運命が変わった日
最近御影には疑問があった。
何故自分は昼間に外に出させて貰えないのか…
昼間、雨だろうと晴だろうと外に出して貰えるのは稚陽呂だけ…
逆に夜は御影は外に出られても稚陽呂は寝かされてしまっている…
何故なのか…稚陽呂は知っているのだろうか…
そう思いながらいつも昼間は小さなゲージの中で寝息を 立てていた。
そんなある日の事、御影が目を開けるとゲージの扉が開いていた。
外は夕方。東の空はもう闇に包まれている。
西の海には辛うじて沈みかけた太陽が見えた。
庭から速人の声がする。御影はゆっくりゲージを抜け、庭へと走った…
庭の扉まで行くと、そこには速人と稚陽呂がいた。
御影は一目散に外へ飛び出して二人を呼んだ。
「あやとっ!ちぃろっ!」
その声に振り向いた二人は目を見開いた。
「御影っ!部屋に戻るんだ…!」
速人が叫ぶ。その声に御影が立ち止まった瞬間…
御影の周りを紫色の光が包んだ
速人はその場にがっくりと膝をつき、放心状態になってしまった。
先に近づいた稚陽呂は心配そうに速人を覗き込む。
日は沈み、辺りは闇に包まれた。その中で
稚陽呂の体も黄色い光に包まれた。
暗い庭に、膝をついた速人と、心配そうに近づく名と姿が入れ代わってしまったエーフィとブラッキーがいた…
『ハヤト…ゴメンナサイ…』
御影は理由も解らず涙を流して速人に近づいた。
速人はその声で顔を上げる。
「御影…話せるのか…?」
御影が不思議そうな顔をする。
「テレパシーだよ…」
闇に黄色い模様を光らせて稚陽呂は言った。
『テレパシーダッテ…チヒロガイッテル……ゴメンナサイ…アタシ…ハヤトトアソビタカッタ…』
御影は紫と紅の瞳から大粒の涙を流し、速人に謝った。
「御影が謝ることじゃないんだよ」
速人は御影の頭を撫でながら笑った。
「ちょっと驚いただけだから…」
うそだ。
この二匹はその名と同じ姿にならなくてはいけなかった。
二匹の能力を考慮し、その特性を活かすため、
今後の研究に、支障をきさないため、
速人の任務は失敗に終わったのだ…
それ以来、御影と稚陽呂は昔のように普通に生活するようになった。
御影は速人とも会話が出来るようになり、一層明るくなったが、速人はあれ以来元気がない。
その憂鬱そうな顔を見る度に、御影は悲しくなり、速人に謝り続けた。
「はやとはみかげのせいじゃないっていってた…けど」
速人が床についた後、稚陽呂と月を見ながら御影は話した。
「はやとが元気ないのは…アタシのせいに決まってる…」
大粒の涙が月に光る。
「…いいな。速人と話が出来て」
稚陽呂の言葉に影貴は振り向いた。
「オレもエーフィになりたかった…」
二人の間に風の音だけが通り過ぎた…
翌日…
小さなバンが家に来た。
御影と稚陽呂を乗せ、助手席に速人を乗せて、車は走り出した。
数分で着いた大きな建物の中で
二人は訳の解らぬまま
引き離され、麻酔を打たれて
藤色の液体が入った硝子のケースの中に閉じ込められた
薄れ行く意識の中で御影は人間の言葉を聞いた。
…これよりD196−0009142のヒトガタ実験を始める…
目が覚めた時、たまたまあった鏡に映った自分は
速人と同じような姿をしていた…
02/09/02
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無理矢理締めたな自分…ハナからオチがないのでこうなります。ごめんなさい(汗) 速人が元気ないのはきっと引き離されるのが解っていたからでしょう。
あー可哀想に。 ちなみに…この時の影貴は裸だったかも(?(爆