遊撃インターネット雑記17
北のりゆき=死売狂生=行方未知

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200711() 毎日新聞がいい記事を書いた

 あけましておめでとうございます。

 元旦。何もせずひたすらごろごろ。ちょっとテレビを観たけど、くだらない番組ばかりだったので、消してやっぱりごろごろごろごろ。こんなのも正月ならでは。とってもいい感じです。

 そうそう、昨日書いた紅白歌合戦のストリップを観ることができました。「紅白」をキーワードにしてnyにかければ落ちてくるよ。

 やるじゃないか。国営放送。またぐらにキノコをつけた女が、おっぱいをブルンブルンさせて下品ダンス。腹を抱えて笑いが止まらなかったよ。終了後の周囲の困惑ぶりには抱腹絶倒。しかし、バカだね〜。

 北島三郎ヒサン…

 

 年の初めの一面トップで毎日新聞がやってくれました。良識派だけど朝日みたいに威張ってないから、オレは毎日新聞が好きです。オレも前から死ぬ死ぬ詐欺キャンペーンには腹を立てていたんだ。ちょっと長くなるけど引用します。

 

 ネット君臨 第1部 失われていくもの

 難病児募金あざける「祭り」

 2ちゃんねる上、匿名攻撃

 臓器提供者はまだ見つからない。4歳のクリスマスは、米カリフォルニア州の大学病院に近いアパートで迎えた。ネコのぬいぐるみをプレゼントされ「ネコちゃんが来たよ」とはしゃいだ。

 難病の拘束型心筋症と診断された東京都三鷹市の上田さくらちゃんが助かるには、海外で心臓移植を受けるしかない。1億円を超える手術費用は募金に支えられている。

 新聞各紙に「さくらちゃんを救う会」の募金活動の記事が掲載された昨年9月22日朝。インターネット掲示板「2ちゃんねる(ch)」に家族を中傷する匿名の書き込みが始まる。「また死ぬ死ぬ詐欺ですかW」。「W」は笑いの意味だ。移植の募金はこれまでも「会計が不透明」と批判されてきた。

 NHK勤務の父昌広さん(54)と母和子さん(45)が記者会見で職業を「団体職員」と公表したことも災いした。後でNHKと答えたが、手遅れだった。「NHKキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!と顔文字を付け、はやし立てる。「高給取りを隠して同情を買おうなんて詐欺だな」

 両親が借金などでねん出した3000万円の自己負担を公表しても攻撃はやまない。ローンが残る住宅しかないのに「十数億円の資産がある大地主」と虚偽の情報が書き込まれた。自宅の登記簿や写真もネット上にさらされた。「だまされて募金したので返してほしい」。救う会にはメールや電話が続いた。

 「裸で歩いているような恐ろしさ。眠れない時もありました」。和子さんは家の前で携帯電話のカメラを構えた人影を忘れられない。「親ですから娘が救われるのなら構いません。でも支えてくれる人たちが疲れていくのを見るとつらい」。目が潤んでいた。

 @ @

 年の瀬の東京・渋谷。記者はネット上のハンドルネーム(HN)「がんだるふ」を名乗る男に会った。元大手フィルムメーカー社員。今はイベントプロデューサーという。58歳。募金批判の中心人物だ。

──募金を払わなければいいだけなのに、なぜ攻撃するのか。

・臓器移植問題は深いのに「かわいそう」で思考停止になっている。募金は物乞いと一緒だ。

──書き込みには中傷や誤報がある。

・ネット上の罵詈雑言はノイズ。被害と感じるのは弱いからだ。

──匿名での攻撃はアンフェアでは。

・名前は記号。本質は書いた内容にある。

──実名でも書ける?

・それは書けます。

──実名記事にしたいが。

・載せないでほしい。「がんだるふ」というネット上の人格でやってきたから。

 ─以下略─

 こいつ58歳にもなって何をやってんだか。イベントプロデューサーとか称しているけど、なんだか怪しいなあ。こんな野郎が、ちゃんと社会でやっていけるとは思えない。マンガ喫茶に住みついて、一日中2ちゃんねるに張り付いているとしても驚かないよ。毎日新聞もえぐいね。かわいい女の子の写真と下衆なインタビューをならべたら、そりゃあ誰だって病気の子どもに同情するよ。

 2ちゃんねるには有意義で立派な板も多いことも分かっているけど、一部のこういった連中は、下品で下劣で下賤で、「下」という字が最もよく似合うと思う。きっと下卑た嫌なツラをしてるんだろうなー。

 オレは「悪い」「危ない」「汚い」とされているものが大好きで、こんなホームページを運営してるけど、もっと突き抜けていないとダメだ。こんな風にネチネチと意地汚く他人を嫉む薄汚い醜さは、気色が悪いだけです。そう、ひと言でいえば「気持ちが悪い」。

 腹を立てているだけじゃあしょうがないので、理屈を書きます。高額所得者だと攻撃されたNHK夫妻。この人たち、たとえ年収が合わせて二千万円あったとしても、税金や社会保険で手元には七割も残らないよ。六割程度じゃないかな。それに収入が多いほど健康保険料は高額になるから、高額所得者だとしたら毎年百万円近く保険料を払っているだろう。大人が心臓病だったら保険で数十万円程度で済むのに、日本では子どもの移植が禁止されているから外国に行くしかなく、保険がおりずに一億円以上もかかってしまう。これは制度の不備であって、NHK夫妻の責任じゃないよね。十年後に一億円必要だっていうなら高給取りなんだから自力で貯めろと言えるかもしれないけど、すぐに一億円必要で、そうしないと女の子が死んでしまうんでしょ。どんな高額所得者でも、サラリーマンが一億円をポンと出すのは無理だよ。それに仮にNHK夫妻が本当は大金持ちだとしても、制度の不備で一億円出せというのは酷だと思う。

 NHK夫妻には人徳もあるんじゃないかな。オレの子どもが病気になっても、こんなふうに募金活動を始めてたすけてくれる人がいるとは思え……ううう。せめて助けなくても邪魔はするなよと言いたい。同じ「炎上」でも、居酒屋で店員を殴ってブログで自慢したバカとは違う。子どもの命がかかってるんだよ。

 それじゃあ、お前は募金したのかといわれれば、してないんだけどね。何か思うところがあって募金しなかったのではなくて、機会がなかった。でも外に出て募金活動にぶつかってたら、少しは出していたよ。

 両親がNHKに勤めていることが問題になってるみたいだけど、なぜだろうか? NHKは、いい放送局だよ。大晦日に日本人の四割が見る番組でストリップを放送するし、頼んだわけでもないのにコマーシャルの無い番組を無料で放送してくれる()

 冗談はおいといて、実際には、この騒動は「良い」とされる会社に勤めている人に対するねたみ意識から来たんだろうと思う。特にマスコミ関係の人は、攻撃対象になりやすい気がする。マスコミに挫折したヤツに、ちょっと筆マメなのが多いからだろう。

 90年代半ばからのインターネットの勃興期は、日本では見事に不景気と重なり、ネットに耽溺している人の多くは就職などが厳しく経済的に不遇らしい。また、評判になった『下流社会』の著者によると、ネットというのは最も安くできる下流層の娯楽なんだそうだ。たしかに、いわゆる山の手の上流階級の人が2ちゃんねるに毎日ベッタリとかじりついているなんて、ちょっと想像できないよね。

 もう一度上にある女の子の写真を見てほしい。かわいい子だよね。偏見かもしれないけど、何不自由なく、すくすくと育てられた上流の顔ですよ、これは。オタク的な言いかたをすると『カードキャプターさくら』のさくらちゃんの社会層に属しているように思える。おお、そういえば名前もいっしょだ。

 この騒動は、上流に対する下流のねたみに震源があるとオレは思う。

 いや、オレも立派な下流だと思うし、同じ下流でもこいつらみたいにならないように気をつけてるんだけどね。ねたんで、屁理屈つけて、匿名をいいことに安全なところから集団で嫌がらせをする…。しかもネチネチといじめる相手は、病気で死にかかった子ども…。うひ〜〜〜、醜い〜〜〜。オレはこういうのダメだ。弱いせいで心がねじけた人間が見せるこういう醜さには、我慢できないよー。

 権力など「強い」ことが人間を腐敗させるということはよく言われるけど、それ以上に「弱い」ということは、しばしば人間をダメにする。経済的に貧しいことは嫌だけど、貧乏でも健康で心は錦だったらそんなに問題はないだろう。しかし、こいつらの心は…。

 感情的にならないで考えてみよう。毎日新聞は、「2ちゃんねるは悪い」みたいに書いている。誰だって病気の子どもをいじめるような連中は嫌いだし、ある程度は書かれてもやむ得ないと思う。しかし、実際はこんなオカシイやつらは、2ちゃんねるの中でもごく一部だ。それでも百万人が2ちゃんねるをやっていたら、百人くらいはそんなのが出てきてしまうわけで、そんな連中が徒党を組んで、一般社会では恥ずかしくて言えないようなことを書きまくる。そんなことができてしまうのが、2ちゃんねるの問題なんじゃないかな。


リンク さくらちゃんを救う会
http://www.sakurahelp.com/contents/0929onegai.html

 嫌なヤツが書いた、嫌な本()

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200712() 細君の実家へいく 

 改めて昨日の日記を読み返したけど、こんなホームページを作っておいて何を言ってやがる、と自分でも思うよ。募金の妨害活動の標的はNHK夫妻なんだろうが、実はカネが集まらなかったら死ぬのはさくらちゃんなんだよね。そして、さくらちゃんは、かわいい女の子だ。そんな女の子が死んだら、社会的損失でしょ。かわいい女の子が好きなオレは、その点に腹を立てたというのが真相です。言行不一致は分かっていますんで、せ、責めないでね。

 正月の挨拶に細君の実家にうかがうことにしました。途中で土産を買い忘れたことに気づき、近くのデパートに寄りました。どうせすいているだろうと思ったら、とんでもない。人の波で、菓子折りひとつ買うのにクタクタになってしまいました。福袋目当てらしいんだけど、どうもオレには福袋のどこがいいんだかサッパリ分からない。安くて品質の良いものを必要なだけ購入するのが賢い消費者でしょ。いくら安くたって、何が入っているか分からないものを買うなんて愚の骨頂に思えます。どうせすぐゴミになっちゃうんだろうなぁ…。

 二時間くらい下道を走っていたら、くたびれてしまい高速道路へ。高速道路に入ったらすぐに着きました。

 義父、義母ともに赤ちゃんを大歓迎。細君は月に三、四回しか実家に帰らないのに、大量の赤ちゃん用オモチャが常備してあり、抱いたり撫でたりさすったり、大変なかわいがりようです。赤ちゃんも両手でオモチャをワシ掴みにして、足をばたつかせて大喜び。赤ちゃんが喜ぶとジジとババが喜び、するとさらに赤ちゃんが大喜び…。ループをなしてだんだんとヒートアップ。孫、祖父母ともに軽躁状態にあるように見えます。細君がオムツを換えようとしたら、冷たい風に当たるといけないと言って部屋中駆け回ってタオルを探し、赤ちゃんの腹にかけてくれるほど。オムツを換える時間なんて三十秒くらいなんですけどね。…ありがたいことです。これならオレと細君が死んでも、赤ちゃんの将来にそう心配はなさそうです。いや、まだくたばる予定はないけどね。

 泊まるようにいってくれましたが、布団が変わると眠れないので夜中に帰宅。赤ちゃんは帰宅後も興奮状態で、身体をのたうたせてはしゃいでいました。なかなか寝てくれなくて困った。

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200713() 中野へ行く 

 用事ができてしまい中野へ。用件は案外早く終わったので、まんだらけをのぞきました。最近評判の『のだめカンタービレ』を買おうと思ったら、356円だって。定価410円の本だぜ。50円しか安くなってないなら、古本なんて買わないよ。

 まんだらけに行ったせいで勢いがついてしまい、秋葉に足を伸ばすことに。秋葉も人が多いねぇ。雑踏のなかでプレステ3が売られていましたよ。最初の騒ぎはすごかったけど、今となってはあんまり売れてないみたいです。六万円以上するゲーム機なんて、だれが買うんだろうと思うもんなぁ。

 秋葉まんだらけでは、『ひぐらしのなく頃に 礼』を発見。購入しました。中野のまんだらけには無かったけどねぇ。発売初日は、すごい行列ができたらしいので運が良かった。

 ラジオ会館のコトブキヤにも行ってみました。12月16日の日記に書いた超昂天使エスカレイヤーの限定版フィギュアは、既に売り切れてましたよ。時間がなく駆け足になってしまったので、その他の同人ショップには寄れなかった。コミケ新刊は、どんな感じだろう。気になる…。

 

 遊撃インターネットからリンクを張らせてもらっているアマゾンのアフィリエイトのご報告です。2006年1月1日から12月31日の一年間で、119点の利用があり、紹介料9142円をもらうことができました。ありがとうございます。もらったおカネは、だいたい本を買うのにつかわせてもらいました。アマゾンで稼いだカネは、アマゾンで消費…。ちょっとはおカネになると思うと、俄然やる気になりますねー。日記が続いているのも、アフィリエイトのおかげだなぁ。

 おカネをもらえるのも嬉しいですが、それ以上に遊撃インターネットに来る人がどんなものに興味があるか分かるのが面白いです。おっと、何が買われたかは分かりますが、だれが買ったかという個人情報は分からないので安心してください。こんな本が出ていたのかと、アフィリエイトの売上レポートを見て自分も買った本も結構あります。

 えへへ。良かったら今年も使ってくださいね。ありがとうございました。

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200714() 読書の日 

 例によって眠れなくなってしまい、徹夜で読書。

 『祭られた人々』を読む。2ちゃんねるの「祭り」の歴史(という程のものでもないんだろうが…)を書いたムック本です。本屋で見かけてひまつぶしに買ってみました。もっと内容がペラペラの本だと思ったら、意外に充実。猫公開虐殺やハメ撮り国税職員とかの事件は一応知っているつもりだったけど、事の発端やどのように収束したかなど、実は意外に知らなかったりしました。興味深く読めましたよ。意外に内容が優れていたので、評価は☆☆☆☆★

 居酒屋の店員を殴ったのをブログで自慢した浦安鉄拳家族とか、温泉放尿医師とか、反日患者血祭り予告の在日朝鮮人医師とか、しばしばマスコミでは被害者とされる『祭られた人々』にも、ロクなのがいないですね。

 編集者による解説が秀逸で、こいつ分かっているな、という感じです。この本を出したのは『嫌韓流』などの出版社みたいで、売れる本を出している会社の編集者は、それなりに仕事ができるということなのだろうか。『嫌韓流』に関しても、信念を持って反韓国というより、時流に乗ってひと儲けみたいな臭いがしたなぁ。以下引用。

 彼らのように社会的に優位な立場にあるいわゆるプチセレブたちが、突然の攻撃に逃げ惑い、その地位から引きずり降ろされる様子は、祭りの参加者たちに背徳のカタルシスをもたらしたことだろう。祭りが2ちゃんねらーたちの「正義感」に根差したものでありながら、時に、やり過ぎとも言える残酷な結果をもたらしてしまうことが少なくないのは、往々にして祭られる側の社会的地位などに対する「嫉妬」によるものであることを忘れてはならない。

 次に永山薫の『エロマンガ・スタディーズ』を読みました。良書です。永山薫氏といえば、コミックジャンキーなどでエロマンガの紹介記事を書いていました。ずいぶん良い本を教えてもらい、重宝したものです。この本では、第一部がエロマンガ全史、第二部は愛と性のさまざまなカタチという題で『ロリコン漫画』『巨乳漫画』『妹系と近親相姦』など七章に分けてさまざまなエロマンガを紹介しています。

 エロマンガ紹介本というより、文化論として興味を引きました。インテリな文章ですが、解読できれば勉強になるうえにエロマンガのカタログ的な使い方もできるでしょう。でも、意味の分からない横文字単語を頻繁に使うのはやめて欲しいね。引用は、『ガンスリンガー・ガール』を紹介した部分です。この作品は、エロマンガじゃないけどね。

 義体たちは、男性読者の持つイデアとしての少女性やペドファイル志向を担保するだけでなく、すでに事故や犯罪被害や病によって壊された少女という意味で過剰にフラジャイルな存在であり、義体化されることによって人工性が加えられ、ピグマリオニズムやネクロフィリーの対象ともなり −以下略−

 …まあよく書くなぁと思うけど、評論というのはこんなものなのだろう。そんなことより、オレは学が無いから、知らない単語がいっぱい出てきて困っちゃうよ。辞書を引き引き解読してみましょう。

 イデアっていうのは、高校時代に倫社で習った気がするな。辞書で調べたら哲学用語で「永遠不変の真実在」だってさ。この場合は、実在とか本質とかの意味で使われているんだろうな。ペドファイルってのは、ロリコンのことだ。ペドファイル志向を担保するっていうのは、つまり「ロリコン趣味を満たす」という程度の意味でいいんだろう。それより、フラジャイルってなんじゃいる。生まれて初めて読む言葉だよー。調べたら「壊れやすい」という意味らしい。ピグマリオニズムネクロフィリーは知っているぞ。人形愛と屍体愛のことだ。

 オレでも分かるように解読してみました。

 義体たちは、男性読者が本質的に持つ少女性やロリコン趣味を満たすだけでなく、すでに事故や犯罪被害や病によって壊されている極めて弱い存在であり、義体化されることによって人工性が加えられ、人形愛や屍体愛の対象ともなり −以下略− 

 …疲れちゃったよ。やっぱりエロマンガのカタログとして使うことにしようかな。でも、エロマンガの歴史の部分は、こんなに疲れるものではなかった。レモンピープルとか漫画ブリッコとか、なつかしい雑誌がでてきます。それ以前の三流エロ劇画誌についても興味深い。ただし、大塚英志に対する高評価は疑問。どんどんブリッコをつまらなくして、最後に放り出したというイメージがあるからね。エロマンガに少女漫画の技法を加えた功績みたいなことを書かれていたけど、ブリッコのすごいところは、ひろもりしのぶに体現されていたと思うな。それに、かがみあきらが亡くなったこととか、読者には威張ってやがるくせに難癖つけてきた右翼にペコペコして根性の卑しいヤツだなと思ったこともあったしなあ。どうもこの人に関しては愛憎半ばする。ああ、大塚英志は朝日新聞的なんだ。

 たぶんオレは、オタク第一世代の尻尾あたりに属していると思う。オレが高校生のころに大学生で、DAICONのオープニングアニメを作っていた連中が、今はガイナックスの経営陣に納まっているんだなあ。先陣切って「創った」人たちと、それを受け取っただけの者では、二十数年で天地の差がつきます(苦笑)

 文句もつけましたが、非常な良書ですよ。特に古いオタクでエロマンガ好きだったり、性と文化の関連に興味がある人にはこたえられないでしょう。おすすめです。☆☆☆☆☆

 続いて『革命的左翼という擬制』(小野田襄二)を読みました。この題名は、吉本隆明の『擬制の終焉』のパロディだろうか? 旧左翼は擬制で、新左翼もまた擬制だったと言いたいのかなあ。著者は中核派の元政治局員で創設者の一人。革マルとの内ゲバ戦争になる前に組織を離脱した人です。現在は、公安調査庁のスパイに転落したと中核派は主張していますね。12月28日の日記に書いた中核派古参活動家のHPを読み、中核派の内部事情についてさらに読んでみたくなったのです。この本では、六〇年安保から中核派の成立と、初期の内ゲバについて書かれていました。登場する人物は黒田寛一、松崎明、本多延嘉、陶山健一、清水丈夫など。

 とりわけ著者の革マルコンプレックスが興味深かったですね。元中核派のクセに、革マルをほめあげ、えらく中核派をけなしています。黒田哲学とか称するものは、オレにとっては晦渋なだけで気味の悪いシロモノなんだけど、この著者にとっては大層なものらしい。特に動労の松崎明を労働運動の体現者のごとく賛美しているのには、あきれてしまった。国鉄分割民営化の際、屈服するだけならまだしも、鉄労と合体して背後から国労の首を絞めたヤツだよ。御用第二組合の労働貴族としか思えない。そんなヤツが「生涯、国鉄労働者の労働運動家なのだ」だって! まあ、この本は、初期の学生運動活動家のゴシップ集程度に読んでおくのがいいのでしょう。そういった読み方をすれば、六〇年代の中核派政治局の雰囲気など面白いものでした。☆☆★★★ 

 そうそう、この人は転向後、予備校の数学教師になったようです。新左翼崩れは予備校教師が多い。ネットで調べたところ『相対性理論の誤りを完全解剖する』というトンデモ本も出しています。ユダヤ陰謀論者になってしまった太田竜といい、新左翼を作った連中とトンデモ本ってとても近いですねー。キャラがかぶっているのかな。

   

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200715() 姪に会い、『天皇と東大』を読む 

 普段よりもかえって正月の方が忙しいですな。弟夫婦が東京に出てきたので会いに行きました。両親もきて、一族集合という感じです。

 二年前に見たきりの姪は三歳。三歳でこれはないだろうというくらい美少女になっていましたよ。いや、驚いたね。目が大きくて色が白くて声は鈴をころがすようで、それに何よりこの歳で美人オーラを発散していました。花にたとえれば、ウチの赤ちゃんがタンポポだとしたら彼女は白百合という感じですねー。いや、まいったなー。こりゃ将来が楽しみだよ。でも、姪っこがトテトテお母さんのところに走ってきて、何かと思ったら「うんち、でた」なんて言ってました。そりゃ、まだ三歳になったばかりだもんな。外見と中身のギャップがすごい。

 

 帰宅後、立花隆の『天皇と東大』下巻を読み終わりました。傑作です。上巻は半年以上前に読んでいたし、下巻も半分以上読み終わっていたんだけど、あまりにも密度が濃い本なので中断していたのです。

 敗戦後の歴史学はだいたいマルクス主義的な進歩史観だったので、戦前の歴史に関しても左翼の抵抗ばかり語られ、右翼についてはあまり語られませんでした。しかし、考えて見れば戦前は右翼が政治を牛耳り、右翼が日本を動かしてきたのです。右翼を語らなければ、戦前の歴史は語れないといってよいでしょう。文藝春秋で連載されていた『天皇と東大』は、最初は東大の歴史をえがくことから始まりました。勝海舟が東大の原型を作ったとか、そんなエピソード集に近く感じます。しかし、立花隆は、高級官僚養成機関である東京帝国大学、唯一の主権者であった天皇、そして政治を牛耳り日本を戦争に導いた右翼、この三者の軌跡をえがくことで、戦前の歴史に新たな視点をもたらすことができると気づき大転換します。

 東大、天皇、右翼を軸に戦前史を語ろうというのはたいした着想です。この視点に立つと、今まで分からなかった歴史上の事件の真の意味が見えてきます。たとえば、そうですねぇ。天皇機関説事件を例にしましょう。オレの教科書的な知識では、東大教授の美濃部達吉博士が、天皇は国家の機関であるという説をとなえて騒動が起き、東大をクビになったという事件だと理解していました。実際は天皇機関説というのは、要するに天皇の権力は無制限ではなく天皇といえども憲法に従わなければならないという学説です。立憲君主国家だったら当たり前のことで、日本でも大正時代から昭和の初頭まで主流の学説でした。戦前の東大教授というのは、天皇が直接任命する勅任官で、大臣と同クラスの高官です。天皇勅任なんだから、たとえ総理大臣といえども簡単にクビにはできません。そのうえ大臣や司法官、行政官の多くは、東大で美濃部博士に学んだ弟子でした。最高学府の東大で憲法学の講座を開いていた美濃部博士は国師に近い立場で、天皇機関説は事実上日本の国是だったのです。それが右翼と軍部によってひっくり返され、その後の日本は、専制君主国家に変貌しました。これは右翼による成功したクーデターであったといえるでしょう。天皇制を悪用しようと考える者にとっては、天皇に無制限の権力があるとすることは、とても都合のよいことです。『天皇と東大』では、そういう右翼による事件の経過と分析を、1500ページを超える大著で行っているわけです。

 同じ立花隆の『日本共産党の研究』に匹敵する大作だと思います。立花隆はジャーナリスト出身だけあって、時流というものを良くつかみます。『日本共産党の研究』が書かれたのも、共産党が躍進してつぎの選挙でいよいよ民主連合政府ができるかという時代でした。現在の右傾化の時代において、右による歴史を描くということは、とてもタイムリーで意義のあることだと思います。『天皇と東大』では、途中で方針転換しているので、完成度においては『日本共産党の研究』のほうが上だと思う。しかし、今時点での重要性という点では『天皇と東大』の方が上でしょう。

 再び、立花隆はジャーナリスト出身だけあって、と書いてしまいます。立花隆はジャーナリスト出身だけあって、保身に見える記述がないことがないですね。たとえば『中核 vs 革マル』では、内ゲバ戦争になってしまったのは革マル派に原因があって、立花隆がそう思っていることも読めば分かるんだけど、両方に原因があるみたいなことを書いています。そのように保身しなければ命を狙われる恐れだってあるのだから、やむ得ないといえばやむ得ないのですが…。『天皇と東大』は、保守マスコミの代表である文藝春秋の連載。いささか文春読者お好みの記述が見られる気がしました。右を批判したいんだけど、それだけだと反感を買いそうだから、いっしょに左も批判してバランスをとるみたいなね。あと、天皇に関する点。たとえばこんなところ。

 明治憲法の下で、形式的には、天皇が統帥権によって、軍部を完全支配できるはずだった。ところが、満州事変、五・一五事件、二・二六事件、支那事変と、軍部の暴走が連続的に起り、軍隊は天皇にはアンコントローラブルな組織に変っていった。そして、暴走が暴走を生み、ついには対英米開戦にまでいたってしまう。この後、一九四五年の天皇の終戦決断(軍部への統帥権行使)によって天皇が事態のコントロール能力をとりもどすまでの間(陸軍の暴走開始を満州事変に置けば、十四年間)、日本政治の基本構造(国体)は、いわば天皇親政から陸軍という名の幕府による武断政治の時代へ逆もどりしていたといっていい。

 興味深いけど、いささか文春好みの論理でもあるように思えました。天皇には戦争責任がなかったといいたいのかな。立花隆は天皇の戦争責任については、憲法上、政治上の責任は無いが、道義的責任はあるという意見のようです。

 面白いだけではなく、日本の現代史について知識を深めたいならば読まねばならない本だと思います。この本は、近々もう一度読みたいと思っています。絶対おすすめ☆☆☆☆☆+

  

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200716() 珍寺大道場を読む 

 そろそろ生活が普段のリズムに戻ってきました。たまたまテレビをつけたらNHKで『ツバサ・クロニクル』というアニメをやっていました。おお、これはカードキャプターさくらの続編なのか…。しかし、さくらちゃんが、いまいち精彩のない女の子になっちまったな。

 ヒマな時間は赤ちゃんと遊んで、『珍寺大道場』を読んでいました。日本全国と東南アジアに散らばるキッチュで悪趣味な宗教施設のカタログみたいな本です。

 悪趣味寺にも二種類あるような気がしました。ひとつは個人が変なパッションを傾けて造ったアウトサイダーアートみたいな寺です。へたっぴでも変な熱気が伝わってきて面白いですね。秘宝館に通ずる猥雑さがなんともいえません。もうひとつは、バブルのころに造られた宗教レジャーランドです。意外にこんなのも結構あります。今では信じられませんが、バブルのころはこんなものでも客が入ると思われ、日本全国で造られていたのです。もちろん客など来るはずもなく、今となってはうら寂れた独特の風情をかもし出しています。

 大量の写真が収録されていて、値段のわりに内容が充実していました。読んでいるうちに、お腹がいっぱいになったけどね。オレも、こういう奇妙なものを観に旅行に出たいなあ。

 この本は、日本全国を珍寺を求めて飛び回っている物好きさんのホームページがもとだったようです。ネットがネタの本が最近増えてきましたね。遊撃インターネットにも出版社からそんなメールがきたことがあったっけ。興味がないんで返事を出しませんでしたが。ホームページがもとの本は、玉石混交ですが、この本は玉の方だと思いますよ。☆☆☆☆★

 『珍寺大道場』は寺が中心ですが、秘宝館、蝋人形館、意味不明のテーマパークなど珍スポット全般に興味がある人には『ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行』がおすすめです。

   

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200717-8(-) 風邪をひく 

 また、風邪をひきました。我ながら脆弱です。

 あんまり正月にゆっくりとできなかったので、二連休はゆっくりするつもりでした。酒を飲みながら戦国ランスをプレイ。何時間かプレイすると、妙にフラフラします。後頭部が重く気持ちが悪い。バファリンと置薬の風邪薬とあまっていた抗生物質を飲んで蒲団に。

 赤ちゃんが、サカリのついた猫みたいな声で一晩中アオンアオン泣いて眠れません。具合も悪いみたいで、ミルクを普段の半分以下しか飲まず、ちょっと飲むとすぐ吐いてしまいます。そのうち、赤ちゃんにも咳とくしゃみと熱がでてきました。親子そろって風邪です。

 細君だけは元気で、赤ちゃんの世話をしていました。うつらうつらしていたのに寒くて目が覚めたら、蒲団が一枚しかかかっていない。オレは、普段は掛け蒲団と毛布の二枚使っています。「赤ちゃんが寒そうだから」と、オレの毛布を剥いで赤ちゃんに掛けていやがる。赤ちゃんには、毛布やらタオルやら布団やらが五枚くらい掛かっていましたよ。オレが寒いじゃねえか。新しいのを出せと激怒して、再び睡眠。

 午後二時ごろに起きました。熱を測ってみると38度4分。赤ちゃんは38度2分。いつもはバファリンを飲むと絶大な威力があるんだけど、あんまり効かない。赤ちゃんもグッタリしてきました。祝日だけど赤ちゃんが心配なので、役所がやっている休日診療所に行くことに。気力をふりしぼって自動車を運転。

 20人くらい並んでいてけっこう待ちました。内科と小児科は別で、オレが内科に行っている間に、細君が赤ちゃんを連れて小児科に行きました。内科から戻ると、なぜか赤ちゃん用に腹薬を処方されています。なにゆえ風邪なのに腹薬なのか、と問い詰めると、細君も気がついたようで、医者のところに戻って赤ちゃん用風邪シロップをもらってきました。どうやら医者は、ミルクを吐くという点に注目したようです。でも、風邪薬をくれないと困るよ。救急用の施設なので、一日分しか薬を処方してくれないんだそうだ。

 よろよろと帰宅。もらった薬を飲んですぐ寝ました。医者からもらった薬は良く効きます。死んだように眠って、起きたら深夜でした。ミルクくれー、と赤ちゃんが泣くのでミルクをやってオムツを換えようとしたら、ヨーグルトみたいな臭いのウンチをしてました。蒲団の上にウンチがはみ出たらキケン。一人ではむずかしいので細君をたたき起こし、二人がかりでオムツ交換。寝ながらウンチをすることなんて、ほとんどないんだけどね。赤ちゃんもまだ具合が悪いみたいです。

 

 寝ながら『20世紀少年』22巻(浦沢直樹)、『PLUTO』4巻(浦沢直樹)、『おたくの娘さん』を読みました。

 『20世紀少年』22巻は、キャラが駆け回っているばかりで今までの謎が明らかになるわけでもないし、中継ぎの巻ですね。これで終わりだって噂があったけど、これじゃ読者は怒るよなぁ。次の巻が最終回みたいですね。しかし浦沢直樹は上手い。日本を代表する漫画家といっても良いでしょう。☆☆☆☆★

 むしろ『PLUTO』4巻の方が楽しめました。手塚治虫の代表作の鉄腕アトムでも一番人気があった『地上最大のロボット』のリメイクですな。もってまわった描き方の浦沢節がたまりません。トンマなオジサンというイメージのあった天馬博士を、えらく格好よく描いています。作画、構成ともに抜群。☆☆☆☆☆

 『おたくの娘さん』は、オタクの漫画家アシスタント(27歳)のところに、9歳の実娘が転がりこんでくるというお話。身につまされますなぁ。オレは、オタクなモノを子どもに隠す気はあんまりないけどね。こういうマンガを見ていつも思うんだけど、今どきオタクの生態ってそんなに珍しいのかなあ? 『菊と刀』でベネディクトは、日本を「恥の文化」として類型化しました。この種のマンガは、だいたい他の人にオタクなモノを見られて恥ずかしい、あるいはどうやって隠すかというのがパターンなんだよね。考えてみれば、これって常に他人の目を気にする極めて日本的な発想だ。まあ、最近は他人にどう見られようが気にしないやつが増えて、それはそれで問題になっているけど。「他の人」が実の娘であるという点がこの本の新機軸なのでしょう。ちょっとイタいけど、ていねいに描かれており楽しめました。どうやらこのマンガも、元は趣味でネットに連載していた作品のようです。☆☆☆★★

   

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