遊撃インターネット狂人雑記69 北のりゆき=死売狂生=行方未知 遊撃インターネット雑記 遊撃インターネットTOP ご意見等は掲示板へ 2010 年9 月15日(水)『そして戦争は終わらない「テロとの戦い」の現場から』(デクスター・フィルキンス)を読むニューヨークタイムズの海外特派員による戦場レポートです。九月三日の雑記で紹介した『倒壊する巨塔』のような分析的な本ではなく、 2003年頃のイラクを中心にした米軍と武装勢力との戦闘をレポートしています。この著者は、いつ戦場で死んでも、あるいは誘拐されて首を切断されても不思議ではないと思います。それくらい危ない橋を渡っています。アフガニスタンでは、タリバンに捕まり数時間後に釈放されるなんていう目にもあっている。 アメリカによるイラク戦争が、いかにうまくいっていないかのレポートになっています。イラク国民の多数はフセインが嫌いなんだけど、アメリカも嫌いで早く出ていってくれというのが本音です。フセインの権力基盤となったバース党は、アラブ民族主義と社会主義を掲げる世俗政党でした。そのバース党支配をアメリカが一気に崩したため、権力の空白が生じ、それまで押さえられてきたイスラム教シーア派とスンニ派の争いやイスラム武装ゲリラがあらわれ、イラクは蜂の巣をつついたような混乱状態におちいります。アメリカ軍はシーア派民兵組織のマハディ軍と戦闘したかと思うと、今度はアルカイダ系スンニ派ゲリラに自爆攻撃をかけられたり、シーア派とスンニ派の民兵が殺し合うのに割って入ったりと、もう収拾がつかない状態になります。 アメリカ軍に協力的なイラク人は、どこかの武装勢力に脅迫され、殺されたり誘拐されたりして、残りは蜘蛛の子を散らすように逃げてしまいます。ちょっと数えただけでもイラクには103もの武装組織があるらしい。『××の自殺旅団』『○○の殉教旅団』『△△の攻撃旅団』『□□の暗殺旅団』などなど、名前だけでもものすごい連中が入り乱れて人を殺して回っている。こんなありさまで、どこのだれがゲリラかもわかりません。手間とカネがかかるばかりでアメリカ軍による治安維持は不可能でした。これではアメリカ軍は、放りだして出ていくほかないでしょう。その通り、オバマ大統領がアメリカ軍のイラクからの撤退を発表しました。 従軍レポートも興味深いものでした。海兵隊の一個小隊が前進していると三階建てのビルから狙撃されます。数十人の海兵隊員が銃身が焼きつくまでビルに向けて発砲します。ところが反撃が弱まると、また三階建てのビルから狙撃される。砲兵隊に連絡して三階建てビルを砲撃させても、砲撃が止むとやっぱり狙撃。とうとう空爆を要請して三階建てビルを倒壊させます。すると瓦礫の山から狙撃手が出てきて自転車に乗って逃げていく! 海兵隊は逃げる背中に向けて撃ちまくるけど逃がしてしまう…。アメリカ軍はイラクでこんな戦争をしているようです。カネがあるというか火力の無駄づかいというか…。いかにもアメリカ的な戦闘です。納税者はたまったものではないだろう。 火力と機動力に優越する敵と戦争するには、都市戦闘に引きこむのが一番効果的だとゲリラも分かっているのでしょう。スターリングラードの世界ですね。もちろんアメリカ軍もやられっぱなしではありません。対ゲリラ戦闘用に暗殺部隊というのを創設したらしい。夜間戦闘でゲリラの迫撃砲攻撃で動けなくなった小隊が、暗殺部隊の応援を要請します。来たのがテニスシューズ(!)をはいて、顔を緑に塗り暗視ゴーグルをつけた三人組です。迫撃砲の位置を教えると暗殺部隊は闇に消え、しばらくすると砲撃がやみました。暗殺攻撃に成功したらしい。ここらへんを読んだときは、日本は平和でよかったなぁと思いましたよ。この暗殺部隊三人組は、任期が終わったら国に帰ってくるだろう。この人たちが、まともな市民生活を送れるとは思えないんだよね〜。映画『タクシードライバー』のトラヴィスみたいになっちゃうんじゃないだろうか? アメリカ兵とゲリラは瓦礫の山の上で好きなだけ戦争すればいいとしても、生活を破壊される民衆はたまったものではありません。この本は、命知らずな作者が現在もおこなわれている不条理な戦争の現実をえがいた秀作だと思う。
雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月16日(木)『けいおん!!』最終回をみるにゃ〜。『けいおん !!』が最終回になってしまった。こいつと『ストライクウイッチーズ2』が面白いアニメの双璧だったのになあ。楽しみが減ってしまい、ちょっとションボリしてしまいました。アニメとかゲームが終わったあとでネットをうろつきまわり、いろんな人の感想を読むのが好きです。2ちゃんねるもいいね。集合知というのはたいしたもので、まったく自分が気がつかなかった意見を読んで目からウロコが落ちることもしばしばです。 2ちゃんねるの『けいおん!!』スレあたりをうろついていたら下の図をアップしている人がいました。軽音部のキャラクターが在籍する三年二組のクラスメートの名と席順です。よく調べたよな〜。このまま消えてしまうのはあまりにももったいないので、転載させてもらいます。 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月17-18日(金-土)『寒村茶話』(荒畑寒村)をよむ 明治時代から戦後までの日本の社会主義運動の生き字引ともいえる荒畑寒村翁の著作です。今はなき左翼雑誌『朝日ジャーナル』に連載していたもので、記者が荒畑寒村の語りを書きとって清書するというかたちで本にしたようです。題名の通り『茶飲み話』で、社会主義についての難しげな話しなどは一切ありません。明治・大正・昭和にかけての一面の風俗史としても読むことができます。 師匠は日本ではじめて『共産党宣言』を翻訳し日露戦争の反戦運動で有名な堺利彦。先輩は大逆事件で処刑された幸徳秋水。同輩は関東大震災のどさくさで暗殺された大杉栄、弟子は後の共産党中央委員の鍋山貞親というすごいメンバーです。 平民社には多士済々の人が集いました。後に有名画家となる竹久夢二も、平民社が発行した社会主義書籍の挿絵でデビューしました。竹久夢二は、貧乏で一人暮らしができなかったので、数ヶ月も荒畑寒村らと共同生活しています。大逆事件などの大弾圧におびえた竹久夢二は、社会主義から離れていきますが、画家としては売れっ子になりました。後に売れっ子になった竹久夢二とたまたま出くわした荒畑寒村が、気安く挨拶すると気がつかないふりをして通り過ぎていったそうです。 荒畑寒村は、十八歳の時に社会主義伝道行商を行います。牛乳配達が用いていた小型の箱車を赤く塗ったものに社会主義書籍を詰めて「社会主義伝道行商」ののぼりを押し立てて東北一帯を徒歩で宣伝して回るというものでした。官憲の妨害にあいながらも福島県までたどり着いています。 余談だけど、日本ではかなりの田舎にも早稲田あたりを卒業した結構なインテリが点在しています。そういう人が村長におさまっていたりする。そういう地方のインテリや教師などに社会主義を伝道したようです。この「伝道」という言葉にも、まだ根強かったキリスト教社会主義の影響が見てとれます。危機感を持った県知事が「社会主義者が出没するので注意せよ」というおふれを出したりもしたようです。まるで人を化かすキツネかタヌキのようなあつかいでした。さらに余談だけど、アニメ『true tears』に登場する主人公の父親が、このような地方のインテリリベラルの典型のように思えました。酒蔵というのは地方の名家です。その跡取り息子が絵本作家になりたいとか寝言としか思えないことをいっても、無口ながらも理解をもって見まもっていますからねえ。 明治四〇年に荒畑寒村は、足尾鉱毒事件を弾劾した『谷中村滅亡史』を著します。この本は七〇年代の公害問題の原点ともいえるものでした。翌明治四一年には『赤旗事件』で千葉監獄に入獄します。数十人の社会主義者が集まって映画館で同志の出獄祝いを行い、血が上がった荒畑寒村らが赤旗を押し立てて街頭へ出て、駆けつけた警官隊と大乱闘になったという事件です。誰かが大けがをしたわけでもないのですが、大杉栄とともに懲役一年六ヶ月という非常に重い弾圧を加えられました。しかし、この事件で入獄したことで、命拾いをすることになります。荒畑寒村が出獄後、大逆事件がでっちあげられるのです。 荒畑寒村が入獄中に、内縁の妻であった管野スガが先輩の幸徳秋水に走り、別れることになります。直情径行な荒畑寒村は、激怒してピストルを手に入れ二人の命を狙ってつけ回します。幸徳秋水と管野スガも、とんでもないやつを怒らせてしまったことが分かっているので、転々と居所を変えて捕まりません。そんなときに大逆事件が起こります。 大逆事件とは、明治四三年に社会主義者の幸徳秋水らが明治天皇暗殺計画を企てたとして検挙された事件です。検挙者は数百人に上り、明治天皇暗殺計画容疑として二六人を起訴します。判決は死刑二四人、有期刑二人。十二人が特赦無期刑に減刑されたものの幸徳秋水と管野スガを含む十二人が処刑されました。死刑を免れた者も三人が獄中自殺、二人が病死し、二六人中、生きて出獄できたのは七人にすぎません。しかし、赤旗事件で獄中にいた荒畑寒村と大杉栄は、この完璧なアリバイのため連座を免れました。 戦後の調査によると、実際に明治天皇暗殺を計画したのは五人にすぎず、それも謀議の段階でした。彼らが試作した爆弾というのも花火みたいなシロモノで、とても人を殺せるようなものではなかったらしい。それで二四人が死刑と無期懲役…。社会主義者に対するでっちあげの大弾圧事件でした。 荒畑寒村は、自分が命を狙っていたはずの幸徳秋水と管野スガが処刑されてしまうと、かたきをとろうと例のピストルをしのばせて、でっちあげの首謀者であった桂首相の命をつけ狙います。しかし、警備が厳重でチャンスがなく機会をうかがっているうちに仲間の社会主義者が、こいつにピストルを持たせておくとロクなことにならないと押しかけてきてとりあげられ、質に入れられ飲まれてしまった。戦前の日本では、けっこー簡単にピストルが手に入ったらしい。それにしても落語みたいなオチでした。 この大弾圧の後、社会主義冬の時代がきて運動は沈滞します。この時に平民新聞の再刊などで孤軍奮闘したのが、アナーキストの大杉栄と共産主義に傾いていた荒畑寒村でした。この時の活躍で広く名前が知られることになります。 1917年にロシア革命によりソビエト政府が成立すると、各国から社会主義者やアナーキストをソビエトに招待し、オルグして共産党をつくらせるという戦略をとります。大杉栄と荒畑寒村も日本を密出国してソビエトを訪れ、共産党大会などで演説しています。荒畑寒村が演説した際は、となりにブハーリンが座っていて横顔をスケッチしていたとか。 アナーキストの大杉栄は、共産主義のソビエト政府に懐疑的、というか小バカにしていて、帰国後に『日本脱出記』なんていう本をモノしています。しかし、関東大震災のどさくさにまぎれて憲兵隊に虐殺されてしまいました。後に満州に渡り甘粕機関をつくり満映理事長となった甘粕正彦が下手人といわれてきましたが、最近発表された佐野眞一の『甘粕正彦 乱心の曠野』によると、憲兵隊上層部の指示による組織的犯行で、甘粕正彦は上の罪をかぶったにすぎないとされています。 1922年にいよいよ日本共産党が設立されると、荒畑寒村は創立メンバーとして加わります。荒畑寒村といえば社会党系というイメージがありますが、日本共産党の初代書記長なんですね。日本共産党は創立時から非合法組織でした。党員と目された者はいつ警察に逮捕されるか分かりません。荒畑寒村も翌年の第一次共産党事件で検挙されてしまいます。この弾圧におびえた幹部連中は、共産党の解散決議をおこなってしまいます。この時に唯一反対したのが荒畑寒村でした。 その後、日本共産党は再建されますが、すでに荒畑寒村の心は共産党から離れていました。スターリンがソ連の実権を握った時期で、各国共産党は世界革命の前衛からソビエト・ロシアの手先に堕落していたのです。しかし、再建された共産党は、荒畑寒村を中央委員として加えようとします。弟子でもあった共産党中央委員の鍋山貞親に神社によびだされ涙ながらに説得されますが、荒畑寒村は共産党の理論上・組織上の誤りを指摘し、断固として復党を拒絶しています。『寒村茶話』によると、戦後になって社会党のある代議士からこの時に党の命令でピストルを持ってすぐそばで隠れて待機していたと聞かされています。自分が変な行動に出ていたらどうするつもりだったのかと問うても、この社会党代議士は口を濁してこたえなかったとか。 共産党に絶望して党を離れた人は、右翼に転向したり宗教に走ることが多いのですが、荒畑寒村が偉いのは、あくまで社会主義を捨てずに非共産党系の社会主義運動をはじめた点です。共産党系の『講座派』に対して『労農派』とよばれた人々です。後の社会党左派。特に党内党として社会党を左傾化させた社会主義協会の源流となりました。労農派は、共産党のように地下党を作らず、大学教授など著名人を核に無産政党から労働組合や自由主義者にいたる人民戦線をつくり、日本の軍部ファシズムに抵抗しようとします。しかし人民戦線事件で一斉検挙され、壊滅してしまいます。この事件でも荒畑寒村は、まっさきに逮捕されています。 このように、戦前の日本では『国家の敵』とでもいうべきあつかいをされた荒畑寒村ら社会主義者が、どのように生計を立てていたのか不思議でした。意外にも出版社や社会の上流の人々に社会主義者に対する同情が強く、こっそり援助してもらっていたようです。上流階級には高学歴で学生時代に左翼思想の洗礼を受けた人が多かったからでしょう。荒畑寒村の場合は、ダイヤモンドなど一流紙から匿名の翻訳の仕事などをもらって、貧しいながらもなんとか生活していました。 当時はインテリの価値が今よりもはるかに高かったということもあるでしょう。堺利彦や幸徳秋水だったら大学教授くらいなれたでしょうし、大杉栄と荒畑寒村は超一流のジャーナリストですね。日本という国は、天皇からの距離でその人物の社会的地位が決まります。帝国大学の教授は、天皇が直接任命する勅任官なので大臣と同格です。文部大臣でも軽々にクビにできません。大学教授の地位が暴落するのは七〇年ごろの全共闘運動以降でしょう。人民戦線事件で多数の大学教授が検挙されていますが、当局も相当気をつかったようで、あつかいも共産党に対するよりもはるかにゆるかったようです。戦時中は共産党の幹部は獄中にいましたが、労農派は獄外に出ている人が多かったようです。 さすがの荒畑寒村も、戦時中は動きがとれなかったようです。日米開戦の日に社会主義者仲間とフナ釣りに行ったのに一匹も釣れず、フナは忠君愛国主義なので戦争に行ってたんだろうなんてバカバカしいことを書いています。 戦後になると荒畑寒村は、日本社会党の創立に加わります。衆院議員を二期務めますが、社会党の堕落にも愛想を尽かし、政治を引退し著述活動をおこないます。荒畑寒村は、明治の社会主義者のほぼ唯一の生き残りなので、この人の証言がなければ埋もれてしまった歴史的証言がたくさんあります。活動家としての証言は、『寒村自伝』にくわしく述べられています。日本の近代史を研究する人や、社会活動家、それに共産趣味者は絶対に読まなければならない本だと思います。それに対して『寒村茶話』は、文字通り茶飲み話の聞きとりで、例のフナの忠君愛国主義やら社会主義者がどこでどんなものをいくらで食べていたとか、社会主義者が新劇にどのような影響を与えたかなんてことが語られています。当時八〇才であった荒畑寒村の異常な記憶力には驚かされます。 共産趣味的には、七〇年代に中核派の集会に招待されて出席し、後に革マル派に暗殺された本多延嘉書記長に「今集会に荒畑寒村先生においでいただき光栄です」と紹介されたというのが興味深い。マル共連BBS再建協議委員会(準)掲示板から引きます。 昔の記憶ですが前進(中核派の機関紙)で東京での政治集会で荒畑寒村氏が話をしたという記事がありました。革マルがナーバス(嫌がらせの電話)を荒畑氏にかけていたようで、氏が「来るならいつでもおいで。ただし電車賃はきちんと払って」という発言が印象に残っています。革マルの集団無賃乗車は顰蹙を買っていましたから氏も妙なことをする集団と思っていたのでしょう。 そのときの基調報告は本多書記長でした。「今集会に荒畑寒村先生においでいただき光栄です」という発言があったのを懐かしく思い出しました。 続くすえいどん氏による書きこみでは『寒村自伝』について 65年4月の前進 すべての労働者の座右の書として推薦 「労働者の座右の書」隔世の感あり http://kakukyodo.jp/h.tyosakusen/no3051.html 晩年は茅ヶ崎に居をかまえ、菅野スガや伊藤野枝を主人公にした小説を書いた瀬戸内寂聴のインタビューを受けたのがきっかけで親しくなり、瀬戸内寂聴が案内する京都の置屋で舞妓さんたちにモテたり、朝日新聞から賞をもらったりするなど、それなりに落ちついた生活をおくりました。しかし、ソ連に傾斜する社会主義協会や新左翼の内ゲバをきびしく批判するなど、社会主義運動の現状に対する絶望は深かったようです。 1981年死去。読むとしたらまず『寒村自伝』でしょう。合間に『寒村茶話』を読むと、いい息抜きになると思います。
雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月19日(日)BS『貧者の兵器とロボット兵器』をみるHDD/ブルーレイレコーダーが勝手に録画してくれたNHKBSの『貧者の兵器とロボット兵器』をみました。アフガン戦争でアメリカ軍が運用している無人偵察/攻撃機の活動と、それに対抗するゲリラの自爆攻撃をえがいています。 アフガンの上空を飛びまわりゲリラに攻撃を加えているプレデターとよばれる無人偵察/攻撃機が、アメリカ本土のラスベガスから操縦されているのに驚きました。アメリカは、できるだけ自軍に死傷者を出さない新しい戦争をつくりだそうとしているようです。無人機ならばまだ分かりますが、地上戦においてもロボット兵器を導入しつつあります。地雷除去ロボットからはじまり、それを護衛する殺人ロボットも実戦に投入されているようです。 しかし、ロボットといってもやはり人間の代用品です。自立的に思考し働く人間には、なかなか及びません。アフガニスタンではソ連介入以前の七〇年代から内戦が続いており、数世代にわたって戦争を続けてきたプロのゲリラとでもいうべき人々が育っています。どこかで読んだのだけど、男の平均寿命が四〇才以下だというのだから恐ろしい。彼らは宗教的確信を持つので、説得や交渉には応じません。 ゲリラは、農薬からつくった仕掛け爆弾や自爆攻撃で、米軍の火力や機動力それにロボット兵器に対抗します。アルカイダがはじめたことだけど、自爆攻撃要員の様子や決意表明をビデオにおさめ、さかんにその映像をネットに流しています。英語やアラビア語が堪能じゃないとみつけるのがなかなか難しいんだけど、この番組ですさまじいテロ攻撃の実況を大量にみることができました。 もともと、アルカイダのビンラディンは、ソ連と同様にアメリカもアフガニスタンで泥沼のゲリラ戦に引きこみ、国力を奪って国家の解体を目指すという戦略でした。現状をみるとその計画通りに進んでいるように思えます。人名損失を忌避して兵隊を全てロボットに変えたところで莫大なカネがかかるし、報復にアフガンゲリラがアメリカに潜入して無差別テロをおこなえば同じことです。 カネと技術をふんだんに使い兵士が死なない戦争を目指すという、いかにもアメリカ的な計画ですが、そううまくいくとはちょっと思えません。アフガニスタン人の命の値段はかなり安いので、たとえロボット兵器で十人のゲリラを殺しても、数千万円のロボット兵器が破壊されたら収支が合わなそうだ。殺しても殺しても宗教ゲリラはつぎつぎと生まれてくるだろう。結局アメリカは、ゲリラ戦で疲弊させられ、アフガニスタンから撤退する以外に道はないだろうと思う。 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月20日(月)フランスの親日小説『優雅なハリネズミ』を読了 フランスでベストセラーになった小説です。超高級マンションの管理人の未亡人とそこに住む十二才の天才少女が主人公で、二人のノートを交互に載せるというかたちをとります。 「欲望を撒く者が、抑圧を受けるのよ」そんな言葉が口先まで出かかっていました。しかし、私が何かを言ったところで、聞いてくれるのは飼い猫だけです。 『ドイツ・イデオロギー』は、学生時代に読んだなあ。二十ページでザセツしたが…。この管理人さんは、少なくともオレよりは知的です。 大切なのは、死ぬという行為でも何歳で死ぬかということでもなく、死のまぎわに何をしているかということです。タニグチの世界では、主人公たちはエベレスト登山中に死にます(谷口ジロー『神々の山嶺』)。わたしには六月十六日までに、 K2やグランド・ジョラスに登るチャンスはないけれど、知的な面での探求がわたしにとってのエベレストです。自分自身のことをできるだけ深く考えて、このノートに書き留めていきたい。それが目標です。何をしても意味がないというなら、せめて心では立ち向かっていたいでしょう? わたしは日本的なものがすごく好きだから、ひとつ決まりを作ってみました。この日記を、日本風の詩の形で表現してみることにしたのです。たとえば俳句(三行)、もしくは短歌(五行)で。わたしがいちばん好きなのは、芭蕉の俳句です。 海士の屋は これは金魚鉢ではありません。詩情があふれています! 主人公は二人とも大変な親日家です。料理から家具の装飾までフランスの文化は全てセコくてショボくてダメで、日本の文化は崇高で素晴らしいみたいなことが、全編に書かれています。作者には「そんなに日本が好きだったら日本人になっちゃいなさいっ !」といってやりたくなりますが、実際に京都に移住して暮らしているらしい。知的管理人と天才少女による、要するに「気にくわない」というインテリジェンスあふれる不平不満文章をかわりばんこに読まされて、これは失敗だったかなあと思いました。そこに、スーパー日本人が引っ越してきます。もちろん初老の大金持ちです。彼は、管理人が極めて知的な人物であることと、十二才少女が天才であることを簡単に見破ります。そして階級的偏見に目を曇らされているフランス人と異なり、二人を尊敬の念をもって遇し、導きます。 白馬の王子様パターンですかい、と思って読んでいると、最後にどんでん返しがありました。死生観を揺さぶられるようなものです。フランス小説らしくグチャグチャとセリフが長くてウザかったけど、ラストが非常に優れている。読んで良かったと思いましたよ。
雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月21日(火)ソ連軍原潜映画『K-19』をみる 潜水艦モノの映画にハズレはないという経験則があるそうですが、この映画も面白かった。原子炉事故を起こした核搭載ソ連原潜の実話を映画化したものです。主役の艦長役は、ハリソン・フォードです。この人には、ソ連海軍の軍服が似合わねえなあ。 楽天レンタル 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月22日(水)楽天レンタルでDVDが一枚50円キャンペーンで楽天レンタルが DVDを一枚50円でレンタルしています。月何枚まで借りられていくらという通常レンタルではなく、スポットレンタルというやつです。借りたいDVDを何枚か選んでクリックすると送られてきます。それで十日以内に返却しないといけない。ピーコすれば翌日には返送できるよね。毎月カネを払わなくていいから、こっちのほうが便利です。安いうちに借りだめておこう。アニメなんて親友のny氏やsh氏に借りれば無料ですけどね〜。50円だったらカネを払ってもいいんじゃないかなあ。送料を加えると100円くらいになっちゃうけどね。パソコンモニタではなく、でかい画面のテレビでみたいという思い入れがあるなら、これは格安なのでおすすめですよ。それにやはり、データ化したものより画質がよい。 キャンペーン期間は、九月三十日までです。一度に二十枚まで借りられます。レンタル期限は十日間です。期限が短いのでオレは、一枚に二話くらいしか入っていないアニメDVDを借りています。この機会に前からみたかった『ゼロの使い魔』シリーズと『ARIA』シリーズを全部集めるつもりです。 そうそう、アメリカのアマゾンで DVD『君が望む永遠』と『AIR』のコンプリートボックスが格安でした。全話収録されていて『君が望む永遠』(英題・Rumbling Hearts)が10.99ドル、『AIR』は9.49ドルです。『AIR』は、ブルーレイボックスを持っているのだけど、封を切る気がしないんだよね。『君が望む永遠』はゲームが非常に面白かったので、前から気になっていた。そういうわけでふたつとも購入しました。送料は10.97ドルです。為替レートは1ドル95円くらいに設定されていて市場よりずいぶん円安です。それでも2802円で購入できました。これもレンタルビデオ屋で借りるより、はるかに安いと思う。 楽天レンタル http://rental.rakuten.co.jp/アメリカアマゾン http://www.amazon.com/雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月23日(木)ツンデレアニメ『ゼロの使い魔』をみる夜を徹して DVD『ゼロの使い魔』の六巻までと『ゼロの使い魔 双月の騎士』一巻をみました。なにしろ一枚五〇円ですからね〜。早くみてつぎを借りないと損をしてしまう。よくある異世界スリップものです。魔法や剣がどうこうするニセ中世世界にダメ魔法使いの女の子の使い魔として召還されてしまった現代日本の男子が主人公。8月29日の雑記に書いたマーク・トウェインの『アーサー王宮廷のヤンキー』が、現代的になったというか退化したというか、そういう作品です。 使い魔として召還されたはずの主人公が、なかなか反抗的でヒロインのルイズにお仕置きされてばかりいるというところがミソでしょうか。ルイズは、ダメ魔法使いで魔法能力がゼロという設定なので、題名が『ゼロの使い魔』らしい。このニセ中世は、魔法使いが貴族という階級社会で公爵(侯爵?)令嬢のルイズは、使い魔男子に対して常にツンツンしています。たまに好意らしいものをみせるのが、ツンデレなのかな〜? 「あ、マンガ版ナウシカのパクリ」とかツッコミながらみていました。まあ、到底何千円も出してDVDを買う気はしないけど、飽きずに楽しめたからいいんじゃないかな。五〇円だしね。 内容的には特記するようなものないんだけど、ヒロインのルイズの魅力でもっている作品だと思いましたね。ルイズ役の釘宮理恵のツンデレ演技が素晴らしい。この声に魅了されると釘宮病を発症したといわれ、釘宮ツンデレアニメをみまくってしまうんだそうな。そういやこの前みた『とらドラ!』も、釘宮ツンデレアニメだったな〜。どうやらオレも発症したらしい。釘宮理恵は、日本語を解さない外国人にも非常に人気があるようです。 みてもくたびれない作品なので、五時間以上も連続で最終回の十三話までみました。続けて二期の『ゼロの使い魔 双月の騎士』一巻をみます。おおっ。二期のほうが作画がよくなっているし、面白いぞ! きっとルイズのデレ成分が増えたからだろう。しかもかなりえっちだ。 原作はライトノベルらしい。内容無さそー。読む気しないな。でも、アニメのほうは、ルイズ=釘宮理恵を目当てに、三期の『ゼロの使い魔 三美姫の輪舞』までみるつもりです。 楽天レンタル 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月24日(金)『シャングラッド神紀』(祭丘ヒデユキ)/『じょしらく』(ヤス・久米田康治)を読む先日ネットをうろついていると、大学医学部の偏差値リストのページに迷いこんでしまった。一位はやはり東京大学理科三類 (医学部)。二位が京都大学医学部。三位が意外にも私立で慶応大学医学部。四位が大阪大学医学部でした。大阪大学というとなにかゴミゴミしたイメージがありますが(大阪の人ゴメン)、勉強できるんですねえ。偏差値では負けているけど国立大学で受験教科数が多いから慶応大学より入るのが難しいんじゃないかな。やはり医学部というのは別格で、東京大学理一より大阪大学医学部のほうが難しいようです。国立大の医学生一人を育てるに税金が一億円以上かかるそうだから、ちゃんと勉強しろよー。 大阪大学医学部といえば、手塚治虫の出身校です。さすが現代のマンガをつくった天才だけあって、通常の勉強のほうの頭も抜群に良い。手塚治虫は、医学生時代から貸本マンガを描いていたはずです。あんなにも時間を食うマンガをプロとして描きながら医師国家試験に合格し、あまつさえ医学博士号までとるとは、おそろしい頭脳の持ち主です。 手塚先生は、アニメなんかに手を出さずに、もっともっとマンガを描いて長生きしてほしかったなあ。『アドルフに告ぐ』などの、晩年の作品にも非常に良いものがある。虫プロの倒産は、手塚治虫の寿命を十年は縮めた気がします。手塚治虫が亡くなったときには、このままマンガ表現は衰退するのではないかと危惧しました。幸いそうはなっていないようですが。 『シャングラッド神紀』のような作品に出会うと、まだまだマンガも大丈夫だと感じます。こんな怪作が商業誌で連載され単行本になるんだから…。マンガの間口は広いなあ。『地上最強の男 竜』以来の怪作品でした。絵柄からして狂気を感じさせます。首になったシヴァ神。インド人が怒るぞ 神の出産シーン 要約が難しいんだけど、ヒンズー教神話を下敷きにした話しで、首だけになった破壊神シヴァと組んでヒンズー神さまを殺しまわる無神論者の超人が主人公というもの。なんだかよく分からないだろうけど、書いている本人にも分からない。絵柄についても、脳の一部は圧倒的に面白がっているが、脳の別の部分は拒否するという感じです。細君にみせたら「キモイ。みせないで」のひと言でした。とにかく大変な怪作なので、変なマンガが好きな人には、ぜひ一読をお勧めします。それにこの人は、エロマンガも描いているんだよね。この絵柄でどうしろっていうんだという気がしますが、アマゾンのレビューをみるとけっこう評判がいい。こちらも読まなければなるまい。 続いて『じょしらく』を読みました。女の子の噺家たちがワイワイしているマンガです。漫才師では女をよくみるけど、落語家で女性ってみたことがないよね。設定がユニークだ。
雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月25日(土)『ナチスと映画』(飯田道子)を読む以前からナチスのプロパガンダについて興味があったので、いろんな本を読んでいました。宣伝大臣のゲッベルスの日記からはじまって『絶対の宣伝』シリーズとかレニ・リーフェンシュタールの自伝や研究書など。類書はだいたい読みつくしたと思っていましたが、この本を偶然本屋でみつけました。 2008年発行。たぶん新書なので紀伊國屋のドイツコーナーに並べられず、それで気がつかなかったのでしょう。この本の内容は、大きく二つにわけることができます。前半は、ナチスドイツ時代の映画についてです。後半は、戦後になってナチスが映画でどのようにえがかれてきたかです。ナチスドイツ時代の映画については、いろんな本を読んできたので特に目新しいところはなかった。でも、よくまとまっているので知識を整理するのに役に立ちました。 ナチスドイツでは、映画を上映する前にニュース映画を流すことが義務づけられており、その『ドイツ週間ニュース』で貴重な戦争映像をみることができます。PKといわれる宣伝撮影組織が一万五千人も従軍していたらしい。『ドイツ週間ニュース』の水準が高いのもうなずけます。 ナチスの映画というと軍隊の行進とか戦争映画ばかりというイメージがあります。『意志の勝利』などそういう傾向の作品もありますが、むしろ例外です。特に戦時中は、娯楽映画が圧倒的に多かったらしい。これは宣伝大臣ゲッベルスの考えで、映画をみているあいだは、観客にイヤな現実は忘れさせて楽しませようという、まあ、一種の民衆白痴化政策です。一九三九年としては驚異的なカラー映画『風と共に去りぬ』を制作したハリウッドをライバル視し、対抗して制作されたのが『ほら男爵の冒険』なんだから、あとは推して知るべしでしょう。そんな楽しいだけの映画をみてもしょうがないので、数少ないナチスっぽい映画を探して集めたものでした。 ナチス映画の最高傑作は、やはりレニ・リーフェンシュタール監督『意志の勝利』だと思います。ナチス党大会の記録映画なのですが、まさに圧倒的な映像です。他には、ヒトラーユーゲントが党大会にむかって何日も徒歩で行進する様子を記録した『総統への行進』や、フランス降伏を記念して『ドイツ週間ニュース』を元に制作された『西方の勝利』などがあります。 ナチスが青少年に対する宣伝を重視したことはよく知られています。反共プロパガンダ映画『ヒットラー青年』は、共産党員の親父に殴られて無理やりインターナショナルをうたわされた少年が、ナチスに目覚めて立派なヒトラーユーゲントに成長するが、最後に唐突に共産党員に殺されてしまうという悲劇作品です。共産党員の父親が、まんまるに太ったパン屋のオヤジにしかみえないところがご愛敬です。 ナチスの反ユダヤ映画は、なかなか入手が難しく、ようやくネットで手に入れることができました。画像ファイル化されており、ブロックノイズが出るほど画質が悪いのが困りものです。『ユダヤ人ジュース』は、成り上がり者のユダヤ人が悪いことをしてえらくなるけど、最後に死刑にされてしまうという作品。見せ場の公開処刑シーンでは、キラキラ光る羽毛のようなものが雪のように降ってきて、なにやらありがたげな感じを演出しています。『永遠のユダヤ人』は、ポーランドのユダヤ人ゲットーを撮影し、ユダヤ人とネズミをダブらせるという演出でユダヤ人をペストを媒介するネズミ視させることに成功した立派な差別映画でした。 『ナチスと映画』の前半では、これらのナチス映画について簡潔にまとめています。ちょっと題名とかを調べたいときに重宝すると思います。 しかし、ナチスは戦後どのように映画でえがかれてきたのかという後半のほうが、類書がないのでより役に立つと思います。チャップリンの『独裁者』のようにナチス全盛期には、映画でヒトラーを笑いのめすことがおこなわれました。余談ですが『独裁者』は、チャップリンの最高傑作のひとつだと思う。映画好きは、絶対みなければならない作品です。チャップリンから三〇年も後のドリフターズがギャグをパクッたりしています。ラストの独裁者と入れかわった床屋の大演説は、たしか竹中労か太田龍だったと思うけど、新左翼の理論家が「ブルジョワ民主主義の最良の部分」と激賞?した場面です。 話を戻します。ところが戦後になってナチスのあまりの蛮行が明らかになると、とても笑えなくなってしまいます。そして、ナチスは絶対悪の象徴とされ正義の連合軍のやられ役になります。七〇年代になると性的で美しく魅力的なナチスの魔力のようなものが映画で表現されるようになります。 戦後ナチス映画の一系統が、ユダヤ人虐殺をえがいたホロコースト映画です。嚆矢は、ドキュメンタリー映画『夜と霧』でした。映像により暴かれる強制収容所のあまりの惨状に言葉もないという作品です。この系統の大傑作とされるのが、四部構成で九時間三〇分という超大作『ショアー』です。日本でもNHKで放送され、大きな話題になりました。オレもビデオに録画して持っていますが、最後までみきることができません。…寝てしまうんだもん。 当たり前だけどホロコースト映画は、暗くて重い。そのホロコースト映画をエンターティメントにしたのが、天才・スピルバーグの『シンドラーのリスト』です。その後、エンターティメント・ホロコースト映画とでもいえる作品もあらわれるようになりました。 そして現在では、等身大の独裁者をえがくという『ヒトラー 最後の12日間』が制作されるにいたりました。これは、ヒトラーをあまりに人間的にえがきすぎているという批判も多かった作品です。戦後六〇年たって、ようやくナチスを映画で多角的にえがくことができるようになったというのが著者の見方でした。 巻末に短文解説つきの戦後ヒトラー・ナチス関連映画のリストがあり、大変重宝します。
雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月26日(日)『ゼロの使い魔 双月の騎士』をみる ツンデレアニメ『ゼロの使い魔』の二期、『ゼロの使い魔 双月の騎士』を最終回の六巻までみました。ライトノベルの原作者は、三銃士を意識して書いたといっているそうですが、オレには、マンガ版『風の谷のナウシカ』のヘタなパクリが目につきました。大の男が真面目にみるほどの内容でもないと思いましたが、ツンデレヒロインが可愛いからまあいいや。 オレだったらこうするね。 身分違いなので、主人公は貴族のルイズと結婚できない。将来は女王の側近となるだろうルイズの愛人になって常に近くで政務を補佐し、女王の信任を得るのだ。この女王は、若年で性格の弱い君主だから口八丁で説得してまず市民軍をつくらせ、その指揮官におさまる。高杉晋作の奇兵隊みたいなやつね。ニセ中世が舞台だけど原始的な銃はあるから、小火器と大砲で武装させる。 一見主人公は極悪人にみえるだろうけど、無権利状態で貴族に搾取されている平民からみると神さまのような偉人だよ。 思わず暗黒サイドストーリーを書いてしまいました。剣と魔法の世界にゲバ学生がスリップして、知識を活用して権力を握り、スターリン政治をおこなうというライトノベルでも書いてみようかしらん。 楽天レンタル 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月27日(月)『ボリショイバレーの精髄 スパルタクス』をみる今度子供が生まれるので、貧しくなってしまいました。普通は家族が増えたら広い家に引っ越すものですが、逆に遠くてせまい家に引っ越さざるを得ない。今までの 4LDKで二部屋が本に占領されているという住みかたが異常だったのだろうが…。二度と読まないだろう本を捨てるなりして、スペースをつくらないとどうしょうもない。雑本とともにNHK出版『マネー革命』1-3巻、日経文庫『昭和経済史』1-3巻などを廃棄しました。十年も前に発行された経済書だからね。もう役に立たないだろう。ここ十年の経済の変動には恐るべきものがあるね。一番は中国の台頭だろうか。 しかし、二度と読まないような本でも、公安調査庁の内部文書なんて捨てるに捨てられない。オウムの発行した本もだいたい全部持っているんだけど、こいつは業者に頼んでバラバラにしてデータ化してしまおうか…。 今まで録画したビデオも本棚ひとつ分あります。アニメのたぐいはDVDになっているからどうでもいいとして、二度と手に入らない放送作品はブルーレイにダビングしています。 NHK-BSで放送した『ボリショイバレーの精髄 スパルタクス』なんて、もう二度と手に入らないだろう。ダビングしながら思わず見入ってしまいました。素晴らしい全体主義芸術です。作曲は、アラム・ハチャトゥリアン。スターリン時代の御用音楽家として有名な人です。社会主義リアリズムというやつですね。 1936年の悪名高いショスタコーヴィチ批判により、西洋モダニズム音楽は、ソ連では事実上禁止されてしまいました。オレは、HDレコーダーに『クラッシック』と登録して、主にNHKのクラッシック番組を自動録画しています。ベートーベンやモーツアルトとかスメタナを聴きたいのに、現代クラッシックとでも名づけたくなるような、よくわからない音楽がしばしば録画されています。ためしに聴いてみますが、リズムが悪く暗くて気が滅入ってくるかキーキー耳やかましいばかりで、どこがいいんだかさっぱりわからない。 スターリンが主張したように、オレや普通の労働者のような音楽的素養がない者でもわかりやすくて元気が出るような音楽がよい。『スパルタクス』の音楽を聴いていると、なんだかスターリンの音楽論が正しいような気がしてきます。 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月28日(火)『ゼロの使い魔 三美姫の輪舞』をみるなんかねー、最近眠れないんだよねー。睡眠薬を三種類飲んでも眠れない…。眠れないと気分が悪く、なーんにもする気にならない…。能動的な仕事はできず、ここ数日は、ひと晩中テレビの前で転がってぼーっとアニメをみていたりします。 ツンデレアニメ『ゼロの使い魔』の三期、『ゼロの使い魔 三美姫の輪舞』を五巻までみました。つまんねーよー。これ、ストーリーあるの ? 今までのシリーズの中で、一番出来が悪いと思う。内容がなさすぎて書くことがない。まだ二巻残っているけど、これじゃあどうにもならないだろう。ヒロインのルイズがツンデレで可愛いのが唯一の救いか。しかし声優は豪華です。主要な女キャラの声優が、釘宮理恵、堀江結衣、能登麻美子というものすごいメンバーだ。これが三美姫なのかな。 いや、それにしても、これはつまらないよ。なにをえがきたいのかまったく意味不明。まるで、白痴番組でふざけ散らしている三流芸人をみているようだ。あまりのつまらなさに眠れればまだいいんだけど、眠ることだけはできないのだから困ってしまう。 これは、環境映像と割り切って一流の声優さんの演技とか、けっこうみることができる作画や動きを楽しむ作品でしょう。 それにしても、こんなシロモノにカネをだしてDVDを買うやつがいるというのが信じられない。捨てるほどカネがあるのか? オレは、こんなものにはレンタルでも一枚百円以上は出す気にならないな。 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月29日(水)『ゼロの使い魔 三美姫の輪舞』をみ終わる季節の変わり目のせいか体調がよくない。寝てばかりいるか眠れないかのいずれかです。よろよろと病院にいってきて、血液検査をしました。どんな結果がでることやら。 ようやく『ゼロの使い魔 三美姫の輪舞』を見終わりました。一枚五〇円の DVDで格安でみることができましたが、これだったらnyさんにもらった動画で充分だったかな〜。要するにこれは、お色気アニメだよね。ところがお話しは、お子様向けのぬるいアニメなんだよね。いい年こいた大人もみる作品なんだから、もう少しなんとかならないのか。 仲間が外国にさらわれたのいうので救出に行こうとするんだけど、戦争になるかもしれないと女王様(といっても若くて美人)に禁じられ牢に入れられてしまう。ところが脱獄して、戦争まがいの大立ち回りを演じ、さらわれた仲間を救出して国に戻り自首する。なぜか女王様は、ニコニコ顔でご褒美をくれる…。 …なんでこいつら死刑になんないの? 勅命に違背して、牢破りして、隣国との戦争の危機を引き起こした。どう考えても死刑か重刑だろ。政治や法律ってそういうもんだよな? この作品でえがかれているのは、常に主人公に都合よくつくられている善意あふれるお子様世界なんだよな。くだらん! 意味もなく主人公は、モチモチだし…。 のこるところの全くない駄作でした。ルイズが可愛いのが、ホントに唯一の救いですね。 雑記TOP 遊撃インターネットTP 9 月30日(木)『独裁 スターリン』『煉獄の中で』『オペラ 死者の家から』『モスクワ・マルーイ劇場 ニコライ二世』『その人の名を知らず』をblu-ray化するたまりにたまった VHSテープを整理するため、blu-ray化しています。DVD化されていない作品とか、テレビ放送されて二度と手に入らないだろう作品などが中心です。レンタルで借りられるものは、捨ててしまおう。三倍モードで録画していたからしょうがないんだけど、あらためてVHSを再生してみると画質の悪さに驚いてしまう。こんなんで、よく満足していたな。通常モードでもかなり画質がひどい。ぜんぜん意識していなかったけど、技術の進歩はすごいですな。 『独裁 スターリン』は、娘のスヴェトラーナの回想録をもとにしたスターリン一代記です。アメリカ製のドラマなんだけど、ロシアの情景などディテールがよくえがけている。三時間近い大作です。レンタルビデオ屋に置いていたのをダビングしたのですが、DVDにはなっていないようです。そのかわり、今度ケーブルテレビで放送されるらしい。内戦時代からスターリンの死までをえがいています。ヒトラーと比べるとスターリンは、より宮廷陰謀政治の臭いが強く、暗いですな。スターリンは、ためらいなく同志殺しをするところがヒトラーとの最大の違いでしょう。性格という点では、スターリンのほうがヒトラーより極悪だと思う。最初は残虐ながらもそれなりに規律ある革命家だったスターリンが、晩年になって猜疑心が強くなり、どんどん堕落していくさまが見どころです。 九二年に放送された『煉獄の中で』は、ノーベル賞作家ソルジェニーツィンの原作のドラマ化です。科学者や技術者を働かせるための専門の強制収容所に入れられた囚人が、スターリンの命令でさまざまな研究に従事させられるというもの。強制収容所に入れられたソルジェニーツィンの実体験が元になっています。時代は戦後であり、死亡率九九パーセントといわれた北極圏の地獄の強制収容所よりははるかにマシな環境で、しかし一般社会からは隔絶されている。だから『地獄』ではなく、『煉獄』なのでしょう。 ドストエフスキー原作『オペラ 死者の家から』も、なかなかの貴重版だと思います。帝政ロシア時代の流刑監獄をえがいた作品です。これもNHKで九三年に放送されました。しかし、オペラ作家は、なんでもネタにしちゃうんだなー。流刑や強制収容所をえがいた作品は、ロシアの歴史や文学の大きな足跡をしるしているように思えます。封じ込め政策で有名なケナンの大叔父が書いた『シベリアと流刑制度』とか荒畑寒村『ロシア革命運動の曙』とかね。ロマノフ王朝の最後をえがいた『モスクワ・マルーイ劇場 ニコライ二世』も、同じくNHKで放送されました。モスクワ・マルーイ劇場は、モスクワ劇場よりも歴史が古い名門で、九四年に来日しました。その際の公演を録画して放送したものです。皇帝一家がそろって幽閉されて最後に地下室につれて行かれ、皆殺しの銃殺にされるのが悲惨です。『その人の名を知らず』は、八九年に日中友好条約締結十周年記念としてNHKと中国が共作したドラマです。辛亥革命前夜の中国で、親友同士の医者と武器商人を通して激動の時代の流れに巻き込まれる男女の悲劇をえがいた大作です。放送時に大変話題になった傑作なのに、なぜか DVD化されていません。よくテープを二〇年も持っていたものです。九〇年代前半のころは、ソ連が崩壊して経済がメチャメチャになりました。しかし、文化的には、今までタブーとされてきたものが次々とあらわれルネサンスに近い状態でした。NHKは、主に BSでそれらをつぎからつぎへと放送してくれたのです。共産趣味者にとっては、実によい時代でしたね。ながら見なのでじっくりと楽しむことはできませんでしたが、このように人間の暗黒面をえがく政治ドラマは、とても好きです。こういった作品群を同時にみていたのだから、『ゼロの使い魔』とかの出来が不満なのも当然といえば当然ですね。 狂人雑記70 |
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