遊撃インターネット狂人雑記63
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2010

67日(月)ひたすら寝る

 昨日細君を病院につれていって、くたびれてしまった。一晩寝たので肉体的にはくたびれるはずないのだが、精神的にくたびれた。
 なぜ自分がこんなに疲れているのか、さっぱりわからない。本を読んだりテレビをみたりもする気にならず、ひたすら布団にもぐりこんで寝たいだけ。普段は精神力が非常に弱いというわけでもないと思うのだがなあ。やはり、アタマの調子がおかしいのだろう。

 寝る前にちょっと『けいおん!!』をみたら、エンディングにでてくる化粧したほうの澪は、アリのコスプレだということに今さらながら気がつきました。

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68日(火)再び病院につれていく/江川卓訳『カラマーゾフの兄弟』読了

 妊娠検診のため再び細君を大学病院につれていきました。保育園の終了時間までに戻れないので子供連れです。先日の腹痛以来、細君はヘロヘロになってしまいほとんど起き上がることもできない。自動車で連れていく以外どうしょうもありません。
 二時半に予約していたのに二時間以上待たされた。そのあいだ子供が騒いで迷惑にならないように、オレがあやしていました。子供の相手をしているだけで、他にはなんにもできません。しまいにはすることがなくなって子供の足首をつかんで逆さづりー、とかやっていた。順番待ちの妊婦さんたちは、知らんぷりしてたけど、きっと注目の的だっただろうな。細君はグッタリ椅子に座っているだけで、まったく戦力にならない。
 とにかく、くたびれた。くたびれました。くたびれましたよ。大学病院なんかにいくと病気になってしまう。
 二時間以上待って、ようやく順番が回ってきました。オレも付きそいましたが、診察室の床に書類が散らばっていて、妙に荒れている。菅直美だったか直子だったか、新しい総理大臣みたいな名前の女医さんです。この女医さんがまた浮き足立ってるんだよねー。ウロウロして問診の間に立ち上がってどこかに行ってしまったりする。患者に死人でも出たのかなあ。
 エコーで胎児を撮影しました。母親があんなに苦しんでいるのに胎児はいたって元気で、腹の中で手を振っていた。腹の中に寄生生物を住まわせているようなものです。女は大変だなあ。
 診察時間は二十分くらいだったかなあ。二時間待ちの十分診療とは、このことだあ。しかも代金が二万五千円とかいうし…。役所でもらった八千円の診察代金券をつかいましたが、それでも差額を払わなければならない。一万七千円もかかった。それに駐車場代が三千円…。あああ、こんなに貧しいのに…。これじゃあ定期検診も受けないで出産直前に産婦人科に飛びこんでくるという『野良妊婦』が増えるわけだよ。それだけ日本に貧しい階層が増えたということなんだろうが、やっぱりキビシーなあ。

 ヘロヘロにくたびれていましたが、帰宅後に江川卓訳の『カラマーゾフの兄弟』を読了しました。江川卓訳のドストエフスキーは非常に評判がよく、オレも大好きです。ところが江川卓訳『カラマーゾフの兄弟』は、集英社世界文学全集版でしかでておらず、古本屋で二冊セット一万円くらいする。世界文学全集なんて図書館にいけばたいてい置いているので、高いカネを出して買うのもバカバカしい。しかし、良書は手元においておきたいのが愛書家の本能のようなものです。どうしようかと思って困っていると、江川卓が『カラマーゾフの兄弟』を三分の一くらいに縮訳したというダイジェスト版をネットで発見し、購入しました。
 東大教師の勧める本で一位の『カラマーゾフの兄弟』ですが、オレの知能は東大生より低いようで、なかなか歯が立たないというか、かなり手に余ります。四種類の翻訳で五回も読んだのだけど、『罪と罰』と違ってどうにも腑に落ちてこない。ドストエフスキー名人の江川卓による縮訳を読んでみれば、少しは掴めるところもあるのではないかと思ったのでした。
 縮訳といっても分厚い文庫本一冊分以上はあります。…手強かった。妊娠騒動で読書の時間もとれなかったこともあるが、読み終わるまでに十日以上もかかってしまった。
『カラマーゾフの兄弟』というのは、面白いのかつまらないのか読んでいる本人にすらよく分からない不思議な小説です。以前にも書いたけど、時事系列が錯綜しているうえに、主人公以外の主要登場人物の全てが、言っていることとやっていることと考えていることが矛盾しているという無茶な内容です。
 主要登場人物の中で最も興味深いのは、「神はいない。だからなにをしてもゆるされる」というインテリ無神論者の次兄イワンでしょう。無意識のうちに父親殺しの手引きをしてアリバイ工作までする。ところが父親殺しが起こっても自分の手引きによるということに無自覚で、そのことに気づかされると精神病になってしまう。脳炎で寝こんで幻覚であらわれた流行遅れの格好をした「悪魔」と五〇ページも討論を始める…。討論の内容は、「神の存在と不在」とかいった哲学的・神学的なものです。オレなんかは、もうカンベンしてくれよ〜、という感じでしたね。
 純粋に小説として楽しむならば、父殺し事件以降急速に面白くなります。でも、それまでが長いんだー。今回読んだのはダイジェスト版なので、「ここを削ったか。ここを思い切って短くしたな」なんて読みかたも楽しめました。でも、考え考え読む小説なので、ダイジェストにしてもあまり意味が無いようです。

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69日(水)警察から警告文書がきた。うざい…

 プロバイダから書留つきの速達が届きました。なにかと思ったら警察から届いた警告文書の写しです。なんでも遊撃インターネットに『公序良俗に反する情報』があるので、その情報を削除しないといけないらしい。うざいなあ…。
 プロバイダに『公序良俗に反する情報の対応依頼書』なるものを送りつけてきたのは、神奈川県警です。サイバー犯罪
(この言いかたは笑っちゃうよな)摘発に熱心な京都府警だったらまだわかるけど、なぜに神奈川県警?
 神奈川県警といえば、黄金町界隈のあいまい宿からあがるヤクザのシノギをピンハネしてちょんの間売春を黙認していたり、オウムの坂本弁護士一家殺害事件の捜査をサボったり、共産党の国際部長宅を盗聴して摘発されたり、カラ出張などで裏金をつくっているという噂が定期的に立ったりと、腐敗・堕落・無能で有名な警察です。それがいったいナニを考えてこんな手紙を? 神奈川には変な条例でもあるんかいな。
 その『公序良俗に反する情報』とやらはちょっとした爆弾製造法なんだけど、市販の書籍の情報をまとめたものなんですよね。どーして本屋で売っている本ではよくて、ネットでは警察に消去しろとか指図されねばならないのか。
 何年か前にネット情報から爆弾をつくることが流行ったことがありました。バクダン事件までオレの責任にされたらかなわない。実はケーサツに指図されないでも、その時に消してしまうつもりでした。とりあえずリンクを消して、投稿してくれた人に連絡をとってから中味も消すつもりだったのです。しかし、投稿者とは連絡がとれず、そのうち存在自体をすっかり忘れていた。
 唯一の入り口であったトップページからのリンクを外してしまっているのだから普通は、『公序良俗に反する情報』にアクセスできるはずがない。警察は、本人すら忘れていたページをどうやって見つけ出したのだろうか
? オレがリンクを切ってしまう前に、だれかが直接リンクしていたのかな。
 もともと消したつもりでいたものなので、消去することには異存はないんですけどね。しかし、警察にあれこれ指図されるのは腹立つな〜。こいつを無視して留置所に入れられたら、三度目の怪挙ですよ。いや、過激派シンパ時代に警察署に引っぱりこまれたことがあるから、四度目かあ。細君が出産しているときに留置所に入っていたら大笑いだよな。…できれば避けたい事態だ……。
 いずれにしても警察から警告文が届くなどめったにないことなので、記念に警告文書と伏せ字にしたバージョンの『公序良俗に反する情報』をアップすることにしました。

 警察からきた警告文書

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610日(木)マルクスの胸像が到着

 e-bayで注文していたソ連製のマルクスの胸像が到着しました。新しいクドリャフカのミニフィギュアも入ったことだし、これでわが家のソ連軍部隊はますます充実してきました(マルクスはドイツ人だけどね)

 

 マルクスというと革命家というイメージがあります。でも、貴族の令嬢と結婚して、親友のエンゲルスは資産家で経済援助してくれる。イギリスに引っ越して(亡命ともいうが…)毎日大英図書館に通って好きな学問三昧。そのうえメイドさんの愛人まで持っているという、勝ち組の人だよな。それが「プロレタリア革命」とかいってんだから、あつかましいにゃ〜。
 佐藤優によると、マルクスには革命家と学者の二つの側面があり、マルクス主義からこじつけの革命論を取り去って純粋な経済学・社会学・哲学などに再編成すると、現在でも十分に道具としてつかえるのだそうだ。それをおこなったのが日本のマルクス主義経済学者の宇野弘蔵だとか。
 現在主流のケインズ主義や新古典派経済学はスケールが小さい。公共事業で穴を掘って埋めて税金から賃金を払っていれば雇用が回復するとか、非効率をもたらす政治が経済に関与しないことが経済のため最も必要なことであるとか…。心理学と結びついてみたりいろいろやっているようだけど近代経済学では、経済現象を解釈することはできても、これからの社会をどのように築き直していくかなどの指針を提示することができないようだ。
 学生時代にマルクス経済学を学んだ大蔵官僚が経済の舵取りをしていた時期に、日本が高度経済成長を果たしたというのは皮肉です。
 長期的に経済を発展させつつ社会を安定させモラルを維持させてゆくためには、労働者に労働力の再生産に必要なだけの資源を分配しなければならないというマルクス主義では常識ともいえる視点が、現在の日本にはほぼ無いことに驚かされる。新型ルンペンプロレタリアートを大量に生み出し社会が荒廃しつつあるバブル後の二〇年不況。その原因は、こんなところにあるのではないだろうか。

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611-12日(金-土)短期記憶が消える

 また鬱がぶり返してきて、ダラダラ無為にすごしてしまいました。雑記が滞ってしまって申し訳ありません。
 鬱病といっても、いろいろタイプがあるようです。オレの場合は、意味もなくイライラすることが多い。八つ当たりすると細君に迷惑をかけてしまうので、イライラを抑える薬も服用しています。おかげでイライラは、かなり薄れてきました。その代わり無気力症が起こってきました。なーんもやる気にならない。典型的な怠け病です。
 怠けている分にはラクでいいんだけど、物忘れがひどくなってきました。前にも書きましたが、朝食で何を食ったか思い出せないとか、今読んでいる本の五ページ前が思い出せないとか…。まるでボケ老人みたいだ。朝起きて、さっきまでみていた夢をみるみる忘れていく。そんな感覚です。不便でしょうがないし、それに気持ちが悪い。
 かかりつけの
精神病院にいって、なんとかならないか相談しました。薬の副作用なのでどーにもならないみたいですね〜。鬱で頭を痛くしながら布団にもぐりこんでいるよりはマシだけどねえ。イヤな副作用です。ますます無気力になって帰宅したのでした。

 そういえば、病院でこんなポスターをみつけました↓ 最近はなんでも萌えですな〜。

 

 ヤフオクでもこんなシャツを発見↓ 落札しました。二千円+送料五百円です。定価は一枚二千五百円だから、ちょうど半額ですね。安かったと思います。

 

 古いオタクにはなつかしい『雫』の瑠璃子さんと『痕』の楓ちゃんです。さすがに外に着ていくのはアレなので、部屋着にするつもりです。どうせ引きこもっているしね…。はあ…。
 最低落札価格で買えちゃったけど、『雫』や『痕』は、もう人気がないんですかねえ。

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613日(日)DVDプレーヤー DV-420Vが届く

 アマゾンで出品している業者に注文していたDVDプレーヤーDV-420V並行輸入品が届きました。値段は送料込みで14495円です。

 

 この製品の素晴らしいところは、並行輸入品なのでリージョン1、つまりアメリカやヨーロッパのDVDソフトもみることができる点です。再生する際になんら特別の操作は必要ありません。
 日本の
DVDソフトはバカ高いじゃん。ポンド安とかでイギリスのアマゾンなどを利用すると、日本製の三分の一くらいの値段で正規のDVDが買えたりします。まぁ、DVDを手元に置きたければ、ピーコすればいいだけの話しなんだけどね。レンタルDVDをピーコするんだったら、メディア代とレンタル代で一枚四百円くらいかかるよな。外国製とはいえ一枚千円以下で買えるんだったら、正規品を買ったほうがいいよね。リージョン1DVDは、英語字幕が入っているから英語の勉強にもなるぞ。
 さっそく設置してみました。といっても
HDMI端子なので箱から出してコードを一本挿すだけです。DVDを再生してみると、アップコンバートという機能がついているため、かなり高画質で再生してくれます。四年くらい前に買ったHDDVD録画機よりもはるかに画質がいいですね。
 欠点は、並行輸入品なので英語表示だというところでしょうか。でも、リモコンをいじっているうちになんとかなってくるものです。
 実はリージョン
1DVDは、パソコンでもみることができます。しかし、パソコンの画面は小さいのでテレビにつなぎたい。パソコンを立ち上げたりHDMI端子を抜いたり挿したりするのが、いちいち面倒くさいんだよな。それに画質も専門の機械のほうがよい感じです。パソコンにPowerDVD 9という再生ソフトを入れるとDV-420Vにせまる画質を得られるのだけど、値段が八千円くらいします。それにしょせんパソコンについているDVDは安物だから、性能に限界がある。再生ソフトに八千円もつかうんだったら、あと七千円たして専用の機械を買ったほうが良いと思いました。
 
DV-420Vには、USBメモリにMP3を入れて端子にさしこむと音楽を再生してくれるオマケ機能がついています。テレビのスピーカーで音楽がきけるので、けっこう便利です。オタクな画像をJPGファイルにして入れておくと、音楽といっしょにスライドショーでながめることができる。同じ方法でaviファイルも再生することができるらしいけど、認識しないaviファイルがあったりmp4に対応していなかったりで、これはあんまりつかえないなあ。
 とにかく手間がかからず画質がよいのが、この製品の最大の長所ですね。買ってよかったと思う。

 

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614日(月)『神は妄想である―宗教との決別』(リチャード・ドーキンス)読了

 ずいぶんギャッチーな題名の本です。どんなキワモノかと思ったら、有名な『利己的な遺伝子』を書いた人が著者でした。この人の本を読むのは二十年ぶりくらいだなあ。
 著者のドーキンスは、無神論者で進化論が専門のイギリスの生物学者です。進化論に反対したり神が進化をプログラムしたとかいうキリスト教原理主義に腹を立てて書いたようです。アメリカでベストセラーになったらしい。
 やり玉にあがっているのは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教といった一神教で、仏教は含まれていません。…一神教みたいな変な仏教もあるんだけどね。
 日本では無神論者といっても「神サマはいるかもしれないけど、たぶんいなんいじゃないかなぁ」といった程度のノンポリなイメージです。しかし、米英の無神論者は、ずいぶん攻撃的でした。これは別の種類の信仰といってもいい感じですね。
 ドーキンス先生は、特にアメリカのキリスト教原理主義者が嫌いのようです。まず無神論者が、いかに学歴があるリベラルで立派な人たちなのか書き、それなのにアメリカではいかにひどい目にあい迫害されているかを書いています。アメリカで無神論者であると宣言すると、親は泣くし社会からは人間あつかいされないくらいらしい。無神論の映画を撮ったアメリカ人監督に送りつけられた脅迫状を公開しちゃったりしている。

 おまえは確かにちっとばかし度胸がある。オレはナイフを手にもって、馬鹿なおまえのはらわたを引き裂き、おまえの内臓が目の前にあふれでるのを見て、喜びの叫びをあげたい。おまえは聖戦に火をつけようとしているんだ。聖戦が始まれば、いつの日か、オレや、オレみたいな他の人間が、さっき言ったような行動に実際に出るかもしれないぜ。

 アメリカ人にくらべるとイギリス人はもう少し紳士的です。ドーキンス先生に届いた手紙も転載します。医者が送ってきたもので、この人は、地球の歴史は八千年だとかいう聖書を文字通り信じているらしい。文体は教養あるんだが、よく医者になれたな…。

 しかし、あなたの世界観は、不安、麻薬中毒、暴力、虚無主義、享楽主義、フランケンシュタイン流の科学、この世の地獄、そして第三次世界大戦をもたらす……あなたはきっと、プライベートでの人間関係がうまくいっていないのではなかろうか。離婚した? 奥さんと死別した? ゲイか? 絶対にあなたのような人間が幸福なはずがない。そうでなければ、そんなに一生懸命に、幸福など存在せず、あらゆるものに意味がないことを証明しようと試みたりするはずがない。

 精神科医なのかな? ドーキンス先生も負けていません。アメリカのキリスト教原理主義者を、キリスト教ファシストとかアメリカのタリバンなどとよんでバッサリ切り捨て、私はありとあらゆる理由からローマカトリックが嫌いだと宣言して、ローマ法王やマザー・テレサまでやっつけます。アメリカに住んでいたら、殺されてるんじゃないの? こんな調子です。

 教皇ヨハネ・パウロ二世は、過去数世紀問の前任者すべてを合わせたょりも多くの聖人をつくりだし、また聖母マリアに特別の愛着をもっていた。彼が多神教へのあこがれを抱いていることは、一九八一年にローマで暗殺者に狙撃されたが一命をとりとめた彼が、そのことをファティマの聖母マリアのおかげだとしたときに、劇的に実証された。彼は「聖母の手が弾をそらせてくださった」と言ったのだ。なぜ聖母は、弾が彼にまったく当たらないようにしなかったのだろうという疑問をもたざるをえない。六時間におよぶ手術をおこなった外科医師団にも、少なくともその手柄の一部が与えられてしかるべきだと考える向きもあるかもしれない。しかしおそらくは、彼らの手もまた聖母によって導かれていたのだろう。

 無神論者は、おおむねリベラル派なので妊娠中絶に賛成です。妊娠中絶に絶対反対のマザー・テレサにもケンカを売る。そうまでいわんでもと思うが…。

 カルカッタのマザー・テレサは、ノーベル賞受賞講演において実際に、「妊娠中絶こそ、最大の平和破壊者です」と言った。なぜなのか? このような偏った判断力しかない女性の発言を、どんな話題についてであれ、真面目に受けとめることがどうしてできるだろう。まして、ノーベル賞に真面目に値すると考えることがどうしてできるだろう? 聖人ぶった偽善者マザー・テレサに騙されたいという誘惑に駆られた人間は誰でも、クリストファー・ヒッチェンズの『宣教師の立場[正常位という意味もある]−マザー・テレサの理論と実践』を読むべきである

 聖人ぶった偽善者…、ひでえなあ。他にも旧約聖書を青銅器時代に書かれた野蛮な書物だとか、イスラムの宗教学校でコーランを暗記する子供を悪いおとなに洗脳された犠牲者として描き 頭のおかしくなったオウムのように、その無垢な小さな頭をリズミカルに上下に振るようにさせるとか、言いたい放題です。よく殺されないなあ。
 個人的に悪口文章が大好きなのでそんなのばかり紹介しましたが、なぜ神がいないのかもしっかりと書かれています。専門の進化論はもとより、多次元宇宙論、素粒子論、文化人類学、歴史学、民俗学などなど。それぞれの学について非常によい要約になっているので、勉強にもなる。さらに聖アウグスティヌスなど、神の存在を証明しようとした神学に対する論駁も興味深いものでした。
 無神論といえばドストエフスキーです。ドーキンス先生は、理系学者なのにドストエフスキーにもふれています。

 この世から神への信仰が突然消滅すれば、私たちのすべてが、親切も慈悲も気前よさも、善という名に値するいかなるものももたない、酷薄で、利己的な快楽主義者になるだろうと考えるには、私たちの自尊心はよほど小さなものでなければなるまい。ドストエフスキーはそのような意見をもっていた、というのが大方の見解のようだ。おそらくは、彼が無神論者のイワン・カラマーゾフの口を借りて語っている、いくつかの見解のゆえであろう。

 − 略(カラマーゾフの兄弟からの引用) −

 ひょっとしたら私は世間知らずにも、人間の本性についてイワン・カラマーゾフほどシニカルではない見方に傾いているのかもしれない。私たちは本当に、利己的で犯罪的なやり方で振る舞わないためには取り締まり ― 神によってであろうが、お互いによってであろうが ― が必要なのだろうか? 

 他にもヒトラーやスターリンは無神論者だったではないか、という意見に対し、オレが愛読しているような本を何冊も持ってきてスターリンは無神論者だったがヒトラーはカトリックの信仰を持っていたと反論するなど、八面六臂の大活躍です。とにかく興味深い本でした。

 ちなみにオレは、神は(仏でもいいが…)ひょっとしたらいるかもしれないけど個々の人間の運命については無関心であろうなあという、理神論をとります。いくら神さま仏さまを拝んでも、カネをくれたり試合に勝たせてくれたりはしないだろう。試合の相手も同じ神さまにお祈りしていたら、神さまは困ってしまうんじゃないかな。オレは日本人だから、宗教に関しては無難なところに落ち着きます。

 

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615日(火)『世紀末の美と夢』のパンフレットが出てくる

 カネを節約しなければならないので、引っ越しをしようと思っています。その準備に昔の書類箱を整理していたら、『世紀末の美と夢』のパンフレットが出てきました。辻邦生責任編集で、集英社が一九八六年に発行した全六巻のシリーズです。だからパンフレットも二四年も昔のものなんだなあ。
 この宣伝パンフレットが異常にかっこよく気に入ってしまった。ところが大切にしまっておいたのに、いつの間にか無くなってしまっていたのです。ずっと気になっていたので、出てきてよかった。

 

 

 

 全六巻の内容説明が、またしびれます。

『世紀末の美と夢1 憂愁のエロス(フランス)』 華やかなるベル・エポック、歓楽の都パリで、呪われた詩人が時代に反逆する。
 ボードレールを、サラ・ベルナールを生んだ世紀末パリ。まさに花の都であった。カフェでは詩人や画家がアプサンをすすりながら芸術を論じていた。途方もない熱気にあふれ、咲き乱れる芸術の花々が、この時代を如実に語っている。

『世紀末の美と夢2 華麗なる頽廃 (ドイツ・オーストリア)』 オーストリア帝国ハプスブルグ家の落日と黄金に輝く芸術の坩堝ウィーン。
 同性愛者で奇人の国王、情死した皇太子。揺れ動く帝国はだからこそ、百花繚乱の才能を育てあげる。絵画、文学、音楽、心理学…。彼らは、帝国の落日を象徴する都市ウィーンで、世紀末を生き抜いた。

『世紀末の美と夢3 美神と殉教者(イギリス)』 ビクトリア朝の栄光と偽善、そしてシャーロック・ホームズが徘徊した霧の都、ロンドン。
 同性愛で懲役を受けるオスカー・ワイルド。エロスの対象としての少女がもてはやされ、「不思議の国のアリス」もこの時代に生まれている。大英帝国の繁栄は、頂点を迎えていたが街は逆に、頽廃的なダンディズムに酔いしれていた。

『世紀末の美と夢4 危機の胎動(ロシア)』 革命前夜、ロマノフ王朝の終焉に、アナーキストたちは「絶対」を夢見る。
 ニジンスキーは舞い、チェーホフが、ドストエフスキーが書き続けた。彼らは、測り知れない何かがこの国を襲おうとしているのを予感し、西欧の自由の息吹が流れ込んだ白夜の都市ペテルブルグは、ロシアの夜明けを待つばかりであった。

『世紀末の美と夢5 没落の予感(イタリア・スペイン他)』 ミラノ、バルセロナ、ブリュージュ。栄光の日々は色褪せ、幻想の街で、ガウディは創造する。
 世紀末はヨーロッパすべての国を巻き込んだ。建築に魂を吹き込んだガウディ、世紀末的画家としてあまりにも有名なムンク。彼らは憑かれたように変革の時代を生き抜き、今なおみずみずしい感性が、不思議な感動を呼び起こす。

『世紀末の美と夢6 夢想への逃亡(非在の土地)』 崩壊の予感の下で、鋭敏な精神はここにない世界を夢想する。
 世紀末だからこそ人々をかきたてたアナザー・ワールドへの夢想。ゴーガンはタヒチヘ、ランボーはアフリカを彷徨する。フロイトは心の無意識の領域に初めてメスを入れた。彼らは、抗しきれない衝動に身を委ねたのかもしれない。


 
憂愁のエロスとか華麗なる頽廃とか美神と殉教者とか危機の胎動とか没落の予感とか夢想への逃亡とか、かっこいいねえ、美しいねえ。
 このシリーズが発行された一九八六年といえば、まさにバブル景気の直前です。バブルも世紀末現象のひとつなんだろうけど日本の世紀末は、ちっとも美しくなかった。キンキラキンでバカで卑しくて下品なだけ。あんまり世の中が薄汚くて腹が立ったので、ヘルメットをかぶって極左のデモにいっちゃったよ。
 また、『世紀末の美と夢』を買っちゃおうかなあ。引っ越ししたときに手放しちゃったんだよね。特に4巻のロシア編『危機の胎動』は、手元に置いときたいなあ。
革命前夜、ロマノフ王朝の終焉に、アナーキストたちは「絶対」を夢見る というアオリは、ちょっとロシア革命史にくわしい人には趣深いものがあります。本当はアナーキストじゃないんだけど、人民社会主義者が『人民の意志党』という秘密結社を組織して、手製手投げ爆弾でロシア皇帝を暗殺するという事件がありました。高校世界史の教科書にも載っているよ。その後をついだ社会革命党の戦闘団も含めて、命を的に懸けるロシアのテロリストたちをノーベル賞作家のアルベール・カミュは「絶対を夢みる人々」として小説に書きました。そこからとっているのでしょう。
 ちなみにそのころレーニン率いるボリシェビキは、スターリンを首領にして売春婦の「保護」事業やら銀行強盗やらで革命資金を稼いでいたのでした。こちらはあまりにも実際的・実利的で、ぜんぜんロマンを感じられませんね。でも、革命で勝ったのはロマンのないボリシェビキでした。社会革命党は、反革命の烙印を押されて内戦で絶滅させられてしまう運命にある。

 

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616日(水)『トロツキー伝三部作』(ドイッチャー)/『現代戦争史概説』(陸戦学会)/『カラマーゾフの兄弟』(江川卓訳)が届く

 ここ数日ヤフオクでよい本が大量に出品され、ずいぶん落札しました。節約しなければならないのに…。

 

 トロツキー伝三部作は、『武装せる予言者』『武力なき予言者』『追放された予言者』の三冊です。レーニンの盟友で十月革命時のペトログラード・ソビエト議長、赤軍の創設者であった悲劇の革命家トロツキーの伝記です。大変な名作でイギリス前首相のトニー・ブレアが生涯に最も影響を受けた本としてあげているほどです。『武装せる予言者』は、革命成功編。『武力なき予言者』は、スターリンとの権力闘争に敗れるまで。『追放された予言者』は、各国を亡命しながらついに新しい共産党・第四インターナシャナルを設立し、スターリンの放った刺客に暗殺されるまで。二十年以上前に図書館で借りて読み、素晴らしい内容だったのでほしかったんだよね〜。でも、セットで一万円以上したから、買えなかった。最近はトロツキーに関心のある人も少なくなったようで、値下がり気味です。ついにヤフオクで送料込み三千三百円で購入できたのでした。面白い本だから読むのは苦にならないだろうけど、全三巻を完読するのに三週間くらいかかりそうです。

 自衛隊内でしか手に入らない陸戦学会の『現代戦争史概説』も首尾よく落札できました。上下巻に付図が二冊という大著です。昭和五七年初版で平成九年六版発行というこの種のものにしては、なかなか息の長い本です。主に第二次世界大戦後の戦争や地域紛争の概略がまとめられています。巻頭の総説でその時代の政治情勢を分析し、それから軍事面での分析になります。「軍事は政治の延長である」というクラウゼヴィッツの戦争論を下敷きにしているのでしょう。たしかに第二次世界大戦以降は、軍事が政治に優越するという絶対戦争は起こっていませんからね。中国国共内戦、朝鮮戦争、第一次〜第四次中東戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争、中ソ・中越紛争、インド・パキスタン戦争などが分析の対象です。

 とうとう江川卓訳の『カラマーゾフの兄弟』が手に入りました。『江川卓訳カラマーゾフの兄弟』とでも書いてヤフオクに出品すれば五千円以上で落札されたと思うんだけど、『カラマーゾフの兄弟全二冊 世界文学全集 集英社』としか書いていなかったので千五百円で落札できたー。ほしいと思っている本は、辛抱強く待っていればたいてい手に入りますね。

 よいものが安く手に入って嬉しいけど、この三種類計九冊の本を完読するには、一ヶ月以上かかりそうです。読みたい本は、山のようにあるのに人生はあまりにも短い。給料は安くてよいので、ただ座って本を読んでいればよいという仕事はないだろうか…。倉庫番とか灯台守とか…。三浦半島の先端で釣りでもしながら読書三昧の生活をするというのが、オレには一番合っていると思うんだが、妻が反対する。うぜー。子供の食い扶持もかせがなければならないしなあ。結婚なんて桎梏だよ。するもんじゃない。

   

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617日(木)『神の国の歩きかた』/『萌ゆる古事記』を読む

 オレは、左巻きのリベラル派なのだろうけれど、保守についても少しは知らなければならないと考え、以前『柳田國男全集』を買ってきました。…一巻で挫折してしまった。『遠野物語』みたいな美文ばかりだと思ったら、昔の文章特有の長ったらしさで読んでられない。そこで、今流行の萌え本に転進することにしました。
 ネットをうろついて良さげなのを探し『神の国の歩きかた』と『萌ゆる古事記』を購入しました。『萌ゆる古事記』のほうには、左頼子
(ひだりよりこ)ちゃんやら憲法ちゃんやらが出てきて、そこはかとなくネトウヨ臭がする。
 読んでみれば、どちらもどうということのない本でした。古事記上巻の要約の『神の国の歩きかた』のほうが、図などを多くつかって分からせようと努力しており好感が持てる。その代わり萌え絵が少なく字が多いですね。日本の神様の名前は、似たようなのが多いうえに長ったらしくて憶えられないな。『萌ゆる古事記』のほうは、エロい絵が多い。文章はふざけ散らしているようなシロモノで、まあ、読みやすい。読む価値があるかどうかは疑問だが…。内容はそんなにネトウヨっぽくなかったな。これの前に出た『萌ゆる神の国』は、萌え絵で核武装を主張しちゃったりする立派なネトウヨ本らしい。読む気もしないな。日本神話は、ギリシア神話とくらべてキレイじゃないし退屈だなあ。
 …他に特に書けることはねーなぁ。『萌ゆる古事記』の内容は、小学生のころに読んだ『物語 日本神話』のレベル以下ですね〜。『神の国の歩きかた』のほうは少し上か…。柳田國男から水準を下げすぎました。

  

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618日(金)睡眠薬の服用をひかえる

 以前書いたように短期記憶が消失する症状に悩まされています。これはどうも抗鬱剤のせいではなく、睡眠薬に原因があるのではないかと思いつきました。
 オレが服用している睡眠薬は、青玉とよばれるハルシオンや赤玉とよばれるエリミンなんて程度のものではありません。導眠剤も処方されているから闇に流せば高く売れそうだな…。いや、それはさておき、オレが服用している睡眠薬は、アメリカでは麻薬指定されていてうっかり持ちこむとパクられてしまうというシロモノです。酒にまぜて飲ませるとその前後の記憶が消えるという特性があり、こいつを利用したレイプ事件が頻発したため禁止されてしまったらしい。…あやしいなー。なんかこいつ、すっごくあやしくないか
?
 というわけで、こいつを飲むのを数日ひかえました。…なんか記憶が消えないような気がするぞ。しかし、服用しないとあんまりよく眠れないし、ロクでもない夢ばかりみて夜中に何回も目が覚めてしまうんだよね。寝起きもぐったり疲れてしまって休んだ気がしない。…どちらがマシだろうか。
 もうひとつ必殺の睡眠薬を処方されています。「飲む拘束衣」という別名があり、最も強力な精神分裂病
統合失調症の薬と鎮静剤と睡眠薬をミックスして相乗作用でさらに強力にしたというシロモノです。頭がアレの人が暴れた際に飲ませておとなしくさせるらしい。こいつを飲んで寝ると翌日フラフラになるんだよね。致死量は、体重一キロにつき一錠。まあ、たいていの人は百錠も飲んだら死ねるでしょう。大量に飲んだら死ぬなんて今どきめずらしい薬だよね。そんなの鬱病患者に処方するなよ〜。こいつはどうにも飲む気がしない。九〇錠ぐらいたまっちゃったから、自殺するときつかえそうだ。

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619日(土)『化物語3 するがモンキー』『化物語4 なでこスネイク』をみる

 レンタルDVD屋で『化物語3 するがモンキー』と『化物語4 なでこスネイク』を借りてきました。面白かった! TV放送版にくらべるとずいぶん作り直しています。
『するがモンキー』では、主人公がキックされて胴体に風穴があき腸を引っぱり出されて「憎い
! 憎い!」と叫びながら振り回され、腸がぶっちぎれ壁に激突。血まみれになるシーンが特に良かった。
『なでこスネイク』は、
TV放送版では紙芝居アニメだったけど、ほぼ別物になっていました。蛇に巻きつかれた撫子ちゃんが、えろいえろいえろいえろいえろい! これは、ブルマーのシーンやスクール水着のシーンだけでも、みる価値がありますな〜。レンタルで借りてきてみる分には、まったく損はなかったですね。
 すっかり影響を受けてしまって、今度生まれてくる子が女だったら撫子
(なでこ)にしようと提案したところ、細君に狂ったように反対されてしまった。何を思ったか2ちゃんねるの名づけスレなるものに相談を持ちかけ、反響の書きこみを突きつけてきた。それによると、こんな名前をつけようとするオレは異常者らしい…。うるさいなあ…。

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620日(日)小林よしのりはマトモな人?

 ネットをうろつき回っていたら、こんなのをみつけました↓

 

 このあとこう続きます。
 
これもゴー宣の影響だと言われたんじゃたまったものではない。何度もゴー宣で描いたがわしは部落差別とか朝鮮人差別とか嫌いなのだ。
 
たしかに人種差別なんかを煽ってきたと思われたら「たまったものではな」かろう。差別者認定されて、せっかく築き上げてきた虚名を全否定されてしまう。小林よしのりといえば、ネトウヨの教祖で人間のクズぐらいに思っていたけれど、まだ理性が残っているのかな。単に損得計算でネトウヨなんかといっしょにされたら迷惑だといっているだけかもしれない。しかし、落書きではこんなことを書いています。

 見ろ、この差別書き込み! 気色悪いなぁ。こんなの書いてる奴らって、よっぽど暇で、人に愛されてなくて、孤独で、自分の精神状態が安定してないんだろうなぁ。

 あの小林よしのりですらネトウヨに関しては、オレとほぼ同じ感想を持っている! 従来の右翼(保守)からみても、ネトウヨって人間のクズなんだよな。そもそも右翼は、反北朝鮮・反中国・反ロシアかもしれないけど、反韓国ではなかった。それに本音ではどうか知らないが、差別にも反対のはず。
 ネトウヨは、新しいタイプの右翼というより、匿名掲示板に巣くう卑劣差別者の総称ととらえるべきかもしれない。だいたい今の日本でちゃんと教育を受けたマトモな人間だったら、左右を問わず「
チョウセンヒトモドキ」なんて言葉を思いつかないし書かないよなあ。イデオロギーというより品性の問題だろう。
 カネを払って保守だか右翼だかの偉そうな説教を読むのは無駄なので『ゴーマニズム宣言』は、一巻しか読んでいません。でも、まあ、小林よしのりがネトウヨよりはマトモだということは分かった。

 狂人雑記64 

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