【車掌17号祖母の立ち読み】

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決定、第17回車掌賞

――グランプリは孫の手に?

第17回車掌賞グランプリは、台東区上野の自営業者(54)の、中学二年の長女(14)と、小学六年の弟(12)に贈られることが決定した。


○おばあちゃんがラーメンを
「おばあちゃん(79)がラーメンをのどに詰まらせて苦しんでいる!」
と、消防庁が長女から連絡を受けたのは29日の午後6時50分のことだった。長女の声が切迫しているので、職員が「だれか大人はいるの?」と聞いたところ、なんとこの緊急時に、両親は留守で自宅にはこの祖母と長女と弟しかいないことが判明した。

○平手で叩け!
 職員は「救急車が到着するまでに間に合わない(おばあちゃんは死ぬだろう)」と判断した。そこで駄目で(死んで)もともと、どうせ皆いつかは死ぬのさ、と電話で「腕と腕の間の背中を平手で叩きなさい」と、なぞなぞのような応急処置を長女に指示した。

○美しい兄弟愛
 ところが長女は、並みの孫ではなく、並々ならぬ孫だった。腕と腕の間の背中とは「肩甲骨の間」だと咄嗟に理解した。そして弟と協力し、おばあちゃんの肩甲骨の間を何回も何回も何回も、恨みをこめて平手で叩いた。

○のどからラーメンが
 すると奇跡が起きた。死ぬはずのおばあちゃんは、約一分後にのどに詰まっていたラーメンを吐き出し、意識を取り戻したのである! 救急車は、どうせ駄目だと思いながら数分後に到着した。しかし着いてびっくり、おばあちゃんはすでに回復し、病院に運ぶ必要もなかったのだ。

○孫たちに感謝
 こうして、死ぬはずだったおばあちゃんは生き返った。そして「死ぬかと思った。(あなたたちではなく)孫たちには感謝しています」と皮肉を言って、救急隊員に頭を下げたという。

○とうじ魔氏語る
 このように二人の孫は偉かった。その栄光をここに称える。なお、車掌賞審査委員会補佐役のとうじ魔とうじ氏は、「ラーメンだけに手打ちに限ります」と語っている。

<ほほえみ賞>
のび〜る孫の手
 収納時は21.5cmの、ペンスタンドに立つサイズ。それが使用時はピヨーンと33cmに、つまり11.5cmものびる不思議な手。家の狭い人も背中の長い人もみんなニコニコの、かゆいところに手が届く気のきいた孫なので、その面白さをここに称える。

<いきおい賞>
ソフトバンク社長・孫正義氏
「創業の際に決めたことがあります。それは、手形は受け取るが、自分では絶対出さないということです。」――今、孫がいきおいに乗っている! 世界最大手のコンピューター関連出版社・米ジフ・デービス社の買収(1800億円)!、「世界のメディア王」といわれるルパート・マードック氏とのテレ朝株21%共同取得(400億円)!、メモリーボード最大手の米・キングストン・テクノロジー社買収(1620億円)!…と、いちいち世間をびっくりさせてくれるので、そのいきおいをここに称える。

マーゴさん
やはり自殺
 米郡検視局発表

<まごまご賞>
マーゴ・ヘミングウェーさん(41)
 マーゴさんは文豪アーネスト・ヘミングウェーの孫で女優。一日午後、サンタモニカの自宅アパートで遺体で見つかった。最近はジムに通ったりハイキングに出かけるなど健康的な生活を送っていたが、検死の結果「鎮静剤の大量服用による自殺」だった。文豪の「孫」であり、名前も「マーゴ」。こんな重ね重ねの孫はなかなかいないので、その孫らしさをここに称える。なお、ヘミングウェー家の自殺者は、マーゴさんが5人目。


島尾紳三としまおまほが孫を語り、田岡俊次(朝日新聞の偉い人)が孫子の兵法について寄稿。ドキュメント・ザ・尾行は尾行の尾行でややこしい。

17号の特長●祖母号と祖父号を買って結婚させ、子供を作り、それに嫁(婿)をとって子供を生ませ孫となる「孫特集」でまごまごする。
目次…孫服コンテスト/孫新聞/富永さん一族の長い長い孫の話/古事記の孫「ほんとかよ!」/孫のみやげなど。