遊撃インターネット雑記27
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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2007327-28日(火-水)なにもできない

 赤ちゃんが病気になるとなにもできませんな〜。少しずつ良くなってはきてるんだけどねえ。発展途上国ではこんな程度の病気でも死んじゃう赤ちゃんがいるらしいので油断禁物ですよ。

 特に細君は、女親のおろかしさを全開にしてあっちウロウロこっちウロウロ。オロオロするばかりで赤ちゃんのそばを離れず、ロクに食事も作ってくれない。そんなことだから医師に「親の動揺激しい」なんてカルテに書かれるのだ。オレは見たぞ。カルテをのぞいて苦笑いしちゃったよ。

 止めたのに赤ちゃんが高熱を出しているときに厚着させるからますます熱が出た。高熱のせいで目がつぶれたりバカになったりしたらおまえのせいだな。ふざけてこんなことを細君に言ったら本気で怒りやがるの。メシを作ってくれないので、コンビニに行って弁当を買ってきました。それに外出禁止令を発動されてしまった。どうやらオレは救急隊員の代わりらしい。ずーっと自宅でできる仕事をやっていましたよ。

 ヒマな時間は『逆説の日本史』1巻を読んでいました。「どうやって証明するんだよ」とか「それはあんたの想像にすぎないだろ」とか、突っこみどころ満載の本です。でも、個々のエピソードに非常に面白いものがある。

 ネット右翼で興味深い点は『嫌韓』です。70年代から80年代の感覚からすると、保守右派は親韓国で反北朝鮮。保守リベラルは日韓関係は汚いので近寄らない。新左翼系は韓国民主派万歳の韓国軍事独裁政権打倒というところです。「安保−日韓体制打倒」なんてなつかしいねえ。よほどおかしなのでない限り北朝鮮ベッタリの左翼なんていなかった。

 安部晋三を頭目とする右派支配層は、韓国と利権で結びついているのでけっして反韓国ではない。ネット右翼の嫌韓というのは、下層の民衆の感覚からきたものなのかな。その意味で草の根右翼といえなくもなさそうだ。草の根左翼なんてないからね。より根強いものを感じますよ。

 週刊ポストで『逆説の日本史』の連載が始まったのが1993年らしい。インターネットが広がる直前ですね。ここに嫌韓のはしりみたいなことが書かれています。ある意味先駆者なのかもしれない。

 10年以上前に、万葉集は韓国語で読めるというたぐいの本がはやったことがありました。『逆説の日本史』1によると、韓国は小中華として中国と文化的に同化することを目指していたため、古代の韓国語は、新羅時代の郷歌14首以外はまったく残っていないのだそうだ。

 韓国人は事あるごとに、「日本の文化は韓国のコピー」だと言う。ならば、その「オリジナル」であるはずの韓国には『万葉集』や『古事記』に優るとも劣らない、民族の古典(自国語で記された古典)があるはずだ、と思うのは当然だ。

 ところが、本当は「ない」のである。

 韓国人は日本人にこのことをできるだけ隠そうとする。韓民族の活券にかかわるとでも思っているのだろう。

 なんだか悪意を感じる文だよね。しかしここに書いてあることが事実だとしたら、肝心の古代韓国語資料は存在せず、万葉集が古代韓国語で読めるなんてことが分かるはずもない。『逆説の日本史』1によると、民族の古典が存在しないことにいたく誇りを傷つけられた「異様に高いプライド」を持つ韓国人が目をつけたのが万葉集です。そういったわけで万葉集は韓国語で読めるという怪説がとび出してきました。

 オレも万葉仮名を韓国語で読めてたまるかとは思います。でも、あの『逆説の日本史』が書いていることだからねえ。別の資料を当たるなりしてちゃんと調べないと、とんだ恥をかきそうだけどね。興味深かったですよ。

 

 そうそう、このあいだ病院に行ったときに外山恒一のポスターを撮影しておいたので貼っときます。こいつ面白いよな…。元秋の嵐らしい。前の天皇が死んだときにそういう人たちが原宿あたりで騒いでたんですよ。友人がハマってしまったのでオレもちょっとだけつきあったことがある。どこから持ってきたんだか日の丸の旗をやぶいたりふんづけたり、いやはや大変な騒ぎでしたよ。マジメな戦旗派とは比べものにならないくらい質の悪いガキ左翼でしたね。いや、この人はガキ左翼からファシストに純化したのでエライと思うが。オレはセクトには批判的だったけど、秋の嵐をみて考えを変えた。ノンセクトのほうが人間性というか性格が悪かったよ。党派の活動家は一応集団生活できているからだろうか。
 

 肩書きが「反政府組織指導者・前科二犯」。前科二犯って…、政治運動で弾圧されたみたいだな。つきあってた女をブン殴って2年ぶちこまれたと聞いたが…。

 氏の政見放送…すばらしい……。http://www.youtube.com/v/5Tg5H3fz39M

 納得できない『逆説の日本史』http://homepage3.nifty.com/osuzume/izawa/index.htm

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2007329日(木)マンガ版ジャイアントロボ

 赤ちゃんをつれて病院に行ってきました。いいかげん仕事が…。10時半に予約していたのだが、1時間くらい待たされ12時近くに受診。病院も人手不足なんだな。昼食の時間に食い込みそうで医者が気の毒だったよ。

 なぜ大病院でこんなに待たされるかというと、理由は簡単です。健康保険制度のせいですね。設備の整った大病院も質の低い病院も健康保険のおかげで料金が同じなんですよ。だったら患者は大病院に殺到するに決まっています。その結果、大病院に長蛇の列ができるというわけです。個人病院で腕の良い医者を見つけるのが一番いいんだろうな。今回は個人病院から回されたのだからしかたない。

 赤ちゃんは順調に回復しつつあるようです。下痢はしばらく続くけど、それは体内のウイルスを排出するためなんだそうだ。だから下痢止めは使わないほうがいいんだって。なるほど…。病院のそばに桜並木があったので、ちょっと散歩してから帰宅。八分咲きくらいかな。

 

 帰宅後にマンガ版のジャイアントロボを読みました。ジャイアントロボといえばアニメの中で最も好きな作品のひとつです。しかもアニメの今川泰宏監督が原作。みんな気になっているらしく、どこも売り切れでなかなか手に入らなかった。それにネットで調べたらけっこう評判がよい。

 

 さっそく読んでみました。…………面白くない。構成が散漫でなにが描きたいんだかさっぱり分からんよ。作画も初期のJOJOの奇妙な冒険みたいだしなぁ。

 最近どこが面白いかさっぱり分からないマンガが増えた気がする。オレが年をくったからだろうか。☆☆★★★

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2007330日(金)ひたすら仕事

 たまった仕事をずっとやっていました。特に面白いようなことは何もなかったねえ。くたびれたら左翼のメーリングリストから流れてくるみにくい争いをながめて息抜きをしました。どうしてサヨクの人たちって、下らないことで争ってあんなに性格が悪いんだろうね。右翼や保守派が性格いいとは思いませんよ。従軍慰安婦がどうとかいう問題だって、強制したかしないかということ以前に、自分の国の軍隊が淫売宿を引きつれて戦争をしていたなんて恥かしいと思わないのかねえ。なんだか弱そうな軍隊だよな。

 左右を問わず政治運動をやっているやつの動機なんて、他人を動かしたい。もっと言っちゃえば、他人を支配したいという権力欲からだぜ。意識か無意識かは分からないけどね。そんなやつらの性格がいいわけないよね。

 右も左もダメですよ。毎日だまって自分の仕事をしている人たちが一番えらいと思うな。そういうわけで、オレは今日ひたすら仕事をしていました。ははは…。

 

 どうにかこうにか仕事をひと段落させて毎日新聞を読んだら、3月13日の雑記に書いた『海上の道』に関する記事がありました。それによると中国大陸の人たちが南島(沖縄・南西諸島)づたいに北上して稲作を伝えたという柳田国男の説は、現在は旗色が悪いらしい。稲作は、朝鮮半島南部から北九州に伝わり、弥生時代が始まったというのが定説なのだそうだ。むーん。日本人のルーツは朝鮮南部ですか…。

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2007331日(土)あしたのジョーをみる

 NHK BSで放送していたあしたのジョーをみました。やっぱり面白いですなあ。明日のジョーが70年代の全共闘学生の絶大な支持を受けたことは有名です。よど号をハイジャックして北朝鮮に飛んだ赤軍派が「我々は明日のジョーである」なんて声明したなんてこともよく知られていますよね。その後80年代初頭に再度ブームがありました。オレはこの第2次ブームの世代です。アニメの明日のジョー2は、そのころにつくられた作品です。映画版AIRや今度CLANNAD(クラナド)の監督をつとめる出崎統の出世作です。当時から不満だったけど、もっとちばてつやの絵で作って欲しかったよね。

 やっぱりあしたのジョーは、ちばてつやのマンガ版ですよ。あらゆるマンガ作品の中でも最高峰の作品のひとつだと思う。梶原一騎の原作ですが、事実上ちばてつやの作品でしょう。

 マンガの歴史で天才がいるとしたら、おそらく手塚治虫とちばてつやだろうと思う。天才というと、たいした努力をしないでひょいひょいと大層な作品を書いているように聞こえてしまう。だから本当は天才という言葉は使うべきではないんだろう。オレもわずかながらだけどプロの世界をのぞいたことがあるからわかります。お二人とも命を削るようにしてマンガを描いていますよ。

 たとえるならば手塚治虫はモーツアルトでしょう。事実上マンガをつくった人ですから、創作力とかアイディアとか大量の作品をモノするエネルギーがすごい。それに対してちばてつやはベートーベンです。血の汗を流すようにして真にうまい作品を描きます。構成力・画力は完璧で、これには手塚治虫も大友克洋も及ばないように思えます。

 特にちばてつやの構成のうまさはマンガ界随一です。構成というのは、つまりマンガを分かりやすく楽しく面白く書く技術です。ちばてつやのマンガを手にとったら最後、途中でやめることができなくなってしまいます。あしたのジョーを読んで視線が詰まったり止まったりするコマはひとつもない。ありていに言ってしまえば裸の男同士が殴り合っているだけのシーンです。それを100ページ以上も読ませきってしまう。奇をてらった展開やこけおどしの大ゴマなんか使わずに、誰が何処で何をやっているかわかり、まるで読者が神の視点から見ているように、キャラクターの動きが手にとるように理解できる。しかも面白い。あまりにもうますぎて、読者にうまいと意識させない水準にまで至っていますよ。

  オレの高校時代の友人にちばてつやの親戚がいます。彼のお父さんが亡くなってしまい、葬儀の手伝いにいったことがありました。その場にはちばてつや先生もいらしていました。しかし、いくらオレが厚かましくてもさすがに葬式でサインをねだることなどできません。葬式看板を掲げながら遠くからちばてつやをあおぎ見たのでした。

 ちばてつやといえば、まったくエロを描かないことでも有名です。若いころのちばてつやがちょっとエッチっぽいマンガを描いたらそれを見たお母さんに注意され、それ以来エッチな作品を一切描かなくなったと美談にもなっています。その友人によると、ちばてつやのお母さんは、実はとても怖い人でエッチっぽいマンガを見つけるとちばてつやを呼びつけ、目の前に立たせて何時間もメチメチャ怒ったらしい。それ以来エッチな作品を一切描かなくなったんだって。

 

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200741日(日)花見にいく。テロリスト群像

 吾妻ひでお先生がホームレスをなさっていた石神井公園へ花見に行ってきました。以前近所に住んでいたので土地勘があり安い店とか駐車場とか分かっているので、買い物がてらですね。ありあわせのもので細君が弁当を作ってくれました。

 

 いい場所はもうとられてしまっているので、あっちゃウロウロウこっちゃウロウロします。毎年そうなんだよね。適当なベンチを見つけて弁当を食いました。桜はずいぶん遠くからながめることになりましたね。赤ちゃんでも桜はきれいだとか分かるのか、じっと見てました。曇っちゃってながめはもうひとつだったけど、いい気晴らしができましたよ。

 

 帰りがけに寄った本屋でサヴィンコフの『テロリスト群像』上下巻を発見しました。以前どこかで書いたことがあるけど、ロシア社会革命党のテロ団の副指揮者による回想録です。社会革命党といえば帝政ロシアの高官にテロ攻撃を加えるなどの熾烈な闘争を行い、革命後にレーニンのボルシェビキに反革命のレッテルを貼られ内戦の末に壊滅した農民政党です。著者のサヴィンコフは、2月革命後に臨時政府の国防次官になっています。国防大臣はケレンスキーの兼任だったので事実上の国防大臣ですね。テロリスト出身の大臣…。

 革命後にサヴィンコフは、帝政派の白軍でも赤軍でもない独自の部隊を組織してボルシェビキと対決。ボルシェビキに捕まった後に自殺したと伝えられたが、実際は秘密警察によって抹殺されたらしい。

 『テロリスト群像』は、日本では40年前に出版され長らく絶版になっていました。ごく最近全面的に訳を見直し岩波から文庫版が出ました。これは買わねば…。すごい本ですよ。地下に潜って政府高官の命をつけねらうテロリストたちの記録です。単なる回想録ではなく、テロリストたちの内面に迫っているのがすごい。この本を元にしてカミュが『正義の人々』を書き、サルトル−カミュ論争に発展しました。日本では大仏次郎が『地霊』や『詩人』を書いています。オレもこの本をネタにしてマンガを描いたなあ…。ひょっとしたら読んでくれた人がいるかもしれないね。

 イギリスに亡命したサヴィンコフは、霧のロンドンで文学的な気分になってしまったらしく、ロープシンのペンネームでテロリストをモデルにした小説『蒼ざめた馬』を書いています。これは意外に早く大正8年には日本でも出版され、その虚無的な内容は当時の文学青年に大きな影響を与えたといわれています。昭和7年に出版された『蒼褪めたる馬』は、復刻されて今でも読むことができます。紹介文がかっこいい。

 ロープシンはロシアの詩人・作家。革命に共鳴、テロリストとなり要人暗殺などを続ける。逮捕と脱出を繰り返し獄中にて自殺。1909年にテロリストの内面を描いた日記体小説である本作を発表。人は愛の名において殺しうるか、との問いかけに答えるのはただ幻滅に覆われた虚空だけだった。

 蒼ざめた馬の末尾。

 秋の夜が落ちて、星が光りはじめたら、わたしは最後の言葉をいおう。わたしの拳銃はわたしとともにある、と。

    

 ぜひ読んでほしい。

200742-3日(月-火)結衣ちゃんは革命家

 仕事ですよ。仕事。ろくに本も読まずに仕事をしていました。面白いことばかりじゃねーよなー。

 最近、息抜きに元戦旗派の人が運営しているホームページのゲームをちょこちょこやっています。その名も『結衣ちゃんは革命家』。奇面組のヒロインが、社学同のヘルメットをかぶってがんばっちゃってますよ。プレイヤーは彼女の後輩になって活動しつつ親しくなろうというゲーム。シロートさんが作ったものだからなかなか進まないけどねー。

 元戦旗派の人って真面目だけど遊び心があっていいねえ。中核や革マルではこうはいきません。

 結衣ちゃんは革命家 http://bund.jp/modules/yui/

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200744日(水)宮城まり子『淳之介さんのこと』を読む 

 日経新聞『私の履歴書』の宮城まり子の連載があまりにも面白かったので単行本を読んでみました。宮城まり子といえば非常に立派な人で、女優・歌手であるとともに養護施設『ねむの木学園』を設立したことでも知られています。元祖アイドルみたいな人なんだけど、人気絶頂のときに作家・吉行淳之介と出会い愛人になります。完全に吉行淳之介が上位の関係でした。

 吉行淳之介は、いうなれば「娼婦作家」。娼婦との交わりが主要なテーマで、病弱で、暇があればバーに入りびたっているイメージがあります。そのうえ躁鬱病の喘息持ちで、定期的に強力な喘息のクスリを注射してハイになってしまう。

 まあ、破滅型の作家ですよね。妻子ある吉行淳之介と恋に落ちた宮城まり子は、文字通り徹底して尽くします。独特の無邪気な文体とあいまって、ちょっと怖いですよ。病弱な吉行淳之介をヨーロッパに連れだしたときのことをこんなふうに書いています。

 旅行の最後の土地パリで、私は最初から、先に帰るキップにしておいた。新宿の女の人を書き、銀座の女の人を書く淳之介さん。その人が、パリの娼婦を知らないなんて、と思った。淳之介さんは、冒険してみたいだろうけど、私がいては遊びにくいだろナ、と思った。幸い、パリの主のような、お友達の江原順さんがいらっしゃる、そう思っていた。

 すべての旅程が終わる夜、私は、思いきって言った。

「淳之介さんが、パリの娼婦とも逢わないなんて、おかしいわ。一千フラン用意しておいたから、つかってちょうだい」

 心の中で、あんまり出来過ぎて、いざという時、馬を買うお金を鏡の裏から出した山内一豊の妻みたいでいやだナと思っていた。

 けれど一人で帰る時、悲しかった。「じゃあ」と歩きだして、やっぱりもどってしまった。そして、淳之介さんに抱いてもらった。パリの空港はそんな二人組ばかりだから、ぜんぜん目立たないけれど、淳之介さんは両手をひろげてくれた。

 吉行淳之介の娘が家出して2人の家に転がりこんできたときの話もすごい。22歳になった娘がやってくると動揺した吉行は、「まりちゃん、君、すべて、たのむよ」と言い残して逃げだし、常連だった銀座のバーの10周年パーティーに行ってしまう…。そして娘と愛人を2年間同居させます。スゴイね…、この人は…。

 宮城まり子とはこんな女性です。

 宮城まり子は旅芸人の子で、子供の頃から各地を転々としていた。かわいらしい妖精のような役柄を舞台の上で演じているうちに、習い性となって大人になってもそうした性格が身に付いたのかもしれない。彼女は成人してからも、何気ない仕草に子供っぽさを見せた。
 吉行淳之介の純愛 http://www.ne.jp/asahi/kaze/kaze/yosiyuki.html 

 家庭にめぐまれない肢体不自由児のために私財を投じて養護施設『ねむの木学園』を設立し「こどもちゃん」たちの世話に生涯をささげたたことでも分かるように、宮城まり子という人は、ほとんどマザー・テレサですね。「外面如菩薩内心如夜叉」とはよくいうけど、内心も菩薩なんだからたいしたものだ。しかし、あまりにも深い愛情は、狂気に通ずるものがあるようです。書いていることも文体も、なにか微妙に普通とは視点が異なり、読んでいて異様な感覚にとらわれたのも再三でした。それにこんな人でも夜叉の面があるみたいで、本妻に対するあつかいはかなりひどい。吉行淳之介の葬式からも排除して線香の一本もあげさせていない。

 この本の題名は『淳之介さんのこと』だけど、実際は「淳之介さんとの楽しいこと」のみ書いています。ネットでちょっと調べたら、宮城まり子は、かなり悲惨な目にもあっています。まず吉行淳之介の本妻との戦い。本妻の執拗な無言電話攻撃。宮城まり子も夜更けに裸足で吉行宅周辺を徘徊するなど、ひどい修羅場だったらしい。奥さんも宮城まり子もちょっと精神的におかしくなってしまったみたいです。吉行淳之介は、この修羅場をネタに『闇のなかの祝祭』を書いています。宮城まり子は、関係を清算しようとヨーロッパへ行きますが、簡単に吉行淳之介に呼び戻されてしまう。自殺未遂もしてますね。さらに身ごもった吉行淳之介の子を産むことができず堕胎しています。そのうえ吉行淳之介はもうひとり愛人を作って、この愛人とも25年続いていますよ。娼婦買いも止むことなく、男娼も試して大腸菌をプレゼントされたとうち明けたりしています。

 『私の履歴書』の最終回で宮城まり子は、愛する人が皆いなくなってしまい、さびしくて夜眠れないことがあると書いていました。悪い男に引っかかったのがまずかったんじゃないかと、オレなんかは思ってしまったけどなあ。

 今度は本妻の吉行文枝が書いた『淳之介の背中』を読んでみようかな。

   

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200745日(木)逆説の日本史を読む 

 最近ちょっとあいた時間に『逆説の日本史』を読んでいます。読み物としては面白い。…というか、おかしい。ネットでは評判がいいみたいだけど、こんな本を読んで歴史を勉強した気分になれる人は、よほど教養がないのだろう。

 読み物としては面白いんですよ。たとえばねえ。大化の改新の主役の中大兄皇子がのちの天智天皇です。天智天皇の死後、壬申の乱を経て弟の天武天皇が即位します。

 ところが『逆説の日本史』によると、本当は弟の天武が天智天皇を暗殺したんだそうな。当時、新羅と唐が対立しており、親唐派の天智天皇に危機感を持った新羅が日本に忍者軍団を送りこみ、天武と謀って一人でどこかの山に遠乗りに出た天智天皇を暗殺したんだってさ。天智天皇が暗殺されたことは歴史書から抹殺され、本当は天智天皇の弟ではなかった天武は、日本書紀で身分を偽造して皇統の正当性を主張したんだと。では天武は何者かといえば、実は彼も忍者だったんだそうだあ。日本書紀に天武天皇が槍の名手だと書かれているのが根拠で、当時は槍とは珍しい武器だったから忍者に違いないと…。

 天皇が一人で気楽に遠乗りに出かけてみたり。数年に一度遣唐使を送るのが精一杯の時代に朝鮮から忍者軍団が忍びこんでくるという主張はいったい? どうやって新羅は天智天皇が親唐派だという情報を仕入れたのだろう? 忍者軍団が日本に来たとして、どうやって天武と連絡をとったのだろう? それに忍者天皇…………()。まぁ、珍無類の「日本史」ではあります。腹を抱えて笑いが止まらなかったよ。こんな本が10巻累計で300万部も売れてるんだって! ギャグとして読んでるんだよね。ねっ。この作者は、なにか歴史上の愚行を書くたびに平和憲法にこじつけてケチをつけ憲法改正を主張する。そこが受けてるのかなあ。オレは、平和憲法は自分が戦争に狩りだされない証文みたいなものだと思うから、なくなったら困るがなあ。

 興味深いことも書いているんですよ。たとえば出雲大社について。出雲大社の神殿は、主神の大国主を横から拝礼するという奇妙なかたちになっているそうだ。また入口近くに五柱の出雲とは無関係の神々が祭られている。しめ縄のつけかたなども普通の神社の逆らしい。この本の解釈によると、大国主は封じ込められ刑務所のように五柱の神々に見張られているのだといいます。しめ縄が逆なのは、葬式で逆さ屏風をするように死の世界への封じ込めを意味しているとか。これは興味深い意見だった。

 バカバカしくて笑えるのと興味深いのが交互にやってくる珍本です。

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200746日(金)仕事の合間に逆説の日本史を読む 

 忙しくてなにもできません。少しあいた時間に珍本・逆説の日本史の4巻を読みました。「ケガレ思想と差別の謎」という面白そうな副題がついています。ここで部落差別についてこんなことを書いていました。

 (被差別民と)「火の貸し借り」すらしない、ということである。日常よくある「ちょっと煙草の火を貸して下さい」という、相手のタバコから直接火をもらうこと。あるいはカマドの火からタバコに点火することもしない。
 では、何故しないのか?
 それは「差別する側」が相手の使う火すら「穢れている」と考えるからだ。
 - 略 -
 あらためてこの差別の特徴を抽出してみると、次のようになるだろうか。
 - 略 -
 3 通常なら「清浄」なものの象徴とされる「火」すら、不浄なものとみなすことがあるほど、異常な潔癖性になる。

 「同火同水の禁」とか「同堂同火の禁」と呼ばれる有名な差別なんだけど、残念ながらこれは日本人が異常な潔癖性だから生じた差別でありません。よく「同じカマのメシを食った仲」といいますよね。これは正確には「同じ火を使ったカマのメシを食った仲」らしい。日本では昔から同じ火を使うことを身内の証としてきたんですね。そこから被差別民との同火を忌む差別が生じたといわれています。日本人は異常に潔癖だとかいう珍説は、とんだ見当違いですよ。

 オレ程度のヤツでさえ知っているんだから、こんなことはちょっと部落問題に関心があるのだったら常識だと思います。この作者は、日本史を解く二大キーワードは「怨霊信仰」と「ケガレ思想」だとか書いているわりに勉強が足りないぞ。

 もちろん教えてもらったこともありますよ。司馬遼太郎というペンネームが史記を書いた司馬遷からとったというのは、字をみれば分かるよね。なんで司馬太郎じゃなくて遼太郎なんだろうと思っていました。逆説の日本史によると、司馬遷に遼(はるか)に及ばないから遼太郎にしたんだって。

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200747-8日(土-日)選挙に行く 

 赤ちゃんが産まれてから、あんまり仕事もせずに赤ちゃんと遊んでばかりいました。赤ちゃんって面白くてあきないんだよね〜。しかし、もういいかげん仕事をしないとまずい。徹夜でがんばりましたよ。ふにゃふにゃにくたびれて、それでも地方選に行ってきました。われながら感心なやつ。

 両親には外山恒一候補を推薦しておいたんだけど、あろうことか石原慎太郎に入れると言っていた。オレ、あいつが大嫌いなんだよ。しつけの悪い犬みたいな目つきで、差別者で、態度でかいし。売文屋がいばりくさりやがって…。石原を落とせる候補ならだれでもいいと思っていたけど、民主党と共産党が統一候補を立てられなかった時点で負けですな〜。どうせ負けだったら外山恒一が一番オレの感性に近いよ。

 ちょっと田舎に引っ越してしまったため、地方議会の候補にも面白いヤツがいません。以前社会党系の仕事場で働いていて、一宿一飯の恩義がある。だから社民党に入れてやろうと思っていたら、出ていないでやんの。社民党の凋落はすさまじいものがありますなぁ。あのまま社会党系の仕事をしていたら、どうなっていたことやら…。ダメダメのダメ政党だったから、大社会党時代は冗談みたいなもので、今程度の小政党が身の丈にあっているとは思うけどね。

 引っ越したせいで、自民・民主・公明・共産から選ぶほかなくなってしまった。こんなのからどうやって選べっていうんだ…。自民・公明は論外として、エリートづらした民主党も嫌いなんだよなあ。前に住んでいたところは、例の一宿一飯の社民党と質のよい食い物を届けてくれる生協の候補がいたから、どちらかに入れてたんだけどなあ。仕方ないから、しなびた老共産党主義者(共産主義者に非ず)って感じのジイさんに入れてやった。

 そういや昨日細君が、知り合ったばかりの子育て主婦友達に誘われて赤ちゃんを連れて遊びにいったら、公明党の選挙活動だったらしい。公明党の議員としたくもない握手をさせられて帰ってきました。相変わらず公明党の選挙活動はエグいなあ。

 

 赤ちゃんが夜泣きして眠れません。どうやらまた風邪をひいたらしい。鼻水をたらしながらほとんど一晩中泣いていましたよ。細君と交代であやしたけど、なにをやっても泣くねぇ。おかげで4時間くらいしか眠れなかったよ。睡眠不足のせいでハラ具合が悪い…。

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200749日(月)赤ちゃんを病院に… 

 朝になったので細君と2人で赤ちゃんを小児科医院につれていきました。なかには乳母車に赤ちゃんを入れもう一人を抱っこして病院にやってくる肝っ玉お母さんもいるというのに、こちらは赤ちゃん一人をふたりがかりです。

 数分おきにクシャミをしてそのたびに鼻水で顔面がグチャグチャになります。さすがに気持ちが悪いらしく、抱っこしていると鼻水だらけの顔面を服にこすりつけてふこうとする。どうやってこんな知恵をつけたんだろう? それはともかく胸のあたりが赤ちゃん鼻水だらけになってしまう。そのくせちり紙でふいてやろうとしたら顔をふって嫌がって泣く。…どうしろというのだ。

 「医者=怖い」という図式が脳内にできあがっているらしく、赤ちゃんは医者を発見した瞬間から泣きわめきジタバタ大暴れします。一晩中泣いていたくせにすごい体力だな…。診断は鼻風邪ということでシロップ薬をもらいました。

 ついでに少し買い物をして帰宅しました。朝から右目の下まぶたがはれてちょっと痛い。寝不足で頭が痛いし、ちょっと腹具合も悪いぞ。極端に疲労すると体のあちこちが痛み出してくる。こっちが病気になりそうだよ。

 

 あいている時間にハードディスクレコーダーが自動的に録画していた『アメリカが見たカストロ』前後編をみました。アメリカの放送局が製作した、カストロを中心としたキューバの現代史です。貴重映像が多数で実に面白かったですね。ゲバラがカストロの権力欲によって死に追いやられたという見方が、いかにもアメリカの放送局的だと思った。キューバ革命の理想主義というのは、もう少し深いと思うけどな。

 ゲバラは格好いいけど、カストロも絵になる男だねえ。金日成なんかとはおよそ比べものにもならない。カストロが訪日して国会で演説したとき、「伝説のゲリラ指導者を見たい」と本会議場が自民党から共産党まで国会議員で満員になったという報道をなんとなく思い出しました。

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