旅する言葉 1992年10月

 

 

彼らのいいところは、わきあいあいとしているところで、

ぎくしゃくしていないところだ。

ボル事や他人に迷惑かけなければこれもいい事だと思う。

 

10月 1日 1992年 Tunisia

 

 

俺は気が付いた様な気がする。俺には写真を撮る喜びがあるんだと、

いままでそれを忘れかけていた様な気がする、カメラが壊れて気が付かされた。

この事はこれからの俺にとって重要なことなのだ。

 

 

インスピレーションとはイメージへの過程である。

 

 

ブレッソンの写真集を視た、また新しい発見がかたちになりそうでならない。

イメージのかけらがすこしみえかくれしている。

 

 

もう一歩いけそうでいけない。


10月 4日 1992年 Djerba,Tunisia




この青い空。これがチュニジアなのだ。

 

 

まるで他の星へ来た様な気がする、不思議な地形。

ここはいったいどこなのだろう。

 

 

マトマタで見た夕日。青、ピンク、白、ゴールドのコントラスト。

すばらしい。

 

10月 6日 1992年 Matmata,Tunisia

 

 

写真を撮る時。日本を基準にしてしまえばめずらしいものばかり、

しかし現地を基準にすれば普通の事ばかり。俺はどうしたらいいのだろう。

 

 

アラブでは女が外に出ていない、

これはおれにとって決定的ないたでだ。つまらない。

 

10月 8日 1992年 Douz,Tunisia

 

 

夜は寝ながら星を見た。月には輪がかかりなんてすばらしいのだろう、

まわりは静かで怖いくらいだ。

 

 

俺はサハラに立ち無限の可能性と敗北感を感じた。

 

10月10日 1992年 Tunisia

 

 

流れる雲と月を見ながら寝た。寝るのがほしくてなかなか寝れなかった。

 

 

サハラでは、なにもかも一から考える事ができる。

 

 

サハラで聞いた小鳥のさえずり。俺は静かな感動を覚えた。

 

 

なんと言ったらいいのだろうこの感じ。

「どうしようもない敗北感、そして無限の可能性。」

 

 

二泊三日のサハラの旅。サハラが俺にあたえたもの、

いつかきっと俺はあたえかえしてみせる。

 

 

無限の可能性とはもちろん俺の可能性である。

 

10月11日 1992年 Tunisia

 

 

サハラではとっておきのシャツを着た。

 

 

アリの持つ本能、イヌの持つ本能、いったい彼等はどこまで本能でどこまで

考えているのだろう。アリの持つ本能をイヌに、イヌの持つ本能をアリに

すりかえる事など不可能なのだろうか。

 

 

サハラに落ちる夕日、なんてすばらしいのだろう。

 

10月12日 1992年 Douz,Tunisia

 

 

砂漠に雪が降ったようだ。

 

10月13日 1992年 ショット・エル・ジョリド、Tunisia

 

 

人はリスクが大きいものをやりとげた事に感動するのだろうか、

人によってはリスクの重さは違うだろうが、もっとも分かりやすいのが命とか

人生とか自分にはやりたくてもできないことだろう。

 

10月13日 1992年 Tozeur,Tunisia

 

 

モハメットのセカンドネームは「マコト」

 

 

サハラに立つ。

 

 

月夜のサハラで感じたものは、あらゆるものの生きづかいだった。

 

10月15日 1992年 Tozeur,Tunisia

 

 

メディナ(旧市街)に一歩はいるとそこは迷路。

俺はわざとさまよい歩き異国を感じている、もうここは別世界。

 

10月21日 1992年 Tunis,Tunisia

 

 

写真を撮るということは、そこに意味がある事を認識しなければならない。

 

 

ある時は、意味がある事にきずかなくてはならない。

 

10月22日 1992年 Tunis,Tunisia

 

 

そういえば俺は昔から窓の外を眺めるのが好きだった。

それが、俺の写真に影響しているのだときずいた。

 

 

あのカッコよさは、彼女の生き方からくるのだろう。

 

10月23日 1992年 Tunis,Tunisia

 

 

地中海と太陽の間に雲がさえぎり、

海に雲のさまざまな形がうつしだされている。

そして雲は流れ、ふたたび光と海が結ばれる。

 

 

雲のしっとだろうか、あまりにも太陽の光が地中海と調和して美しいから、

雲がしっとして海と太陽の間にわりこんだ。

地中海にうつしだされた雲の影、これもまた美しい。

「しっとは時として美しく、時として醜い。」

 

10月24日 1992年 シティブ サイド,Tunisia

 

 

俺は今、異邦人なのだと・・・。

 

                 10月31日 1992年 Fes,Maroc




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