審査員のコメント

 今回の第50回技能検定ではキリモミ式で7人の受験がありましたが、残念ながら合格者は1名のみでした。
 この日は天候は晴れでしたが、梅雨どきの合い間の晴れで湿度はかなり高く測定したわけではありませんが、経験上50%をゆうに超えていたことはほぼ明らかでした。そのため、火種ができていても麻の繊維で包んだときに消えてしまったとか、回転するうちに消えてしまったような場合がひじょうに多かったように思います。

 合格者の吉田幸彦さんの場合も受験申請は4級でしたが第1回目は制限時間の4分すぎても火種が出来ず4級は不合格となり、規定により第2回目はランクを下げて5級に挑戦し、4分01秒で火種を作り、さらに50秒かけて炎としました。湿度が低い冬とか、あるいは5月初めの晴天時期や11月の晴天時期ならずっと少ない時間で成功したと思われました。
 この日不合格となった6人のひとたちですが、そのうち2人は合格の自信はないが初めての挑戦ということで受験してみたという、いわば体験を目的としたような受験でした。検定受験というのは独特の緊張感を体験することになるので、こうした試みも良いと思います。
 あとの4人は何れも惜しいところで不合格となったので、まずは湿度の高さによる不運とでもいえそうです。
 ただ、受験者全般にアドバイスしたいのは、受験者の多くは発火具を自作したわけではなく、経験者の製作した道具を購入して練習し、受験にのぞんだわけで、ほんとうは、その道具を何度も使ってみて自分の癖や体力にあわせて手直し(いわば改良)した道具にしてから受験するのが理想なのだということです。次回受験のときまでにはぜひ改良型の自分のためだけの発火具にしておいてほしいと思います。