はじめに

ここにアップした文は、ニューヨークの日本領事館が出している、海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロQ&Aです。「経済侵略なんかをするから人民の怒りを買い、テロにおびえてびくびくしなければならない」なんて昔の左翼みたいこというつもりはないけど、それにしても大変なビビリ様です。一週間や二週間ならともかく、毎日こんな生活してたらヘンになってしまうのではないだろうか。いちいちこんな事するより、進出企業は狙われないように相手国の社会に貢献するような活動をしたほうが安全だと思うんですが。


海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策 Q & A

湾岸戦争の発生以来、海外におけるテロ対策について多数の照会が外務省に寄せられています。国際テロ事件全体の45〜50%を占める爆弾テロについては、これまでにも、特に邦人・企業が被害者となる事件が発生しており、各人・各企業がそれぞれの状況に応じた対策を十分に講じておくことが望まれます。このQ&Aでは、爆弾テロ対策について平素の措置から、ケースごとの対応策までを概括的にとりまとめてみました。
目次

爆弾テロ対策として、平素から心掛けておくべきことは何ですか?

爆破予告電話に対してはどう対応したらよいのですか?

爆発物容疑物を発見した場合は、どう対処したらよいのですか?

小包・手紙爆弾に対してはどう対応したらよいですか?

自動車に仕かけられる爆弾にはどのような対策が必要ですか?

爆弾事件に巻き込まれないためにはどうしたらよいのですか?

脅迫電話チェックリスト

小包・手紙爆弾識別のためのチェック・ポイント


爆弾テロ対策として、平素から心掛けておくべきことは何ですか?

爆弾テロの被害に遭わないためには、平素から、関連情報を収集・評価し、物的・人的措置を講じ、訓練を行い、爆弾が設置されないように、また爆弾が設置されても適切に対応できるようにしておくことが極めて重要です。

1.情報の収集・評価

所要の爆弾テロ対策を講じるためには、次のような現地の治安情勢、特に爆弾テロに関する情報を正確にフォロー・把握しておく必要があります。

我が国の在外公館、現地の治安当局、日々の新聞の切り抜き等の情報を通じて、現地における爆弾テロの発生状況、犯行組織、政治背景、手口(手紙、車等を使用するのか)、使用爆弾の特徴(ダイナマイトかプラスチック爆弾か)、攻撃の対象(無差別か特定目標か)、発生時刻・場所等につき承知しておく。

収集した情報に基づいて、爆弾テロの直接・間接的な脅威を評価する。この際、現地の情勢に加え、日本国内の情勢や世界の他の地域の情勢がもたらし得る脅威への影響も考慮に入れる。

最寄りの警察等に爆発物処理班等があるか前もって調査しておき、緊急時の連絡方法等を確認しておく。また、爆発物発見時の避難場所等についても複数のオプションを用意しておく。

2.物の面の安全

爆弾テロ防止のためには、事務所・工場等を設置する以前の段階から、次のような考慮を払っておく必要があります。

事前調査を十分に行い、テロリスト等の攻撃の対象となるおそれのある施設の近辺には事務所等を設置しない。特に共同使用のビルに事務所を設ける場合には、このようなおそれのある企業等の事務所の近隣はできるだけ避ける。

車両に仕かけられた爆弾によるテロを防止するため、利用する出入り口数はできるだけ少なくし、車両通行用と歩行者用を区別しておく。駐車場は可能であれば社員用と外来用を区別し、外来用は事務所建物から離して設置する。また、社員用には監視員を配置する等警備対策を講じる。

事務所内に爆弾を設置されないよう人の移動を規制するため、事務所内は来訪者の立入を認める区画と社員のみが立ち入ることができる区画に厳格に区分する。

不審人物の出入り規制に当たっては、TVカメラやIDカード読取器等の設置を考慮する。 

爆発時の被害をできるだけ抑えるため、必要に応じガラス窓には飛散防止テープを貼付するとともに、爆発物飛来防止のための金網又は幅の狭い鉄格子を取り付ける。

爆弾テロの脅威があるときには、爆発物の発見を容易にするため、ロビーや事務所等の外周にはできるだけ植え込み等を設置しないことが望ましい。

爆弾テロの脅威が極めて高いときには、車両爆弾による攻撃を防止するためのコンクリート・ブロック等の設置を考慮する。

3.人の面の安全

爆弾を設置させない、また、設置されても早期に発見するため、次のような措置を講じておきます。

来訪者及び手荷物のチェックを確実に行う。必要に応じ金属探知機(雷管探知のため)を使用する。

社内外の整理整とんを常時徹底するよう心がける。

社内外の死角をなくし、監視の届かない所については見回りを頻繁に行う。

外塀への爆弾設置、外塀の側での車両爆弾防止のため外回りについても見回りを行う。

可能ならば、事務所等に隣接する道路上の駐車は禁止する。

社員全員が不審物(放置荷物、手紙、小包等)に対し注意するよう平素からよく教育しておく。

4.安全訓練

爆破予告があった場合ないし爆発物容疑物件を発見した場合、適切に対応できるよう、次のような準備・予行訓練を十分に行っておくことが重要です。

爆破予告(電話・手紙)があった場合ないし爆発物容疑物件を発見した場合の行動基準等を定め、全従業員に周知する。

爆破予告電話を受ける可能性のあるすべての社員(特に電話交換手)に対し、爆破予告電話への対応要領を周知し、演習を行う。

実際の場合も混乱に陥ることなく速やかに避難できるよう避難訓練を反復実施する。

爆破予告電話に対してはどう対応したらよいのですか?

爆破予告電話には単なる嫌がらせから、真の脅迫、さらには予告まで様々な動機のものがあります。このような電話がかかってきた場合、いたずらにパニックになることなく、一応信憑性のあるものと仮定して、適切な対応を行うことが被害を最小限にくい止める上で極めて重要です。このためには、爆破予告電話への対応を平素から社員に周知徹底させ訓練を行っておくことが重要になります。

また、脅迫内容を正確に把握し、後日の捜査に役立てられるよう電話録音装置を用意しておくことをお勧めします。具体的な対応要領は次のとおりとなります。

1.電話を受けた時点での対応

電話を受けた人は余裕があれば、近くにいる人にメモ等を渡すことにより、警備担当責任者等に、今、脅迫電話を受けている旨を連絡する。

できれば電話を録音しておいたほうがよい。

まず、冷静に対応し、通話内容を正確に聞き取ることが何よりも重要である。

通話を中断させず、質問等により会話を引き伸ばし、できる限り情報入手(特に爆発物を仕掛けた場所、爆発時刻)に心がける。(脅迫電話チェックリスト参照)

また、通話後直ちに犯人との会話の詳細を記録しておくと、後日の対応に役立つ。(脅迫電話チェックリスト参照)

2.脅迫の評価

警備責任者は、脅迫の内容について分析し、その真偽を判断し、退避すべきか否か、警戒を強化すべきか否か等を決定することになるが、その決定は迅速に行う必要がある。

その際、明らかにいたずらと考えられる場合を除き、一応本物の可能性があると考えて対応すべきであり、まず、社員全員を安全な場所に避難させ、現地警察に爆発物の捜査を依頼するのが無難な対応といえる。

真偽の判断に際しては、会社に対する恨みや前兆の有無等関連の出来事を含め総合的に考えるべきである。

3.避難

避難に当たっては、パニック状態の発生を防ぎ整然と避難することが最も重要です。あらかじめ責任者は、次の措置を講じておきましょう。

避難計画をたて、関係者全員に周知し、それに基づいて訓練を行い、その都度決定を修正する。

避難の態様(全員か一部か、屋外か屋内か)に応じたシグナルを定めておく。

避難経路(複数)を明確に示しておく。

避難統制のための補助者を指定しておく。

避難先(複数)を決め、その安全を確認しておく。

また、避難に当たっては、次のことが大切です。

ハンドバック等私物は、すべて室内に残さず、仮に残しても取りに戻らない。

机の引き出し、扉等にはカギをかけない。

避難の前に、平素職場にない物があれば速報する。

すべての電気器具のスイッチを切る。

すべての窓、ドアは開けたままにしておく。

4.事後対策

爆破予告が本当であった場合はもちろん、仮に爆破予告電話があり避難等を行ったにもかかわらず、爆発物が発見されず、また、爆発も発生しなかった場合にも、その後終わったからといって安心して忘れてしまうのではなく、このようなことが発生したことに対する原因究明の努力を行うべきです。また、要すれば、次の点についても念のため警戒を強化する等の措置を取っておく必要があります。

出入者、受理郵便物、小包等の検査を強化する。

外周道路における路上駐車を禁止する。

社員の自宅周辺、通勤途上の警戒を強化する。

爆発物容疑物を発見した場合は、どう対処したらよいのですか?

爆発物の取り扱いでミスを犯すと生命にかかわる重大な結果を招くことになります。このため、爆発物の疑いのある不審な物品を発見した場合には、次のことに注意しましょう。

これに触ることなく、速やかに容疑物件から遠ざかり、警察等関係当局へ通報し、事後の処理を依頼する。

容疑物件は一つだけとは限らない。犯人は分かりやすい所に一個を仕かけ、他の爆弾から注意をそらせ、より大きな被害を発生させようと考えていることがある。

小包・手紙爆弾に対してはどう対応したらよいですか?

「小包爆弾」及び「手紙爆弾」の対策に当たっては、配達・受領時点での点検により、爆発物の疑いがあるか否かにつき早期に発見することが重要です。

不審物の疑いのあるときは特に取り扱いに注意し、持ち主、発想人に問い合わせるなど不審点の解明に努め、不審物と判断されるときは爆発物容疑物件発見時の措置に従うことが必要です。

1.小包・手紙爆弾等の送付方法等

「小包爆弾」及び「手紙爆弾」の送付方法としては、郵便、宅配便、直接届けられる場合が考えられます。

郵便による場合:開被した瞬間に爆発するよう調整されており、受取人の不用意、不注意、無意識等に乗ずる。

宅配便の場合:手紙や小包引き渡りの時間を特定できるため時限起爆装置の使用が可能であり最も危険である。

直接届けられる場合:手場未や小包を取り上げた瞬間に爆発するよう仕組まれている可能性、若しくは開被した瞬間に爆発する方法がとられている可能性があり、対象を直接ねらえることから、テロリストの中にはこの方法をしばしば使用するものもある、

2.小包・手紙爆弾等の特徴〈不審物の疑いのある物〉

差出人が未知の人の場合や、差出人の住所が記載されていないもの。

あて名や住所の誤字叉は誤記のあるもの。

重量に違和感のあるもの。

そのほか「小包及び手紙爆弾識別のためのチェック・ポイント」を参照してください。

3.爆発物処理隊が到着するまでの措置

小包や手紙爆弾が直接届けられた場合:触ることなく、遠ざかる。

郵便や宅配便によることが明らかな場合:人の出入りがない場合に保管する。

いずれも、必要により避難する。

自動車に仕かけられる爆弾にはどのような対策が必要ですか?

テロリスト等爆弾の専門家は自動車に爆弾を仕かけることも多く、会社や住宅における爆弾対策とともに自動車に仕かけられる爆弾対策にも、次のようにこころがけることが必要です。

夜間、長時間路上や警備員のいない駐車場に車を放置することはできるだけ避ける。また、自宅や事務所のガレージ外部からの不審者が近づけないよう工夫する。 

車に乗り込む際には、車体を一巡して異常がないか確認する。この際、特に、タイヤ周辺、車体下部、車内に異常がないか確認する。

新たなテロの手口として、自動車に爆弾物を積載して事務所等に突入させる方法も見られるようになっており、かかるテロ攻撃が発生する危険性のある地域においては、コンクリート製の車止め等の大がかりな対策が必要になる。

爆弾事件に巻き込まれないためにはどうしたらよいのですか?

企業関係者に加え旅行者も、直接爆弾テロの標的にされなくても、爆弾テロ事件の巻き添えになるおそれがあります。

日ごろから次のことを心がけておきましょう。

所在地における爆弾テロ時間の発生状況、発生の可能性の有無等、爆弾テロ事件に巻き込まれるおそれがないかについて、あらかじめできるだけ具体的に承知しておく。

無差別爆弾事件が発生している地域への立入はできるだけ控える。

やむを得ず立ち入る場合にも、爆弾テロの標的となるおそれのある場所への立入は避け、また無差別爆弾事件が多く発生している時間帯を避ける。

爆弾音を聞いたら、すぐその場に伏せる。

身近で爆発事件が発生した場合、爆発現場から遠ざかる(第一の爆発をおとりにして、第二の爆発が起きる可能性がある)。

出張等で空港を利用する場合、空港のチェックイン・カウンターはしばしばテロリストの襲撃のターゲットとなっていることを念頭に置き、不必要にチェックイン・カウンターのそばに近寄らない。

爆風によりガラスが飛散し、被害を受けることがあるので、ガラスを多く使用した高層建築の下等はなるべく通行しないようにする等、日ごろから注意する。


小包及び手紙爆弾識別のためのチェック・ポイント

外見

住所・氏名等の記載内容、消印、切手等が不自然(差出人の住所・名前の欠如、差出人住所と消印の相違、切手の貼り過ぎ等)

包装が不自然(稚拙な包装、テープやひもを多用し必要以上に頑丈等)

必要以上に「親展」、「至急」、「取り扱い注意」、等の表示

ワイヤー、ひも等の突出及び油状のシミや汚れ

臭い

靴墨、アーモンドのような臭いや芳香

重さ

異常な重さ(軽さ)や重さのバランスに片寄り

手紙爆弾の場合には、通常の手紙に比し、重く、厚みあり

感触(ただし、強く押したり、振らないこと)

不自然な固さや弾力感

突起物や塊状物質の存在感

内容物にガタつき

時計のようなコチコチ音や液体のコボコボ音等異常な音


脅迫電話チェックリスト

爆破予告電話を受けた時のチェック事項

1.質問事項

爆弾はいつ爆発しますか。 

現在どこにありますか。

どのような形をしていますか。

どんな種類の爆弾ですか。

どうすれば爆発しますか。 

あなたが爆弾を仕かけたのですか。

なぜですか。 

あなたの住所は。 

あなたの名前は。

2.脅迫に使われた正確な言葉

3.相手の性別、人種、年齢

4.電話がかかってきた電話番号、電話時間の長さ、日付、時間

5.通話終了後、直ちに次に報告すること。電話番号:○○−○○○○

6.関連情報

相手の声

落ち着いている

鼻にかかっている

怒っている

どもっている

興奮している

舌がもつれている

ゆっくりしている

しわがれ声

速い

深い声

低い

耳障りな声

大きい

せき払い

笑っている

息遣いが荒い声

泣いている

かすれ声

普通

声色を使っている

はっきりしている

なまりがある

はっきりしない

聞き覚えがある

聞き覚えのある声である場合、だれの声のようですか

背景の音

街頭の雑踏

工事の機械音

食器の音

動物の声

拡声器音

静か

音楽

近距離電話

住居の雑音

遠距離電話

自動車の音

電話ボックス

事務所機械音

その他

脅迫の言葉

教養ある言葉遣い

支離滅裂な言葉遣い

乱暴な言葉遣い

テープ吹き込み

非論理的

脅迫者によるメッセージの読み上げ


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