遊撃インターネット狂人雑記54
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2010

114日(木)『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー・亀山郁夫訳)を読む

 このあいだから読んでいた『未成年』は、一五〇ページまで進んだところでザセツしました。キャラがなにかとりとめのないことをしゃべっているだけで、まったく意味がわかんないんだもん。三ページも読むと寝てしまう…。いやになってしまったので亀山郁夫訳の『カラマーゾフの兄弟』を読むことにしました。
『カラマーゾフの兄弟』を読むのは、四度目です。岩波文庫の米川正夫訳はあんましよくなかった。新潮文庫の原卓也訳は、読みやすくていいんだけど、注や解説がないのが欠点です。オレは、江川卓訳が詳細な注がついていて一番よいと思うんだけど、文庫になってないんだよな。集英社の世界文学全集にはいっています。オレと同じようなことを考えている人は多いらしくけっこー高いんですよー。ネット古本屋では、四五・四六巻の二冊セットで八千円くらいする。本当は手元に置きたいんだけど、図書館で借りて我慢しました。
 亀山郁夫訳の光文社古典新訳文庫版『カラマーゾフの兄弟』は、ドストエフスキーブームのきっかけになっただけあって、柔らかくて読みやすい。ちょっと柔らかすぎるんじゃないかという気もしますが、面白く読むには亀山郁夫訳が一番でしょう。
『カラマーゾフの兄弟』では、作中作の『大審問官』が有名です。宗教裁判がもっとも激しかった時代のスペインにキリストが復活するという挿話です。復活キリストは、死人を生き返らせるなどさまざまな奇跡を起こすんだけど、大審問官(宗教裁判の坊主)に逮捕されてしまいます。そして夜キリストの独房を訪ねて大審問官は、こんなことをいいます。
「おまえが復活したキリストであることをみとめる。しかし民衆はキリストをもとめてはいないのだ。強制された信仰、恵まれたパンをもとめているのだ。だから私は大審問官として(キリストの考えとは外れたことと知りつつ)民衆にそれを与えているのだ」
 そして独房の扉を開いてキリストに出て行くように促します。するとキリストは、だまって大審問官にキスをして独房から出て行く…。それでお終い。
 二重三重どころか何重にもねじれていてオレにはまだまだ理解しがたいのだけど、文学どころか神学上もものすごく革命的なことを書いているらしい。明治時代の初期にこんな現代的な小説が書かれたことは、驚きです。
 
15日の雑記で紹介した『ぼくらの頭脳の鍛え方』で佐藤優は、『カラマーゾフの兄弟』についてこんなことを書いています。
 
亀山郁夫氏の訳は、従来の訳に較べ、格段と正確でかつ読みやすい。実は神を信じていないドストエフスキーの本心が透けて見える。ドストエフスキーの小説が流行するような社会は「病んでいる」と評者は考える
 ドストエフスキーの小説が流行するような社会は「病んでいる」という点には賛成だ。ドストエフスキーは、強烈なマゾヒストでその裏返しとしてサディストでロリコンで寝取り寝取られが好きでバクチ狂でてんかんの持病があって元死刑囚でシベリア流刑囚という人物です。少女が虐待されレイプされて自殺しちゃうというシチュエーションが好きで何回も書いているしね。ここまでねじくれきった人物が書いた小説が「病んでいる」のは当然だあ。しかし、だからよいのではないか。

  

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115日(金)『RIDE BACK』(カサハラテツロー)を読む

 アニメ化されたカサハラテツローの『RIDE BACK』を九巻まで読みました。ちょっと映画版『アキラ』の影響を受けていて、学生運動が盛んな近未来が舞台です。

 

 ライドバックというオートバイ・ロボットを操縦する美少女が学生運動の偶像に祭り上げられるのが前半の五巻くらいまで。あらあら、どうなるのかなと思って読んでいたら、軍にパクられて長髪をジョキジョキ切られてアメリカの軍事施設に放り込まれ、足をへし折られるなどしごきの軍事訓練を受けさせられてゲリラと戦争するハメになります。八巻あたりで脱走して日本に舞い戻ってくるけど、なんだか頭のネジが一本はずれてしまっている。

 

  テロリストっぽいセリフ…

 もともと争いごとが嫌いな内気なお嬢様キャラだったのに、ゲリラというか、もはやテロリストと化したヒロイン。脱走の手引きをしたテロリストの親玉とライドバックをジャンプさせてチューしつつ(器用!)銃と爆弾で大暴れ。再会してまきぞえをくった親友を唖然とさせます。どうやら脱走した際に処女喪失したらしい。
 勝てっこないテロ闘争に突っ走るヒロイン
! 面白い! オレって本当に病んだヒロインが好きだよな〜。この調子で病み続けてくれればよいのだが。全十巻なので、あわてて最終巻を注文したのでした。あと一巻でまとめられるのかなあ。
 作画や内容は大友克洋の亜流という感じです。でも、非常に作画の水準が高い。二五年前には大友モドキなんていくらでもいたけどね〜。こんな感じに進化したのなら大歓迎ですね。武蔵野文芸大という大学が舞台なので武蔵美出身かと思ったら作者は、芸大出身でした。芸大出身の漫画家って珍しいよなあ。
 そうそう、アニメも二話までみてみたけど、学生運動が出てこないからイマイチだな〜。今のところ女の子がオートバイ・ロボットで走り回っているだけだ。それに作画もマンガのほうが味があっていいなあ。

 

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116日(土)富士山で鹿を目撃

 親戚を訪ねて家族で静岡に行ってきました。ついでにドライブということで朝七時に富士山スカイラインを通りました。標高千メートルくらいの富士山の二合目あたりを通る道ですが、チェーンなしでもなんとか通れました。氷結していてちょっと危なっかしいところもありましたが、こんな感じです↓

 

 鹿の群れと遭遇して細君と子供が大喜びでした。鹿ってちゃんと保護色になってるのな。三頭写っているのがわかるかなあ。かなり近づくまで道路に出ていたので、車で体当たりしたら捕まえて食っちゃうこともできそうでした。

 

 三十年ぶりくらいで白糸の滝にも寄ってみました。朝の八時なのにカメラ好きが何人もいて撮影しています。虹が出ていていい感じでした。

 

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117日(日)『RIDE BACK』十巻(カサハラテツロー)を読む

 先日読んだ『RIDE BACK』最終巻の十巻を読みました。危惧したとおりラストが破綻してしまっていた。なんだこの女まだクヨクヨしてやがったのか、というのが正直な感想です。最後は、主人公は死んだんだけどやっぱり生きてるかもしれないよ、というよくある終わりかたでした。
 作者もちょっとアレかなあと思ったらしく、四ページほど後書きを書いています。漫画家が文章で作品の言い訳を書くなよというのはさておいて、この後書きによるとキャラが勝手に動き出して収拾がつかなくなってしまったとのこと。担当編集者も引きずられてしまったらしく、作品の打ち合わせが女主人公の精神分析の場になってしまったなんて書いていました。編集者というのはもっと冷徹に作品に破綻がこないようにうまく作家を誘導するのが仕事だと思うぞー。…マンガだって商品なんだから。
 オレだったら見かけは変わらないのに一本ネジが飛んでしまった女主人公は、嬉々として展望のない闘争に突入。破壊と殺戮の限りをつくし最後に追いつめられて笑顔で敵陣に突入。火だるまになって輝き燃えつきて終了。ライドバック少女からテロ・クイーンに昇格してその名を末代まで轟かせるという、アメリカン・ニューシネマ『俺たちに明日はない』みたいな終わりかたにしたでしょう。感性が古いかなあ。
 
Wikipediaによるとニューシネマとはこういうものらしい。

 反体制的な人物(若者であることが多い)が体制に敢然と闘いを挑む、もしくは刹那的な出来事に情熱を傾けるなどするのだが、最後には体制側に圧殺されるか、あるいは個人の無力さを思い知らされ、幕を閉じるものが多い。

 超名作とされる『あしたのジョー』や『デビルマン』なんかも典型じゃないか?

 

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118日(月)キチガイの証明書

 前に書きましたが最近アタマがおかしくなってしまいました。『精神障害者保健福祉手帳』というのをもらうとバス代が無料になったり良いことがあるらしいので、役所に申請することにしました。一級から三級まであり、一級は完全なキチガイ。三級は軽いキチガイという分類です。最低二級じゃないと良い障害者利権を獲得できないので、二級が目標です。医者にも二級がとれるような感じで診断書を書いてくれと要請しました。ウソにならない範囲で重症に書いておくなんていってくれました。
 これがオレのキチガイ証明書の抜粋↓

 

「常時援助を必要とする」にマルをつけろよ〜。「時に応じて援助を必要とする」では、二級は難しいか? 三級ではバスのただ乗りができない。
 しかし、せっかく医者にキチガイの証明書を書いてもらったのだから、なにかキチガイらしいことをしなければならない気がする。なにか面白そうなことはないだろうか。そういえば、警察に恨みがあるな……。
 ↓かわぐちかいじ『テロルの系譜』魔弾の狙撃者(難波大助大逆事件)より

  

 

 

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119日(火)『カラマーゾフの兄弟』一巻読了

 十四日から読んでいた亀山郁夫訳の『カラマーゾフの兄弟』の一巻を読了しました。『未成年』に比べて読みやすい〜。
『カラマーゾフの兄弟』は、『東大教師が新入生にすすめる
100冊』の一番になっています。しかし、オレには二五番の『罪と罰』のほうがずっと面白く感じるんだよね。『カラマーゾフの兄弟』では、内面が矛盾したろくでもない人物ばかり出てくるんだけど主人公は底抜けの善人です。対して『罪と罰』では、人殺しの、まあ悪人が主人公。どうやらオレは、ピカレスク小説というか、悪人が主人公の小説ほうが好きみたいです。それに『カラマーゾフの兄弟』は、オレの知的水準では筋が錯綜しすぎていて理解できないという側面が大きいかもしれない。カラマーゾフを読むのは四度目なんだけど、それでも何カ所か新しい発見があったり理解できないところがあったりします。
 
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120日(水)リンコを捨てる

 まだしつこく『ラブプラス』をプレイしています。しかし、もう三人同時プレイは無理だ〜。三人相手すると休日デートで一時間半くらいとられてしまう。三人とも同じようなことをするだけだから、飽きるんだよね〜。そういうわけで断腸の思いで誰か一人切ることにしました。
 ネネ姉さんは本命だから除外。捨てるのはマナカかリンコということになります。うーん。やっぱりマナカのほうが好みだなあ。
 そういうわけでリンコと別れることになりました。リンコごめん。

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122日(金)『カラマーゾフの兄弟』二巻読了

『カラマーゾフの兄弟』の二巻を読み終わりました。この本を読むのは四度目です。
 ううう、二巻の山場になる『大審問官』が、わからねえよ〜。ものの本によると文学史上最大の傑作であるだけでなく神学上の大問題を提起しており、とにかくスゴイらしいんだけど、読んでみても意味がよくわからん。一度読んだだけじゃじゃダメなのかと思って、もう一度読んでみたけど、やっぱりわからねえや…。
 キリスト教徒じゃないと掴めないのかなあ。しかし、キリスト教徒でもなさそうな日本の評論家がスゴイスゴイと囃してるしなあ。この後に続く『ゾシマ長老の一代記』は、上質なスリラーという感じでものすごく面白いのに…。
 考えこんでいても仕方がないので三巻にとりかかることにしました。

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123日(土)子供の腹をさわったら怒られる

 ソファーでゴロゴロしていると子供が寄ってきたので腹を出さしてフニフニさわっていたら、細君に怒られてしまった。なんでも、そんなイヤラシイことをしてはいけないんだそうな。カエルの腹みたいでさわり心地がよいのでなでていただけで、イヤラシイ気持ちなど微塵もないのだが。反論したところ保健所にいいつけるとかいいだす始末です。股ぐらをいじりまわしたのならともかく、腹ぐらいさわらせろよ。
 子供も知能が高くなってきていて、腹をさわらせるとお母さんが怒りだすということを覚えてしまった。腹をさわろうとすると「メッ」とかいって逃げてしまいさわらせてくれない。さびしいなあ。

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124日(日)『まんがで読む古典 更級日記・蜻蛉日記』(羽崎やすみ)を読む

 最近日本の古典にちょっと凝っています。しかし、オレには原文に当たるのは無理なので、現代語訳か、いやいや漫画ですませてしまおう、と注文してみました。
 で、読んでみたんですが…。なにこれ。すっげー面白いです。漫画で古典が読めて役に立つというだけでなく、漫画作品自体として面白い。どういう人が書いたのかと思って調べてみました。この『まんがで読む古典』が十五年前のデビュー作で、それ以降は単行本を数冊だしている程度であんまり仕事してないんだよねー。これだけの才能が、もったいねー。
『蜻蛉日記』が特に面白かった。「本朝三美人」の一人で百人一首に和歌が収録されるほどの才色兼備の美人妻が夫の浮気に嫉妬しまくるという実話日記です。家出したり恨み言の和歌を載せたりかなり赤裸々で、面白いな〜。旦那さんは摂政・関白・太政大臣にまで昇った藤原兼家。旦那が出世しすぎると女は不幸せになるという見本だよね。原作もいいんだろうけど、マンガ家の腕もなかなか大したものでした。
『更級日記』は、夢見る平安文学少女の半生記です。菅原道真の子孫だけあって本当に本好きな女の子で可愛い。漫画作品としても、こちらもやるせない感じがよくでていてうまいなーと思いましたよ。面白くて役に立つ。こんなマンガはなかなかありません。おすすめですよー。

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125日(月)くるくる病院へ行く

 最近ウツ気味で雑記の更新が二日に一度になってしまっています。おっくうだけど、くるくる病院へ行ってきました。
 なぜか待合室にアタマがアレな漫画家たちが描いた精神病ネタの百ページほどの漫画雑誌がおいてあって、読みふけってしまった。非売品らしいが、こんなマンガ誌があるんだね〜。で、すべての作品の結論が「ちゃんと薬を飲め」となっています。製薬会社の宣伝誌なのかな〜。
 医者に相変わらずアタマがオカシイということを訴え、新しい薬を処方してもらって帰宅したのでした。それにしても睡眠薬を入れると十種類以上も薬を処方されているけど、だいじょうぶなのかな〜。鬱病の患者に大量に飲むと死ねる睡眠薬を処方したり、いまいちヤブの香りが漂う病院です。しかし、ほぼいいなりに薬を出してくれるので、重宝しています。だんだん向精神薬・睡眠薬のコレクションが充実してきました。

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126日(火)『カラマーゾフの兄弟』三巻読了

『カラマーゾフの兄弟』の三巻を読み終わりました。「魂の救いとはなにか」とか「神の存在とは」とか、そんな類のおもーいテーマが前面に出ていた二巻に比べると、ストーリーが動きだして読みやすい巻です。破滅型の人間の破滅的な行動や、父殺しが前面に出てきます。…それでもやっぱり重いな。
 主要登場人物の中でもっとも単純な人間であろうドミトリーでさえ思考が二重化・三重化していて追いかけるのが大変です。ましてやイワンやスメルジャコフになると…。主要登場全員が、言ってることとやってるここと考えていることが分裂していて、読んでるうちにアタマがこんがらがってくる。しかもストーリーが重層的に展開するので追いきれない…。
 それにしても、この本は読むたびになにか得るものがありますね〜。だから読んでいるんだけどね〜。

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128日(木)『罪と罰』七巻(落合尚之)を読む

 マンガ版『罪と罰』の最新刊七巻を読みました。帯によると『最高の本!2010マンガ部門ベストテンランクイン』なんだそうな。
『罪と罰』の舞台を現代日本に移した作品です。前から単行本が出るごとに買って読んでるんですけどね。最初のころのストーリーを忘れてしまった…。完結したら最初から読み返そうと思います。
 七巻を読んでの感想ですが、ソーニャがやたらに凶暴だな…。ラスコーリニコフが殺人を告白したりするたびにボコボコにぶん殴ってキックまで入れます。ラスコーさんは、鼻血を出して顔面ベコベコのヘロヘロに。…こんなソーニャいやだ。露骨に風俗嬢だしな〜。
 でも作画はいいし、最近珍しい良作だと思いますよ。
 

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129日(金)『カラマーゾフの兄弟』四・五巻読了

 よーやく『カラマーゾフの兄弟』を読み終わりました。く、くたびれた〜。『カラマーゾフの兄弟』にとりかかると他の本がまったく読めなくなるな〜。全五巻で三千ページ近いですからね〜。帯によると五巻で百万部突破だとか。一巻あたり二十万部か…。根気強いというか、そんなに読む人がいるんだねえ。
 とにかく長かった。途中でキャラクターの一人が錯乱して幻覚と話しをはじめるんだけど、ストーリーと直接関係ない「神の存在と不在」なんてことを五十ページ近くも討論されても困ってしまう〜。ストーリーも錯綜してるしね〜。五巻の大半を占める訳者の亀山郁夫の解説がすばらしい。主要キャラクターの行動を追った時間表みたいのが載っていて、ずいぶん理解の助けになりました。
 前半で主人公にラブレターを出してアセアセしていたおちゃめな車椅子少女が、四巻では屋敷に火をつけたいと口走るドマゾ変態に成長するのにはビックリだあ。長編には白痴かキチガイかかたわが必ず出てくるし、ドストエフスキーってすげえなあ。
 読み終わるといつもこういう重い小説はおなかいっぱいだと思うのに、しばらくすると手にとってしまうという不思議な本です。 

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130日(土)『マンガ日本の古典6 和泉式部日記』(いがらしゆみこ)を読む

 24日の雑記で書いた『まんがで読む古典 更級日記・蜻蛉日記』があんまり面白かったので、『マンガ日本の古典6 和泉式部日記』を借りてきて読んでみました。書き手のいがらしゆみこといえば『キャンディ・キャンディ』の人だな。
 ……なんだこりゃ。つまんねえよ〜。この漫画家は、コマを割って絵を描いてセリフを入れればマンガだと勘違いしてるんじゃないのか。なにを描いているのかすらさっぱり分からない大駄作でした。いや〜、これほどつまらない最低マンガを読んだのはひさしぶりですよ。古い漫画家によくある判子で押したようなヘタクソな絵だし…。新人のデビュー作のほうがはるかに上手じゃねえか。だめだ、こりゃあ。カネを出して買わなくてよかった。
 続いて大和和紀の源氏物語『あさきゆめみし』を読みました。ヤフオクで全十三巻まとめて購入したものです。こっちはマトモ、というかかなり面白い。

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131日(日)『あさきゆめみし』(大和和紀)/『わたしの蜻蛉日記』(瀬戸内寂聴)を読む

 大和和紀の源氏物語『あさきゆめみし』を読了しました。非常に丁寧な作品なのでなめるように読んでしまい、全十三巻読むのに十時間くらいかかったぞ。
 源氏物語のだいたいのストーリーは知っているけど、女三の宮の降嫁あたりからあやしくなってくる。源氏死後の宇治十帖になると蛇足というイメージがありました。いや、しかしこうやって読むと宇治十帖も面白いですな。一人の美女を貴公子二人がとりあうという腐女子御用達みたいな内容だあ。わかりやすくて面白くて原作に忠実という素晴らしさ。このマンガが予備校の休憩室に常備してあり受験生必読とされているというのも分かる気がする。
 続いて瀬戸内寂聴の『わたしの蜻蛉日記』を読みました。瀬戸内訳『源氏物語』を読む前の小手調べのつもりです。
200911月発行で、年寄りの尼さんが書いたにしては、いやに勢いのある文体だなと思ったら、出家直後に『源氏物語』に取り組む前の研究に書いて放置していた原稿らしい。たしかに『蜻蛉日記』は、源氏物語に影響を与えている。作者の道綱母は、六条の御休所のモデルだな〜。
 それで読んでみましたが、女は女にキビしいなぁ。ちょっと目につくところをあげてみても、こんな調子です。

「作者は、まったく自分本位のわがままな人間で、自分の態度が周囲の者にどういう気持ちを与えるかを思いやるやさしい心や、つつましい情が欠けているとしか思えない」
「蜻蛉日記全体を見て気づくことは、この女の母性愛の薄さである」
「兼家を自分の召使いに尾行させるという卑しい行為に、自分自身が傷つきそうなものだが」
「今度もまたスパイを放って、時姫のまわりをさぐっていたことがうかがえる」
「嫉妬と憎悪を、ここまで恥も外聞もなく吐露せずにはいられない」
「自分も母であるのに、子を死なせた女の不幸を、さも小気味よげに嘲笑し、「いまぞ胸はあきたる」と、凱歌をあげるとは、あまりにも非人間的な感情である」
「この女の生涯の悲劇は、兼家という多情な男のせいなどではなく、自分自身の性格が招いた不幸というのが正当だろう。自分の性格に対しての反省がいっこうにないところが、これほど理智的な女にしては、むしろ奇異にさえ感じられる」
「兼家はむしろノーマルで、女の被害者意識が、病的に近いといえるだろう。今なら、さしずめ、強迫観念症、あるいは被害妄想と名づけられる軽度の神経症にかかっていたとも、みたてられるのではないだろうか」

 他にも性的欲求不満の状態にあったとかヒステリー症とか、キビしーなー。子供を捨てて駆け落ちした前歴のある瀬戸内先生が、気づくことは、この女の母性愛の薄さである とかいうかな〜。よほど嫌いじゃないとここまで書けないよな。瀬戸内寂聴は、イヤミでスネたような女が心底から嫌いなんだなあ。
『蜻蛉日記』の作者の道綱母は、今でいえば県知事のお嬢さんで、東大卒のミス日本。それが大臣の息子と結婚したら、旦那がどんどん出世して総理大臣になっちゃったという感じでしょうか。兼家は、他の女に産ませた娘二人を天皇の妃に入れて、その子が二人とも天皇になっているから、総理大臣以上の超権力者です。こんなに恵まれているのに、夫の出世を全然喜ばず、ひたすら女癖の悪い夫に浮気された恨みを書きつづっているのが『蜻蛉日記』なんだよね〜。せっかく兼家が通ってきてもイヤミか皮肉しか言わないくせに、ベタ惚れだから離婚もできない。しまいには家出して山籠もりしてスキャンダルになり、尼になるといったのを連れもどされて『アマガエル(尼帰る)』なんてあだ名をつけられたりしている。
 オレだっていくら美人でもこんな面倒な女は御免だ。しかし、瀬戸内先生は、道綱母にちょっと厳しすぎるんじゃないかにゃ〜。

   

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