TRIO Japan News Letter

2001年10月10日発行 第14号
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3−2−5 豊ビル102 トリオ・ジャパン発行
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近況報告

 ようやく秋らしくなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。東京は暑かったり寒かったりと目まぐるしく、季節の変わり目で体調を崩されている方が多いようです。皆様どうかご自愛くださいませ。

編集者の個人的な都合や、あるいは会報の編集方針についての迷いから、会報の発行が長期にわたって滞っておりまして、大変申しわけございません。また、この不況の影響や、あるいは個人的な事情により、事務局をはじめとするトリオ・ジャパンの役員や運営委員も以前ほどには自由に動けなくなっておりまして、年々増加する一方である移植についての相談は精一杯対応させていただいておりますが、それ以外の活動が十分にできなくなっているのが現状です。

また、昨年の秋から年末にかけて、皆様の力強いご支援をいただきまして、臓器移植法改正の請願を致しました。わが国でも何とか臓器移植を日常の医療として定着させたいという皆様の思いを受けて、関係議員との連絡調整など、事務局も最大限の努力をさせていただきましたが、実際のところは数十ある請願のうちの一つとして処理され、官報にこそ掲載されましたが、「保留」ということで、審議の俎上にすら上らなかったというのが実情です。

この過程の中で、私たちはトリオ・ジャパンとして、今後いかなる活動を行っていくべきかという問いを突きつけられたように感じました。経験してはじめてわかったこともたくさんありましたし、家族への忖度を認めるよう求める内容の請願を行おうとする団体はないであろうとの判断から動いたわけですが、あれほどのエネルギーを注ぎこみながらも、現実を変えることにはつながらない活動にどれほどの意味があったのか、大きな課題が残されました。

あるいは、これまで事務局の荒波さんご夫妻に全面的に依存して勧めてきたトリオ・ジャパンの業務についても、将来的にどのような形に持って行くのかについても、考えていかなければならない時期にさしかかっているということについても、運営委員の間ではほぼ意見の一致をみています。もちろん、今すぐにということではありませんが、トリオ・ジャパンの会員の皆様からもご意見やご協力を賜りながら、私たちの活動のあり方について問い直していきたいと思います。

「今日の生命を救う」ということで、海外渡航臓器移植も視野に入れた支援活動を行っておりますが、ここ数年で海外の受け入れ枠は大幅に狭まっています。肝移植についてはオーストラリアが積極的に受け入れてくださっていますが、待機時間が年々伸びる一方で、なかなか厳しいものがあります。結局、先生方の個人的なコネクションとボランティアに依存しながら、アメリカの病院に受け入れていただくことがほとんどになっているのが最近の傾向です。そのアメリカの病院から渡航前に請求されるデポジット(預託金)の金額も、数年前に比べてほぼ倍となっています。もっと早くなされるべき医療従事者側の判断が依然として遅いという事情もありますが、それを差し引いても年々金額が上昇しているように感じています。

そのアメリカに先日の同時多発テロが起こりました。私たちが支援させていただいておりました石原祥恵さんはテロの当日にシカゴ経由でピッツバーグへ向けて出発されたということもありまして、私たちは大きな衝撃を受けました。幸い祥恵さんは陸路でピッツバーグに無事に到着しましたが、移植で多くの生命が救われている一方で、今まさに「戦争」が起ころうとしていること、あるいは私たちがこうして日常生活を行っている陰で、多くの難民の人々が行き場を失っているということに思いを馳せると、何ともやりきれない気分になる次第です。

一方、日本の現状を見ますと、脳死臓器移植は依然としてなかなか進まない一方で、生体肝移植・生体肺移植がどんどん増えています。生体肝移植については既に1,200例を超えているものと思われますが、各施設の実施状況については十分な情報公開が行われていないのが現状でして、トリオ・ジャパンのような第三者機関が定期的な調査を行うべきなのではないかと感じておりまして、準備も進めていますが、なかなか余裕がないのが現状です。

最初から最後まで愚痴めいた近況報告になってしまいましたが、このような形で事務局の現状をありのままにお伝えして、皆様のお知恵を貸していただくことも必要だと思う次第です。皆様のご意見をお寄せください。

(広報・医療情報担当 若林 正)


第9回トリオ・ジャパン・セミナー

「臓器提供−現状と課題(2) 家族の声から」

昨年度は救急医・脳外科医の立場で臓器提供に関わる先生方のお話を伺いましたが、「実際に臓器提供をされたご家族の声が聴きたい」という声はよく耳にしますし、経験した方でなければ語れないことがたくさんあるものと存じます。

トリオ・ジャパン・セミナーにはどなたでも無料で参加できますので、皆様お誘い合わせの上、ふるってご参加下さい。

なお、会場準備の都合がございますので、参加を希望される方はトリオ・ジャパン事務局までご連絡いただけますと幸いです。

一、日時・場所

2001年11月17日(土)午後13:00〜17:00

キャピトル東急ホテル「竹の間」http://capitoltokyu.com/

地下鉄丸の内線・千代田線「国会議事堂前」駅

地下鉄南北線・銀座線「溜池山王」駅(駅名は違いますが、同じ場所です)各5番出口正面

二、プログラム

1. 家族の立場から

相馬 尋 「国内での臓器提供の経験から」

 相馬さんは2000年11月4日、脳死となった奥様からの臓器提供を経験されています。

千葉太玄 「アメリカでの臓器提供の経験から」

 千葉さんは1987年にアメリカで脳死となった息子さんからの臓器提供を経験されています。2001年4月1日に『本当の脳死』文芸社という著書を刊行されました。

2. コーディネータの立場から

大田原佳久 「臓器提供と移植医療」

 大田原さんは浜松医科大学において、腎移植の草創期からコーディネータとして移植医療に関わっておられます。ホスピスにおける脳腫瘍患者からの臓器提供のお話や、日本臓器移植ネットワークが無かった時代の移植医療についてのお話を伺います。

3. システムを支える立場から

黒川 清 「臓器移植専門委員会と日本臓器移植ネットワーク」

 臓器移植専門委員会にて脳死臓器提供、あるいは臓器移植の「検証」に携わって来られた経験、あるいは「屋上屋を重ねた」第三者検証機関の問題点、あるいは日本臓器移植ネットワークのブロックセンター長として、これまでのお三方のお話を受けて、お話ししていただきます。

第二部  パネルディスカッション 「臓器提供とそれを支えるもの」

 第一部での議論を踏まえて、第一部でお話をされた方全員にパネリストとしてご登壇いただき、フロアからも自由に議論に参加いただきながら、パネルディスカッションを行います。  司会は、日米で2度の肝移植を受けた立場から、トリオ・ジャパンの若林正が担当致します。