的・経済的立場が『転向』をゆるさないのです。
 彼らが貧しいのは、バブル崩壊と冷戦終結以降の日本の進路を誤った政治家に責任があるように思います。具体的には、バブルの後始末を放棄して傷口を広げた宮沢喜一、膨大な公共事業政策で国家財政を破綻させ肝心なところで死んだ小渕恵三、格差政策で日本社会を破壊した小泉純一郎の三人がA級戦犯でしょう。ネトウヨは、自らと重ね合わせている自民党が政権を握ると搾取が強化されてさらに下層に転落することになり、自民党が下野すると「強い」自分と重ね合わせる夢想できなくなって心理的に不安定になります。ネトウヨとは、本質的に自己矛盾を有した存在なのです。
 全共闘運動を担った左翼学生もまた自己矛盾を抱えた存在でした。彼らの運動は、社会を変えることができませんでした。それまでの封建的遺制を保持した権威主義的な社会が、ある程度ひらかれた大衆社会に移り変わる端境期に生じたあだ花といったところでしょう。しかし、勝利ではなく敗北によって、彼らは多くの遺産をのこしたように思います。音楽を例にあげると、かぐや姫の『神田川』に代表される四畳半フォークや井上陽水の『傘がない』などが、その代表です。全共闘運動以後は、結婚前の男女が同棲するなどとんでもない、という伝統的価値観が崩れさりました。現実に全共闘運動で痛めつけられ叩きつぶされた挫折学生の多くは、女と安下宿に引きこもってしまいました。でも、ゲバ棒をふるって暴れるより、本当はそっちのほうが革命的だったんですね。挫折活動家の同棲は、性革命につながる革命行動だったようです。
 井上陽水の名曲『傘がない』では、こんなことをいっています。

都会では自殺する若者が増えている
今朝来た新聞の片隅に書いていた
だけども問題は今日の雨  傘がない
行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ

 − 略 −

君の事以外は何も見えなくなる
それはいい事だろ?

テレビでは我が国の将来の問題を
誰かが深刻な顔をしてしゃべってる
だけども問題は今日の雨  傘がない
行かなくちゃ  君に逢いに行かなくちゃ

 − 略 −

 全共闘運動が敗北した時期に、若者の自殺が大流行しました。それと、自暴自棄になった連中の爆弾闘争も激しいものでした。『傘がない』は、正しいことをいっています。高学歴ぼっちゃんが、我が国の将来やら可能性のない革命やらを夢想して自傷行為にふけるより、雨が降っていようが、傘を調達して女のところにでも遊びにいったほうがよいに決まっています。
 全共闘運動の敗北は、その後に続くシラケ世代を経て日本中に政治に対するシニカルな態度を蔓延させました。よくないことのように思えますが、そのような態度は、国家やらセクトやらといった共同体に対して過度に依存するという前近代性から脱し、国家や政治や貨幣などが実態のない幻想の産物であると見切ることで、個の確立を準備したともいえます。

しかも世間からしたら実害がないだけネットで吠えるだけのネトウヨ諸君の方がましであろう。あなたの文章をみていると、まるで過去の遺物のうわごとであって、畢竟同族嫌悪に思えます。

 畢竟は「ひっきょう」と読みます。「つまり」という意味です。この文節の主張も、オレには正しいとは思われません。
 身近なところからお話しします。コミックマーケットの創設者で代表だった故米沢嘉博氏は、高校時代に学生運動に参加して機動隊とぶつかり補導されています。その後、まだ全共闘運動の余燼がくすぶる明治大学に進学し、学生運動にけっこうな影響を受けたようです。路上でミニコミ冊子の類を売っているのを警察に注意され追い出されてしまい、それでは会場を借りて売れば文句ないだろうというのがコミケの源流のひとつであったという話しを聞いたことがあります。やりたい者が集まって、イベントが終了したら解散し。またやりたかったらやりたい者が集合して…、というコミケの組織論
?は、全共闘やベ平連に非常に近しく感じます。余談だけど、80年代中ごろまでマンガ好きにはちょっと左がかった人がけっこういた気がします。たしか三十年近く昔に読んだ『ぱふ』に載っていたと思うんだけど、『宇宙戦艦ヤマト』の復活署名運動の先頭に立っていた人が、ようやく完成した映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』をみにいきラストの特攻シーンにショックを受け、こんなものを求めていたのではないと茫然自失状態におちいる記事は、心を打つものがありました。
 また、
70年代から80年代にかけてのいかがわしげなアングラカルチャーを生み出した文化運動としての全共闘運動も見過ごすことができません。バブル期に一旦途切れたようにみえましたが、意外にしぶとく生き残っていて現在のサブカルチャーにまでつながっているように思います。
 たしかに全共闘運動は、バカなことをやったのだけど、面白いものもずいぶん生み出しました。先日書いた尾崎豊だって、全共闘運動の遺産がなければ「大人は信用できない〜」みたいな歌詞は書かなかったんじゃないかな。左翼が背後にいた全共闘運動は、
実害ばかりではなかったし、現在も多くの点で人々が多くの影響を受けているのだから、決して過去の遺物でもないでしょう。
 ところがネトウヨ運動が、なにか新しい文化を創り出せるとは到底思えません。せいぜい新奇な差別語を思いつく程度が関の山でしょう。世の中にとって全共闘運動は善悪半ばするものだったとしたら、ネトウヨ運動はせいぜい無か差別を助長するマイナスにすぎません。
 また、
同族嫌悪に思えますというのも、事実誤認でしょう。かつての左翼と現在のネトウヨでは、相似点よりも相違点のほうがはるかに多いのです。出身階層は左翼の上層中産階級に対して、ネトウヨは新下流層が中心です。全共闘の時代は高度成長期で、髪を切れば就職先をみつけるのは容易でした。しかし、ネトウヨは髪を切ろうが坊主になろうが正社員になれない人たちが中心です。嫌になったら左翼なんかやめて社会的な上昇を目指すことができたけれども、ネトウヨが下層の生活から脱することはなかなか難しいでしょう。この差は絶望的に大きい。最近流行のモラルや常識がなく権利ばかり主張するモンスターナントカも、その母体は新下流層にあるのでしょう。今までの日本にはなかった新しい階層集団が生まれてきたのです。
 最近の公教育の崩壊によって上層中産階級の多くは、中学か早い場合には小学校から子供を私立校に進ませています。それに対して貧困な新下流層には、公立校しか進学の選択肢がありません。良いこととは思われませんが、日本において階級の固定化が進行しているように思えます。今後もこの傾向が続くようなら、上層中産階級層と新下流層は、生涯にわたって接点を持たず、思考から言語、服装、生活習慣まで異なる階級に分裂するということも考えられます。支配層は、今まで通り上層中産階級になるでしょう。
 左翼ではなく、おまえ自身が
同族嫌悪しているのではないかという反論には、オレは人種差別が大嫌いだとお答えしましょう。オレは、エロ・グロ・死体・ロリ・近親相姦・天皇・戦争犯罪など、たいていのタブー破りを面白がるような人間です。しかし、差別だけはダメですね。たしかに、いばりくさった人権屋の傲慢な態度や差別語狩りにはひどく腹が立ちます。しかし、それ以上に2ちゃんねるだからといって平気で差別文章を書き散らし、調子に乗って寄り集まって差別デモやら集会などおこなうなどという者は、言語道断なゲス野郎だと思う。恥ずかしいから人前にあらわれるな。特にアキバには来るな。オタクがみんな同類と思われたらどうしてくれるんだ、といいたいですね。差別された人たちは、殴りこみをかけてやつらをぶっ飛ばしてやればいいのにとも思います。ネトウヨはバカだから、痛い目にあわさなければ他人の痛みはわからないだろう。
 今どき新左翼など流行りません。
60年代末なら全共闘運動に走っていた上層中産階級の子弟は、朝日新聞的リベラル(オレはこれを『山の手リベラル』と名づけたい)か、日経新聞的生活保守になるのでしょう。世の中の森羅万象が気に入らないらしいネトウヨは、そういった人たちにもかみついています。
 ネトウヨは、なにを目的としているのか、なにをしたいのか、ネットを回ってその主張を読んでみました。韓国から竹島を取りかえせとか核武装しろとか、極右的な主張らしきものはありますが、明確な戦略があるわけではないようです。彼らの主張らしきものは、たぶんある種の口実であって、実際は憎悪をぶつけること自体が目的なのだと思います。
 具体的にネトウヨがなにをしているのかというと、少数者や弱者、異質者を差別し口汚くののしっています。これがネトウヨにとっての快楽なんですね。彼らの極右的な主張は、その快楽を得るためのオブラートの役割を果たしています。実際は、モラルの低さと憎悪からくる差別という麻薬が脳にまわって中毒症状を起こし、「愛国」やら「チョン」やらに脊髄反射する禁断症状を起こしているといったところでしょう。
 ネトウヨになるような人は、おおむね社会的弱者です。その弱者が、自分より弱い者や異質な者をみつけだした時に狂喜し、痛めつけ、ルサンチマンを抱えた人間特有の下劣な心情を丸出しにした文を書き散らします。そんなシロモノを読むのは、まったくもって気色が悪い。ヒトという動物が持つ最も卑しい部分を目の前に突きつけられると、吐き気を催してきます。
実害がないだけネットで吠えるだけのネトウヨ諸君の方がましであろう というのは誤りです。少なくともオレにとっては、連中の文章を読んでしまうと気分が悪くなり反吐が出そうになるという立派な実害があります。
 それに、実社会であんな差別発言を繰りかえしたら、育ちを疑われるというか親の顔をみたいというか、恥ずかしいだけでなく、実際に出世を棒に振りかねません。オレが人事担当だったらそんな差別発言をする人間は、外部の人と接触できないような部署に左遷します。正義感からなどではなく、そんなやつが会社
(役所でも同じだが)で差別事件でもしでかしたら、人事や総務の責任を問われてしまいます。差別事件は、人権侵害として社長(市長)まで責任追及がいきますからね。世の中、どこにどんな人がいるかわかりません。そんな権力を持っているので人権屋は威張っているのですが、それはまた別の話にしましょう。
 失うもののもたない
2ちゃん三〇代ネトウヨならともかく、なにも知らない中高生が、あんな書きこみを普通だと思って社会でふるまったら、人生を棒に振ります。最近権力が規制しようとしているエロマンガなんかより、ネトウヨの差別書きこみのほうが、よほど青少年に害があると思うなぁ。

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124-7日(土-火)子供が生まれる

 鬱の一番困った症状に不眠があります。オレは、眠れなければ寝なければよいという戦法で、眠れない時は適当になにか作業をしています。そうすればいつか眠れるからね。
 土曜日は一晩中眠れず、日曜の朝になっても眠れず、ようやく昼過ぎの一時ごろ眠ることができました。ところが二時ごろに細君にたたき起こされた。なんでも破水したとのこと。妊婦の腹の中には水風船のようなものが入っていて、その中に胎児がおさまっています。その水風船が破けて中の羊水が漏れてきたらしい。
 これはもう生まれる兆候ですので、前もって用意しておいた荷物とムスメを積みこんでクルマで大学病院へ急行しました。日曜なので道がすいており一時間足らずで到着しました。日曜で大丈夫かと心配しましたが、さすが大学病院だけあってちゃんと産婦人科医と小児科医が待機していました。生まれてくる子は、肺に障害があるらしいので出産に小児科医もつきそいます。リスクが高い分娩なので家族の立ち会いはできない。…おっかないから最初から出産なんかに立ち会いたくないけどね。最近流行の出産立ち会いは、アメリカのフェミニズム運動あたりがはじめたもので、出産は医師以外の男子禁制であるものだよな。
 まず、みんなそろって陣痛室という小部屋に入れられました。そこで本格的に痛くなってくるのを待ちます。夕方四時前に病院について夜の九時ごろでしたかねえ。細君が「きゃーっ」とか悲鳴をあげて苦しみはじめた。それをみていたムスメまで「おなかがいたいー」とか言いだします。テレパシー
? そんなわけはなく、非常に仲の良い母娘なので、ムスメの人格が母親からまだ完全に分化しておらず、のたうち回って苦しむ母親をみて自己暗示のようなものにかかったのだろう。そんなものをみせておくのもよろしくないような気がしたので、一応トイレにつれていきました。トイレの壁ごしにも細君がヒイヒイ苦しむ声が聞こえてきます。そのうち車椅子に乗せられて、分娩室につれていかれてしまった。急に陣痛がきて助産師さんも慌てたらしく、部屋には検査に使ったらしい血まみれ(羊水?)のゴム手袋などが散らばっていたのでした。
 二日近く眠っていないんだけどね、やはり興奮して眠れない。どうせ生まれるのは朝方だろうと判断し睡眠薬を飲んで寝ようとしました。…でも、やっぱり眠れない。オレの脳は、どうなっておるのだろう。
 日を越えた六日の十二時二六分に生まれました。前回は分娩室につれこまれてから十五時間くらいかかりましたが、今回は二時間ちょっとです。意外に早かったですね。なのにすぐ教えてくんないの。肺の検査をするために、小児科医が赤ちゃんを小児
ICUというところにつれていってしまったらしい。オレがぼんやり待っている間に、産まれたばかりの赤ちゃんはレントゲンを撮られたり点滴されたり大変だったみたいです。細君も、生まれたとたん医師や看護師の関心はすべて赤ちゃんに向けられ、一時間近く半分気絶した状態で放置状態だったみたいです。
 赤ちゃんに対面できたのは深夜の二時半くらいだったかなあ。極度の睡眠不足のうえに睡眠薬を服用していたので、アタマがボンヤリしてよく憶えていない。小児
ICUというところは、厳重な無菌室で医療ドラマ『ER』の外科手術前みたいに念入りに肘まで手を洗わされます。
 みたところ五体満足な男の赤ちゃんでした。しかし、二カ所も点滴の針を刺されていて悲惨な感じです。胃になにかを入れたら肺に悪影響を及ぼさないか観察するため、母乳はおろか水も与えず当分点滴で栄養補給するらしい。二〇分くらいなでたりさすったりしたところで細君と交代させられました。
 そこで、看護師がいうには、もう生まれたから帰ってくれとのこと。夜中の三時だぜ。駐車場は七時まで閉鎖されている。帰れまへん。それじゃあ朝まで待合室にいてよいということになりました。××病棟の待合室に行くようにいわれたけど、その××病棟がどこにあるのかさっぱりわからん。四歳児の娘の手を引いてでっかい大学病院内をさまよいましたが、薄寒くて暗くて気味が悪い。埒が明かないので、地下の駐車場に置いているクルマの中で寝ることにしました。…しかし、眠れん。
 クルマの中で三時間ばかりボーッとしていると、七時開場のはずがなぜか六時に駐車場が開きました。体調不良であからさまに危険だけど、どうしようもない。なんとかクルマを運転して帰宅したのでした。
 自宅に着くと目を覚ましたムスメが元気になってしまっています。お願いだから寝かせてくれ〜。本当はよくないのだけれどやむを得ない。アニメ『カードキャプターさくら』をみせて、その間に眠りました。しかし、一時間ごとくらいに「おなかすいたー」とか「ちっちしたいー」とか「あそんでー」とかで起こされる。うあー。眠った気がしねー。
 もうクルマは運転したくないので、七日
()に子供づれで電車に乗り、見舞いにいってきました。病室で義父母さんに会いました。オレはダウンしていたが、昨日もきてくれたらしい。赤ん坊の顔なんて毎日みにくるほど面白いかな〜。オレの父親なんぞ「赤ん坊は苦手だ」とかいって、関心を示さない。それでも嬉しいらしく、銀行振り込みでカネを二〇万もくれた。今まで父親の悪口を書いてきましたが、オレにカネをくれる人は正義なので、これからはもっと父上を尊重せねばなるまい。
 初日の小児
ICUでは、赤ちゃんは徹底的に消毒されてしまったらしく、新生児特有の若草のような、薬草のような匂いがしませんでした。それでもこの日は、新生児体臭が回復してきて、よい香りを楽しむことができました。ムスメを細君たちにあずけ、小児ICUに入りこんで一時間以上赤ちゃんの手を握ったり目をみて話しかけたり歌をうたったりハラをさすったりしました。ほら、病院は医学的な処置はちゃんとやってくれているけど、親が赤ちゃんとしっかりスキンシップをとらないと、以前書いたナチスの育児施設の赤ちゃんのように身体は健康でもココロを病んだ断絶症候群になってしまう! ただでさえ親のオレがアレでキケンなのに! そんなことにならないように、限られた時間でもできるかぎり赤ちゃんと触れあうのだ。最初にみたものを親と認識するというヒヨコも人間の赤ちゃんも大して変わらんな〜。
 医師がいうには、これから様子をみながらちょっとずつ母乳を飲ませ、輪切りレントゲンの
CTで検査したりするらしい。母親と一緒に退院するのは無理で、三週間くらい入院する必要があるとのこと。退院後も一ヶ月ごとに検診を受け、レントゲンを撮らなければならないらしい。二月の義母の死以来、オレは癌恐怖症なので、そんなにレントゲンを撮っていたら癌になるんじゃないかと心配になってしまう。五体満足で普通の赤ちゃんにみえるがな〜。大袈裟なんじゃねえか? そう思ったけど、医師の意向には逆らえません。いっしょに帰れると思っていたので、ガッカリしてしまった。
 夜八時の通勤列車で四歳児をつれて帰宅するのは、きつい〜。通勤客の動きには一定のリズムがあって、子供づれだとそのリズムから外れて周囲に迷惑をかけちゃうんだなあ。ムスメなりに非常事態だということはわかっているようで、いい子にしているんだけどね。

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128日(水)ムスメを保育園にあずける

 連日の非常事態で、オレはくたびれてしまった。保育園が娘を預かってくれる日なので骨休めできると思ったら、疲労のあまり寝坊した〜。大急ぎで保育園につれていき、ペコペコあやまったのでした。迷惑をかけたのに「おめでとうございます」と逆に励まされましたよ。看護師と違って保母さんは優しいにゃあ。
 帰宅後ひたすら寝ました。気が張っている時は、鬱なんて吹き飛ぶんだけどね。もう体が動きません。せっかくコミケに合格したのに、このぶんじゃなにも出せませんなあ。もっと早く準備しておくべきだった。
 夕方、ムスメの保育園を早引きさせ赤ちゃん面会と細君の見舞いにいきました。出生届とかいろいろ書類をもらったよー。オレのような貧乏人だと赤ちゃんの入院費用は、三週間でも三万六千円程度ですむらしい。健康保険さまさまです。オバマがつくろうとしている健康保険に反対しているアメリカ人は、バカじゃなかろうか。
 ムスメを出産する時も利用しましたが、けっこう上等な病院なので値段も高い。前回は七十万円くらいでした。今回は、日曜で深夜で小児科医が参加して大層な検査をしたから百万円いっちゃうかな…。ううう…。わずかな貯金が消えていく…。役所が四十万円くらい払ってくれるので、実質六十万円か…。父上からもらった二十万円が、本当にたすかるな〜。例によって小児
ICUに入りこんで赤ちゃんをいじくりながら、カネ〜カネ〜カネ〜と赤ちゃんに愚痴ってしまった。
 赤ちゃんの入院費用を三万六千円にするためには、早く出生届を出して赤ちゃんの保険証をつくり、役所から書類をもらってこなければならない。細君は十日に退院するので、その日までに書類をそろえてくれといわれています。だから明日の九日までに名前を決めて出生届を提出する必要があります。
 オレの推す『莫人
(バクーニン)』や『礼布(レフ)』は、細君の親戚一同にも大不評です。帰宅後も携帯メールでやりとりしたけど、決まらねえよー。しまいにはケンカになってしまった。どうせオレが出生届を出すんだから、『莫人』で届けちまおうかな。

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129日(木)出生届を出す

 今日は寝坊せずムスメを保育園につれていきました。その足で役所に行ったけど、まだ名前が決まっていないんだよねー。携帯にむかって二時間くらい論争しました。そのうち電話だとケンカになるのがわかったので、メールでのやりとりに移行しました。
 細君の提示する名前は、どれもこれもさえないんだよねー。画数がどうだとかいっていたけど、そんなもん迷信だよな。バカバカしい。
 さんざんもめましたが、細君が提示したリストの中に字は違うけど皇太子時代のヒロヒトに暗殺攻撃を加えた日本人革命家の名があるのに気がつき、これにすることにしました。普通によくある名前なんですけどね。へへへ…。細君も画数がどうたらで満足したようです。
 こんな理由で自分の名前が決められたとは、夢にも思うまいなあ。でも今のアキヒト天皇は、人殺しとか悪いことをしてないから、暗殺なんてたくらむなよ。そんなことをするなら合法的に天皇制廃止運動をするべきだろう。
 そういうわけで出生届けを提出し、保険証やら乳児なんとか証やらをもらいました。保険証は、偽造防止のためかけっこう凝ったつくりになっており、作成するのにちょっと待たされました。
 役所から帰還し、しばらくうたた寝してからムスメを保育園に迎えにいってその足で電車で病院にお見舞いです。赤ちゃんには、搾乳した母乳をちょっとずつ与えているとのこと。ムスメの時は搾乳がうまくいかなかったんだけど、病院には三十万もするスイス製搾乳機が装備されており、こいつを使用するとすいすいオッパイを吸いとれるらしい。西松屋で三千円くらいで買った搾乳機とはものが違います。一ヶ月七千円でレンタルしていたので、予約したのでした。
 赤ちゃんは、相変わらずボケ〜ッとしていました。黄疸が出たとかでガーゼで目をふさがれて光を浴びせかけられていた。たしかに白目が黄色っぽくなっていた。こいつも大変だなあ…。例によって一時間ばかり赤ちゃんをなでたりさすったり話しかけたりして帰宅しました。

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1210日(金)細君が退院

 赤ちゃんは経過観察ということで二週間程度の入院ということになりました。細君だけが退院です。会陰切開といって胎児の出をよくするためにマソコを切ったので、歩くのが不自由そうです。胎児の圧力でマソコが破けるとズタズタになって治りが悪いらしいので、そういうことをするらしい。…女は大変だな……。
 交代で新生児
ICUに入り、赤ちゃんをなでたりさすったりして、しばしの別れを告げたのでした。最後に会計で出産費用を支払いました。大病院はみんなこんなものかもしれませんが、ずいぶん鷹揚です。踏み倒して逃げちまおうと思えばなんぼでもできる気がする…。
 入院料
313060円、分娩料284140円などで総額713010円でした。小児科医が待機したりしていたのに、意外なことにムスメの時より二万円高い程度です。100万円くらい覚悟していたので、たすかりました。でも、市民病院とかだったら30万円くらいですむらしいけどね。高リスク出産とかで高くなってしまった。
 役所が
42万円補助してくれたので、妊娠期間中の検査料も加えれば支払うのは実質45万円くらいです。父上様から20万円もらったので、自腹で支払ったのは25万円か。赤ちゃんの入院料は、一ヶ月36000円ですむらしいので、大助かりです。
 ムスメを出産した時の補助は、
30万ちょっとくらいだった。それに妊娠検診費の補助は、ありませんでした。最近増えた貧困層の人が妊娠検査を受けられなくて、続けざまに妊婦が何人も死ぬという事件がありました。そのせいか、この四年半でずいぶん待遇がよくなりました。オレにとっては、税金と称してカネを奪い誰かに配っちまうやつが悪で、取られた税金分以上の財やサービスを回してくれる人が正義です。そういうわけだからダメなところはあってもやっぱり民主党支持だなあ。子供が増えたらアイコクシンが出てきちゃったぞ。国に対する愛ではなくて、国民健康保険に対する愛だけどね。
 ムスメの子ども手当は、毎月1万円ずつ貯金しています。四才になったので貯金はもう
50万円を超えました。ムスメが十八才になる頃には200万円を超えるくらいにはなっているでしょう。200万じゃ何もできないだろうから、いくらか追加して300万円にして、高二になったら通帳ごと渡すつもりです。そのカネを使って好きな進路にすすんでもらおうと思う。300万程度じゃ私立大学は無理だろうから、国立大に進むか短大に行くか、就職して自立の資金にするか、元手にして商売でもはじめるか、自分で決めてもらおう。赤ちゃんにも同じ方法を使うつもりです。
 ところが新聞によるとどこかの知事が、子ども手当の自治体支払い分を拒否して浮いたカネで保育園やらの子供施設をつくるといっているらしい。バッカじゃあるまいか。役人や土建屋や地主につまみ食いされたうえに、いつどこにできるかわからない保育園やらよりも、現金のほうがはるかに役に立つ。

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1211-12日(土-日)母乳の宅配便 / 運をつけられる

 赤ちゃんは、母乳で育てなければならないということで、毎日乳搾りをしては細君とムスメを車に乗せて病院に届けています。オレは、鬱病なので毎日六時間以上も都心に出るのは非常にツライ。精神病の特性なのか、慣れるということがありません。自動車を運転してゴチャゴチャした都心に出るとアタマが痛くなったり気持ちが悪くなったりします。相変わらず不眠だし、体調は最悪ですね。それに細君があまり動けないので、出産以来ロクなものを食っていない。土日のおかげで都心の道路がすいているのが救いといった程度です。
 面白いことに、最初は黄色かった母乳が、だんだん白くなってきました。赤ちゃんの成長時期に合わせて母乳の成分が変化するらしい。よくできてるよなー。粉ミルクでは、こうはいかないよね。その他にも免疫物質やら未知の酵素やらアレルギーから赤ちゃんをまもる物質やら赤ちゃんがリラックスする成分やら、とにかく母乳というのはたいしたものらしい。だから、なんとしても毎日届けなければならない〜。
 ムスメは、子供なので小児
ICUに入れません。交代でムスメをみて、例の断絶症候群にならないように小児ICUで一時間ずつ赤ちゃんをなでたりさすったり歌をうたったりしてやります。オレは、ベビーマッサージの本を参考に赤ちゃん着物をはいでオムツ一枚にして、話しかけながらマッサージをしてやっています。出産の際のストレスで固く曲がってしまった腕や脚をのばしてやり、手で握ってウニウニしてやると、なんとなく気持ちよさそうな顔をしている気がします。逆に脇腹をウリウリとマッサージすると、手足をばたつかせて戸惑っている感じだ。
 マッサージが終わってオムツ一丁のまま抱っこしていたら、赤ちゃんがプリプリとうんちをしました。うんちの出てくる振動が伝わってくるのが面白いのだが、母乳が主食の水様便でオムツが大きかったので、すき間からうんちが漏れてきました。
 オレのヒザがうんちまみれに〜。とりあえず新しいオムツを出して赤ちゃんを置き、ヒザに水をぶっかけて、うんちを洗い流しました。うんちとはいっても、まだほとんど大腸菌のいない、まずそうなヨーグルトみたいな匂いのするシロモノです。
 ズボンについたうんちをどうにかしてから、赤ちゃんの尻の清掃にとりかかりました。キンタマ袋のシワにうんちが入りこんでとりにくいぞ…。熱中しておおいかぶさるように尻をふいていると、小便を発射しやがった。女の子のオシッコは下に飛ぶけど、男の子はちんちんがあるので上に飛んできます。オレのアゴから胸にかけて小便が直撃。さらに病院のベットにオシッコが飛び散りました。これはもうオレにはどうしょうもないので、看護師さんをよんでシーツをかえてもらいました。仕事を増やしてしまい申し訳ない。オレは、顔は洗ったけど替えの服なんてありません。服をパタパタやって小便を乾かして、そのまま帰宅しました。小便臭くなかっただろうか
?
 赤ちゃんは、今のところどこの具合が悪いということもなく、肺の腫瘍が大きくなったり悪さをしないか経過を観察しているだけです。細君を病院にかつぎこんでから一週間になります。もう疲労困憊してきたので、そろそろ赤ちゃんを退院させてほしいのですが…。あと十日くらいは通わないとならないようだ。心底から疲れる…。
 みなさんはデリカシーがあるからいわないけど、鬱病の狂人が虚弱なガキを抱えるなんて、かなり悲惨な状況だよね。赤ちゃんは入退院をくり返して十才くらいで死んじゃって、医療費にわずかばかりの貯金を使い果たし、女房は逃げて、オレは新宿地下道のホームレスになるんだあ…。こんな貧困妄想があらわれてきそうです。
 まあ、小児
ICUで青ざめた両親にむかって医師が「はっきりいって絶対安静です」なんて宣告しているのをきいちゃったりしたので、まだ幸せだと思うけどねー。

 

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1213日(月)母乳の宅配便2 / 『境界のRINNE(高橋留美子)を読む

 今日も一家そろって母乳の宅配便に病院にいってきました。赤ちゃんに面会したり移動する時間を合わせると六時間か七時間もかかってしまい他に何もできません。夜はよく眠れないし、ここのところの平均睡眠時間は五時間くらいです。普通だったら疲れれば眠れるものだけど、アタマがアレだと疲れるとなおさら眠れなくなるので困る。
 一時間ばかり赤ちゃんをいじりまわし細君と交代しました。待合室で待機していましたが、隅のほうになんか暗い夫婦がいる。夜だとフトンに入っても眠れないのに、不思議にこういうところだと眠れてしまう。『ラブプラス』に飽きて放りだしていた
DSに『ドラがな』とかいう字をおぼえさせる教育ソフトを入れ、こいつにムスメの子守をたのむことにしました。でも、ちょっと眠ると「はなみずでた〜」とかいってすぐに起こされるうう。寝かせてくれ〜。オレはナポレオンじゃねえんだ! 一日五時間睡眠はキビしすぎる…。
 そのうち医師がやってきて、隅の暗い夫婦に手術は成功したけど予断を許さないとかなんとか説明をはじめました。赤ちゃんの手術が終わるのを待っていたのか…。どおりで暗いわけですよ〜。
 小児
ICUにもレベルがあって、透明なプラスチックで密封されていて手を入れる穴が二つあいている重病用のベットを筆頭に、よくわからない機械がとりつけてあるマシンベット、通常の赤ちゃんベットという序列があります。うちの子は、マシンベットから通常赤ちゃんベットにクラスチェンジしていました。

 帰宅後、細君もオレもくたびれてしまい店屋物をとりました。最近はファミレスも出前をしてくれます。細君も三時間ごとに搾乳しないといけないので大変です。オレが不眠でぼーっとしていると、夜中に起き出してきてスイス製マシンで乳を搾っている。
 眠れないし、なにもする気にならないので、積んでいた『境界の
RINNE(高橋留美子)を五巻まで読みました。なに、これ。すっげー面白いじゃん。何年も前に漫画喫茶で読んだ『犬夜叉』がクソ面白くなかったので、高橋留美子は終わったと思っていました。しかし『境界のRINNE』は、面白いですよ。
 霊がみえる女子高生と死神と人間のハーフの男子高校生が、地縛霊やらを成仏させるというお話しです。よくあるパターンなんだけど、独特のユーモアが実によい。このユーモア感覚は、大人でも楽しめますねえ。もう三十年近く描いているのに絵柄も乾いていない。一気に五巻まで読んでしまいました。最近は引っ越しの準備で読まなくなったマンガを業者に送って
PDF化しているけど、これは手元におきたいなあ。
 この作品のテーマは、死と貧乏…なのかな
? 少年誌にしては重い。それをこのように面白楽しく描けるのだから、やはり高橋留美子は偉い。同じサンデー連載の『はじめてのあく』と同じかそれ以上には面白いですね。いまさら高橋留美子でもないと思っている人にも、おすすめですよー。

 

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1214日(火)母乳の宅配便を休む / DVD『罪と罰』(ディミトリー・スヴェトザロフ)を予約する

 今日はムスメが保育園にいく日です。親と病院なんかにいっても面白くないだろうに、保育園より病院についてきたがるんだよね。でも、たまには保育園にいって社会性を身につけてもらわなければならない。それにたまには骨休めさせてもらいたい。
 細君が乗りかえの少ない地下鉄とタクシーを利用して病院にいき、オレが保育園の送り迎えをすることになりました。産後に仕事をたのんで申し訳ないけど、母親が赤ちゃんの相手をしたほうがよいと思うんだよね。無理のようなら交代するつもりです。

 ヒマな時間ができ、ひさしぶりにネットをうろつきまわっていると、ロシアのテレビで放送された『罪と罰』のDVDが日本で発売されるという情報をゲットしました。DVD四枚入り、四〇〇分で9324円です。今月は物入りで、ずいぶんカネを使ってしまったんだが…、うううう…、これは予約せねばなるまい。レンタルなら一枚100円なのになあ。
『罪と罰』の映像作品といえば、ソ連時代の
1970年にあえてモノクロで撮影された映画版が非常な傑作です。以前いっしょに同人誌をつくっていた『鈴木先生』の武富健治さんも大絶賛していました。おそろしいほどにキャラクターがイメージ通りなんだよね。しかし、ソ連という時代のせいで、『罪と罰』の最も重要なテーマのひとつである宗教色がほとんどありません。逆にそんな制約があったのに、よくここまでつくったと感心するほどの作品でした。ソ連がロシアになり、たぶん検閲なしにつくられた今度のテレビドラマ版『罪と罰』は、どんなものだろうか。今から楽しみでなりません。

  

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1215日(水)産婦検診

 細君が産婦検診で病院にいき子供も保育園なので、五時間ほどひとりで過ごしました。赤ちゃんが生まれてから、ほとんど本も読まず映画のたぐいもみていません。なにか読んだりみたりしようかとも思うのだけど、なぜかそんな気になれないんですよね。かなりの無気力症です。
 細君は、まだ歩くのがつらそうなので駅まで送り、帰りも駅まで迎えにいきました。まだ会陰切開したマソの傷がくっついておらず、来週も病院にいくことになったということです。修羅場でそんなところを切ったら、手がすべってクリトリスまで切りとってしまうのではないかとか心配ですが、ハサミで下に向けて切るそうです。というか、マソと肛門のあいだを会陰と呼ぶらしい。それでは深く切りすぎたら傷が肛門にまで達し、痔になってしまうのではないかという気もします。そこらへんもぬかりなく、真下ではなくナナメ下に向けてハサミでチョッキンするそうです。イタタタタ…。
 もともとジメジメしていて不潔っぽいポイントなので、傷の治りが悪いようです。医師のアドバイスで毎日何回かシャワーを浴びて清潔を心がけているようなんだけど、これも考えてみれば、でっかい傷に一日何回もお湯をぶっかけているようなものだよね。なかなか傷がくっつかないのも当然に思えます。どんな状態なのかみせてくれとたのんだんだけど、キタナイからダメといってみせてくれません。
 子供をつくるために、チンチンにハサミを入れて数センチ切らなければならないなんて医師にいわれたら、男だったら震え上がるよな。オレだったら絶対拒否だよ。そのうえに女は、マソをちょん切られた数日後からハードな育児が待っています。それをみんな当たり前のようにやっているんだから、女は偉いよなあ…。
 そういうわけで、外食につれていったり買い物をしたりムスメの相手をしたりと、できるだけ細君の負担が軽くなるように心がけています。そうするとまとまった時間がとれず、なかなか本を読むことができないのでした。たまにヒマな時間ができても、ボーッとしてつぶれてしまう。

 検診のあとに細君は、赤ちゃんと面会したそうです。今日から直接おっぱいを与えてもよいということになったのだけど、一時間以上もフニャフニャとねんねしていてちっとも飲んでくれなかったとこぼしていました。看護師さんを母親と勘違いしているのではないかと心配そうです。もう生まれてから九日も入院しているので、なんだか落ち着きませんね。

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1216日(木)やせた / 姉ヶ崎寧々フィギュアが届く

 四ヶ月ほど前に精神病院で血液検査をしました。どうも体調が悪いと思ったら、油モノのとりすぎで血液がドロドロだそうです。細君にいわせると、そんなにデブにはみえないそうなのだが…。体脂肪がたまっているのかな。
 子供も生まれることだし、いい機会なので減量することにしました。それで今日体重をはかってみたら、四ヶ月前にくらべて十二キロもやせていました。鬱で食欲がないし、細君が入院しているあいだは面倒くさいのでほとんど食事をとらなかったからなあ。当たり前だけどメシを食わないのが、一番やせますね。もちろん子供には、インスタントとかテキトーなものだけど、ちゃんと食事を与えていましたよ。
 細君が帰ってからもふたりで食べてもらって、オレはあんまりメシを食っていない。メシを食うことすらおっくうなんだから、どうしょうもありません。

 半年くらい前に注文していたコナミスタイル限定の姉ヶ崎寧々フィギュアが届きました。『ラブプラス』は、とっくに飽きてしまって放りだし、DSは子供のオモチャになっているんですけどね…。出来はいいようだけど、フィギュアなんてどーでもよくなってしまった。それに本をいくら整理しても、場所をとるフィギュアなんか買ったら意味がない。ヤフオクにでも出して叩き売っちまうかなあ…。面倒くさいなあ。

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1217日(金)『罪と罰』(落合尚之)九巻 / 『ダンス・マカブル 西洋暗黒小史』(大西巷一)を読む

 今日も大学病院にいってきました。明日、医師がオレと面談したいということです。赤ちゃんの余命が三ヶ月とかいわれたらイヤだなあ…。みたところそんな雰囲気はありませんが。

 帰宅後、マンガ『罪と罰』九巻と『ダンス・マカブル 西洋暗黒小史』を読みました。どちらも暗黒で非常に面白い作品です。
 マンガ『罪と罰』の九巻は、ソーニャとスヴィドリガイロフの絡みです。原作のソーニャは、キリストに擬せられた『聖なる娼婦』として書かれています。このことは、ソーニャの下宿兼仕事場が、カペルナウモフから借りているというだけで理解できます。カペルナウモフという名は、イエスが布教の拠点としたカペルナウムからとられていますからね。凄まじいまでの自己犠牲をおこなうソーニャは、イエスなのです。
 ところがマンガ『罪と罰』では、ソーニャ
(エチカ・英知香)は風俗でかせいだカネを男に貢いでダメにしてしまうダメンズ毒女として描かれています。日本人は基本的にキリスト教の信仰も知識もないから描きようがないのだろうけど、ソーニャがロシア正教の異端の狂信者であるというキリスト教徒以外が読んでも興をそそる部分が削がれてしまっているのが残念ですね。でも、かわりにエチカ(英知香)の売春シーンがエロくてよいぞ。ちなみにソーニャの本名『ソフィア』は、ギリシア語で『英知』の意味。だからソーニャを『英知香』とあてたのは、非常にうまいですね。
 東犬二という別ペンネームで西洋中世エロスの傑作作品集『
DARK AGE』を出している大西巷一の『ダンス・マカブル 西洋暗黒小史』も実に面白かった。テーマは、暗黒西洋史と拷問みたいです。ジャンヌ・ダルクの火刑される前の拷問やスペインの異端審問官の話しが中心です。中世以外では、カリギュラとイエスの磔刑なんかの話しもあります。この作者は、澁澤龍彦を愛読していそうな感じですね。
 オレは中世史にはくわしくないのでジャンヌ・ダルクに加えられた拷問がホントなのかわからないけど、カリギュラはよく資料に当たって最後にひとひねりした良作だと思います。漫然と描かずディテールにこだわってよく描きこんでいるところが偉い。それに他の話しでも、拷問者が単なる悪役ではなく、自分が正しいことをしていると信じ切っているところがまたよい。
 現在は絶版でプレミアがついている『
DARK AGE』にくらべても、一段と絵がうまくなっています。エロ目当てや拷問好きの人だけでなく歴史マンガ好きの人にも、もっと評価されて良い作家だと思うなあ。
 それにしてもこの人は、拷問をエロく描く名人ですなあ。これですからねえ↓ おすすめですよ〜。

 

   

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