朝鮮宣伝謀略文書集』前書き

北のりゆき

この文は、1996年に冥土出版が発行した冊子『朝鮮宣伝謀略文書集』の前書きです。この冊子は遊撃インターネットでも通販をしています。

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  はじめに

 本書は80年代初頭から中頃にかけて北朝鮮を訪問した政党関係者や労働組合員に配布された北朝鮮の宣伝文書の復刻である。『朝鮮の北と南を断ち切るコンクリート障壁』『板門店』『チュチェの光のもと抗日革命二十年4』の三冊から収録した。これらの本は現在は入手不可能である。

 現在では考えられないことだが、ほんの十数年前まで韓国を軍事独裁政権として認めず、『共和国』を正統政府として北朝鮮詣でを行っていた団体がかなりあった。共産主義国家お得意の宣伝にすっかりだまされた彼らは、北朝鮮のスポークスマンと化して「労働者の天国」といったたぐいの賛美を行ったものだった。本書に転載したような文書の内容を本当に信じ込んでいたらしいのだから驚いてしまう。マスコミの一部も例外ではなかった。「民主」だとか「平和」だとか唱えている連中の多くにとっては、実際に全体主義の抑圧体制の中で生活することを余儀なくされている人間よりも空論的なイデオロギーの方が重要なのであろう。いずれにせよこれらの文書は、いわゆる『社会主義国』の腐敗の一端をあらわしているように思える。

 北朝鮮の崩壊が時間の問題となり、朝鮮問題がクローズアップされている現在、当時の彼らの宣伝文書を復刻することにも意義があるのではないかと考え、本書を発行することとした。本書ではページの関係から写真部分と文書の前後を入れ替えたり、一部しか載せることができなかったものがある。23ページからの『板門店』は、本書では写真が先であるが原書では86ページの文章が冒頭に入る。12ページからの『朝鮮の北と南を断ち切るコンクリート障壁』は、原書が変形判でそのままでは本書内に収録できないので縮小して本書の1ページに上下2ページずつを入れた。この本の印刷はくすんだ感じの昭和三〇年代のカラーといったものだったが、本書内では白黒になってしまった。『チュチェの光のもと抗日革命二十年4』は、この巻だけでも296ページもあり全文収録は不可能なので、巻頭についていた金日成絵画を収録し、原書の中から10ページほど面白そうな部分を収録した。この本は「抗日革命を戦った古参革命家の証言でつづる金日成将軍の革命業績」といったシロモノである。水滸伝みたいで楽しめた。

 この資料の他に北朝鮮関係のビデオを大量に入手することができた。ご覧になりたい人には頒布するので案内を参照してほしい。また、ここで収録した以外の北朝鮮宣伝文書をお持ちの方は、ビデオなどと資料交換をしていただければ幸いである。読者の皆さんの協力を求めたい。

 今後も新たな資料入手ができ次第、北朝鮮関係の本を発行してゆく予定である。期待されたい。

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