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移植医療に関心を持ってください
 移植治療とは
 患者さんと医療者だけでなく、そこに善意の臓器提供を行う方がいらっしゃって、
そして成立するのが移植医療です。
日本では多くの方が移植を待ち望みながらも、それが実現せず、亡くなってしまいます。
でも、海外渡航移植への募金の呼びかけには多くの方が善意の募金をして下さいます。
決して、日本では善意が不足しているわけではありません。
ただ、多くの方が持っている善意をうまく生かす仕組みが未整備なため、
移植医療は諸外国に比べても極端に遅れているのです。
 移植医療の現状
人の死は心臓死と脳死の二つの定義が用いられます。

 @ 心臓死 : 呼吸停止、心拍停止、瞳孔散大を確認して死とする。
 A 脳死  : 臨床的に全脳死を診断する「臨床的脳死」。
 その上でさらに、臓器の摘出に際して、法律に則した脳死判定を実施した
 結果をもって臓器摘出可能な死体と判定する「法的脳死」。

 これらの死の定義と共に、移植をとりまく法律は、平成 9年(1997年)施行の
臓器移植法によって初めて、脳死からの臓器提供が可能となったものの、
本人の臓器提供の意思が書面で必要とされており、実際には臓器移植に高いハードルがありました。
そして平成 22年7月17日(2010年)施行の改正臓器移植法で、
本人の意思が不明の場合家族の承諾で提供可能となり、本人の意思が法的に認められない
15歳未満からの臓器提供が可能になると、だんだんと整備されてきました。
その結果、日本での臓器提供の件数は、

改正臓器移植法施行前(13年間の累計)86件(米国 90,000 件)
改正臓器移植法施行後(2016年)   64件(米国 9,972件)
6歳未満の脳死からの臓器提供(2016年)2件(米国 364件:0〜5歳)

となっています。
比較している米国の人口はおよそ日本の 2.5倍で人口当たりで換算しても桁違いの差があります。
 諸外国の「人の死」の捉え方と臓器移植の現状
 アメリカ、フィリピン、シンガポール、オーストラリア、デンマーク、スウェーデンでは、
法律で脳死を「人の死」と捉えています。また、台湾、ベルギー、フランス、カナダでは、
法律には規定せずに、医学会、医師会などの判断によって脳死を「人の死」と認めています。

 脳死者からの臓器摘出について、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどは、
本人の意思が不明の場合は家族が提供を承諾すれば可能としています。
また、スペイン、ベルギー、オーストリア、イタリアなどは、
本人が臓器提供を拒否する意思表示をしていなければ、臓器提供が可能という
法律を制定しています。
 小児の心臓移植
 2015年8月に小児用の体外型補助人工心臓「エクスコア」が保険適用になりました。
これは心臓移植を受けるまでのつなぎとして使用され最終的には心臓移植が必要です。
海外渡航移植では費用が2〜3億円かかり募金活動が行われています。
日本では多くの子供たちが移植治療を受けられずに亡くなっています。
米国では、年間 350人の小児心臓移植が行われていますが、
待機中に 60〜100人の患者が亡くなっています。
 命をつなぐために
 日本ではどうして移植医療が進まず、多くの患者さんたちが亡くなってしまうのでしょうか。
どうして多くの子供たちが、今の医学でなら救えるはずなのに、救われることなく亡くなって
しまうのでしょうか?

 日本の不幸な事情の始まりは、1968年の日本初の心臓移植にさかのぼります。
この移植は脳死判定への疑義(執刀医自ら判定基準もなく実施)、レシピエントの適応性への疑義
(本当に移植が必要だったか)があり脳死臓器移植への反対気運が高まりその後 30年間にわたり
空白の期間がありました。
また脳死に対しての正しい理解が進まず今の事態を招いています。
臓器移植に関心を持っていただいて理解を深めていただきたいと思います。

 また日本では、救急医療現場における医師不足や移植コーディネーターの不足という問題があます。
医師が臨床的脳死であると判断したとき、諸外国では医師が臓器移植を選択肢として提示して
移植コーディネーターが家族のサポートを行っていますが、日本ではほとんど臓器移植のことが
提示されることがありません。

 この現状を変えていくには、まず臓器移植に関心を持ち、家族で話し合い、そして意思表示カードや
免許証・健康保険証の意思表示欄に自分の意思をはっきり書くことが必要です。
多くの方の移植への意思が表明されることが、社会の仕組み整備をしていく力になるのです。