原子爆弾製造法前書き

はじめに

ここにアップした文は、冥土出版が発行した『イエローケーキの作り方 原子爆弾製造法』の前書きです。

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 本書は、インターネットでアップされている Documentation and Diagrams of Atomic Bomb の全訳である。このファイルは立花隆の『インターネット探検』などでも紹介されかなり有名なものなのだが、内容的にかなり危険なため削除されたりすぐに移動したりしてなかなか見ることができない。訳者もアクセスするのにかなり苦労した。

 今世紀最大の事件のひとつといえば、やはり原子爆弾の開発があげられるだろう。原爆を手に入れたことより、人類は史上初めてみずからを絶滅させる手段を持つにいたったのである。アウシュビッツとともに核兵器による最終戦争こそ人類の恐怖である。

 原子爆弾の開発には各国は巨大な富と頭脳が結集させ、その情報は最高機密とされた。アメリカの原爆開発の中心人物であるオッペンハイマー夫妻など、核情報をソ連に漏らしたという罪で夫婦ともに処刑され、子供は孤児になった。それが現在ではインターネットで誰でも手にすることができるのである。人類の悪夢ともいうべき原子爆弾の製造法すら、知的好奇心を満たすための情報として発信され流通している。何ともすごい時代になったものだと感嘆させられる。

 インターネットの登場により日本でも事実上ポルノは解禁され、ありとあらゆる情報を全世界から入手することが可能となった。たとえばテロ組織とよばれている反体制団体の多くはwebページをもち、いつでもアクセスすることができる。最近では日本大使公邸を占拠したMRTA系の団体が、インターネットで同時情報を発信している。ひと昔まえなら一部の治安関係者やマスコミなど情報エリートしか手にすることができなかったものだ。それだけ権力による情報の独占や規制が困難になり、個々人の知的財産が飛躍的に増したのだと良い方に解釈したい。

 訳者はこの原子爆弾製造法で多くの興味深い情報を得ることができた。たとえばウラニウム爆弾は、グレープフルーツを二つに割ったような半球を起爆時に合体させて核分裂を引き起こすと考えていたのだが、実際はウラニウムにへこみを作り、そこにちょうど合うウラニウムを挿入して核爆発を起こすという点などだ。しかし、実際この本を見て原子爆弾が作れるかといえば、材料が手に入らないだろうし、内容的にも不十分であろう。また、訳者は翻訳の専門家ではないし核物理学などには全く素養がない。翻訳にあたっては最大の努力をしたが、おそらく専門家から見れば初歩的な誤りを犯しているだろうと思う。気付かれた点があれば、奥付の住所かEメールでお知らせいただければさいわいである。

 初めて今回は翻訳の際にコンピューターを活用した。ソフトは、物理・原子力と軍事の専門辞書をインストールした富士通の『ATLAS翻訳サーフィン』と、サブとしてNECの『英日ちょっと辞書引き君』を使用した。さらに専門的な用語は、講談社の『英和科学用語辞典』を参照した。

 ページに余裕があったので、自衛隊の教範から核攻撃を受けた際の対処法などを記した部分を掲載した。原子爆弾製造法よりもこちらのほうが実用的で役に立つかもしれない。

 遊撃インターネット(遊撃隊/冥土出版)は、今後もネット上で手に入れた反体制団体の資料を翻訳し発行していこうと考えている。インド首相を暗殺したLTTE(タミルイーラム解放の虎)やペルーのセンデロルミノソ(輝く道)の資料などを予定している。通販なども行なう予定なので、希望する方は連絡してほしい。

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