遊撃インターネット狂人雑記68
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2010

828日(土)『DARK AGE(東犬二)を読む

 エロマンガ版中世暗黒史『DARK AGE』を読みました。いろんな意味でハード! ロールプレイングゲームの影響を受けたエセ中世ではなく、魔女狩り、拷問、公開処刑、黒死病、修道院、十字軍、農民一揆といった暗黒中世ヨーロッパが舞台です。ダークな中世キリスト教会の雰囲気が、またいい感じでした。拷問道具や中世っぽいしゃべり方などのディテールにも非常に凝っていて面白い。この作者は、明治大学でやっていた拷問道具展に絶対行ってるな…。

  こんな絵を描いてたら地獄堕ちだにゃ〜

  「ムッ!?」がいいよね

  こういうの好きー

 作者は金髪フェチらしく登場する女の子は、ほとんど金髪です。前書きによると、「この本がバカ売れした暁にはベラルーシあたりの金髪美少女を闇ルートで購入して、日夜愛玩したいと存じます」とのこと。マジっぽいですねえ。
 美しい貴族のお嬢さまにかわいい村娘、純潔な修道女が、輪姦されたり拷問されたりとひどい目にあって、最後に殺されてしまうというのが大まかなパターンです。しかし、ディテールに凝っているので、あきることなく読むことができました。それに絵がうまいから暗黒な気分にひたれる。エロ本としてもハードな凌辱モノとして、いい線いっていると思う。
 作者の東犬二は、大西巷一のペンネームでアフタヌーンに三国志モノを描いているらしい。このくらいの腕があれば、メジャー誌でも描けるでしょうね。さっそくこちらも購入することにしました。
 残念ながらバカ売れはしなかったようで『
DARK AGE』は、現在絶版です。古本は、けっこういい値段になってしまっています。

 

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829日(日)『アーサー王宮廷のヤンキー』(マーク・トウェイン)読了

 タイムスリップSFの元祖の作品です。最近新訳が出たので読むことにしました。『トム・ソーヤ』のマーク・トウェインがSFを書いていたなんて、ちょっとびっくりだよね。十九世紀のアメリカ人がアーサー王時代のイングランドにタイムスリップしてしまい、魔法使いとしてあがめられつつアーサー王の右腕になっていろんな改革をするというお話しです。元ネタは、マロリーの『アーサー王の死』らしいですね(読んだことないけど…)
 そんなに面白という作品ではない。娯楽作品というよりも啓蒙作品です。この作品で描かれている中世イングランドは、十九世紀にはまだ生き残っていたヨーロッパの君主制やアメリカ南部の奴隷制のカリカチュアなんだろう。中世イングランドにヤンキーの共和主義者がまぎれこんで、貴族制やら奴隷制やらの非人道性をいろいろ批判します。その批判が、書かれた当時の十九世紀ヨーロッパの君主制やアメリカ南部に対する批判になっているという寸法です。
 マーク・トウェインといえば、当時としては非常なリベラル派だったと思う。そのマーク・トウェインのアメリカ的価値感に対する妄信的な信頼ぶりには、ちょっと驚かされました。ここでいうアメリカ的価値感とは、共和主義とか民主主義とか機会平等主義とか資本主義とか合理主義とか技術主義とか合理主義とか勝利主義とかマッチョ主義とかですね。さすがにマーク・トウェインだけあって反知性主義は感じなかった。しかし、このアメリカ的価値観にそぐわない『悪いやつ』は、やっちまってもよいという押しつけがましさや暴力に対する抵抗の少なさなんて、現代のアメリカにまで見事に受けつがれているように思えます。
 主人公が過去に飛ばされ現代の知識を使っていろいろ活躍し、最初はうまくいくけど最後にしっぺ返しをくらって元の木阿弥になるという、タイムスリップものの基本パターンを備えた作品だと感じました。なんといっても元祖だからね。

 

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830日(月)DVD『スパルタカス』(2004年版)をみる

 カーク・ダグラス主演、スタンリー・キューブリック監督の1960年版『スパルタカス』のリメイクです。1960年版『スパルタカス』は、オレが最も好きなハリウッド映画なのに、不覚にもリメイク版がでていたとは気がつかなかった。さっそくレンタルDVDで借りてきて鑑賞しました。
 古代ローマ物の映画が大好きなので、けっこう楽しめました。しかし、
1960年版『スパルタカス』と比べるのは、ちょっとかわいそうです。『スパルタカス』という映画は、古代ローマの奴隷反乱をえがいた作品です。闘技場の見世物で殺し合いをさせられる奴隷剣闘士たちが、非道なあつかいをこらえにこらえた末に怒りを爆発させ大反乱を起こし、ローマ軍を何度も打ち破るが最後に全滅させられしてまうというストーリーです。主人公は、もちろん反乱奴隷軍のリーダーだったスパルタカスです。
 スパルタカスの乱が起こった時代も興味深いんですよね。共和制ローマが終焉して帝政ローマに移行する直前です。反乱奴隷軍を阻むのは、後にカエサルやポンペイウスとともに第一次三頭政治をおこなうクラススです。単純に反乱奴隷軍とローマ軍の戦いというだけではなく、ローマ元老院内での寡頭制派と共和制派との権力闘争が絡んできて、これが実に面白い。
 ハリウッド・ヒューマニズムの大傑作である
1960年版『スパルタカス』と2004年版『リメイク・スパルタカス』では、およそ比較になりません。リメイク版の脚本は、前作を参考にできるのだから前作よりも良くなるはずだと思うんだけど、そんなことは全くないんだよね。「ここが素晴らしい」と思わせる部分をすっぱり落として、逆にどうでもいいような、反乱奴隷軍が一枚岩ではなく、はね上がりに悩まされるなんていうエピソードをくっつけたりする。823日の雑記に書いた縮訳『罪と罰』と同じように、「神は細部に宿る」と強く感じました。たとえばこんな部分です。
 ローマ元老院内での権力闘争は、良識的な共和制派が専制的な寡頭制派に敗北します。スパルタカスに同情的だった共和制派のリーダーは、自殺してしまいます。
1960年版『スパルタカス』では、その場面がこのようにえがかれます。
 二本の短刀を見比べる共和制派リーダー。「きれいなほうで」とつぶやいて、短刀をもって画面の奥にむかいカーテンの向こうに消えていく。
 古代ローマの貴族の自殺は、浴室でぬるま湯につかりながら短刀で血管を開くというものでした。この方法だと最初少し痛いだけで、苦痛なく死ねるといわれています。自分の死の道具である短刀を「きれいなほうで」と選ぶ貴族の美意識にひかれるものがあるし、画面奥のカーテンの向こうに消えることで、これから浴室で血管を開くのだなと予想できます。ところが
2004年版『リメイク・スパルタカス』では、やにわに短刀を取り上げるやグサリと土手っ腹に突き刺して切腹します。武士道残酷物語ですか? 古代ローマの自殺の仕方も知らない者が脚本を書いたのだろう。これは一例にすぎません。凡才がつくると、いちいち詰めというかディテールが甘いんだよな。
 ちょっとアマゾンで調べてみたら、十月に
1960年版『スパルタカス』が、ブルーレイとDVD同梱で発売されるらしい。値段は1849円。安い! レーザーディスクと二十年ぐらい前にNHKで放送したのを録画して持っているけど、これも買うつもりです。ハリウッド映画でこれを越える作品は、『シンドラーのリスト』くらいしか思いつきません。素晴らしい映画なので、ぜひみてもらいたいと思います。でも、2004年版『リメイク・スパルタカス』は、レンタルで充分かな〜。
 テレビドラマでも『スパルタカス』がやっているようです。こいつはかなりエロい作品らしい。
DVD化されたらみてみたいと思う。あと、旧ソ連のバレエにも『スパルタカス』という作品があった。ハチャトゥリアンが作曲。驚いたことに、こいつも二十年くらい前にNHKで放送されています。ボリショイバレエ特集だったかなあ。いまでも大切に保管しています。だから物が減らないんだ…。

 ここからちょっと共産趣味者的な話しをします。
 スパルタカスとカエサルを暗殺したブルータスは、かつて左翼のあいだで人気者でした。百年ほど昔の出来事です。社会主義を裏切って第一次世界大戦に協力したドイツ社会民主党から分裂した革命左派が、『スパルタクス団』を名乗りました。スパルタクス団は、女性革命家ローザ・ルクセンブルグを首領に、ロシア革命に呼応してドイツ革命に蜂起します。しかし、敗戦処理内閣でもあった社会民主党右派政権による反革命義勇軍の武力鎮圧によって敗北。ローザ・ルクセンブルグは、殺されてしまいました。
 もしも、この時にドイツ革命が成功しソビエト・ロシアとレーテ・ドイツが結合していたら、両国に挟まれた東欧諸国は、第二次世界大戦でスターリンによって押しつけられたニセ革命ではなく、下からの圧力によって革命化していたでしょう。
 ローザ・ルクセンブルグは、レーニンと同格の革命家であり、レーニンの非民主的で強圧的な政治手法には常々批判的でした。何本もレーニンに対する批判論文を書いています。ロシアとドイツの革命連合が成立し、レーニンとローザが相互批判をして革命を指導していれば、あまりにも残虐であったロシア革命は緩和され、後のスターリンの出番はなかったかもしれません。世界革命の唯一の機会であったなどと夢想してしまいます。

 

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831日(火)イギリスのアマゾンでDVD『舞-HiME』を購入

 毎週録画しているサンライズの『ゼーガペイン』がなかなか面白い。これは予約販売のBlu-ray BOXを購入すべきだったかと、ちょっと後悔しています。
 そこで同じサンライズが満を持して制作した
(?)美少女アニメ『舞-HiME』をみることにしました。レンタルDVD屋のサイトで調べると全部で九巻らしい。全て借りてきてピーコすると、一枚につき350円くらいはかかる。350×9=3150。全部で3150円になります。ところがイギリスのアマゾンでは、『My HiME Complete』が12.76ポンドで販売しています。送料をいれても日本円で2228円です。だったらイギリスから買うよな〜。リージョンが1なので、日本の再生機ではみることができないけど、パソコンだったら再生可能だし、オレはリージョンフリーの再生機を持っているので無問題です。
 そういうわけで
827日に注文しました。サイトのつくりが日本のアマゾンとまったく同じなので、ウインドウを二つ開いて参照しながら注文すれば簡単です。特急便を指定していないのに、たった四日でイギリスから到着しました。

  

 ちょっと驚いたんだけど、イギリスでは『舞-HiME』って15禁なのな。日本では、搾取するためにDVD九枚だけど、イギリス版はDVD六枚に収録です。全部で二六話だから、DVD一枚に四話か五話収録されています。一話二五分だから、五話収録で一二五分。うーん。ちょっと画質が落ちるかな〜? 日本語がメイン音声で、英語と仏語の字幕と吹き替えが入っていました。
 海賊版がどうとかいう話しをよくきくけど、ソフトをこのぐらいの値段にしてくれれば普通に買うよなあ。日本の業者は、ソフトで搾取しすぎだろう。たとえカネが余っていても、あんなバカみたいな値段では買ってやるかと思うもんな。

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912日(水ー木)『ツマヌダ格闘街』七・八巻、『アカメが斬る!』一巻、『魍魎の揺りかご』一巻、『ぢごぷり』二巻を読む

 子供が夜中に398分の熱を出し、ヒーヒー苦しがってほとんど眠れず。翌朝朝イチで医者につれて行き薬をもらい熱が下がって落ち着いたと思ったら、今度は全身にじんましんが出て、ヒーヒー苦しがってやっぱりほとんど眠れなかった。翌朝朝イチで皮膚科に…。

 頭痛がしてなにもする気にならないので、たまっていたマンガを読みました。『ツマヌダ格闘街』七・八巻を読みました。相変わらず面白い。ドラえもんをモデルにした武術の達人の美人スーパーメイドさんが、メガネに格闘技を教えて強くしていくというお話し。格闘マンガは、そんなに好きでもないんだけど、ドラエさんの説く格闘術が論理的で面白んだよね〜。というわけで七・八巻ともに面白く読むことができました。
 続けてゲーム『つよきす』や『姉、ちゃんとしようよっ
!』のシナリオを書いたタカヒロが原作の『アカメが斬る!』一巻を読みました。ゲームでは、笑わせる部分が特に光るシナリオだったと思いましたが、このマンガはシリアス系ですかね。田舎から帝都に出てきた少年が、幼なじみの仲間をなぶり殺しにされて、敵討ちの行きがかりで殺し屋集団に加わるというストーリーです。なぜか殺し屋は、みんな美少女。殺し屋集団というのは仮の姿で、本当は腐敗した国家の転覆を目指すゲリラの前衛部隊らしい。まだ一巻なので、主人公が殺し屋集団に加わったところで終わりました。このあと『必殺仕事人』のパターンになるのか、『忍者武芸帳』のような大河ドラマになるのか…? 作画がかなり上手ですし、原作者の腕も確かなので期待できると思う。
 つぎは転覆した客船にとじこめられた男女高校生が、なぜかゾンビみたいなのに襲撃されつつ脱出するため奮闘するという『魍魎の揺りかご』一巻です。どこかでみた絵だと思ったら、『菜々子さん的な日常』の瓦敬助じゃないか。ペンネームを変えて、一般マンガを描いていたんだな。なにかといえば服が脱げてお尻がみえちゃう北海娘の『菜々子さん』は、なかなかの傑作でエロかわいかったけど、こちらはパニックもので怖い感じの絵柄になっています。いまテレビで放送している『学園黙示録
HIGHSCHOOL OF THE DEAD』と似ているのが、ちょっと気になる。
 育児ノイローゼマンガ『ぢごぷり』は、二巻で打ち切りになってしまいました。すげー面白かったのに、なぜだ
? 読むのがつらいので、アンケートとれなかったのかなあ。書店では平積みされていて、けっこう売れているようにみえたのだが…。育児ノイローゼマンガという新ジャンルをつくりだしたのは、実にたいしたものだと思う。せっかく新しいマンガなのに、もったいないなあ…。
 十八才のお母さんと双子の妹が新生児の育児に奮闘して、ノイローゼ状態に落ち込んでいくというお話しです。やっぱ読むのがつらいか…。双子の妹が、姉が赤ちゃんを殺しちまうんじゃないかとビビリまくっているところが何ともいえませんでしたね。うちもあと三ヶ月でもう一人産まれるので、人ごとじゃないんだよなー。だからなおのこと面白く感じられたのかもしれない。やっぱり育児は、最初の一ヶ月が特に大変ですよ。とりわけ母親は、家からほとんど出られなくなるからなあ。でも、三ヶ月過ぎると山を越えたという感じになるよね。
 おっと、話がそれてしまった。二巻の真ん中あたりでママ友ができ、ノイローゼが緩和されていくところが救われました。うちの細君も毎週のように育児サークルに通ってったっけ…。また話がそれた。
 伏線の回収もしきれてないし、とにかくもったいない作品だと思う。しかし、多くの点で新しい試みをしている作品なので、マンガ好きを自認する人には一度読んでもらいたいですね。今回一番のおすすめ作品です。

      

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934日(金ー土)『倒壊する巨塔』(ローレンス・ライト)上下巻を読む

 9.11同時多発テロにいたるアルカイダの軌跡を、人物を中心に網羅的にたどった力作です。著者は世界中を飛びまわって取材しています。牢屋にぶちこまれているアルカイダ構成員が口を開かない限り、これ以上の本を書くのは難しいと思う。ピュリツァー賞の受賞作だけあって非常な傑作だと思う。
 一九四八年に一人のエジプト人がアメリカに渡るところからはじまります。政府はイスラムの原点に戻れという運動をおこなって当局に目をつけられ、アメリカに逃れてきた人物です。数年のアメリカ滞在の結果、彼はアメリカ物質文明に激しい嫌悪感を持ち帰国することになります。この人物が、イスラム原理主義運動を創始したサイイド・クトゥブという大学教授です。
 当時のエジプトは、ナセル主義といわれるアラブ民族主義が全盛でした。力のある若い国で、アラブの中心となって数次にわたるイスラエルとの中東戦争を戦うことになります。しかし、ナセル主義とは、イスラム教と一線を画した世俗主義です。これに対してクトゥブ教授は、イスラムに反する腐敗・堕落した政権であると攻撃し、政府の転覆を呼びかけます。たちまち逮捕され、転向したら大臣にしてやるという誘いを拒否して処刑されてしまいました。しかし、殉教者となったクトゥブ教授の後を継いだ弟子たちがジハード団やイスラム集団といった秘密組織を結成し、闘争を開始します。テロ攻撃で国家を混乱させ、クーデターで政権を握る計画です。ついに軍部に浸透したメンバーがサダト大統領暗殺に成功します。
 アルカイダという組織は、エジプトの監獄でつくられたといわれるほど、ジハード団と深いつながりがあります。大統領暗殺で一斉検挙されたジハード団員は数千人ともいわれ、電気ショックなどの激しい拷問にさらされました。その結果、社会に深い怨恨を持った革命家を大量生産することになります。そのリーダーが外科医出身のアイマン・ザワヒリです。出獄後、海外からエジプトのイスラム革命を目指す活動を指導しました。ザワヒリは、後にアルカイダのナンバー2になります。
 アルカイダの首領、ウサマ・ビン・ラディンが、サウジアラビアの大富豪であることはよく知られています。といっても財をなしたのは父親で、二十数人いる息子のひとりにすぎません。年収は数百万ドル
(数億円)程度であったといわれています。それを元手にテロを武器にして結果的にアフガン戦争とイラク戦争を起こさせ、アメリカを唯一の超大国の座から引きずり下ろしました。
 ビン・ラディンの転機は、ソ連のアフガニスタン侵攻によって訪れました。敬虔なイスラム教徒であったビン・ラディンは、アフガニスタンの隣国のパキスタンに飛び難民の救済やイスラム義勇兵の送りこみ活動を開始します。
 サウジアラビアは、アフガニスタンを占領したソ連がパキスタンに侵攻し、ペルシャ湾の出口を押さえるのではないかと恐れました。そうなると原油の輸出などは不可能になります。サウジアラビアは、アメリカとともに莫大な資金をアフガンゲリラに提供します。政府としてゲリラに資金提供するのはまずいので、民間人であるビン・ラディンを窓口にしました。ビン・ラディンは、サウジアラビア政府を代表する名士となり、数多くのイスラム義勇兵のパトロンになります。ジハード団のザワヒリともこの時期にパキスタンで知り合ったようです。
 熱狂的なイスラム教徒である義勇兵は、祖国では厄介者あつかいされており、アフガンで死んでくれればありがたいと送り出されたことも多かったようです。サウジアラビアなどは、義勇兵が帰国するとすぐさま投獄したほどです。政府が募集しておきながら、義勇兵の帰国を拒否する国までありました。イスラム義勇兵の多くは、宗教傭兵として全世界に散ることになります。彼らが後にアルカイダの海外細胞となりました。
 自分も聖戦に参加したくてたまらないビン・ラディンは、自ら集めた数百人のイスラム義勇兵とともにアフガニスタンに潜入し、ソ連軍との実戦に参加します。どうやら金持ちのお遊びなどではなく、過酷な実戦に参加したらしい。爆撃で九死に一生を得たり、ソ連軍の特殊部隊スペツナズの包囲をなんとか突破したりと、命知らずな活動をしています。その際に捕獲した空挺仕様の
AK74突撃銃は、ビン・ラディンが常に持つ愛用品になりました。その後のソ連軍のアフガニスタン撤退とソ連の崩壊は、ジハード(聖戦)が一方の超大国を崩壊させたという確信をビン・ラディンに持たせたようです。
 ビン・ラディンの次の転機は、イラクのクウェート侵攻とその後の湾岸戦争でした。クウェートの隣国はサウジアラビアです。イラク軍に侵攻されたらひとたまりもないサウジアラビアは、米軍の駐留を受け入れました。そして湾岸戦争後も米軍は撤退せず、サウジアラビアに居座り続けます。サウジアラビアは、メッカなどイスラム教の聖地を擁し、その聖地を守護する国という側面があります。その聖地に異教徒が侵入したというわけで、ビン・ラディンは、米軍追い出しの反政府運動を始めました。名士なので国王にあうこともでき、直訴などもおこなっています。しかし、国外追放されたのはビン・ラディンのほうでした。
 国家のイスラム化を進めていたスーダンに、家族とアルカイダの仲間を引きつれて亡命します。カネは自由に持ち出せたようで、もともと建設業者だったビン・ラディンは、さっそく会社を立ち上げてスーダンの国づくりを支援します。スーダン政府から土地を与えられると開墾して農園などもひらいています。全世界を震撼させたアルカイダは、この時期は建設作業員の親方だったり農場労働者の監督だったんですね〜。
 このように生活の基盤ができてしまうと、結婚して子供ができ、どんな過激派でも落ち着くものですが、理想主義的なビン・ラディンは、そうなりませんでした。土木作業や農園経営の一方でテロリスト・キャンプをつくり、アルカイダメンバーを鍛えています。テロ闘争に敗北してエジプトに居所がなくなったザワヒリ一派が合流してきたのもこの時期のようです。地下革命家として鍛えられていたジハード団は、アルカイダの中核になりました。
 興味深い話しがあります。ザワヒリの部下にサダト暗殺に関わってエジプトを脱出したムハンマドという軍人がいました。大胆にもザワヒリは、ムハンマドにアメリカ情報機関への浸透を命じます。ムハンマドはエジプトに舞い戻り、なんと
CIAカイロ支局に飛び込みで就職活動して、入りこむことに成功します。CIAは、ムハンマドはエジプトの情報機関が送りこんできた情報員で、手元においてあやつろうと考えたようです。ところがムハンマドのほうが一枚上手でした。CIAの特別パスパートを手に入れるとそのままアメリカに飛んで行方をくらませ、アメリカ国籍を取るためにアメリカ女と結婚。今度はアメリカ軍に潜入します。
 ムハンマドは、極めて有能な人物だったようです。再び軍人になると、さまざまな工夫をして推薦をとりつけ『ケネディ特殊戦センター
/学校』なる施設に軍曹として勤務します。どうやら自衛隊の富士教導団のレンジャー部隊のようなゲリラ戦の専門家を養成するところらしい。そんなところにアルカイダのスパイが入りこんだのだから大変です。「文句のつけようがない」などと上官に評価される一方で、地図や訓練マニュアルを持ち出して『キンコーズ』でコピー。それを参考に数巻に及ぶテロリストマニュアルを作成します。これは後にアルカイダのテロ指南書になりました。さらに休暇をとってテロリスト・キャンプに戻ると、アルカイダ志願兵に特殊戦の訓練をほどこします。そして訓練が終わると、なにくわぬ顔をしてアメリカ軍に戻ります。
 
9.11テロの直後、NHKがタリバンから入手したアルカイダの教練ビデオの一部がよく放送されました。家屋に突入して制圧する訓練などを撮影したもので、妙な違和感を感じたことを今でもおぼえています。先の文を読んでようやく違和感を感じた理由が分かりました。テロリストやゲリラは占拠する側です。なぜ制圧訓練? それにゲリラというよりプロ的な対テロ特殊部隊のような動作でした。アメリカ軍の特殊部隊の隊員が訓練したのだから当然ですね。
 このスーダン時代のアルカイダは、主にテロ資金を世界中のイスラムゲリラに流すという活動をしていました。外国政府からスーダン政府に抗議が殺到します。国連ビル爆破をたくらんでいるイスラムゲリラに資金を流したせいで、スーダン代表は国連でも鼻つまみ者になりました。とうとうビン・ラディンは、全財産を取りあげられアフガニスタンに追放されてしまいます。
 アフガニスタンでは、パキスタンとサウジアラビアを後ろ盾にしたイスラム原理主義勢力のタリバンが全土を制圧しつつありました。もともとアフガニスタンは、イスラム神秘主義が強いところでしたが、難民支援のためサウジアラビアが原理主義的なイスラム神学校を建設します。そこでサウジアラビア流のイスラム原理主義を学んだ学生がタリバンを結成。宗教的情熱に突き動かされて進撃し、軍閥が割拠するアフガニスタンを、たちまち制圧しました。
 根無し草の神学生が中心なので、ちょっとおかしな人たちも多かったようです。社会主義政権下で女性の社会進出が進んでいたのにタリバン政府が全てクビにして家庭に追い返したため、医師や教師の数が半分以下になって国家の機能が麻痺したとか、イスラムらしくヒゲをのばしていない男はヒゲがのびるまで牢屋に放りこむとか。
 ほとんど文無しでアフガニスタンに放り出されたこの時期が、ビン・ラディンの一番困難な時代だったでしょう。しかし、くじけることなくあらゆるコネを使ってカネをかき集めるとビン・ラディンは、タリバン政権に食いこんでいきます。敏腕経営者の顔を持つビン・ラディンが、似たようなイスラム原理主義者で田舎神学生であるタリバンをたらし込むのは容易だったようです。タリバンを後ろ盾にアフガニスタンを拠点にしたアルカイダは、アメリカに対するテロ活動を本格化させることになります。
 だいたいここまでが上巻です。イスラム原理主義運動とアルカイダの歴史編ですね。ザワヒリのジハード団やタリバンは、エジプトとアフガニスタンのローカルな運動にすぎませんでした。彼らがテロ活動をしたり万一政権をとったとしても、国際的にはそれほどたいした問題ではありません。ポルポトのカンボジアなど、同じように狂った政府は結構ありました。ビン・ラディンの『功績』は、彼らをまとめて国際テロ組織をつくりアメリカに戦争を挑んだところにあります。これは、多国籍企業の敏腕経営者というビン・ラディンのメンタリティーがなければ不可能だったでしょう。変な理想を持ち、そのために死ぬことを恐れず、買収もきかない。こういう人間がおかしなことを始めると、実にたちが悪いように思います。
 下巻では、
9.11テロにいたるまでの、アルカイダとアメリカ当局との攻防がえがかれます。興味深かったのは、アメリカが四二発のトマホーク巡航ミサイルを使用して、ビン・ラディンに暗殺攻撃を加えるところです。トマホーク巡航ミサイルは、一発百四十三万ドル(一ドル百円として一億四千万円)もする高価な兵器です。四二発だと、偵察費用なども加えればかかった費用は総額六十億円を超えているでしょう。この攻撃で何人かの仲間が殺されますがビン・ラディンは、九死に一生を得ます。ここからがすごい。ビン・ラディンは、不発のトマホークを回収すると、なんと一千万ドル以上で中国に叩き売ったらしい。転んでもただでは起きないやつだな〜。
 上下巻とも、オレのようなテロ・マニアだったら大変おすすめです。

 これまでアルカイダが何をしたいのかいまいち分からなかったんだけど、この本を読んでなんとなく理解できました。どうやらスペインから中国の一部までまたがる地域に、カリフ国家を復活させたいらしい。カリフ国家というのは、中世の一時期に存在したイスラム神権政治の国で、コーランに基づいて聖職者が政治をおこないます。選挙や投票は、神のものである政治を人間がおこなうという涜神行為であるから廃止です。
 この論を極端におし進めたイスラム原理主義者は、反イスラムの政府に勤める者は、反イスラムの同罪であるので殺してもかまわない。選挙で投票なんかする者も反イスラムだから殺してよい。反イスラム政府の下で暮らす者も堕落しているから死んでもやむなしという、スーパーテロ理論を導き出したのでした。

 

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95日(日)『未満れんあい』(高嶋ひろみ)一・二巻を読む

 エロゲー会社勤務の三十男が偶然知り合った中学生の女の子にひと目ぼれして、つきあうためにガンバるというお話し。痛い…痛いよ、寒い…凍えそうだ……、という内容を想像していましたが、読んでみるとそうでもなかった。意外にも、かなり面白い。
 主人公の三十男が、キモオタでも
DQNでもなく恋愛スキルが中学生なみに低い善人で、ヒロインの中学生女子が無邪気でかわいく描けている。無邪気女子中学生に必死でアピールする不器用三十男というので、なんだかほほえましく読むことができます。一歩間違えるとイタくてキモチ悪くなると思うんだけど、マンガ家の腕がいいから面白いんだよな〜。
 二巻まで読みました。エロゲー会社勤務を隠してつきあっていたけど、それがついにバレそうになるというところで次回に続くです。この引きの上手さも腕のいいマンガ家の特徴ですね。四巻まで出ているようなので、続きも読もうと思います。

 

 このマンガを読みながら思ったんですが、うちにもムスメの友だちの女の子がよく遊びにきます。でも、四歳児だからね〜。ぜんぜんときめかないなあ。中学生くらいになったら楽しいのだろうか。そのくらいの年になったら、愉快なお父さんを演出して女子中学生と親しげにお話ししようと考えとります。

 そうそう、このあいだクルクル病院にいってきました。一年ぶりくらいに血液検査をしましたが、ひどい結果が出た。なんとかいう値は、正常値の十倍以上です。このままでは、オレは遠からず脳か心臓の血管をやられて死ぬらしい。女子中学生と楽しくお話しするまでは死にきれないので、せいぜい節制しようと思いますよ。

 

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96日(月)DVD『バーダー・マインホフ 理想の果てに』をみる

 バーダー・マインホフというのは、バーダーさんとマインホフさんがつくった過激派グループのことです。一般にはドイツ赤軍の名称のほうがよく知られていると思う。たぶんアラブのテロリストキャンプで知り合った日本赤軍の名前がかっこよかったのでマネをしたんだろう。
『バーダー・マインホフ 理想の果てに』は、そのドイツ赤軍の軌跡を映画化したものです。去年映画館でやっていたのに、鬱で引きこもっていたので見損ねてしまいました。
DVDになったのでさっそく購入です。
 連合赤軍をえがいた若松孝二の『実録・連合赤軍
あさま山荘への道程』のほうが映画としては上だと思う。精緻につくられた『実録・連合赤軍』に比べると『バーダー・マインホフ』のほうは、若干B級映画のにおいが強いですね。
 最初は弾圧シーンから始まります。イランのパーレビ国王訪独に抗議するデモ隊がパーレビ親衛隊に角材でボコボコにされて、警官隊にも警棒でぶん殴られたり、騎馬警官の馬に踏んづけられたりする。しまいにはデモ隊員がピストルで撃ち殺されてしまう。
 弾圧にムカついてしまったバーダーは、彼女とセックスしながら発火装置を作り、デパートに放火。たちまち逮捕されてしまいます。ところがジャーナリストのマインホフ女史は、バーダーの反体制の姿勢に感銘を受けてしまい、取材と称して接見し脱獄の手引きをしてグループに加わります。
 初期のドイツ赤軍は、爆弾闘争や銀行強盗をおこない壊滅させられてしまいます。バーダーとマインホフは、刑務所行きになります。ところが獄中メンバーとは面識もない第二世代のドイツ赤軍が育って、バーダーとマインホフ奪還のための極端な殺人テロ攻勢をはじめます。獄中メンバーは、やりすぎだと思っているんだけど、どうすることもできない。ここらへんのテロシーンが、活劇としてメインの部分だと思う。
 第二世代のドイツ赤軍も追いつめられ、最後の逆転を狙ったハイジャック闘争も敗北します。それをきっかけに獄中メンバーは、いっせいに自殺するというラストで終わります。オレは、本当に自殺なのかあやしいと思っているけど、この映画では自殺説をとっていますね。
 映画で再現された第二世代ドイツ赤軍の手口をみると、日本の中核派・解放派・革マル派の殺人テロのほうがより洗練され徹底しているように思えました。もちろんこんなものは、対権力戦闘ではない内ゲバにすぎなかったけど、技術的にみると計画性や徹底性は上だと思う。
 内ゲバ戦争終結後、中核派と解放派の内ゲバ戦力は、対権力に振り向けられ、千葉県の収用委員会の会長を半殺しにしたり、自民党本部を丸焼けにしたり、東京サミットの会場に迫撃弾を撃ちこんだりと、結構いいところまで行きました。しかし、なぜか収用委員会の会長に対するテロが唯一の例外で、権力者を狙い撃ちにした個人テロはおこないませんでした。せいぜい運輸省の役人の家に放火するくらいです。それでも結局弾圧に敗北し、いまでは中核派はゲリラ路線を放棄して組合主義になってしまった。
 ドイツ赤軍も武装闘争を停止し、一九九八年に組織を解散しました。一九九三年に建設中の拘置所を爆破するという最後の武装闘争をおこないました。その声明は、日本のアナーキスト系機関紙『世界革命運動情報』に詳しく紹介されています。記念に一部転載します。

 

 

 今となっては迷惑をかけることもないだろうから、オレのゲリラ体験を書いておこうと思う。三里塚の戦旗派団結小屋に二泊三日で応援に行ったことがありました。当時は、二期工事の見返り事業の用水工事反対闘争が全盛のころです。いや、大変でした。左翼というとヒョロヒョロの青びょうたんというイメージがありますが、とんでもない。真冬の雪をかき分け竹竿をもって百人ぐらいいる機動隊に五〜六人で向かっていく。走ったり怒鳴ったりもみ合ったりこづかれたり、大変な体力でしたよ〜。若かったし二日程度だったからついて行けたけど、現地行動隊になってこれを三ヶ月も続けたら大学の山岳部くらいの体力はつくと思うね。それに向かっていく相手は、数が二十倍以上もいるピストルを持った機動隊だぜ。殺されないまでも、腕を折られたり半殺しにされても、みてる人はいないからね。それなのに果敢に突っこんでいくのには、さすが過激派だ、たいした度胸だ、と感心しましたよ。
 二日目にクタクタになって団結小屋に戻ったら、テレビが二キロと離れていないところでゲリラ事件があったと報道している。空港に向けて手製迫撃弾が撃ちこまれたとか。どこがやったんだろうと話していたらビラが届きました。「わが戦旗共産同ゲリラパルチザン部隊は、新兵器
M53迫撃砲をもって空港管制塔を攻撃した」とか書いてあります。オレたちのセクトだったのか! きのう疲れ果てて雑魚寝しているあいだにゲリラったんだなあ。ゲリラ事件が報道されてから数時間でビラから届いたから、ゲリラパルチザン部隊と党中央は直結しているのかな〜、なーんて考えてしまった。
 ゲリラ容疑とかで警察が殴り込んできたらどうしようかと思いましたよ。テロリスト容疑者としてブチ込まれるのかなあ…。幸いそんなこともなく、翌朝の過激派の小集会で例のビラを配り、現地行動隊のリーダーが「新兵器で空港を砲撃した
! これは手始めにすぎない」とか演説してました。ちょっと向こうで車に乗った公安が監視しています。今度こそ機動隊がやってきて捕まっちゃうかと思ったけど、そんなことはなかった。でも、家に帰ってから新聞を読んだら、隅っこに小さく「三里塚で戦旗共産同が犯行声明」とかいう記事がしっかり載っていましたね。
 東京サミット反対闘争のときにもゲリラがありました。ジグザグデモをして機動隊ともみ合って解散地点に着いたら、機動隊が浮き足立って走り回ってやがるの。何かと思ったら、ちょうどその時に中核派が、サミット会場に迫撃砲を撃ちこんでいたらしい。砲弾がオレたちの頭の上を飛んでいったみたいだ。普段偉そうな機動隊が右往左往するさまは、実に愉快だった。
 テロやゲリラくらい面白いものはなかったですね。たしか岩波新書で戦前の共産主義者の回想本が出ていました。その本の中で、労働争議で会社側の重役の家にダイナマイトの信管を投げこんで玄関をメチャクチャに壊してやったなんてことが書いてありました。この人も「テロくらい面白いことはない」なんて書いていました。オレは自分でテロをやったことはないけど、深くうなずかされるものがありましたね。

 

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97日(火)DVD『とらドラ!』五巻までみる

 ツンデレアニメで釘宮病の最新発生源である『とらドラ!』を五巻までみました。前から気にはなっていたんだけど、もうひとつ踏ん切りがつかず放置していました。ところが『教えて!goo』というサイトでこんな質問↓をみつけ、みる気になりました。

 こんにちは、もう三十路超えたオッサンなんですがすっかり「とらドラ」というアニメにはまってしまいました。
 最終回を見てからすごい喪失感に襲われてしまい俺はいい年こいて頭おかしくなったんじゃないかと本気で心配になってきました・・・。

 − 略 −

 普段アニメはほとんど見ることが無く、最後にこんな喪失感を感じたのは子どもの時にラピュタを見た時くらいです。
 今まで敬遠していたラノベにも喪失感を埋めるために手を出してしまいましたがあまり満たされず…。
 良い年のオッサンがまさかアニメ見て落ち込んでいるとは周囲の家族や友人に相談するのも恥ずかしく…こちらに書かさせてもらいました。
 皆さんは同じように強烈な喪失感を感じることはありますでしょうか? 僕ちょっと異常ですかね…
 ほんと情けない話なんですがどなたかアドバイスいただけないでしょうか・・・

 回答は、どれも質問した人に好意的で『とらドラ!』は傑作であるからやむ得ない、という感じでした。それほどの作品だったらみる価値があるだろうというわけで、レンタルDVD屋で借りてきました。
 十三話までみました。学園祭の回までです。けっこう面白い。大河かわいそうだな。こんな父親にならないように気をつけよう…。
 しかし、全話みた後で喪失感に悩まされるほどの作品かなあ、とも思いました。たしかにキャラクター造形が優れていて、充分及第点には達している作品だとは思います。本当に最終回でそれほどの喪失感を感じるか、全話みてみるつもりです。
 オレは、ツンデレヒロインの大河よりも、堀江結衣が声をあてているミノリンのほうがいいなあ。

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98日(水)『チャイナガール』(青山景)を読む

 先日ブドウ狩りにつれていかされました。一歩も家から出たくないのに…。そんなに遠くではなく、高速道路を使えばすぐ着く調布の先あたりです。中央高速の調布出口を過ぎてすぐの稲城大橋を渡って出たところ。上原園という農園です。
 
http://www.msk-s.co.jp/link/uehara.html

 果物なんてスーパーで売っているのを買えばいいじゃないかと、ブドウ狩りなんぞバカにしていました。ところが実際食べてみると、味がもうぜんぜん違う。スーパーで糖度14度とか表示されているけっこうお高いブドウに比べても、まるで別物です。倍ぐらい甘くてコクがあってうまかったですよ。こんなにうまいブドウは、生まれて初めて食べたというくらい美味でした。
 この美味ブドウは、今までオレの口に入る前にどこに消えちゃってるんだろう。流通の都合で完熟する前に収穫してるのかなあ。スーパーに並ばずに高級果物屋にいっちゃうのかもしれない。
 とにかくブドウ狩りのブドウは、おすすめです。あまりにもうまくて、持って帰った分もあっという間に食べてしまった。数日中にまた行く予定です。

 表紙につられて『チャイナガール』を読みました。エリート社員でイケメンだけど異常に恋愛スキルの少ない男が、中華料理屋で働いている中華娘にひと目ぼれしてしまい、右往左往するというマンガです。恋愛ものとしては、よくあるパターンだと思うけど、中国人と日本人のメンタリティーの違いをよく描けている点が特に面白かった。

 

 新人にしては絵が上手いと思ったら、武蔵美出身でした。まあ、そんなに重いマンガじゃないし、一巻もので楽しめる作品を探している人に良いと思います。

 

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99日(木)再びブドウ狩りに行く

 だるいけど食欲にはかなわず、再びブドウ狩りに行ってきました。ブドウ狩りといっても五房ばかりハサミでチョッキン切るだけなので、ものの五分で終わってしまいます。子供をだっこしてチョッキンチョッキンさせて喜ばせてやりました。
 値段は重量制で、一キロ千八百円です。立派なブドウ五房で三千四百円になりました。一房七百円ですね。デパ地下で売っている高級ブドウと同じくらいの値段でしょうか。オレはブドウが好物なのでかなり食べていますが、味はデパ地下よりブドウ狩りのほうが上だねえ。こんなうまいブドウは生まれて初めてというくらい美味です。きいたところ今年は天候の関係でブドウの粒が小さく、そのかわり味が凝縮されているとのことです。赤いブドウやでかくて黒いブドウもありこいつらもかなりうまいんだけど、特に小粒で黒い『高尾』という品種は絶品でした。五房のうち三房をこの高尾にしました。
 五房もあればしばらくもつだろうと思ったのに、食いはじめるとあまりのうまさに手が止まりません。二日くらいでほとんど食べつくしてしまった…。食事制限しているのに…。

 http://www.msk-s.co.jp/link/uehara.html

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910日(金)『ジャジャ』(えのあきら)九〜十二巻を読む

 イタリア古バイクうんちくマンガ『ジャジャ』をまとめて読みました。世の中には、いろんなものを収集している人がいますが、戦後の一時期のイタリア古バイクを集めている人がいるというのは、このマンガを読むまで知らなかった。しかも、けっこうお高い。百万円くらいは当たり前で、レース用のバイクだと余裕で一千万円を越えてたりする。戦後のイタリアというと、オレなんかのイメージだと映画『自転車泥棒』の世界だけどねえ。
 ヒロインのレナさんは、マンションオーナーの娘で一階を占拠してイタリア古バイク屋『ジャジャ』を開業しています。主人公は、バイク便のライダーの店子で、この『ジャジャ』に入りびたっているという設定。レナさんと主人公のラブコメ要素とイタリア古バイクのうんちく、それにバイクレースマンガの組み合わせという感じです。こだわりのあるうんちくモノが好きなオレとしては、かなり面白い作品です。
 作者のえのあきらの作品は、デビュー前のエロ同人誌時代から読んでました。それからエロマンガの単行本を何冊かだして、『ジャジャ』で晴れてメジャーデビューしました。たしか最初に読んだ作品は、カラオケをやりたくて男女の友だちがラブホテルに行き、歌い疲れたらなんとなくセックスしちゃうというマンガだったなあ。男が女の子のおマタをさわった手の臭いをかいで「うわ イカくさい」。女「よせよ〜」というシーンが妙にアタマに残っています。友だち同士のセックスというシチュエーションが好きな作者でしたね。二十年以上前に買った本だけど、この同人誌は、万に近いオレの数千冊のエロ同人誌コレクションの中に今でも埋もれているはず。
 残念ながら『ジャジャ』は、ぜんぜんエロくありません。よく考えたらヒロインのレナさんは、そろそろ三十才
? 三十才越えてる? いいお年です。若くみえるけどね。元同級生の親友で既婚者のカナコが、バイクのレースにでてそろそろ十五年とか回想していたから、三十才越えてるよなあ。もうじき主人公のバイク便ライダーと結婚するらしく、十一巻で実家に挨拶に行ったりしている。ヒロインが三十路越えてるという、希有な作品でありますな。

 ぜんぜん話はかわるけど、オレはバイクでひどい目にあったことがあります。昔RG-Γに乗っていたんだけど、水が入りこんだらしくエンジンの調子が悪くなった。バイク屋に修理にだして直ったというので走らせていたら、突然車輪がロックして派手に転倒しました。後ろのタクシーはパニック状態だったなあ。
 原因は、エンジンオイルのチューブのつなぎ忘れ。エンジンが回らなくなるとかじゃなくて、なんの前触れもなく突然「ガッ」と車輪がロックするんだぜ。都内の公道を時速四〇〜五〇キロで走っていたから、当然転倒します。反対車線に投げだされていたら、ヘタしたら死んでいたよ。もう少しでバイク屋に殺されるところだった。
 不思議なことに革ジャンにちょっとすり跡がついたくらいなのに、下の長袖シャツはズタズタになっていました。医者にもいかず治したが、二ヶ月くらい痛んだなあ。バイクくらいおっかない乗り物はないよ
(バイクくらい面白い乗り物もないけど)RG-Γは叩き売って、それ以来二度とバイクに乗るのをやめたのでした。

 

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911日(土)BS『ビンラディンは生きているのか?』をみる

 9.11同時多発テロ記念で、NHK BSがイスラムテロ特集を放送しています。録画していた『ジハードの変遷』前後編と『ビンラディンは生きているのか?』をみました。
 本で読むのと映像でみるのとはずいぶん違います。情報量は文字のほうがはるかに多いけど、映像では理屈化できない情報が直感的に入ってくる。『ジハードの変遷』では、
9.11テロ以前のイスラムテロの活動を追っています。ケニアのアメリカ大使館爆破テロがクライマックスだけど、徹底的に破壊されたビルの映像をみると左翼テロとは根本的に違うというのが分かります。左翼テロというのは、要するに暴力を用いた強迫の手段で、まあ、交渉の余地があります。政治性があって市民の評判を気にするので、せん滅戦でも無関係の人になるべく被害をださないような配慮をする。しかし、アルカイダのテロは、テロというよりも戦争に近い意識でおこなわれているようです。無関係の市民であっても異教徒や不信仰者の被害をなるべく拡大しようとします。不信仰者というのは、たとえイスラム教徒であってもイスラム原理主義を支持しない者全員をさすのだからたまりません。
 爆弾というのは構造が単純なので、威力を大きくしようと思えばいくらでもできます。威力の強い爆薬を使用して量を増やせばいいのです。左翼テロの場合は、おおむね目標のみを的確に破壊しようとするので、計算してテロ対象にあわせた爆弾をつくります。しかし、アルカイダのテロは、被害が大きければ大きいほどいいという意志が感じられ、ひたすら威力の大きさを追求して無関係の市民もおかまいなしに吹き飛ばします。左翼テロは、権力の奪取を最終目的にしているのに対して、アルカイダのテロは、要求らしいものはださず敵とみなした者のせん滅を目的にしている点が根本的に違うのでしょう。ここまでくるとテロというより戦争に近いですね。
 ビンラディンは、
2007年に発表されたビデオに登場してからは、まったく情報がなく、生死すら不明らしい。もう死んでいてアメリカ軍産複合体が戦争で儲けるために生きていることにしているという説をとなえる人もいるほどです。この説によるとアメリカがアフガン戦争をはじめた2001年ごろにビンラディンは腎臓病で死亡し、その後に発表されたビデオはでっちあげのニセモノだというのです。『ビンラディンは生きているのか?』では、専門家にビンラディンが映ったビデオの分析をさせています。その結果は、骨格や声紋からして本人に間違いなしというものでした。ビンラディンは、少なくとも2007年までは生きていたらしい。
 左翼の理論だと、指名手配されても逃げ続けることで権力の権威を失墜させ勝利しているのだということになります。ビンラディンの場合は、聖戦で殉教することが究極の目的らしいから、どういうつもりなのだろうか。探知を恐れて電子機器などは一切使用していないそうなので、アルカイダの指揮をとっているということはなさそうです。いずれにしても戦争まで始めてそろそろ十年たつのに、ビンラディンを拘束できないアメリカの権威が丸つぶれなのは、間違いないところです。

 最近ビンラディンにかぶれているので、下の↓ビンラディンマスクを購入してしまいました。実物のほうが顔がいいと、家族の評判はいまいちです。どーでしょうか?

 

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912日(日)DVD『舞-HiME』を二巻までみる

 イギリスアマゾンから購入した『舞-HiME』のDVDを二巻までみました。美少女アニメのつもりでつくっているらしいんだけど、この作品はどこかずれているような気がしてならない。萌え成分がたりないのかなあ。
 わけの分からないバケモノが出てきて暴れるというヘンな学園に集められた『姫』とよばれる超能力少女たち。今のところ、乳がでかいのとクールなのとチビで意地汚いのが登場しています。で、こいつらがダサい超能力を使ってそのバケモノと戦います。
 主人公の巨乳姉ちゃんが、巻きこまれ型だからね。そもそも何のために何者と戦っているのかも分からない。これで楽しめといわれても無理な話です。面白くないなー。二期まで出たらしいから、ここから少しは面白くなるんだろうか。

 DVDがイギリス版なので、若干の不具合がありました。リージョンフリーのDVDプレイヤーでみているのでそこらへんは問題ないんだけど、一話終わるごとになぜか音声が英語に戻ってしまう。そのたびにスイッチを押して日本語音声に戻さなければならない。安かったのだからしょうがないが、面倒くせえなあ。

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913日(月)『DINO(ディーノ)(柳沢きみお)を全巻読む

 柳沢きみおの『DINO(ディーノ)』を全十二巻読みました。デパートの社長の座を追われて横死した父親のかたきをうつために、名門デパートに社員として入りこんだ男の復讐劇です。復讐モノのパターンのマンガは、面白いんだよね。
 主人公の名前は、ディーノといいます。かなりアレな名前だけど、親父がフェラーリにかぶれていてフェラーリディーノからつけられたとのこと。フェラーリディーノは、父性の象徴らしく主人公は、煮詰まってくるとディーノを暴走させます。「父さん、かならずかたきはうつからね」とかいって『罰すべき者のリスト』をつくり、手駒にするためにいろんな女とセックスしまくって復讐を果たしていきます。
 東大出だけど強度のファザコンでマザコンという設定。だから、相手が若い女だと、たまにできなくなっちゃうこともある。暗い野郎だなあ…。これ以上やるとギャグになってしまうという寸前で止めているところがお見事です。
 ただし、ラストはいただけなかった。名作『翔んだカップル』もそうだったけど、柳沢きみおは、幕の引きかたがヘタですねえ。
 ディーノ君は、復讐のためにさんざん悪いことをします。そのたびに良心の呵責にもだえ苦しむ。これってもろに『罪と罰』だよな。こんなところにも影響を与えています。
 作者の柳沢きみおは、『翔んだカップル』で少年誌にラブコメを持ちこんだ人です。内容がどんどん暗くなっていったけど、ヒットしたなあ。それから少年チャンピオンで『月とスッポン』を連載し、黄金時代を支えました。もう三十年以上描いている古い人だけど、現在でも充分に読める面白いマンガを描いているのは偉い。でも、絵は下手になった。内容はいいので、絵で食わず嫌いをしている人は、一度読んでみたらいいよ。一応アマゾンにリンクをはったけど、けっこう昔のマンガなんで、ネット古本屋で安く買えると思う。

 

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914日(火)民主党代表戦をみる

 民主党の代表選の実況中継をみました。事実上日本の総理大臣を決める選挙です。菅直人の演説からで、小沢一郎の演説は見損ねてしまった。
 まぁ、けっこういいことをいっていたような気がしました。菅直人は、カネにきれいで悪人にみえないところが勝因だったと思う。これほどまでに国民に嫌われている小沢一郎を代表にしたら、民主党の自殺だっただろう。
 小沢一郎が勝利したならば、それは小泉純一郎によって政界の実権を失った自民党田中派系の復活を意味したと思う。田中角栄的な金権政治に二十年も逆戻りされたら国民はたまりません。
 今回の菅直人の勝利は、
1955年以来初の自民党色のない中道左派政権の誕生を意味すると思う。まあ、たぶんたいしたことはできないだろうけど、時代遅れの格差推進政策で日本をイヤな社会に変えてしまった小泉自民党や、小沢一郎の財政破綻確実なバラマキ政治よりはマシじゃないかなあ。それに『田中曽根』なんて揶揄され田中角栄の傀儡視されていた中曽根が意外にも戦後史に残る改革をしたり、党内基盤がなく何もできないと思われていた小泉が長期政権になったりと、総理大臣の権力は使いかたを知っている者が握ると非常に強力です。菅直人は、市民運動上がり初の総理大臣だから、意外に面白いことをしてくれるかもしれない。民主党の党首選に参加できたら面白そうだから、オレも民主党のサポーターになろうかしらん。

 この代表選をみてあらためて感じたのは、ネット世論なるもののダメさです。選挙関係のネット世論調査が当たったことなんて、一度もないじゃないか。前にも書いたけど、ベストセラーになった『下流社会』によると、ネットというものは低料金で時間消費的な典型的な下流の娯楽なんだそうな。つまり、ネットには下流のヒマ人が張りついている。だから、そういう層に特化した世論調査になってしまう。実際、ネットでの消費時間が多い人は、新聞もとっていないことが多いんじゃないかなあ。失礼ながら小沢一郎を支持する人って田舎者の土建屋というイメージがある。逆に菅直人の支持者は山の手サラリーマンという感じだ。選挙区が遠野物語の岩手と住みたい街NO1の吉祥寺だからね。メンタリティーがまるで違います。
 もう日本は、かつての生活レベルを国民全てが甘受できる経済状況にはありません。椅子取りゲームが始まって格差が生じ、没落する層が出てきた。ネットぐらいしか楽しみのない底辺層が、職と福祉をめぐって生存競争に入っているのだから競合する在日や中国人を憎みその排斥運動をはじめるのは、自然なことなのだろう。問題は、それを正当化して恥ずかしいとも思わないことだ。世界中でそんな層が、「自分たちがしてるのは差別じゃない、区別だ」とか「あいつらは差別されて当然だ。世界中で嫌われている民族だ」などと言っています。もちろん、まともな人間は、だれもそんな下劣な意見にとりあったりはしない。
 立花隆の『天皇と東大』によると、戦前の日本の歴史は、左翼革命運動と右翼革新運動の争いでもありました。この争いに左翼は完膚無きまでに敗北し、右翼革新運動が国を動かすことになった。その結果が満州事変から太平洋戦争にいたる破局でした。戦前ほどの強さや広がりなんて全くないけど、差別主義者による右翼排外主義運動をあまり甘く見てはいけないと思う。なんといっても日本の恥でみっともないし、あんなやつらが実社会ではびこりだしたら不快じゃないか。
 それにしてもネトウヨは、自分が貧しいことを韓国人や中国人を差別し排斥することで解決できると考えているようだ。信じられないほどのバカだよな。

 

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